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第24話 エンシェントドラゴン降臨
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結論から言うと、オリジナル式神たちはまあそれなりの値段では売れた。
それぞれの単価は手裏剣が1万円、エクスプレスが1万5千円、人形が2万円、鶴が1万5千円、プテラノドンが2万5千円、ちょうちょが15万円となった。
ちょうちょだけ群を抜いて高いのは、欠損レベルの外傷を即座に治せるという点が高く評価されるかららしい。
原価率を考えれば、こんな旨い商売は滅多にないだろう。
だが……正直俺は、付与術で稼ぐならもう一工夫いるなと感じた。
というのも……アイテム販売と比べると、どうしても稼ぎが少なくなってしまうのだ。
何なら換金所でも、オリジナル式神たちよりそれを用いて討伐したモンスターのドロップ素材の方が高くついたくらいだったのである。
俺はこの問題点の解決策を、いろいろと考えてみた。
まず最初に思いついたのは、「ひたすらちょうちょの生産に特化する」という案だ。
これなら、折るのに一羽5分かかると仮定しても自給180万円。
一応、モンスター討伐&アイテム/アーティファクト生産のスタイルを上回ることはできる。
だが、これは何だかスマートじゃない気がしたし、流通量が増えて単価が下がるのも計算に入れるとそこまでは稼げないだろうと思ったので、もうちょっと別の案も考えてみた。
そして……いろいろ考えた末、俺は「これだ!」と思える案を一つ思いつくことができた。
と言っても、まだ仮説に過ぎないが。
俺は、「もしかして、これ『形代化』をかけるのだけ自分でやれば、折るのは誰でもいいんじゃないか」という点に思い至ったのである。
もし、この方法が成立するなら。
「形代化」だけなら一時間に何千枚でもできるので、販売量を大幅に増やすことができる。
従来のアイテム販売どころか、ちょうちょ特化スタイルよりも大きく稼げるはずなのだ。
これをやってみない手はないだろう。
問題は、本当に「形代化」した折り紙を他人が折っても式神になるのかという点だが……そこは、同僚に検証を手伝ってもらうことにでもしよう。
◇
次の日。
俺は昼休みに、例のポイントサイトを教えてくれた同僚の吉田に事情を話し、折り紙を折ってきてもらうことにした。
その話をすると、どういうつもりかは分からないが「車の中にでっかい折り紙があるからそれにも付与をかけてみてほしい」と言われた。
彼がそれで何をするつもりかは分からないが……まあ頼み事をしているのはこっちなので、それくらいの要望には応えようと思いその付与もしておいた。
[side:吉田]
家に帰った吉田は、早速北野に言われた6種類の折り紙を折り、それらが式神として機能することを確かめた。
そして……それが済むと、彼は北野に頼んで付与してもらった特大サイズの折り紙を取り出した。
「久々だな。元折り紙部の腕が鳴るぜ」
……そう。
実は彼は大学時代、折り紙サークルに所属していたのである。
手先の器用さは一級品。
彼がデカい折り紙を有していたのも、そんな趣味を持っていたことが理由だった。
「じゃ、定番のアレでも作るとするか」
そう言ったっきり、彼は黙々と作業に取り掛かった。
そして……彼は集中力を途切らせることなく、完成までの数時間作業に及んだ。
「……できた」
そしてついに。
彼がそう呟いた瞬間、折り紙が輝き、式神として機能しだしたことを知らせた。
彼が作り上げたのは、精巧な竜の形をしたもの。
エンシェントドラゴンだった。
エンシェントドラゴンは翼をばさりとはためかせたかと思うと、ゆっくりと宙に浮きあがった。
「すげえ。自分で折ったものが飛ぶとか見てて感動するわぁ……」
せっかくなので、彼はエンシェントドラゴンを連れ、ちょっと夜の散歩にでも出かけることにした。
だが……その瞬間。
彼は、自分が作り上げた折り紙の衝撃映像を目の当たりにすることとなるのだった。
「グォアァァァァ!」
なんとエンシェントドラゴンは……空に向かって、火山の噴火と比べても遜色の無いスケールの闇属性のブレスを放ったのだった。
闇と言っても、夜なのでむしろ紫色に光って見えはするのだが。
ブレスは空中で何かに当たって大爆発を起こし……かと思うと、空中からドロップ素材が落ちてきて、エンシェントドラゴンがそれを見事にキャッチした。
「ま、まさか……アレを撃ち落とそうと?」
彼がそう聞くと、エンシェントドラゴンはコクリと頷いた。
どうやら、今のブレスを吐いても尚元気は余っているらしい。
その様子を見て……彼は思わず、こう呟いたのだった。
「北野……形代化、いくら何でもエグ過ぎやしないか?」
それぞれの単価は手裏剣が1万円、エクスプレスが1万5千円、人形が2万円、鶴が1万5千円、プテラノドンが2万5千円、ちょうちょが15万円となった。
ちょうちょだけ群を抜いて高いのは、欠損レベルの外傷を即座に治せるという点が高く評価されるかららしい。
原価率を考えれば、こんな旨い商売は滅多にないだろう。
だが……正直俺は、付与術で稼ぐならもう一工夫いるなと感じた。
というのも……アイテム販売と比べると、どうしても稼ぎが少なくなってしまうのだ。
何なら換金所でも、オリジナル式神たちよりそれを用いて討伐したモンスターのドロップ素材の方が高くついたくらいだったのである。
俺はこの問題点の解決策を、いろいろと考えてみた。
まず最初に思いついたのは、「ひたすらちょうちょの生産に特化する」という案だ。
これなら、折るのに一羽5分かかると仮定しても自給180万円。
一応、モンスター討伐&アイテム/アーティファクト生産のスタイルを上回ることはできる。
だが、これは何だかスマートじゃない気がしたし、流通量が増えて単価が下がるのも計算に入れるとそこまでは稼げないだろうと思ったので、もうちょっと別の案も考えてみた。
そして……いろいろ考えた末、俺は「これだ!」と思える案を一つ思いつくことができた。
と言っても、まだ仮説に過ぎないが。
俺は、「もしかして、これ『形代化』をかけるのだけ自分でやれば、折るのは誰でもいいんじゃないか」という点に思い至ったのである。
もし、この方法が成立するなら。
「形代化」だけなら一時間に何千枚でもできるので、販売量を大幅に増やすことができる。
従来のアイテム販売どころか、ちょうちょ特化スタイルよりも大きく稼げるはずなのだ。
これをやってみない手はないだろう。
問題は、本当に「形代化」した折り紙を他人が折っても式神になるのかという点だが……そこは、同僚に検証を手伝ってもらうことにでもしよう。
◇
次の日。
俺は昼休みに、例のポイントサイトを教えてくれた同僚の吉田に事情を話し、折り紙を折ってきてもらうことにした。
その話をすると、どういうつもりかは分からないが「車の中にでっかい折り紙があるからそれにも付与をかけてみてほしい」と言われた。
彼がそれで何をするつもりかは分からないが……まあ頼み事をしているのはこっちなので、それくらいの要望には応えようと思いその付与もしておいた。
[side:吉田]
家に帰った吉田は、早速北野に言われた6種類の折り紙を折り、それらが式神として機能することを確かめた。
そして……それが済むと、彼は北野に頼んで付与してもらった特大サイズの折り紙を取り出した。
「久々だな。元折り紙部の腕が鳴るぜ」
……そう。
実は彼は大学時代、折り紙サークルに所属していたのである。
手先の器用さは一級品。
彼がデカい折り紙を有していたのも、そんな趣味を持っていたことが理由だった。
「じゃ、定番のアレでも作るとするか」
そう言ったっきり、彼は黙々と作業に取り掛かった。
そして……彼は集中力を途切らせることなく、完成までの数時間作業に及んだ。
「……できた」
そしてついに。
彼がそう呟いた瞬間、折り紙が輝き、式神として機能しだしたことを知らせた。
彼が作り上げたのは、精巧な竜の形をしたもの。
エンシェントドラゴンだった。
エンシェントドラゴンは翼をばさりとはためかせたかと思うと、ゆっくりと宙に浮きあがった。
「すげえ。自分で折ったものが飛ぶとか見てて感動するわぁ……」
せっかくなので、彼はエンシェントドラゴンを連れ、ちょっと夜の散歩にでも出かけることにした。
だが……その瞬間。
彼は、自分が作り上げた折り紙の衝撃映像を目の当たりにすることとなるのだった。
「グォアァァァァ!」
なんとエンシェントドラゴンは……空に向かって、火山の噴火と比べても遜色の無いスケールの闇属性のブレスを放ったのだった。
闇と言っても、夜なのでむしろ紫色に光って見えはするのだが。
ブレスは空中で何かに当たって大爆発を起こし……かと思うと、空中からドロップ素材が落ちてきて、エンシェントドラゴンがそれを見事にキャッチした。
「ま、まさか……アレを撃ち落とそうと?」
彼がそう聞くと、エンシェントドラゴンはコクリと頷いた。
どうやら、今のブレスを吐いても尚元気は余っているらしい。
その様子を見て……彼は思わず、こう呟いたのだった。
「北野……形代化、いくら何でもエグ過ぎやしないか?」
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