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10.違和感
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祖父は私の話を親身になり聞いてくれた。
私はやっと玲さんとの婚約を破棄できるのだと安堵した。
「曽根崎君は私の想像以上の男だったようだな。凛音をそこまで管理してくれるなんて⋯⋯」
祖父の言葉に私は呼吸が止まりそうな感覚に陥る。
「お爺いちゃま。私は24時間玲さんに監視されてたんだよ。着替えとかも覗き見されていたの。そんなの耐えられないよ!」
大きな声がつい出てしまう。
考える事も憚れるような恥辱に耐えられなくなりそうだ。
「ペットモニターみたいなものだろう。凛音が危ないことをしなように忙しいのに見張っていてくれているんだ。曽根崎君は私の想像以上の男のようだな」
祖父の言葉に心臓が急速冷凍されたように冷たくなるのが分かった。
(私はペットと同じなんだ⋯⋯これは私が適当に生きてきたツケ⋯⋯)
程なくして扉をノックする音と共に祖父の秘書が現れる。
「曽根崎様がいらっしゃいました」
玲さんは彼の後について颯爽と現れた。美しい私の婚約者は現れた瞬間に私に敗北を告げるような完璧なオーラを放っている。
「曽根崎君、忙しいのに突然の呼び出しに応じてくれて感謝する」
祖父が玲さんの肩を叩きながら、笑みを浮かべる。
「いえ、僕にとって凛音さんより優先する仕事などありません。凛音、17歳の誕生日おめでとう。直接会ってお祝いを伝えられて良かった」
玲さんは私に近づいて流れるような動作でネックレスをつけてくれる。
目が眩むくらい大きなダイヤモンドとプラチナのネックレスだ。
私の誕生日プレゼントのつもりなのだろう。
「玲さん、忙しいのにわざわざ迎えに来てくれてありがとう。プレゼントも凄く嬉しい」
私の言葉に玲さんが驚いたように目を丸くする。
私だって、このような媚びたような振る舞いはしたくない。
ただ、自分には玲さんの機嫌を損なわないように過ごすしか道は残されていないと思っただけだ。
玲さんお気に入りの世界10台限定のシルバーの外車の助手席に乗る。
私は彼の車に乗せられて眠ってしまい海に連れてかれた記憶が蘇り、手の甲をつねった。
「どうしたの? 手の甲なんてつねって」
「せっかく、迎えに来てくれたのに車の中で眠ってしまっては申し訳ないと思って⋯⋯この車って座席がフカフカでうとうとしてしまうんだよ⋯⋯」
「そう、別に眠ってくれても良いよ。凛音も疲れているだろうし⋯⋯」
私は玲さんの言葉に何と返して良いか分からなくて俯いて目を瞑った。
「凛音、変わったね。僕にお礼を言うようになった」
突然の玲さんの言葉に、私はぱちっと目を見開いた。
「私だって変わるよ。ずっと、我儘娘のままでいられる訳ないでしょ」
私の言葉に玲さんが何とも言えないような顔をして、睨んでいた。
「我儘娘をやめる何か特別なきっかけとか、出会いがあったのかなあ?」
玲さんの問いかけに私は何と答えるのが正解なのだろう。
彼は私に何と答えて欲しいのかも分からなくて俯いて黙るしかなかった。
「玲さん⋯⋯実はさ、お爺ちゃまってばお母様をお父様と別れさせる為にハニートラップを仕掛けたんだって、酷いよね」
私は自分に関する話題を避けるように話題を転換した。
「酷い? その考え方で行くと、柏原清十郎も不倫の被害者になってしまうな。パートナーを裏切るような卑劣な行為も、ハニトラなら無罪になってしまうんだ」
玲さんの声が急に冷ややかになり私は戸惑った。
「お父様の不倫のこと知ってたの?」
「だって、僕が柏原清十郎好みのルックスに全身整形させた女を送り込んだからね。ちなみに女は去勢手術済みだから安心して」
玲さんが淡々と語ってくる。
私は予想外の彼の言動に動揺した。
「どうして、そんなこと⋯⋯」
「理由を聞きたい?」
「今は聞きたくないかな⋯⋯」
私は全ての種明かしを聞いてしまうと殺されそうな状況に狼狽した。
玲さんは悪びれもせず様々なネタバレをしてきて、全て聞き終えた私を殺しそうだ。
「凛音から何の質問もないならば、僕から質問をしよう。君を変えたのは誰との出会いなのかな? 凛音、変化には必ず原因があるんだよ」
私は直感的に回答を間違えたら自分は殺されるのだと悟った。
私は混乱する頭で必死に考えて、玲さんを刺激しないような会話の答えを探す。
「実は美湖ちゃんっていう優しい友達ができたの。その子に呆れられないように人に感謝できる人間になりたいと思ったというか⋯⋯その子みたいに知れば知るほど人に好きになって貰えるような人間になりたいと思ったというか⋯⋯」
私は気がつけば自分の本当の想いを玲さんに打ち明けていた。
私は美湖ちゃんに出会って、変わりたいと強く思った。急に照れ臭い話をしてしまって、恥ずかしくなり私は首元のネックレスを指で弄ぶ。
(あれ? 前回はベリドットとシルバーのネックレスだったのに、何でダイヤモンドとプラチナ?)
私はやっと玲さんとの婚約を破棄できるのだと安堵した。
「曽根崎君は私の想像以上の男だったようだな。凛音をそこまで管理してくれるなんて⋯⋯」
祖父の言葉に私は呼吸が止まりそうな感覚に陥る。
「お爺いちゃま。私は24時間玲さんに監視されてたんだよ。着替えとかも覗き見されていたの。そんなの耐えられないよ!」
大きな声がつい出てしまう。
考える事も憚れるような恥辱に耐えられなくなりそうだ。
「ペットモニターみたいなものだろう。凛音が危ないことをしなように忙しいのに見張っていてくれているんだ。曽根崎君は私の想像以上の男のようだな」
祖父の言葉に心臓が急速冷凍されたように冷たくなるのが分かった。
(私はペットと同じなんだ⋯⋯これは私が適当に生きてきたツケ⋯⋯)
程なくして扉をノックする音と共に祖父の秘書が現れる。
「曽根崎様がいらっしゃいました」
玲さんは彼の後について颯爽と現れた。美しい私の婚約者は現れた瞬間に私に敗北を告げるような完璧なオーラを放っている。
「曽根崎君、忙しいのに突然の呼び出しに応じてくれて感謝する」
祖父が玲さんの肩を叩きながら、笑みを浮かべる。
「いえ、僕にとって凛音さんより優先する仕事などありません。凛音、17歳の誕生日おめでとう。直接会ってお祝いを伝えられて良かった」
玲さんは私に近づいて流れるような動作でネックレスをつけてくれる。
目が眩むくらい大きなダイヤモンドとプラチナのネックレスだ。
私の誕生日プレゼントのつもりなのだろう。
「玲さん、忙しいのにわざわざ迎えに来てくれてありがとう。プレゼントも凄く嬉しい」
私の言葉に玲さんが驚いたように目を丸くする。
私だって、このような媚びたような振る舞いはしたくない。
ただ、自分には玲さんの機嫌を損なわないように過ごすしか道は残されていないと思っただけだ。
玲さんお気に入りの世界10台限定のシルバーの外車の助手席に乗る。
私は彼の車に乗せられて眠ってしまい海に連れてかれた記憶が蘇り、手の甲をつねった。
「どうしたの? 手の甲なんてつねって」
「せっかく、迎えに来てくれたのに車の中で眠ってしまっては申し訳ないと思って⋯⋯この車って座席がフカフカでうとうとしてしまうんだよ⋯⋯」
「そう、別に眠ってくれても良いよ。凛音も疲れているだろうし⋯⋯」
私は玲さんの言葉に何と返して良いか分からなくて俯いて目を瞑った。
「凛音、変わったね。僕にお礼を言うようになった」
突然の玲さんの言葉に、私はぱちっと目を見開いた。
「私だって変わるよ。ずっと、我儘娘のままでいられる訳ないでしょ」
私の言葉に玲さんが何とも言えないような顔をして、睨んでいた。
「我儘娘をやめる何か特別なきっかけとか、出会いがあったのかなあ?」
玲さんの問いかけに私は何と答えるのが正解なのだろう。
彼は私に何と答えて欲しいのかも分からなくて俯いて黙るしかなかった。
「玲さん⋯⋯実はさ、お爺ちゃまってばお母様をお父様と別れさせる為にハニートラップを仕掛けたんだって、酷いよね」
私は自分に関する話題を避けるように話題を転換した。
「酷い? その考え方で行くと、柏原清十郎も不倫の被害者になってしまうな。パートナーを裏切るような卑劣な行為も、ハニトラなら無罪になってしまうんだ」
玲さんの声が急に冷ややかになり私は戸惑った。
「お父様の不倫のこと知ってたの?」
「だって、僕が柏原清十郎好みのルックスに全身整形させた女を送り込んだからね。ちなみに女は去勢手術済みだから安心して」
玲さんが淡々と語ってくる。
私は予想外の彼の言動に動揺した。
「どうして、そんなこと⋯⋯」
「理由を聞きたい?」
「今は聞きたくないかな⋯⋯」
私は全ての種明かしを聞いてしまうと殺されそうな状況に狼狽した。
玲さんは悪びれもせず様々なネタバレをしてきて、全て聞き終えた私を殺しそうだ。
「凛音から何の質問もないならば、僕から質問をしよう。君を変えたのは誰との出会いなのかな? 凛音、変化には必ず原因があるんだよ」
私は直感的に回答を間違えたら自分は殺されるのだと悟った。
私は混乱する頭で必死に考えて、玲さんを刺激しないような会話の答えを探す。
「実は美湖ちゃんっていう優しい友達ができたの。その子に呆れられないように人に感謝できる人間になりたいと思ったというか⋯⋯その子みたいに知れば知るほど人に好きになって貰えるような人間になりたいと思ったというか⋯⋯」
私は気がつけば自分の本当の想いを玲さんに打ち明けていた。
私は美湖ちゃんに出会って、変わりたいと強く思った。急に照れ臭い話をしてしまって、恥ずかしくなり私は首元のネックレスを指で弄ぶ。
(あれ? 前回はベリドットとシルバーのネックレスだったのに、何でダイヤモンドとプラチナ?)
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