【R15】【第一作目完結】最強の妹・樹里の愛が僕に凄すぎる件【第二作目連載中】

木村 サイダー

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第二巻

★多喜恵さんの文字の読み方

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 坂道を降りきったぐらいのところでは、先ほどと逆転。

 女子のテンションは高かった。
 悪ノリをしているとかとは違って、何か一つ大きな役目を果たしたかのような、勇気ある行動を完遂したかのような感じだ。

 三人、四人とも意気揚々としていた。

 結局加藤泉三さんの居場所は分からないままなんだけど、今はそんなこと、放っておいてもついてくるかのようだった。

「あ、そうだ」

 多喜恵さんが何か思い出したようだ。

「お兄さん、さっき渡した紙に、何か好きな字を書いてください」

 僕に渡したペンとメモ。
 すっかりボディバッグに入れ込んでしまっていて忘れていた。

「ええっと……」
「え、何すんの何すんの?」

 樹里が振り返り、鞄からメモとペンを取り出そうとする僕に寄ってきた。
 それにつられて、らんちゃんもそばに来た。

「多喜恵さんて字が見えないらしいんよ。で、多喜恵さん流の字に読み方があるみたいなんよ」
「おお、それ見てみたい」
「で、ここに字を書いてって」
「私書きたい書きたい」
「私も私も!」

 樹里とらんちゃんがふたりとも名乗りを上げた。
 なので僕はリタイアして、このお二人に書いてもらうことにした。

 まずは樹里が書くことに……樹里は、

「じゃあ、これで」

 そこにはずばり<樹里>と書かれてあった。

 思いっきり自分の名前だ。
 しかしシンプルイズベストな考えの持ち主ならではの選択なのかもしれない。

「はい」

 メモを多喜恵さんに渡す……
 多喜恵さんはそのメモを凝視し、呼吸を整え、

「ふぅ……フッ!」

 と息を止めた。
 次の瞬間……

「ええ??……うっそ?」
「わあ、これは??」
「マジか?!」

 メモに書かれた文字が、まるでテープでも剥がされていくかのように剥がれて、文字だけが宙を舞う。
 文字が無くなったメモは再び白紙に戻る。

 そしてその宙を舞う文字を目で追っている。
 目がポイントなのか、段々と多喜恵さんのそばに寄ってくる。
 まるで蝶々が多喜恵さんに止まろうとしているかのようだ。

 そしてその文字は多喜恵さんの口元にまで来た時、多喜恵さんは文字を口から吸いこんだ。

「おお??」

 僕は動揺してしまって思わず声が漏れる。
 ごくりと飲み込んで、多喜恵さんが答えたのは、

「へぇ……樹里さんて、こんな字を書くんですね。てっきりまた違う漢字と思っていました」

 だった。
 ……こうやって読むんだあ。

 僕と樹里は目が丸くなって言葉が出ない。

「次私、次私!」

 樹里から奪い取るようにらんちゃんが、メモに文字を書く。

「これでお願いします!」

 書いた文字が……「淫」だった。

「いや、それはちょっと……」

 僕が制止する前に、多喜恵さんはまた小さく気合を入れる。
 そうすると文字はまた蝶のように空中を舞い、やがて多喜恵さんの口に入っていく。

「……?……プッ!」

 多喜恵さんは思わず吹き出してしまい、お腹を抱えた。

「いや、いや、いやだわ、らんさん、これはダメ。言えないわ」

「よう言いますわ、昨日これよりまだ激しいことしようとしたくせに」
「いやだ、いやだ、やだー」

 意味深ならんちゃんの言葉に照れまくっている多喜恵さん。
 全然僕の分からない話になってしまった。
 でもなんかこの二人はとても楽しそう……

「何キャッキャッしとんねん、こっちはおもんないわ!」

 樹里が吐き捨てるが、呆れ顔でありつつもどこか「しょうがないワルさ坊主」を見るような目をする。

 ――夕べきっと何かあったなあ。

 しかも僕が絶対に絡んでいると思う。
 絶対何かあったなあ……でも未だに分からないし、誰も教えてくれない。
 知らない方がいいのかな……?
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