【1駅間で読める小説】ショートショート

あかつき

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【禁断症状】

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雷を伴う大雨。

目の前がピカッと光ったかと思ったら、時間差でゴロゴロと音が聞こえてくる。

数秒かかったということは、雷が落ちたのはまだ遠い場所のようだ。

男はうずくまり、左手で自分の右手首を抑えていた。

「あー、禁断症状が出てきた」

男はぽつりと独り言を言った。

いつものことだ。

もう慣れていた。

「人を切り開きたい」

男は一言、つぶやいた。

暗い部屋の机の上には、ナイフのようなものが鈍く光を放っていた。

男は手を伸ばし、それを取り、刃先をみつめていた。

鏡のように自分が写っている。

「落ち着く」

禁断症状が出てきたときに、男がする儀式のようなものである。

過去に医者の診療を受けた事もある。

しかし、これはもう病気のようなもので治らないと言われた。

治らない以上、欲望を満たすしかない。

男は右手にそれを持ったまま、人を切り開く妄想を始めていた。

次はいつだ。

いつ、切れるんだ。

その時、

「ビーッ!!」

急に部屋の中に大きな音が鳴り響いた。

男は、その瞬間を待望していた。

すぐに、部屋の外から慌ただしい物音が聞こえてくる。

「大至急でお願いします!」

女性が男を呼びにきた。

「大雨の中、車同士衝突事故を起こしたようです!」

「わかった。すぐに行く」

あくまで冷静に受け答えをし、準備にかかる。

男はにやりとし、持っていたメスを机に置き、白衣を身につけた。
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