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第二十四話 貴族VS平民2
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ジーク・フリットとユーリ・フリージアの模擬試合が始まった。
俺たちは早速、挨拶代わりの牽制魔法を放ち、様子を伺う。
「ユーリくん、覚悟はいいかな?」
「ああ、もちろん。貴方こそ、心の準備は出来ているのか?」
「僕? あはははっ! そんなこと言うまでもないさ。君は本当に面白いことを言うんだね」
余裕綽綽の笑みと人を見下すようなその瞳。
そこまで言うならやってやろうじゃないか。
「なら……本当に面白いことだけを言っているのか、貴方に証明してみせますよ」
「ほう、それは面白い。では、これなんてどうかな!」
ジークはそう言い放つと片手を天高く上げ、呪文を詠唱し始める。
「我が使えし精霊たちよ。我の力の源となり、糧となれ――!」
――≪フライング・アロー≫!
瞬間。
ジークの頭上高く舞い上がった照射型の魔法は天空ではじけ、そのまま分裂しながら俺を襲ってくる。
「そんな使い方ができるのかよっ!」
まさかのビーム系の魔法かと思ったが、大間違い。
意図的に分裂させて手数を増やしてくるなんて思わなかった。
「くっ……!」
ジークは俺に反撃する隙も与えず、次々と魔法を繰り出してくる。
その攻撃とセットでジークの高笑いも聞こえてきた。
「いつまでも逃げてばかりでは僕には勝てないよ、ユーリ・フリージア!」
「言われなくても……!」
証明してやると啖呵を切った割には未だ攻撃が出来ていない。
とは言っても中々近づけないのは事実なのだ。
しかも俺の回避行動を予想して魔法を放ってきている。
あそこまで洗練された魔法を使う奴を見たのは初めてだ。
(やはり口だけじゃないな。こいつ……)
このままじゃ消耗戦になるだけ。
かと言ってこの距離で中階梯レベルの魔法を放っても打ち消されるか避けられるかが関の山だ。
「仕方ない。ならば……」
高階梯魔法で奴の魔法ごと一気に消し去る作戦で行こう。
一応防御結界は張られているから周りの人には被害は及ばないだろうが、彼には多少ケガさせてしまうかもしれない。
でもこのままじゃ一方的な試合展開で終わってしまう。
手加減をしながらという条件付きで戦うのは結構難しい。
手段が限られてくるし、相手の出方によっては何もできない時もある。
だがこのままぬくぬくと負けるわけにもいかない。
こう見えても負けず嫌いな性分なんでね。
「奴の実力から推測してこれくらいの魔法であれば避けることくらいは……」
と言って思いついたのは炎属性の高階梯魔法。
もちろん、出来る限り手加減はするつもりだ。
「≪リフレクター≫!」
回避行動は一旦止めて、魔力で構築した巨大な壁を突き立てる。
ジークの放つ魔法の矢は次々と魔法壁に突き刺さり、その間に魔力を右腕に集中させる。
「逃げは止めてバリアを張りましたか。でもそれこそ時間の問題だよ」
ジークの魔法はさらに勢いを増し、俺に牙を向けてくる。
だがいつまでもやられっぱなしの状況はもう終わり。
魔力はもう十二分に溜まった。
(今度は……こっちの番だ!)
俺は魔法壁を張り、攻撃を防ぎつつも右手を前に突きだす。
右腕に溜められた魔力は紫色の光を放ち、その光は時間と共に激しくなっていく。
「……ん、なんだ?」
ジークも異変に気がついたようだが、もう遅い。
もう準備は全て完了しているのだ。
俺はすぐに魔法壁を解除し、紫色に光り輝く右手に意識を集中させる。
そして一言――
「穿て、≪ビッグ・ファイア≫!」
右手から放たれし火球が魔法の矢もろとも破壊し、ジークに迫る。
頼むからケガだけはしないでくれと、そう願いつつも俺はその様子を静かに見守る。
……と、
「ぼ、僕の魔法がっ!」
これにはさすがのジークも驚いたようで、一気に距離を開ける。
(さすがのジークもこれは回避せざるをえないだろう……)
と、思っていたが予想は斜め上を行き、
「な、なるほど……まさかこれほどの魔法が扱えるとは……! だが、僕の前ではこんな魔法など無力に過ぎない!」
と言って回避行動をする素振りも見せず、ジークは魔法壁を構築。
迫りくる高階梯魔法に対抗しようとする。
(お、おいおい! まさかあれを盾受けするつもりか!?)
まさかの事態。
彼は回避することを選ばず、そのまま受けきることを選択したのだ。
「や、やめろジーク! 流石のお前でもそれは無理だ!」
咄嗟に声が出てしまうが、ジークはそれを跳ね除け、
「無理……? 何をバカな! 僕に無理なんて言葉はない。こんな魔法、避けるまでもないよ!」
自信満々に言うが、この魔法は上位魔族でも一撃で消し去るほどの威力はある。
俺にとっては大したことのない魔法だが、常人にとってはそれなりの力を持つ魔法だ。
かなり手加減はしたが、もし生身で受けたらそれ相応のダメージを負うことになる。
(それをそのまま受けるのは――)
と言っても俺の言葉が届くことはずもなく……。
ジークはそのまま魔法壁を展開させると、高階梯魔法≪ビック・ファイア≫を直で受け止めた。
「ぐ、ぐぬぬっ!」
二重、三重にも展開したジークの魔法壁が次々と破られていく。
魔法の威力はさらに激しさを増し、ジークをじわじわと追い詰めていった。
「ば、バカな……! な、なんなのだこの魔法は!」
ジークの額からは大量の汗が流れ出てきて、先ほどまでの余裕は完全消失。
一気にその余裕が焦りへと変換される。
俺もマズイと思い、ジークの助けに入ろうとするがもう手遅れだった。
ジークの魔法壁は完全に破壊され、生身の身体へと一気に魔法が押し寄せていく。
「う、うわぁぁぁぁッ!」
ジークの叫びが総合体育館に響き渡る。
「じ、ジークッ!」
俺の叫びは虚しく、ジークはそのまま炎の渦に巻き込まれていく。
が、その時だった。
「そこまで! 勝負ありだ!」
俺たちは早速、挨拶代わりの牽制魔法を放ち、様子を伺う。
「ユーリくん、覚悟はいいかな?」
「ああ、もちろん。貴方こそ、心の準備は出来ているのか?」
「僕? あはははっ! そんなこと言うまでもないさ。君は本当に面白いことを言うんだね」
余裕綽綽の笑みと人を見下すようなその瞳。
そこまで言うならやってやろうじゃないか。
「なら……本当に面白いことだけを言っているのか、貴方に証明してみせますよ」
「ほう、それは面白い。では、これなんてどうかな!」
ジークはそう言い放つと片手を天高く上げ、呪文を詠唱し始める。
「我が使えし精霊たちよ。我の力の源となり、糧となれ――!」
――≪フライング・アロー≫!
瞬間。
ジークの頭上高く舞い上がった照射型の魔法は天空ではじけ、そのまま分裂しながら俺を襲ってくる。
「そんな使い方ができるのかよっ!」
まさかのビーム系の魔法かと思ったが、大間違い。
意図的に分裂させて手数を増やしてくるなんて思わなかった。
「くっ……!」
ジークは俺に反撃する隙も与えず、次々と魔法を繰り出してくる。
その攻撃とセットでジークの高笑いも聞こえてきた。
「いつまでも逃げてばかりでは僕には勝てないよ、ユーリ・フリージア!」
「言われなくても……!」
証明してやると啖呵を切った割には未だ攻撃が出来ていない。
とは言っても中々近づけないのは事実なのだ。
しかも俺の回避行動を予想して魔法を放ってきている。
あそこまで洗練された魔法を使う奴を見たのは初めてだ。
(やはり口だけじゃないな。こいつ……)
このままじゃ消耗戦になるだけ。
かと言ってこの距離で中階梯レベルの魔法を放っても打ち消されるか避けられるかが関の山だ。
「仕方ない。ならば……」
高階梯魔法で奴の魔法ごと一気に消し去る作戦で行こう。
一応防御結界は張られているから周りの人には被害は及ばないだろうが、彼には多少ケガさせてしまうかもしれない。
でもこのままじゃ一方的な試合展開で終わってしまう。
手加減をしながらという条件付きで戦うのは結構難しい。
手段が限られてくるし、相手の出方によっては何もできない時もある。
だがこのままぬくぬくと負けるわけにもいかない。
こう見えても負けず嫌いな性分なんでね。
「奴の実力から推測してこれくらいの魔法であれば避けることくらいは……」
と言って思いついたのは炎属性の高階梯魔法。
もちろん、出来る限り手加減はするつもりだ。
「≪リフレクター≫!」
回避行動は一旦止めて、魔力で構築した巨大な壁を突き立てる。
ジークの放つ魔法の矢は次々と魔法壁に突き刺さり、その間に魔力を右腕に集中させる。
「逃げは止めてバリアを張りましたか。でもそれこそ時間の問題だよ」
ジークの魔法はさらに勢いを増し、俺に牙を向けてくる。
だがいつまでもやられっぱなしの状況はもう終わり。
魔力はもう十二分に溜まった。
(今度は……こっちの番だ!)
俺は魔法壁を張り、攻撃を防ぎつつも右手を前に突きだす。
右腕に溜められた魔力は紫色の光を放ち、その光は時間と共に激しくなっていく。
「……ん、なんだ?」
ジークも異変に気がついたようだが、もう遅い。
もう準備は全て完了しているのだ。
俺はすぐに魔法壁を解除し、紫色に光り輝く右手に意識を集中させる。
そして一言――
「穿て、≪ビッグ・ファイア≫!」
右手から放たれし火球が魔法の矢もろとも破壊し、ジークに迫る。
頼むからケガだけはしないでくれと、そう願いつつも俺はその様子を静かに見守る。
……と、
「ぼ、僕の魔法がっ!」
これにはさすがのジークも驚いたようで、一気に距離を開ける。
(さすがのジークもこれは回避せざるをえないだろう……)
と、思っていたが予想は斜め上を行き、
「な、なるほど……まさかこれほどの魔法が扱えるとは……! だが、僕の前ではこんな魔法など無力に過ぎない!」
と言って回避行動をする素振りも見せず、ジークは魔法壁を構築。
迫りくる高階梯魔法に対抗しようとする。
(お、おいおい! まさかあれを盾受けするつもりか!?)
まさかの事態。
彼は回避することを選ばず、そのまま受けきることを選択したのだ。
「や、やめろジーク! 流石のお前でもそれは無理だ!」
咄嗟に声が出てしまうが、ジークはそれを跳ね除け、
「無理……? 何をバカな! 僕に無理なんて言葉はない。こんな魔法、避けるまでもないよ!」
自信満々に言うが、この魔法は上位魔族でも一撃で消し去るほどの威力はある。
俺にとっては大したことのない魔法だが、常人にとってはそれなりの力を持つ魔法だ。
かなり手加減はしたが、もし生身で受けたらそれ相応のダメージを負うことになる。
(それをそのまま受けるのは――)
と言っても俺の言葉が届くことはずもなく……。
ジークはそのまま魔法壁を展開させると、高階梯魔法≪ビック・ファイア≫を直で受け止めた。
「ぐ、ぐぬぬっ!」
二重、三重にも展開したジークの魔法壁が次々と破られていく。
魔法の威力はさらに激しさを増し、ジークをじわじわと追い詰めていった。
「ば、バカな……! な、なんなのだこの魔法は!」
ジークの額からは大量の汗が流れ出てきて、先ほどまでの余裕は完全消失。
一気にその余裕が焦りへと変換される。
俺もマズイと思い、ジークの助けに入ろうとするがもう手遅れだった。
ジークの魔法壁は完全に破壊され、生身の身体へと一気に魔法が押し寄せていく。
「う、うわぁぁぁぁッ!」
ジークの叫びが総合体育館に響き渡る。
「じ、ジークッ!」
俺の叫びは虚しく、ジークはそのまま炎の渦に巻き込まれていく。
が、その時だった。
「そこまで! 勝負ありだ!」
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