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第二十三話 貴族VS平民
しおりを挟む「ではこれより、ジーク・フリット対ユーリ・フリージアの模擬試合を行う!」
Bクラスの担任講師ラルゴが始まりを告げる号令を高らかに宣言。
俺とジークはバトルエリアという事故防止用の特殊結界の中で睨み合う。
「いやぁ、まさか最初から僕たちが対峙することになるなんてね」
「ホントにそうですね。俺もジーク様と一戦交えるなんて思ってもいませんでしたよ」
相手は大貴族。平民(という設定)の俺は下手に出ることにする。
「いやいやそんなに硬くならないでおくれよ。それに、その様子だと結構腕に自信があるみたいだね」
「そう見えますか?」
「ああ、見えるとも。さっきから凄く感じるんだ。君の身体から溢れ出る魔力と覇気が」
なるほど。どうやらジンの言っていたことはハッタリでもなんでもなかったみたいだ。
ジークには相手を見極める力がある。
恐らく既にもう俺の力の一端を察しているのだろう。
「でも、君がいくら特別推薦で入学した優秀者でも到底僕にはかなわないけどね。格が違うだろうさ。はっはっはっは!」
「……ッ!」
無粋な言葉をバカうるさい笑い声と共に飛ばすジーク。
やっぱり下手に出るのは止めよう。
こいつはどうも好きになれない。
態度的に。
「まぁ、それはやってみないと分からないじゃないですか。もしかしたら……ってこともありますし」
「もしかしたら? はっはっは! それは面白い冗談だね。でも、希望を持つことは悪くないと思うよ)
こ、こいつ……
いちいち勘に触る言い方はどうにかならないものか。
素でやっているのか演技なのか分からん。
ま、いちいち挑発に乗っているとキリがないのでスルーするだけだけど。
「では、両者位置につけ!」
挑発合戦は終わり、ようやく模擬試合へ。
俺とジークは決められた位置に移動し、再び黙視の時間が訪れる。
と、俺は自分の心の中にいる住人に話をかける。
「なぁデル。起きてるか?」
『起きてるけど。なによ?』
「あいつの適正値はどれくらいなんだ?」
『聞く必要ある?』
「一応。あれだけ自信満々に言われたら気になる」
『別に気にすることないわ。貴方からすれば彼らなんて虫けらみたいなものよ』
「虫けらって……はっきり言うんだな」
でも相手の力量を事前に知っておくというのは悪いことではない。
それにどれくらいまで力を出せるかとか加減の具合とかも分かるしね。
(後、ケガさせて大騒ぎ……なんて事態も起こりかねないし)
「頼むよデル。少しだけだから」
『分かったわよ。ほら』
というとデルはユニークスキルを発動させ、
※※※※※
ステータスファイル(ジーク版)NO.1
名前:ジーク・フリット
種族:人族
性別:男
年齢:満16歳
身分:貴族
爵位:公爵
魔力数値:350
魔法適正値:300
趣味:お花摘み
好きなもの:美しい自分
嫌いなもの:美しくない自分
※※※※※
目の前には上のようなデータが一面に現れる。
「ふむふむ。やはり言うだけあって適正値も魔力数値も高いな」
『ま、ただの人間にしては高い方なんじゃない?』
「いや、俺もただの人間なんですが……」
ていうかそれよりインパクトがあったのは趣味嗜好の部分だ。
お花摘みって乙女だな、おい! しかも好きなものが美しい自分って……
(典型的なナルシストだな、こりゃ……)
ある程度確認を終えた俺はデルに「もういいよ」と一言述べる。
「よし、大体分かった。後は実戦で確かめるべしってとこだな」
『しっかりと加減はしなさいよね。ここで学園ごと吹き飛ばしちゃったら社会的制裁を受けることになるわよ』
「わ、分かってるって。あんまり怖いこと言うなよ……」
でも調子に乗り過ぎて一気にドカーン……ってことにはならないように気をつけよう。
手加減はしつつ、バレないように真剣に戦っている風を装ってね。
「では両者、構え!」
ラルゴ先生の指示で俺たちは姿勢を低くし、グッと構える。
「さ、いよいよショータイムですよユーリくん。僕の力、その眼にしっかりと焼きつけてくださいね」
「ああ、そうさせてもらうよ」
自信みなぎる笑みを見せるジークと冷静に対応するユーリ。
周りの生徒たちが目を見開きながら見守る中、俺たち二人は闘志を燃やしていた。
そしていよいよその瞬間が訪れる。
「……では、始め!」
……こうして、唐突に指名された大貴族と平民の戦いは始まりを告げたのだった。
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