20 / 40
20.お慈悲を与えては頂けないでしょうか。
しおりを挟む
「ねぇ、もう随分と君の質問に答えてあげたんだし、そろそろいいだろアリアドネ」
私の髪を撫でながら、顔中に口づけを落としてくるクリス皇子に身の毛がよだった。
彼は今起き上がれもしない、15歳の少女を抱こうとしている。
(どこまで鬼畜なの? こいつ死ねばいいのに⋯⋯)
確かに、かなりの情報を聞き出せた。
パレーシア帝国は思っている以上に悪どいことをしていた。
そして、信じられないことに聖女を皇室で囲い込み、皇室へ多額の寄付をすることを条件に神聖力を使わせてたという。
クリス皇子が私の寝巻きを脱がそうとしてきて怖かったが、帝国と取引する時の交渉材料として欲しい情報がまだあった。
「待ってください。もう1つだけ聞いても良いですか」
「ダメ! 焦らすのも程々にしないと、流石の私も怒るぞ」
彼の怒るという言葉に、震えが止まらなくなる。
(殴られるかもしれない⋯⋯怖い)
「では、イエスかノーでお答えください。帝国は聖女の出生地を偽造していますね」
「イエス」
私は歴代聖女の名前が、帝国であまり付けられない名前の人が割といることに注目していた。
聖女が帝国で生まれたと言う事にしても、名前までは奪わなかったのだろう。
私の質問にクリス皇子は面倒そうに答えると、深い口づけをしてきた。
口の中に大量に幼虫を入れられたような感触に、拷問にあっているような気分になる。
(神様⋯⋯私のことを、まだ少しでも愛おしいと思っているなら助けて)
私は両親に守られ、国民に愛されたシャリレーン王国の姫として生まれた。
愛され守られていた時は、私も清らかな慈悲の心を持てていたと思う。
神聖力が使えたということは、神様だって私を少しは愛おしいと思っていたはずだ。
自分が無力で、最後は神頼みしていることを情けなく感じた。
バタン!
「殿下、大変です。マセルリ橋が崩落しました。カルパシーノ王国に行くには今すぐにでも出ないと間に合いません」
その時、帝国の騎士が突然ノックもせず扉を開けて入ってきた。
マセルリ橋とは、バルトネ王国からカルパシーノ王国に行くときに渡る橋だ。
その橋を通れないとなると、かなり迂回するルートを使わなければいけなくなる。
「これからお楽しみだっていうのに、水を差すなよ。あんな小国の王なんて待たせておけば良いだろ」
カルパシーノ王国の創建にはベリオット皇帝が大きく関わっている。
今回、クリス皇子が帝国からはるばる来たのは、セルシオ・カルパシーノ国王との会談が目的だったのだろう。
「クリス皇子殿下、今日のところは行ってください。私も今度はもっと殿下を楽しませるようにお勉強しておきます。大好きな殿下が会談に遅れて、皇帝陛下から注意でもされたら私も嫌です」
クリス皇子は、軽く私の唇に触れると立ち上がった。
「可愛い聖女様。もう、私のことを好きになっちゃったんだね。聖女と皇帝になる男はそういう運命の元にあるんだろうな」
彼は脳が蕩けてしまったのだろう。
ものすごく頭の悪そうな顔をして、部屋を出て行こうとした。
「クリス皇子殿下、アリアドネはお気に召して頂きましたか?」
部屋の前にバルトネ国王が来ているのが分かった。
隣にクレアラ王妃がいるのが見えて、私は母親のように思っている彼女に抱きしめて欲しいと思った。
しかし、2人は私の方を見向きもしないで、爛々とした目でクリス皇子のみを見つめていた。
「当たり前だろ、アリアドネは美貌の聖女様だぞ。お前、絶対に手を出すなよ。お前の食べ残しなんて私は絶対嫌だからな。お前は隣の豚ババアでも食べてろ」
「おおせのままに。クリス皇子殿下、また、いつでもバルトネ王国をお尋ねください」
バルトネ国王は一国の王でありながら、まるでパレーシア帝国の臣下のようだ。
パレーシア帝国とバルトネ王国の立場が対等でないのだろう。
それは両国が結んだ貿易協定の内容からも明らかだった。
バルトネ王国よりも、パレーシア帝国に有利過ぎる貿易協定を結ばされているのがカルパシーノ王国だ。
カルパシーノ王国が建国の時にベリオット皇帝に支えてもらった恩があるのは理解できる。
しかし、建国からもう4年も経っている。
不利な協定を交渉して、もっと平等な内容に変更していかないと国民が損をしてしまう。
私はセルシオ・カルパシーノの政治手腕にいささかの疑問を抱いていた。
♢♢♢
5日後、やっと起き上がれるようになった。
やはり毒を盛っていたのは、私が予想したメイドだった。
モリアナは私を心配して、食事を部屋に持ってきて毒味をしてから私に食べさせた。
私は食事をしても、何の味も感じなくなっていた。
毒の後遺症で私は味覚を失ってしまった。
「姫様! 今日はクレアラ王妃より、パレーシア帝国から取り寄せたお菓子も頂きましたよ」
私はクレアラ王妃の心遣いに嬉しくなった。
彼女の取り寄せる帝国のお菓子はとても高価なものだと聞いていた。
味の分からない私よりもモリアナに食べて貰って、感想を聞いてお礼を伝えようと思った。
「モリアナ、実は今お腹がいっぱいなの。私の代わりに食べて感想を聞かせてくれると助かるんだけど⋯⋯」
お菓子としては珍しい色だと思った。
黄色くて丸っこいテカテカのもので、木の実のようにも見える。
見かけとは違う食感と、味があるものも存在するのが帝国のお菓子だ。
「えっ? 良いんですか? 実は1度は帝国のお菓子を食べてみたいと思っていたんです」
モリアナはそういうと、大きな口を開けてお菓子を飲み込んだ。
「待って、それって小さく割ってから食べるものだと思うけど⋯⋯」
私が彼女の豪快さに思わず笑っていると、ものすごい勢いで彼女が血を吐き出した。
「ちょっと、モリアナどうしたの?」
私は慌てて神聖力を使ったが、消えそうな光しか出て来なかった。
彼女はそのまま血を吐き続けて、目を見開いたまま絶命した。
「誰か! 誰か来てー!」
私が助けを呼ぶ声に、ゆっくりと歩いて近づいて来たのはクレアラ王妃だった。
「頂いたお菓子の中に毒が入っていたみたいなんです」
私はバルトネ王家を狙った陰謀なのかと思い、彼女に慌てて事の顛末を話した。
「ふふっ、アリアドネって実は顔と体だけなんじゃないの? もっと、頭を使ったら? それにしても、聖女様は祖国から連れてきたメイドもお助けにならないのかしら。私、あなたが神聖力を使ったところ見たこともないんだけど」
冷たい目で見つめて来たクレアラ王妃に私は全てを察した。
「狙ったのは私の命ですね。なぜですか? 私が、王妃殿下に何かしましたか?」
「目障りなのよ⋯⋯あんたが、どんどん綺麗になるのが! 陛下も直ぐにあんたに夢中になるのが目に見えてるもの! 邪魔なのよ、存在そのものが! 陛下に言いつけたいならどうぞ、きっと可愛いあなたの言葉を信じてくれるわよ」
私に怒鳴り散らして去って行く、クレアラ王妃の後ろ姿を見ながら私は彼女への復讐を誓った。
1ヶ月が経っても私が特に何もバルトネ国王に言いつけもせず、普通に過ごしているのでクレアラ王妃は疑問に思っているようだった。
クレアラ王妃がくれたお菓子は帝国のものではなかった。
彼女の実家の領地でのみ生息しているマレミクの木の実で、致死レベルの猛毒があった。
モリアナが死んだのは私の知識不足のせいだ。
クレアラ王妃は私が毒を盛ってくると思っているようで、食事に気を使っていた。
私はケントリンに「お暇」という名の仕事を任せた。
モリアナの遺体をシャリレーン王国に埋葬しに行き毒草を採取してくること、独裁国家エウレパに密書を届けること、そして、カルパシーノ王国に捨てられたという私の妹が生き残ってないか探しに行くことだ。
ノックをして部屋に入ってきたバルトネ国王に、私はビクついてしまう。
なんだか最近陛下が私を見る目がいやらしくて気持ち悪い。
「アリアドネ、君のメイドと護衛騎士はどうしたんだ?」
「しばし、お暇をとらせました。シャリレーン王国から私に休みなく付き添ってくれた2人です」
「アリアドネは本当に慈悲深い聖女様だね」
陛下が髪を撫でるように触れてくるけれど、わざと体にも触れるように手を動かされている気がする。
「陛下、提案がありますの。陛下が側室制度を貴族のバランスをとることに使っていたのは非常に賢い手段だと感嘆致しました。でも、そろそろ国の事だけではなく、ご自分の事を考えても宜しいのではありませんか?」
私は新しい側室候補のリストを差し出した。
「流石に側室を失って1ヶ月で、また新たに側室を迎えるのは⋯⋯」
「慈悲深いのは陛下の方ですわ。本当にクレアラ王妃殿下だけでご満足できているのですか? 私が陛下を癒して差し上げたくても、クリス皇子殿下との約束がありできないのが残念なばかりです」
クリス皇子の名前を出したことで、バルトネ国王は慌てて私に触れていた手を引っ込めた。
「見覚えのない貴族家の名があるな。ミモリア子爵家とは⋯⋯」
「実はミモリア子爵家はルドナ王国の貴族家です。国が滅びた際に父親が爵位を失い、美貌の18歳の令嬢が悲しい思いをしています。できれば、陛下のお慈悲を与えては頂けないでしょうか」
バルトネ国王が唾を飲む音が聞こえた。
ミモリア子爵家など実は存在しない。
私が連れてくるのは、バルトネ国王を骨抜きにする高級娼婦だ。
私は自分の誇りを踏みにじったバルトネ王国を滅ぼすことにした。
私の髪を撫でながら、顔中に口づけを落としてくるクリス皇子に身の毛がよだった。
彼は今起き上がれもしない、15歳の少女を抱こうとしている。
(どこまで鬼畜なの? こいつ死ねばいいのに⋯⋯)
確かに、かなりの情報を聞き出せた。
パレーシア帝国は思っている以上に悪どいことをしていた。
そして、信じられないことに聖女を皇室で囲い込み、皇室へ多額の寄付をすることを条件に神聖力を使わせてたという。
クリス皇子が私の寝巻きを脱がそうとしてきて怖かったが、帝国と取引する時の交渉材料として欲しい情報がまだあった。
「待ってください。もう1つだけ聞いても良いですか」
「ダメ! 焦らすのも程々にしないと、流石の私も怒るぞ」
彼の怒るという言葉に、震えが止まらなくなる。
(殴られるかもしれない⋯⋯怖い)
「では、イエスかノーでお答えください。帝国は聖女の出生地を偽造していますね」
「イエス」
私は歴代聖女の名前が、帝国であまり付けられない名前の人が割といることに注目していた。
聖女が帝国で生まれたと言う事にしても、名前までは奪わなかったのだろう。
私の質問にクリス皇子は面倒そうに答えると、深い口づけをしてきた。
口の中に大量に幼虫を入れられたような感触に、拷問にあっているような気分になる。
(神様⋯⋯私のことを、まだ少しでも愛おしいと思っているなら助けて)
私は両親に守られ、国民に愛されたシャリレーン王国の姫として生まれた。
愛され守られていた時は、私も清らかな慈悲の心を持てていたと思う。
神聖力が使えたということは、神様だって私を少しは愛おしいと思っていたはずだ。
自分が無力で、最後は神頼みしていることを情けなく感じた。
バタン!
「殿下、大変です。マセルリ橋が崩落しました。カルパシーノ王国に行くには今すぐにでも出ないと間に合いません」
その時、帝国の騎士が突然ノックもせず扉を開けて入ってきた。
マセルリ橋とは、バルトネ王国からカルパシーノ王国に行くときに渡る橋だ。
その橋を通れないとなると、かなり迂回するルートを使わなければいけなくなる。
「これからお楽しみだっていうのに、水を差すなよ。あんな小国の王なんて待たせておけば良いだろ」
カルパシーノ王国の創建にはベリオット皇帝が大きく関わっている。
今回、クリス皇子が帝国からはるばる来たのは、セルシオ・カルパシーノ国王との会談が目的だったのだろう。
「クリス皇子殿下、今日のところは行ってください。私も今度はもっと殿下を楽しませるようにお勉強しておきます。大好きな殿下が会談に遅れて、皇帝陛下から注意でもされたら私も嫌です」
クリス皇子は、軽く私の唇に触れると立ち上がった。
「可愛い聖女様。もう、私のことを好きになっちゃったんだね。聖女と皇帝になる男はそういう運命の元にあるんだろうな」
彼は脳が蕩けてしまったのだろう。
ものすごく頭の悪そうな顔をして、部屋を出て行こうとした。
「クリス皇子殿下、アリアドネはお気に召して頂きましたか?」
部屋の前にバルトネ国王が来ているのが分かった。
隣にクレアラ王妃がいるのが見えて、私は母親のように思っている彼女に抱きしめて欲しいと思った。
しかし、2人は私の方を見向きもしないで、爛々とした目でクリス皇子のみを見つめていた。
「当たり前だろ、アリアドネは美貌の聖女様だぞ。お前、絶対に手を出すなよ。お前の食べ残しなんて私は絶対嫌だからな。お前は隣の豚ババアでも食べてろ」
「おおせのままに。クリス皇子殿下、また、いつでもバルトネ王国をお尋ねください」
バルトネ国王は一国の王でありながら、まるでパレーシア帝国の臣下のようだ。
パレーシア帝国とバルトネ王国の立場が対等でないのだろう。
それは両国が結んだ貿易協定の内容からも明らかだった。
バルトネ王国よりも、パレーシア帝国に有利過ぎる貿易協定を結ばされているのがカルパシーノ王国だ。
カルパシーノ王国が建国の時にベリオット皇帝に支えてもらった恩があるのは理解できる。
しかし、建国からもう4年も経っている。
不利な協定を交渉して、もっと平等な内容に変更していかないと国民が損をしてしまう。
私はセルシオ・カルパシーノの政治手腕にいささかの疑問を抱いていた。
♢♢♢
5日後、やっと起き上がれるようになった。
やはり毒を盛っていたのは、私が予想したメイドだった。
モリアナは私を心配して、食事を部屋に持ってきて毒味をしてから私に食べさせた。
私は食事をしても、何の味も感じなくなっていた。
毒の後遺症で私は味覚を失ってしまった。
「姫様! 今日はクレアラ王妃より、パレーシア帝国から取り寄せたお菓子も頂きましたよ」
私はクレアラ王妃の心遣いに嬉しくなった。
彼女の取り寄せる帝国のお菓子はとても高価なものだと聞いていた。
味の分からない私よりもモリアナに食べて貰って、感想を聞いてお礼を伝えようと思った。
「モリアナ、実は今お腹がいっぱいなの。私の代わりに食べて感想を聞かせてくれると助かるんだけど⋯⋯」
お菓子としては珍しい色だと思った。
黄色くて丸っこいテカテカのもので、木の実のようにも見える。
見かけとは違う食感と、味があるものも存在するのが帝国のお菓子だ。
「えっ? 良いんですか? 実は1度は帝国のお菓子を食べてみたいと思っていたんです」
モリアナはそういうと、大きな口を開けてお菓子を飲み込んだ。
「待って、それって小さく割ってから食べるものだと思うけど⋯⋯」
私が彼女の豪快さに思わず笑っていると、ものすごい勢いで彼女が血を吐き出した。
「ちょっと、モリアナどうしたの?」
私は慌てて神聖力を使ったが、消えそうな光しか出て来なかった。
彼女はそのまま血を吐き続けて、目を見開いたまま絶命した。
「誰か! 誰か来てー!」
私が助けを呼ぶ声に、ゆっくりと歩いて近づいて来たのはクレアラ王妃だった。
「頂いたお菓子の中に毒が入っていたみたいなんです」
私はバルトネ王家を狙った陰謀なのかと思い、彼女に慌てて事の顛末を話した。
「ふふっ、アリアドネって実は顔と体だけなんじゃないの? もっと、頭を使ったら? それにしても、聖女様は祖国から連れてきたメイドもお助けにならないのかしら。私、あなたが神聖力を使ったところ見たこともないんだけど」
冷たい目で見つめて来たクレアラ王妃に私は全てを察した。
「狙ったのは私の命ですね。なぜですか? 私が、王妃殿下に何かしましたか?」
「目障りなのよ⋯⋯あんたが、どんどん綺麗になるのが! 陛下も直ぐにあんたに夢中になるのが目に見えてるもの! 邪魔なのよ、存在そのものが! 陛下に言いつけたいならどうぞ、きっと可愛いあなたの言葉を信じてくれるわよ」
私に怒鳴り散らして去って行く、クレアラ王妃の後ろ姿を見ながら私は彼女への復讐を誓った。
1ヶ月が経っても私が特に何もバルトネ国王に言いつけもせず、普通に過ごしているのでクレアラ王妃は疑問に思っているようだった。
クレアラ王妃がくれたお菓子は帝国のものではなかった。
彼女の実家の領地でのみ生息しているマレミクの木の実で、致死レベルの猛毒があった。
モリアナが死んだのは私の知識不足のせいだ。
クレアラ王妃は私が毒を盛ってくると思っているようで、食事に気を使っていた。
私はケントリンに「お暇」という名の仕事を任せた。
モリアナの遺体をシャリレーン王国に埋葬しに行き毒草を採取してくること、独裁国家エウレパに密書を届けること、そして、カルパシーノ王国に捨てられたという私の妹が生き残ってないか探しに行くことだ。
ノックをして部屋に入ってきたバルトネ国王に、私はビクついてしまう。
なんだか最近陛下が私を見る目がいやらしくて気持ち悪い。
「アリアドネ、君のメイドと護衛騎士はどうしたんだ?」
「しばし、お暇をとらせました。シャリレーン王国から私に休みなく付き添ってくれた2人です」
「アリアドネは本当に慈悲深い聖女様だね」
陛下が髪を撫でるように触れてくるけれど、わざと体にも触れるように手を動かされている気がする。
「陛下、提案がありますの。陛下が側室制度を貴族のバランスをとることに使っていたのは非常に賢い手段だと感嘆致しました。でも、そろそろ国の事だけではなく、ご自分の事を考えても宜しいのではありませんか?」
私は新しい側室候補のリストを差し出した。
「流石に側室を失って1ヶ月で、また新たに側室を迎えるのは⋯⋯」
「慈悲深いのは陛下の方ですわ。本当にクレアラ王妃殿下だけでご満足できているのですか? 私が陛下を癒して差し上げたくても、クリス皇子殿下との約束がありできないのが残念なばかりです」
クリス皇子の名前を出したことで、バルトネ国王は慌てて私に触れていた手を引っ込めた。
「見覚えのない貴族家の名があるな。ミモリア子爵家とは⋯⋯」
「実はミモリア子爵家はルドナ王国の貴族家です。国が滅びた際に父親が爵位を失い、美貌の18歳の令嬢が悲しい思いをしています。できれば、陛下のお慈悲を与えては頂けないでしょうか」
バルトネ国王が唾を飲む音が聞こえた。
ミモリア子爵家など実は存在しない。
私が連れてくるのは、バルトネ国王を骨抜きにする高級娼婦だ。
私は自分の誇りを踏みにじったバルトネ王国を滅ぼすことにした。
10
あなたにおすすめの小説
【完結】あなたの思い違いではありませんの?
綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢
ファンタジー
複数の物語の登場人物が、一つの世界に混在しているなんて?!
「カレンデュラ・デルフィニューム! 貴様との婚約を破棄する」
お決まりの婚約破棄を叫ぶ王太子ローランドは、その晩、ただの王子に降格された。聖女ビオラの腰を抱き寄せるが、彼女は隙を見て逃げ出す。
婚約者ではないカレンデュラに一刀両断され、ローランド王子はうろたえた。近くにいたご令嬢に「お前か」と叫ぶも人違い、目立つ赤いドレスのご令嬢に絡むも、またもや否定される。呆れ返る周囲の貴族の冷たい視線の中で、当事者四人はお互いを認識した。
転生組と転移組、四人はそれぞれに前世の知識を持っている。全員が違う物語の世界だと思い込んだリクニス国の命運はいかに?!
ハッピーエンド確定、すれ違いと勘違い、複数の物語が交錯する。
【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/11/19……完結
2024/08/13……エブリスタ ファンタジー 1位
2024/08/13……アルファポリス 女性向けHOT 36位
2024/08/12……連載開始
【完結】政略婚約された令嬢ですが、記録と魔法で頑張って、現世と違って人生好転させます
なみゆき
ファンタジー
典子、アラフィフ独身女性。 結婚も恋愛も経験せず、気づけば父の介護と職場の理不尽に追われる日々。 兄姉からは、都合よく扱われ、父からは暴言を浴びせられ、職場では責任を押しつけられる。 人生のほとんどを“搾取される側”として生きてきた。
過労で倒れた彼女が目を覚ますと、そこは異世界。 7歳の伯爵令嬢セレナとして転生していた。 前世の記憶を持つ彼女は、今度こそ“誰かの犠牲”ではなく、“誰かの支え”として生きることを決意する。
魔法と貴族社会が息づくこの世界で、セレナは前世の知識を活かし、友人達と交流を深める。
そこに割り込む怪しい聖女ー語彙力もなく、ワンパターンの行動なのに攻略対象ぽい人たちは次々と籠絡されていく。
これはシナリオなのかバグなのか?
その原因を突き止めるため、全ての証拠を記録し始めた。
【☆応援やブクマありがとうございます☆大変励みになりますm(_ _)m】
婚約破棄された聖女様たちは、それぞれ自由と幸せを掴む
青の雀
ファンタジー
捨て子だったキャサリンは、孤児院に育てられたが、5歳の頃洗礼を受けた際に聖女認定されてしまう。
12歳の時、公爵家に養女に出され、王太子殿下の婚約者に治まるが、平民で孤児であったため毛嫌いされ、王太子は禁忌の聖女召喚を行ってしまう。
邪魔になったキャサリンは、偽聖女の汚名を着せられ、処刑される寸前、転移魔法と浮遊魔法を使い、逃げ出してしまう。
、
主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから
渡里あずま
ファンタジー
安藤舞は、専業主婦である。ちなみに現在、三十二歳だ。
朝、夫と幼稚園児の子供を見送り、さて掃除と洗濯をしようとしたところで――気づけば、石造りの知らない部屋で座り込んでいた。そして映画で見たような古めかしいコスプレをした、外国人集団に囲まれていた。
「我々が召喚したかったのは、そちらの世界での『学者』や『医者』だ。それを『主婦』だと!? そんなごく潰しが、聖女になどなれるものか! 役立たずなどいらんっ」
「いや、理不尽!」
初対面の見た目だけ美青年に暴言を吐かれ、舞はそのまま無一文で追い出されてしまう。腹を立てながらも、舞は何としても元の世界に戻ることを決意する。
「主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから」
※※※
専業主婦の舞が、主婦力・大人力を駆使して元の世界に戻ろうとする話です(ざまぁあり)
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
偽聖女として断罪追放された元令嬢は、知らずの森の番人代理として働くことになりました
石河 翠
恋愛
見習い聖女として神殿で働いていた伯爵令嬢リリィは、異母妹に嵌められ偽聖女として断罪される。頼りの大聖女も庇ってくれないまま、リリィは貴族ではなく平民として追放された。
追放途中リリィは、見知らぬ騎士に襲われる。危ないところを美しい狼の加勢で切り抜けた彼女は、眠り続けているという森の番人の代理を務めることに。
定期的に森に現れる客人の悩みを解決するうちに、働きづめだった神殿やひとりぼっちだった実家よりも今の暮らしを心地よく感じ始めるリリィ。そんな彼女の元に婚約破棄したはずの婚約者が復縁を求めてやってきて……。
真面目でちょっとお人好しなヒロインと、訳ありヒーローの恋物語。ハッピーエンドです。
約10万字、2025年6月6日完結予定です。
この作品は他サイトにも投稿しております。
表紙画像は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID:1602447)をお借りしております。
聖女追放 ~私が去ったあとは病で国は大変なことになっているでしょう~
白横町ねる
ファンタジー
聖女エリスは民の幸福を日々祈っていたが、ある日突然、王子から解任を告げられる。
王子の説得もままならないまま、国を追い出されてしまうエリス。
彼女は亡命のため、鞄一つで遠い隣国へ向かうのだった……。
#表紙絵は、もふ様に描いていただきました。
#エブリスタにて連載しました。
召喚とか聖女とか、どうでもいいけど人の都合考えたことある?
浅海 景
恋愛
水谷 瑛莉桂(みずたに えりか)の目標は堅実な人生を送ること。その一歩となる社会人生活を踏み出した途端に異世界に召喚されてしまう。召喚成功に湧く周囲をよそに瑛莉桂は思った。
「聖女とか絶対ブラックだろう!断固拒否させてもらうから!」
ナルシストな王太子や欲深い神官長、腹黒騎士などを相手に主人公が幸せを勝ち取るため奮闘する物語です。
夫より強い妻は邪魔だそうです【第一部完】
小平ニコ
ファンタジー
「ソフィア、お前とは離縁する。書類はこちらで作っておいたから、サインだけしてくれ」
夫のアランはそう言って私に離婚届を突き付けた。名門剣術道場の師範代であるアランは女性蔑視的な傾向があり、女の私が自分より強いのが相当に気に入らなかったようだ。
この日を待ち望んでいた私は喜んで離婚届にサインし、美しき従者シエルと旅に出る。道中で遭遇する悪党どもを成敗しながら、シエルの故郷である魔法王国トアイトンに到達し、そこでのんびりとした日々を送る私。
そんな時、アランの父から手紙が届いた。手紙の内容は、アランからの一方的な離縁に対する謝罪と、もうひとつ。私がいなくなった後にアランと再婚した女性によって、道場が大変なことになっているから戻って来てくれないかという予想だにしないものだった……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる