とある最弱者の貴族転生~高貴な《身分》と破格の《力》を手に入れた弱者は第二の人生で最強となり、生涯をやり直す~

詩葉 豊庸(旧名:堅茹でパスタ)

文字の大きさ
23 / 35

第二十三話 貴族VS平民

しおりを挟む

「ではこれより、ジーク・フリット対ユーリ・フリージアの模擬試合を行う!」

 Bクラスの担任講師ラルゴが始まりを告げる号令を高らかに宣言。
 俺とジークはバトルエリアという事故防止用の特殊結界の中で睨み合う。

「いやぁ、まさか最初から僕たちが対峙することになるなんてね」
「ホントにそうですね。俺もジーク様と一戦交えるなんて思ってもいませんでしたよ」

 相手は大貴族。平民(という設定)の俺は下手に出ることにする。
 
「いやいやそんなに硬くならないでおくれよ。それに、その様子だと結構腕に自信があるみたいだね」
「そう見えますか?」
「ああ、見えるとも。さっきから凄く感じるんだ。君の身体から溢れ出る魔力と覇気が」

 なるほど。どうやらジンの言っていたことはハッタリでもなんでもなかったみたいだ。
 ジークには相手を見極める力がある。
 恐らく既にもう俺の力の一端を察しているのだろう。

「でも、君がいくら特別推薦で入学した優秀者でも到底僕にはかなわないけどね。格が違うだろうさ。はっはっはっは!」
「……ッ!」

 無粋な言葉をバカうるさい笑い声と共に飛ばすジーク。
 やっぱり下手に出るのは止めよう。
 こいつはどうも好きになれない。

 態度的に。

「まぁ、それはやってみないと分からないじゃないですか。もしかしたら……ってこともありますし」
「もしかしたら? はっはっは! それは面白い冗談だね。でも、希望を持つことは悪くないと思うよ)

 こ、こいつ……

 いちいち勘に触る言い方はどうにかならないものか。
 素でやっているのか演技なのか分からん。
 
 ま、いちいち挑発に乗っているとキリがないのでスルーするだけだけど。

「では、両者位置につけ!」

 挑発合戦は終わり、ようやく模擬試合へ。
 俺とジークは決められた位置に移動し、再び黙視の時間が訪れる。

 と、俺は自分の心の中にいる住人に話をかける。
 
「なぁデル。起きてるか?」
『起きてるけど。なによ?』
「あいつの適正値はどれくらいなんだ?」
『聞く必要ある?』
「一応。あれだけ自信満々に言われたら気になる」
『別に気にすることないわ。貴方からすれば彼らなんて虫けらみたいなものよ』
「虫けらって……はっきり言うんだな」

 でも相手の力量を事前に知っておくというのは悪いことではない。
 それにどれくらいまで力を出せるかとか加減の具合とかも分かるしね。

(後、ケガさせて大騒ぎ……なんて事態も起こりかねないし)

「頼むよデル。少しだけだから」
『分かったわよ。ほら』

 というとデルはユニークスキルを発動させ、

 ※※※※※
 
 ステータスファイル(ジーク版)NO.1

 名前:ジーク・フリット
 種族:人族ヒューマン
 性別:男
 年齢:満16歳
 身分:貴族ノーブル
 爵位:公爵デューク 
 魔力数値:350
 魔法適正値:300
 趣味:お花摘み
 好きなもの:美しい自分
 嫌いなもの:美しくない自分
 
 ※※※※※

 目の前には上のようなデータが一面に現れる。
 
「ふむふむ。やはり言うだけあって適正値も魔力数値も高いな」
『ま、ただの人間にしては高い方なんじゃない?』
「いや、俺もただの人間なんですが……」

 ていうかそれよりインパクトがあったのは趣味嗜好の部分だ。

 お花摘みって乙女だな、おい! しかも好きなものが美しい自分って……

(典型的なナルシストだな、こりゃ……)

 ある程度確認を終えた俺はデルに「もういいよ」と一言述べる。
 
「よし、大体分かった。後は実戦で確かめるべしってとこだな」
『しっかりと加減はしなさいよね。ここで学園ごと吹き飛ばしちゃったら社会的制裁を受けることになるわよ』
「わ、分かってるって。あんまり怖いこと言うなよ……」

 でも調子に乗り過ぎて一気にドカーン……ってことにはならないように気をつけよう。
 手加減はしつつ、バレないように真剣に戦っている風を装ってね。

「では両者、構え!」

 ラルゴ先生の指示で俺たちは姿勢を低くし、グッと構える。
 
「さ、いよいよショータイムですよユーリくん。僕の力、その眼にしっかりと焼きつけてくださいね」
「ああ、そうさせてもらうよ」

 自信みなぎる笑みを見せるジークと冷静に対応するユーリ。
 周りの生徒たちが目を見開きながら見守る中、俺たち二人は闘志を燃やしていた。

 そしていよいよその瞬間が訪れる。

「……では、始め!」

 ……こうして、唐突に指名された大貴族と平民の戦いは始まりを告げたのだった。
しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

本当に現実を生きていないのは?

朝樹 四季
恋愛
ある日、ヒロインと悪役令嬢が言い争っている場面を見た。ヒロインによる攻略はもう随分と進んでいるらしい。 だけど、その言い争いを見ている攻略対象者である王子の顔を見て、俺はヒロインの攻略をぶち壊す暗躍をすることを決意した。 だって、ここは現実だ。 ※番外編はリクエスト頂いたものです。もしかしたらまたひょっこり増えるかもしれません。

異世界の貴族に転生できたのに、2歳で父親が殺されました。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー:ファンタジー世界の仮想戦記です、試し読みとお気に入り登録お願いします。

転生令嬢は現状を語る。

みなせ
ファンタジー
目が覚めたら悪役令嬢でした。 よくある話だけど、 私の話を聞いてほしい。

【完結】子爵令嬢の秘密

りまり
恋愛
私は記憶があるまま転生しました。 転生先は子爵令嬢です。 魔力もそこそこありますので記憶をもとに頑張りたいです。

俺に王太子の側近なんて無理です!

クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。 そう、ここは剣と魔法の世界! 友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。 ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

ナイスミドルな国王に生まれ変わったことを利用してヒロインを成敗する

ぴぴみ
恋愛
少し前まで普通のアラサーOLだった莉乃。ある時目を覚ますとなんだか身体が重いことに気がついて…。声は低いバリトン。鏡に写るはナイスミドルなおじ様。 皆畏れるような眼差しで私を陛下と呼ぶ。 ヒロインが悪役令嬢からの被害を訴える。元女として前世の記憶持ちとしてこの状況違和感しかないのですが…。 なんとか成敗してみたい。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

処理中です...