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しおりを挟む「エヴァは、なんだかいつも人を避けるし…特に男子を避けてると思ってたけど、そういうことだったの。でもなんでエヴァが…?」
リリアンは眉間に皺を寄せて考え込む。
「さぁ…?自覚した時からそうだったから。最初は何かおかしいのかと思ったけど、回数を重ねたら、確信に変わって…」
2人の反応が思いの外薄いのが拍子抜けで、なんだかエヴァリーも体の力が抜ける。
「…解けなかったらどうすんだよ」
オースティンはリリアンを挟んだ向こうから、身を乗り出してエヴァリーに尋ねる。
「解けるのかなぁ?もし好きになったら、近付かなければ良いんだろうけど…既に失恋だし。万が一両思いになったとしても……それっきり、手も繋げない」
エヴァリーは淡々と紙コップに入ったミルクティーを啜った。
「そんなっ!そんな残酷な事ってある!?それに理不尽じゃない!ただでさえ乙女のエヴァリーにっ!」
リリアンは諦め顔のエヴァリーの肩をバシバシ叩く。その緑色の目は涙を堪えていた。
はぁあああ可愛いぃぃぃ尊いいいい…––––
エヴァリーは飲み物を置いてとりあえずリリアンを抱きしめた。
我慢できなかった。
いつもなら、リリアンにやめてと言われることもあるスキンシップも、この時ばかりはリリアンも全身で受け入れてくれる。
感情的になっているリリアンを愛でていると、不意にエヴァリーはオースティンと目が合った。
そう言えば、オースティンに触れたことはない。触れようと思った事も無い。
それはそれは信頼している親友であるけれど…
「オースティンも混ざる?」
エヴァリーの誘いを、オースティンは光の速さで断った。
ある雨の日、リリアンは困った顔で部屋に戻って来た。
エヴァリーの放課後は部屋に篭って学校を追い出されないように勉強するか、恋愛小説を読み耽り空想に浸っているかのどちらかだ。
正しく実現不可能な、空想に…
リリアンの部活動が終わるには早すぎる時間だった。
「早いね。どうしたの?」
「それが…競技施設の建物が酷い雨漏りで暫く使えないの。使えない間、他校の施設を借りるんだけど…」
「他校?」
エヴァリーが椅子をくるっと回して体ごとリリアンに向ける。
この辺りで1番環境が整っている学校なんて限られる。
「まさか…」
エヴァリーはげぇっ––といった顔を浮かべる。
「そう、ブライトン…」
リリアンも大きなため息を吐いてそう言った。
ブライトン学園は、エヴァリー達の学校からバスで20分程の場所にある、国内有数のお金持ちが通う学園だ。
寮もあるが、過保護な親は近くに住居を手配して子供を通わせる。
偏差値で言えば、エヴァリー達の学校の方が高い。
だが建物も施設も、教育環境も、ブライトンは全てにおいて最高級だ。
それだけしててなぜ偏差値が上がらないのかはさっぱりである。
親の本音はこっちの学校に入れたかったけど、無理そうだったから学園にしました、セレブのステイタスもあるしね、といった具合だろう。
故に、ブライトンの生徒はこの寄宿学校の生徒を好ましく思っていない。
パーベル・アビーの生徒も、ブライトンを良く思っていない。
お互いがブライトン、パーベル・アビーと分かれば途端に空気は殺伐として血気盛んな学生達は乱闘騒ぎになる。
––––嫉妬だ。そう嫉妬してるのだ、金はあるが頭が足りないブライトンの奴らは……とエヴァリーも鼻で笑ってやりたい。因みにエヴァリーの成績は下から数えた方が早い。
「私も一緒に行くよ、リリアン。オースティンもね」
エヴァリーは立ち上がって、ため息ばかり吐くリリアンを心配そうに見下ろした。
「…エヴァもオーも暇だもんね」
そう言ってリリアンはエヴァリーを見上げる。
ツンデレのツンが多めのリリアンが、エヴァリーは控えめに言って大好きだ。
「抱きしめて良い?」
エヴァリーがそう言うと、リリアンはフェンシングのマスクをエヴァリーにゴツッと投げつけた。
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