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25.一人じゃない
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推測でしかないが、奈美子さんが玲さんのターゲットになったのは私のせいの可能性が高い。私がトップアイドルになったHIROに協力を頼み、玲さんは手紙をくれた彼女がHIROの姉だと知り攻撃した。その後に起きた不幸も霊さんの仕業だと考えるのが正解だろう。曽根崎玲は恐ろしい男だ。
「迷惑掛けてみてください。誰かが文句を言ってきたら女子高生限定なら私もあと一年でやめるけどいいの?って言い返してやります」
私はいつの間にか自分が自信をつけているのに気がついた。自意識過剰かもしれないが、私の曲を求めてくれている人がいる。そして、私の作った曲は奈美子さんに歌って欲しい。『永遠のJK』も奈美子さんをイメージして作った。
「なんか、凛音はHIROに似てきたね。スターのキラキラが見える」
奈美子さんが私の頭を撫でながら嬉しそうに言う。彼女は私を妹のように可愛がってくれていた。
HIROは全く好みのタイプではないが、キラキラ見える時があった。あのキラキラした感じに目が離せなくなる。
(もしかして、あのキラキラは自信のキラキラ?)
「凛音は真紘とは付き合わないの?」
奈美子さんはHIROの私への怒涛のアピールを見ている。HIROは事あることに私に構ってきた。そこには玲さんのような戦略的なものも感じない。HIROは全身で私を好きだと表現してくる。クジャクの求愛行動みたいで可愛らしいが、もう少し駆け引きがないと人の気持ちは掴めない気がする。
「流石に婚約破棄したばかりで恋愛する気にはなrえません。それに今は『JKロック』が大事です。 それ以前に、私、実はHIROってタイプじゃないんですよね⋯⋯」
私の正直過ぎる発言に奈美子さんは思わず手を叩いて爆笑していた。私のタイプは玲さんのような大人余裕のある洗練されたタイプで、ヤンチャ系で幼さを感じるHIROは真逆のタイプだ。
私は奈美子さんとの会話を終えると、祖父に電話をかけた。
「18歳の誕生日プレゼント決めたよ。お爺ちゃまの力で私の仲間を守って欲しい。私の力だけではきっと守れないから」
私は奈美子さんの身元が割れるような情報があれば、今後必ず圧力を止めてくれるよう祖父に頼んだ。
「凛音、守りたい人がいるなんて立派な大人になったな」
祖父が温かい言葉を掛けてくれて私は胸が熱くなった。
「そうだよ。私は今や結構有名なスターになっているんだから! 今の私には、守りたい人も応援してくれる人も仲良くしてくれる友達もできたよ」
「凛音、学校には副業として芸能活動を認めて貰えるようお爺ちゃまから働きかける。しっかりと今やっている事を仕事にしろ。自分の力で稼ぐことがまた凛音の自信と力に繋がる」
「分かった。ありがとう。お爺ちゃま」
祖父から認められる言葉を受け私は嬉しくて顔がニヤけるのを止められなかった。
中目黒のタワーマンションの部屋に兄が訪ねて来た。
「凛音、18歳の誕生日おめでとう」
「ありがとう。お兄様!」
兄は誕生日の前祝いだと言って、ウェディングケーキのような大きなケーキを持ってくる。
私はスプーンでケーキを口に運びながら兄の話を聞いた。
「凛音、曽根崎玲は時を戻せる力を持っていると思う。時が戻る条件はおそらく曽根崎玲自身が凛音を殺すことだ」
私は兄の言葉に心臓が止まりそうになった。大切な人がいて、やりたい事がある今、絶対に死にたくない。
震える私に気がついたのか、兄がスプーンで掬ったイチゴを私の口に無理やり入れてくる。
私は兄の突然の行動に緊張がほぐれて吹き出した。
「一度目のの凛音の死から俺は曽根崎玲を疑っていた。最初、彼が凛音を刺した瞬間は10年の時を戻ったんだ。曽根崎玲が中学生の凛音に婚約を申し入れた時に彼も時を戻る前の記憶を持っていると確信した」
「確かにあの婚約はおかしかったよね。玲さんにはいくらでも同年代の婚約者候補がいたのに、どうしてあっさりと受け入れてしまったのか」
私は中学の時に玲さんが柏原家に婚約を申し入れて来た時の事を思い出していた。
訪ねてきた玲さんは見惚れる程美しく優雅で洗練されていた。
『突然の訪問失礼致します』
アポイントなしに訪れた訪問者に両親もお手伝いさんも驚いていた。もしかしたら、玲さんは兄が記憶を引き継いでいる可能性を考え、兄が不在時に柏原邸を訪れたのかもしれない。
『曽根崎君、突然どうしたんだ? 前もって訪問を連絡してくれれば、しっかりとした席を設けたのに』
誰に対しても偉そうな父が、玲さんに気を遣っていたのを不思議に思った。
『また、日を改めて来てもらったら?』
私は玲さんをパーティーで見かけた事はあった。実際に近くで見ると美しくて彫刻のようで目を合わせられなかった。私がいる時に訪ねてこられたら、私も一緒に応対しなければならない。彼のようなカッコ良い人の前で変な事を言って醜態を晒したくないと思った。
『せっかくいらして頂いたのだもの。是非中にお入りください』
私がぼそっと言った提案を却下しながら、母が応接室へと玲さんを案内する。母はいつもバッチリメイクをして来訪者を迎えるタイプなので、アポなしは追い返すはずだ。私は玲さんが柏原家の人間も気を遣うような男なのだと認識した。
こっそりと二階の自分の自室に引っ込もうとした私を玲さんが引き留めた。
『凛音さん、君に会いに来ました。僕は将来、君と結婚したいと思っています。お義父様、お義母様、既に柏原源十郎会長と話はついております。よろしくお願いします』
突然の求婚と玲さんの真剣な瞳にクラクラした。一目惚れだった。両親は出来の悪い娘を完璧な男が引き取ってくれる上に、お爺ちゃまが快諾しているならと婚約の申し出を快諾した。私はきっと出来の悪い私を心配して、お爺ちゃまが曽根崎玲に婚約を打診してくれたのだろうと考えた。私は心の中でお爺ちゃまに感謝した。何も持っていない私が完璧な婚約者を手に入れた。これからも頭が悪いと影でバカにされるかもしれないが、完璧な彼の女という誇りは持てる。
「凛音、大丈夫だ。曽根崎玲との婚約も破棄できたし、今度こそあの男との関係を完全に断ち切ろう」
玲さんとの過去を思い出していたら、兄の言葉に現実に戻された。私と玲さんには思い出が多すぎる。
「凛音が記憶がある死は二度目の自室で殺された時からだな。俺はあの時に曽根崎玲自身が凛音を殺す必要があると疑った」
兄は柏原邸のメイドと繋がっていて、曽根崎玲の来訪時にはオンタイムで連絡が来るようになっていたらしい。二度目は一度目と違い一年程しか時を戻っていない。
「時を戻る期間が毎回違うね」
「曽根崎玲が時間を操っていると俺は推測している。そして三度目は太平洋沖だ。俺はそこで曽根崎玲自身が手を下す必要性を知った。そして、俺が記憶を引き継いでいる事は気づかれている。他の人間が記憶を持ち越すリスクのないよう二人きりになろうとしてくるはずだ」
兄は玲さんに尾行をつけ逐一動きを報告させていたらしい。玲さんは特別な人間だと思っていたけれど、本当に神様の力を持っているみたいだ。
「うん。もう、死にたくないよ⋯⋯玲さんはどうして諦めてくれないんだろう」
「凛音の愛を取り戻したいのか、自分の思う通りにいかない凛音が受け入れられないのか理由は分からない。いずれにしろ自分勝手な男だ」
私に執着する玲さんは、再び時を戻そうと私を付け狙ってくるだろう。
「まあ、今の凛音に近づくのは難しいと思うけどな」
「確かに、今の私はいつも誰かといる⋯⋯」
いつもボッチだったのに、私は今ではいつも人に囲まれていた。人がいるところで殺すと兄のように記憶を残してしまうリスクがあるから避けたいだろう。
「凛音、人気者になったおかげで、今ではみんながお前を守っている。お前自身が曽根崎玲から自分を守れる状況を作ったんだ」
兄は微笑みながら、再びケーキを掬って私に食べさせてきた。
しかし、私が一人になってしまうタイミングは程なくして訪れた。
「迷惑掛けてみてください。誰かが文句を言ってきたら女子高生限定なら私もあと一年でやめるけどいいの?って言い返してやります」
私はいつの間にか自分が自信をつけているのに気がついた。自意識過剰かもしれないが、私の曲を求めてくれている人がいる。そして、私の作った曲は奈美子さんに歌って欲しい。『永遠のJK』も奈美子さんをイメージして作った。
「なんか、凛音はHIROに似てきたね。スターのキラキラが見える」
奈美子さんが私の頭を撫でながら嬉しそうに言う。彼女は私を妹のように可愛がってくれていた。
HIROは全く好みのタイプではないが、キラキラ見える時があった。あのキラキラした感じに目が離せなくなる。
(もしかして、あのキラキラは自信のキラキラ?)
「凛音は真紘とは付き合わないの?」
奈美子さんはHIROの私への怒涛のアピールを見ている。HIROは事あることに私に構ってきた。そこには玲さんのような戦略的なものも感じない。HIROは全身で私を好きだと表現してくる。クジャクの求愛行動みたいで可愛らしいが、もう少し駆け引きがないと人の気持ちは掴めない気がする。
「流石に婚約破棄したばかりで恋愛する気にはなrえません。それに今は『JKロック』が大事です。 それ以前に、私、実はHIROってタイプじゃないんですよね⋯⋯」
私の正直過ぎる発言に奈美子さんは思わず手を叩いて爆笑していた。私のタイプは玲さんのような大人余裕のある洗練されたタイプで、ヤンチャ系で幼さを感じるHIROは真逆のタイプだ。
私は奈美子さんとの会話を終えると、祖父に電話をかけた。
「18歳の誕生日プレゼント決めたよ。お爺ちゃまの力で私の仲間を守って欲しい。私の力だけではきっと守れないから」
私は奈美子さんの身元が割れるような情報があれば、今後必ず圧力を止めてくれるよう祖父に頼んだ。
「凛音、守りたい人がいるなんて立派な大人になったな」
祖父が温かい言葉を掛けてくれて私は胸が熱くなった。
「そうだよ。私は今や結構有名なスターになっているんだから! 今の私には、守りたい人も応援してくれる人も仲良くしてくれる友達もできたよ」
「凛音、学校には副業として芸能活動を認めて貰えるようお爺ちゃまから働きかける。しっかりと今やっている事を仕事にしろ。自分の力で稼ぐことがまた凛音の自信と力に繋がる」
「分かった。ありがとう。お爺ちゃま」
祖父から認められる言葉を受け私は嬉しくて顔がニヤけるのを止められなかった。
中目黒のタワーマンションの部屋に兄が訪ねて来た。
「凛音、18歳の誕生日おめでとう」
「ありがとう。お兄様!」
兄は誕生日の前祝いだと言って、ウェディングケーキのような大きなケーキを持ってくる。
私はスプーンでケーキを口に運びながら兄の話を聞いた。
「凛音、曽根崎玲は時を戻せる力を持っていると思う。時が戻る条件はおそらく曽根崎玲自身が凛音を殺すことだ」
私は兄の言葉に心臓が止まりそうになった。大切な人がいて、やりたい事がある今、絶対に死にたくない。
震える私に気がついたのか、兄がスプーンで掬ったイチゴを私の口に無理やり入れてくる。
私は兄の突然の行動に緊張がほぐれて吹き出した。
「一度目のの凛音の死から俺は曽根崎玲を疑っていた。最初、彼が凛音を刺した瞬間は10年の時を戻ったんだ。曽根崎玲が中学生の凛音に婚約を申し入れた時に彼も時を戻る前の記憶を持っていると確信した」
「確かにあの婚約はおかしかったよね。玲さんにはいくらでも同年代の婚約者候補がいたのに、どうしてあっさりと受け入れてしまったのか」
私は中学の時に玲さんが柏原家に婚約を申し入れて来た時の事を思い出していた。
訪ねてきた玲さんは見惚れる程美しく優雅で洗練されていた。
『突然の訪問失礼致します』
アポイントなしに訪れた訪問者に両親もお手伝いさんも驚いていた。もしかしたら、玲さんは兄が記憶を引き継いでいる可能性を考え、兄が不在時に柏原邸を訪れたのかもしれない。
『曽根崎君、突然どうしたんだ? 前もって訪問を連絡してくれれば、しっかりとした席を設けたのに』
誰に対しても偉そうな父が、玲さんに気を遣っていたのを不思議に思った。
『また、日を改めて来てもらったら?』
私は玲さんをパーティーで見かけた事はあった。実際に近くで見ると美しくて彫刻のようで目を合わせられなかった。私がいる時に訪ねてこられたら、私も一緒に応対しなければならない。彼のようなカッコ良い人の前で変な事を言って醜態を晒したくないと思った。
『せっかくいらして頂いたのだもの。是非中にお入りください』
私がぼそっと言った提案を却下しながら、母が応接室へと玲さんを案内する。母はいつもバッチリメイクをして来訪者を迎えるタイプなので、アポなしは追い返すはずだ。私は玲さんが柏原家の人間も気を遣うような男なのだと認識した。
こっそりと二階の自分の自室に引っ込もうとした私を玲さんが引き留めた。
『凛音さん、君に会いに来ました。僕は将来、君と結婚したいと思っています。お義父様、お義母様、既に柏原源十郎会長と話はついております。よろしくお願いします』
突然の求婚と玲さんの真剣な瞳にクラクラした。一目惚れだった。両親は出来の悪い娘を完璧な男が引き取ってくれる上に、お爺ちゃまが快諾しているならと婚約の申し出を快諾した。私はきっと出来の悪い私を心配して、お爺ちゃまが曽根崎玲に婚約を打診してくれたのだろうと考えた。私は心の中でお爺ちゃまに感謝した。何も持っていない私が完璧な婚約者を手に入れた。これからも頭が悪いと影でバカにされるかもしれないが、完璧な彼の女という誇りは持てる。
「凛音、大丈夫だ。曽根崎玲との婚約も破棄できたし、今度こそあの男との関係を完全に断ち切ろう」
玲さんとの過去を思い出していたら、兄の言葉に現実に戻された。私と玲さんには思い出が多すぎる。
「凛音が記憶がある死は二度目の自室で殺された時からだな。俺はあの時に曽根崎玲自身が凛音を殺す必要があると疑った」
兄は柏原邸のメイドと繋がっていて、曽根崎玲の来訪時にはオンタイムで連絡が来るようになっていたらしい。二度目は一度目と違い一年程しか時を戻っていない。
「時を戻る期間が毎回違うね」
「曽根崎玲が時間を操っていると俺は推測している。そして三度目は太平洋沖だ。俺はそこで曽根崎玲自身が手を下す必要性を知った。そして、俺が記憶を引き継いでいる事は気づかれている。他の人間が記憶を持ち越すリスクのないよう二人きりになろうとしてくるはずだ」
兄は玲さんに尾行をつけ逐一動きを報告させていたらしい。玲さんは特別な人間だと思っていたけれど、本当に神様の力を持っているみたいだ。
「うん。もう、死にたくないよ⋯⋯玲さんはどうして諦めてくれないんだろう」
「凛音の愛を取り戻したいのか、自分の思う通りにいかない凛音が受け入れられないのか理由は分からない。いずれにしろ自分勝手な男だ」
私に執着する玲さんは、再び時を戻そうと私を付け狙ってくるだろう。
「まあ、今の凛音に近づくのは難しいと思うけどな」
「確かに、今の私はいつも誰かといる⋯⋯」
いつもボッチだったのに、私は今ではいつも人に囲まれていた。人がいるところで殺すと兄のように記憶を残してしまうリスクがあるから避けたいだろう。
「凛音、人気者になったおかげで、今ではみんながお前を守っている。お前自身が曽根崎玲から自分を守れる状況を作ったんだ」
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