しぇいく!

風浦らの

文字の大きさ
82 / 96
第三章 【誓】

一番速いスマッシュ

しおりを挟む


    「まっひー先輩、外して大丈夫なんですか!?」
    「ダメに決まってるでしょ。なんかさっきからテーピングをカリカリやってると思ってたのよね。あのバカ」


    しかし、ここからまひる&和子の反撃が始まる────

     小国真知のカットボールを和子がロビングで打ち上げる。
     この時点で早田穂笑のプッシュが無くなり、スピードボールで勝負を挑んでくるのは目に見えている。
    そこに待っているのはまひるのフェイントレシーブである。コースを限定し、わざとまひるの打ち込みやすい場所にスマッシュを誘い込む。

    ──好き勝手やってくれたけどなぁ、取れるもんならとってみろッ──

    カウンター気味のまひるのスマッシュ──
 
    「正面から体制十分なカットマンの横を抜くつもり?!」

    ──小国真知、一番速いスマッシュを知ってるか?    これで抜けなかったら降参してやるぜッ──

    一旦は逆を突かれるも、体制を立て直し再びまひるのスマッシュを拾いに行った小国真知。しかし僅かに及ばず、ノータッチで得点を許してしまった。

    【5-9】

    「あれは……まっひーの一番得意で一番速いスマッシュだね」
     「桜先輩、確かに速くて私も全然取れないんですけど、何か秘密があるんですか?」
     「まっひーのスマッシュはどれも速い。その中でも特別に速いのが、ストレートに打ち込むスマッシュだよ」
    「クロスじゃなくて、真っ直ぐ打つストレートですか」
    「そう。ストレートに打つボールというのは、クロスに打つより相手に到達するまでの時間が短いんだよ。ボールが飛ぶ距離が違うからね。例えおんなじスピードでも、ストレートの方が圧倒的に速く感じるものなんだよ。ただスピードを求めるならストレートに打つ。これがまっひーの考えって訳」
    「な、成る程、距離か……私にも使えるかも……勉強になるなぁ」

    続くラリーも、レシーブに定評のある小国真知からノータッチを奪ったまひる。手首の怪我を感じさせない活躍を見せ連取する。

   【6-9】

    わかっていても引っかかってしまうまひるのフェイントに、攻めの早田も守りの小国も手を焼いた。

    しかし小国、早田ペアは第一セット同様、追い上げられながらも前半の貯金を使いなんとか凌ぎきり、第二セットも奪い取る事に成功した。

    【9-11】

    セットカウント【0-2】

    一セットも奪えないまま後のなくなった、まひると和子はこの後の大逆転に全てを賭ける。

    「惜しかったけど、取られちまったな。次、頑張ろうぜ!    わっ子」
    「はい、でも相手も凄い強いですね」
    「甘芽中は全国を狙おうってチームだ。そう易々とは勝たせては、くれねぇよなぁ」
     

    ──第三セット──

    前のセットの勢いそのままに、先手を取ったのはまひる&和子ペアだった。
    まひるのスマッシュが、早田のプッシュをかいくぐり、得点をもたらせていく。第一、第二セットとその打球のスピードが全くの別物だ。
    それを隣で見ている和子は思う──

    ──凄い……まっひー先輩、甘芽中相手に寧ろ圧倒している。あのフェイントが効いているんだ……前に文先輩に聞いた事がある。確か、まっひー先輩の闘志や気迫がそうさせているんだ、って──

    【3-1】

    ──わ、私にも出来るかな──

    【4-2】

    ──これは本気のプレイを隣で感じられるチャンスだ。憧れのまっひー先輩に近づくチャンス──

    まひるのレシーブ。コッチに撃てば殺られると言わんばかりの気迫。それは虎(ガオォォォォ!)
    それを逆手にとってまひるは獲物を仕留めにかかる。

    【5-3】

    対してそれを真似しようとする和子の気迫。こっちに打ったら痛い目にあうぞと言わんばかりの、それは猫(にゃぁぁん!)
   それを受けた早田、迷わず和子目掛けてスマッシュを打ち込んだ。

    【5-4】

    ──ひぇぇぇ──

    めげずに続けてみるも、今度は逆側に送られアッサリ同点に追いつかれてしまった。

    【5-5】

    「わっ子、気合い入れて行くぞッ」
    「は、はいっ!」

    ──気合い、気合い、気合い──

    和子は必死についていく。
    技術も経験も無い和子、その差を埋めるは最早気合いしかない。
    この場にいる誰よりも気合いで負けてはならないのだ。

    【7-6】

    早田のプッシュに必死で食らいつく。不格好ながらも相手コートに返せば、次はまひるが決めてくれる。

    「出た!    まっひー先輩の裏面打法!!」

   【8-6】

    早田も負けられないのは同じ。ドライブと守りが苦手で、シングルでは中々芽が出なかった才能。やっと手に入れた、ダブルスという自分の輝ける場所。結果を残して、少しでもアピールしなければならない。

    【8-7】

    小国だってそう。レギュラー争いの厳しい甘芽中で掴んだレギュラーの座。自分の代わりなどいくらでもいる選手層の厚さ。早く一歩抜け出し、レギュラーメンバーの一員として全国を目指していきたい。

    【8-8】

    そして興屋まひる。
    万年弱小チームで悲願の県大会行きを勝ち取った。そして次は地区の頂点へ──
    部長としてチームを支えるためにも、ここは是が非でも負けられない。

    ───────ッてぇ……

   【8-9】

    ──ここでかよ……今まで調子良かったじゃねぇか……なんでだよ──

    再びまひるの手首に痛みが走った。
    アドレナリンの分泌のお陰か、今の今まで普通にプレイ出来ていたにもかかわらず、ここに来ての再発。

    「まっひー先輩……」
    「大丈夫、心配すんな。このセット、取るぞ」

    試合が再開されるも、あきらかにまひるのリズムが狂いだした。
    小国のカットに競り負け、スマッシュに威力が感じられない。
    そして早田のプッシュカウンター。

    【8-10】

    ゲームポイント────

    痛みを堪えたまひるのスマッシュ──
    反応が勝ったのは早田穂笑。ラケットでブロックを作りタイミングよくそのボールを押し込んだ。

    間一髪の所でそれを和子が掬い上げる。高く舞うロビングボールがラリーをリセットせんとばかりに台奥へと送られる。

    「わっ子ナイスッ!」
    「わっ子ちゃん!」

    念珠崎のチームメイトがおうえんするなか、桜はもう見ていられなかった。
    勝って欲しい反面、親友だからこそ、このままあっさり負けて帰ってきて欲しかった。

    そして奇しくもその願いは叶う事になる。

    【8-11】

    最後は早田にスマッシュをねじ込まれ、勝負あり。

    結果──

    セットカウント【0-3】
    ゲームカウント【1-2】

しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

神木さんちのお兄ちゃん!

雪桜 あやめ
キャラ文芸
✨ キャラ文芸ランキング週間・月間1位&累計250万pt突破、ありがとうございます! 神木家の双子の妹弟・華と蓮には"絶世の美男子"と言われるほどの金髪碧眼な『兄』がいる。 美人でカッコよくて、その上優しいお兄ちゃんは、常にみんなの人気者! だけど、そんな兄には、何故か彼女がいなかった。 幼い頃に母を亡くし、いつも母親代わりだったお兄ちゃん。もしかして、お兄ちゃんが彼女が作らないのは自分達のせい?! そう思った華と蓮は、兄のためにも自立することを決意する。 だけど、このお兄ちゃん。実は、家族しか愛せない超拗らせた兄だった! これは、モテまくってるくせに家族しか愛せない美人すぎるお兄ちゃんと、兄離れしたいけど、なかなか出来ない双子の妹弟が繰り広げる、甘くて優しくて、ちょっぴり切ない愛と絆のハートフルラブ(家族愛)コメディ。 果たして、家族しか愛せないお兄ちゃんに、恋人ができる日はくるのか? これは、美人すぎるお兄ちゃんがいる神木一家の、波乱万丈な日々を綴った物語である。 *** イラストは、全て自作です。 カクヨムにて、先行連載中。

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

SSSレア・スライムに転生した魚屋さん ~戦うつもりはないけど、どんどん強くなる~

草笛あたる(乱暴)
ファンタジー
転生したらスライムの突然変異だった。 レアらしくて、成長が異常に早いよ。 せっかくだから、自分の特技を活かして、日本の魚屋技術を異世界に広めたいな。 出刃包丁がない世界だったので、スライムの体内で作ったら、名刀に仕上がっちゃった。

処理中です...