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姉と弟
しおりを挟む『バイラムと最近会わないが、変わりなかったか?』
キアラは先程よりもゆったりとした服装に着替えて、フィデリオを出迎える。
既にアクイラ卿はキアラの側に控えていた。
『最近は随分落ち着いてます。レイモンド…フォーサイス子爵の次男が、侍医や薬師と共に薬を調合しているとか…エルデムにはそれが合うようですね』
クレイグの弟、レイモンドは兄に持ち得なかった人間らしさの全てを持っているようで、人当たりもよく、周りの人間もよくレイモンドを気に掛けているようだ。
フィデリオもあの壁のような男には好感を持っている。クレイグと違って。
『そうか。オクサナ妃もお喜びだろう』
キアラは書斎に腰掛け、書類から目を離さずそう言った。
話しかけづらいな…とフィデリオはその様子を伺う。だが、確かめないといけない。
『…ミリアムに王国の事を?』
『ああ』
キアラはそれしか返さない。
『…婿を取られるのなら、余りお勧め致しません。何より、王国は男がその家を継ぎますので…女はともかく、男は次男三男でも長男の予備。あえて海向こうには行かせないかと…』
『そうか、そうだな。其方はよく見知っているからな』
やはり、キアラの反応は余り良いものにはフィデリオには感じない。
『…何をお考えで?』
まどろっこしい会話の駆け引きを楽しむのは、フィデリオは好きではない。
性格的に向いてないのだ。
それが身内ならば、尚更に。
『まさか嫁がせるのですか?ミリアムを王国へ?』
それでも、自らの言葉の反応をいちいち伺ってしまうのは、強い姉を持つ弟の習性だろか。
『…父上が許すと思えません。オクサナ妃も…』
キアラはやっと顔を上げてフィデリオを見た。
『フィデリオ、そなたは亡き皇后の子。 そなたと余とは、同じ腹から産み落としていただいた。そなたの母の家格からして、そなたは嫁を取りこちらに残ることとなろう。それに、体の弱いバイラムも…。余にはまだ子を宿す気は無い。即位前で父上の状態を考えれば、子を孕んでる余裕は無いのだ』
雰囲気から察して、今宵はアクイラ卿と過ごすであろうとフィデリオは思った。
キアラの飴は、相変わらず鞭と一緒に使われるらしい。
面と向かって子を成すつもりは無いと言い切られて、側室の心中は一体どうなのだろうか…
確かに今は時期が悪い…
だからと言って…皇帝陛下が体調を崩してからかなりの年月が経った。どの時期が良いか、なぞ決められる物でも無い。
そして…フィデリオが小耳に挟んでいた事は真であったとフィデリオは確信する。
キアラは子を成さぬように絶えず薬を飲んでいる…と…
側室を持った時からと考えれば、かなりの期間そうしていることになる。どんな影響があるのか…弟として、フィデリオは純粋に心配になった。
だが…きっと、ここにも、フォーサイス兄弟が噛んでいそうだな、とフィデリオは予想する。
そう思えば、少し心強い。
あの打てども響かないメガネは、こういった時には実に頼もしいとフィデリオにも分かる。
『そなたも早く嫁を娶れ。子を多く残す事も我等の責務』
そう言われてフィデリオはバツの悪そうな顔を浮かべた。
『…私は、恐れながらある程度…自分で決めた相手を、と考えておりますので…』
『ほう。誰かさんと似たような事を言う』
キアラは薄らと笑みを浮かべて顎を上げ、フィデリオを見る。
『ミリアムは…幼い頃からレオに執心していましたので…てっきり、父上も、姉上もレオをミリアムの正室にと望んでおられるのかと思っておりました』
少し歳が離れるが、そうすれば皆の思い描いた通りになる。ただ1人、レオを除いて。
『それは無理だ。父上も、オクサナ妃も賛成はしない、決してな。それが出来れば確かに、レオの名誉と立場は取り戻せるかもしれぬが…。かと言って余の側室になるのは、彼奴も嫌がるであろうしな。余も、口煩い側室は要らぬ』
キアラはフッと鼻で笑う。
先程からなんだか引っかかる…
フィデリオはふとアクイラ卿を見た。
アクイラ卿はキアラの後ろに控え、ただじっとキアラとフィデリオの会話を聞いている。
アクイラ卿には真意が汲めているのだろうか?皇族の込み入った話をするのに、なぜアクイラ卿にも…?
レオの出自を知っている者はごく限られるが…既にアクイラ卿は知っている様だった。キアラが溢したのだろうか。
オナシス卿ならまだしも…
『此度のトロメイの件と、ミリアムの件、何か関係があるのですか?』
フィデリオはあらゆる状況を想定して考える。
だが、なぜ、今、ミリアムと王国を結びつけるのか…根拠が乏しかった。
『…ミリアムをわざわざ嫁がせる程の相手は王国でもかなり限られます。かなりの上級貴族でなくてはなりません。
もし、そうなれば…両国内からも、ある程度不満は高まるでしょう。
エルメレとしても、娶るならまだしも、海向こうの小国へ嫁がせるのですから…。 ですが…確かに、ここで縁を結んでおけば、長い争いが終結した両国の象徴ともなります。
ただ、先日のディオン公爵の件も、ようやく話が纏まったばかり。
それこそ、王国から人質として婿を取る方が自然です』
いや待て…そもそもなぜ、バイラムの話が出た?
それにアクイラ卿…
トロメイでの襲撃…
何が繋がるというのだろう。
フィデリオは疑問が顔に出ないように努める。
『その通り…だが、人質を送るより、送りたいのだ。よく見聞きし、頻繁にこちらへ報告を入れる…。今であれば、王室へ1番近い場所へ、もしくはその場所そのものへ送ることが出来る。皇太子妃、将来の王妃、という肩書きと共にな』
キアラはフィデリオをじっと見つめる。
『人質…』
いや、間者だ、とフィデリオも理解した。
『本来であれば、王国の前に、トロメイと縁を深めておくべきだったのだ。
そうすれば、より詳しく内部の事が分かっていただろう。だが、トロメイは女系一族…皇室の男は既に3人、婿に出てしまった。そなたが残るとしたら、本来はバイラムがその役を担うべきと父上もお考えだったが…』
キアラは書類を置き、背もたれに背をつけ、目を伏せる。
『…トロメイは、大きくなり過ぎたのだ』
キアラが囁くようにそう言った。
バイラムは病弱なため、外で暮らすのは難しい。トロメイは今回の事で弱体化は必須…縁を結ぶ必要も無い。だがその落とし前を付けなければならない…
『…代案として、トロメイの孫娘を王国へ行かせるつもりですか?程の良い、追放として…』
もしトロメイの跡取りを嫁がせるのなら、女系一族のトロメイは断絶となる。 他の跡取りとなる女は居ない。
弱体化、どころでは無くなる。
いや、正確には居る…連れて来たのだから。だが、あまりに突拍子ない…
一族が断絶する屈辱は変わりない。
だが、処分が甘すぎるとも言える。
アクイラの一族の意向なのか、キアラの考えなのか、フィデリオにはそこは計り知れない。
『奇な事よ。ライラがこちらへ来て、トロメイの後継者が王国へ嫁ぐ…
既にベルナルディ侯爵の耳にも詳細は入っているのだ。落とし前はつけねばなるまい。一族もろとも処刑するよりも、寛大過ぎではあるが…。あちらは襲撃の目的はライラであると一点張りでな。
こちらを巻き込んだとはいえ、トロメイの領内で起きたのなら、内部紛争だ。 それでも、一族の処刑は行き過ぎだとバルドリックも言うのでな…』
キアラはアクイラ卿を見る。アクイラ卿は軽く目を伏せた。
『…禍根を残すと新たな災を呼びます』
ゆっくりと断絶させるよりも、反乱の芽は早急に摘むのが正攻法だ。
だが、自分で言っといて、フィデリオにはそれもやはりしっくりと来ない。
『そなたは一族根絶やしにする方が良いか。豪気なことだ。無論、当主と次期当主には弁明の余地は無い。
トロメイの当主の兄君、ジャニス殿から既に申開きは受け取った。当主のギュル殿からもな。中身は案の定正反対であったが。アクイラの長、フェリクス殿からも逐一報告が来ている。
噂には聞いていたが、ジャニス殿は随分殊勝な人物のようだな。トロメイより家格の低いアクイラの屋敷の前で、三日三晩飲まず食わずで跪いていたそうだ。 自らの命と全ての財産を引き換えに、少しでも多くの命を助けて欲しいと…。 ジャニス殿に続くトロメイの者が余りにも多く、対応に苦慮していると報告が来た。
アクイラの一族を思えば、その場で斬り捨てられても文句は言えない。だが、フェリクス殿も、ジャニス殿の命乞いをして来た。ジャニス殿とは特別親しき仲、代わりに自らの命を差し出しても構わぬと前置きしてな』
キアラはアクイラ卿をまた見上げる。
アクイラ卿の瞳は、既に覚悟しているように見えた。
一族と自らの立場の狭間で、苦心した事だろう。皆落とすべき落とし所を探している。
フィデリオもそこまでトロメイの当主の兄が人望に厚いとは知らなかった。
アクイラの長さえ、その命を助けようとする程に。
『こうも周りに言われては、余もお手上げだ。バルドリックは余の大切な側室…。 だが余の振り上げた拳は、ベルナルディとアクイラに請け負わせてしまった。
それに、トロメイの中にはバルドリック達を助けようと苦心した者も居ると聞く。死を以て罪は贖われるのかもしれんが…向こう岸の事情は複雑だ』
フィデリオにもようやく分かった。
『迷ってらっしゃるのですね。ミリアムを王国へ嫁がせるか、もしくはトロメイの孫娘を行かせるか…』
キアラはアクイラ卿からフィデリオに視線を戻した。
『…保険は幾らあっても足りないことはないからな』
キアラは咄嗟にこめかみを抑えた。
ほんの一瞬だけ、顔を歪ませたが、それ以降は表情は変えない。頭痛を催しているのだろう。
アクイラ卿はすぐに部屋の隅にある小箱から幾つか薬瓶を取り出し、水差しと共に盆に載せてキアラの傍に置く。
大きな体は膝をつき、キアラが薬を飲む手助けをした。
確かに…これは…頭の痛い問題だ…とフィデリオも額に汗を光らせる。
『…トロメイの者が嫁いでも、血筋に遜色は無い。事が事だ。嫁ぎ先でも良き働きをするであろう。
そして、ライラはヤースミン殿の希望で連れて来た。今後どうなるかはまだ分からぬ。ジャニス殿の子息がライラに興味を持っていると聞いた。…ジャニス殿とアクイラの一族にとっては、ライラはトロメイ再建の建前にはなり得るやもしれないな』
ライラを当主に挿げ替えれば、以前の影響力を失ったとはいえ、トロメイの者達には朗報になる…
だが…
その前にあの男が…
それはキアラも想定しているはずだ。
だが、改めて忠告しよう。
事情はさっぱり分からなかったが、これだけは誰よりも、ハッキリと、明確に、フィデリオには分かるのだ。
『1つ、私から姉上に助言がございます。
もし、ライラ殿をどうこうしようと思われているのなら、おやめになった方が良い。殺されますよ、レオ…いえ、べルナルディ卿に』
皇族が断絶など、あってはならない。
冗談じゃない。
『ふふっ…あはははははっ…!だそうだ、バルドリック。どう思う?』
一瞬の間があって、キアラが声を上げて笑った。そんな姿のキアラを見るの久しぶりだ。
その姿に、フィデリオは呆気に取られる。
『レオ様は不死身故、なす術ございません』
アクイラ卿は柔らかな笑みを浮かべて、うっとりとキアラを見ている。
さっきまでの緊張感はどこへ行ったのやら…
キアラの戯れだ
いや、戯れであって欲しい…
だが、国の力関係を保つためには、一概に戯れと流せない所があった。
まぁ…レオがそこまで考えて体を張ったとは思えないが、確かに交渉に使えるように代償は払ったのだろう。
その思いを、押し通すために。
『バルドリックは今回良くやってくれた。 余の期待以上にな。これからもっと大きな事が起こる。時代は変わるのだ。
王国と誠の友人となれるのか…我等の一石一石で、将来は変わる。
フィデリオ、そなたを頼りにしている。 …それと、レオにも釘を刺したが、父上のお気持ちは未だ変わっておられない。
せいぜい知恵を絞る事だ』
一刻も早く、無事にキアラが戴冠し、多くの世継ぎを成して貰わないと、フィデリオは大いに困る。
そして、あのやたらと仕事に邁進して、浮足だっている男も…
そのための、頼りにしている、に違いないのだろうが、悩みと仕事の種は一気に増えた。
フィデリオにも、あの薬瓶が手放せなくなるかもしれない。
もう既に頭が痛い。
フィデリオは髪を掻き乱すと、キアラと同じ動作で、こめかみを抑える。
アクイラ卿がフィデリオに薬瓶を持って来る気配は無かった。
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