虐められ抜いた私が悪役令嬢に転生し援軍を得て、婚約破棄してきた王子をざまぁし最高の男と結ばれるまで。

専業プウタ

文字の大きさ
6 / 55

6.まさかのフローラの正体。

しおりを挟む
建国祭に私はルブリス王子と参加することになった。
国王陛下と王妃様のダンスが終わると、ルブリス王子殿下が私をダンスに誘ってきた。

「イザベラ・ライト公爵令嬢、あなたと踊る幸運を私に頂けませんか?」

彼の声色はいつもの冷たい声と違って優しかった。
しかし、口角は上がっているが全く目が笑っていない顔が怖くて私は震えてしまった。

「兄上、イザベラ様はまだ社交界デビューを済ませていませんよ」
エドワード王子が、私の不安を嗅ぎ取ってくれたのかルブリス王子に耳打ちするのがきこえた。

小説ではアカデミーのシーンしかなかったから、この世界のルールがいまいち分からない。
私は婚約者として今日ルブリス王子と踊るかもしれないと言われ、ダンスレッスンを頑張ってきた。
でも、社交界デビュー前なら踊らなくてよかったのだろうか。


「婚約前に社交界デビューくらい済ませておいて欲しいものだな。そなたは本当に気が利かない。まあ、人形のようにそこに座ってれば良い。それが、そなたの役割だ」

私は今日までダンスのレッスンをしてきたが、ルブリス王子殿下と踊る自信はなかった。
足でも踏んだりしてたら、またあの冷たい目で見られそうで怖いのだ。
私は国王陛下と王妃様の横に用意されたルブリス王子殿下の隣の柔らかい椅子に腰をかけた。


「イザベラ・ライト公爵令嬢、ダンスパートナーがいない哀れな隣国の王太子の相手をしては頂けませんでしょうか」
突然、私の前にサイラス王太子殿下が現れて跪いてダンスに誘ってきた。
彼の優しい眼差しと、暖かい声に私の心が満たされていくのを感じる。

横を見ると国王陛下も、王妃様も、ルブリス王子も表情管理を忘れて驚いた顔をしている。
しかし、他国の王太子を10歳の貴族令嬢ごときが跪かせている状況が良いはずはない。

私は国王陛下がアイコンタクトで私にダンスに誘いに応じるよう指示してきたのを確認し、サイラス王太子殿下の手に自分の手をのせた。

「サイラス王太子殿下と踊りたそうな令嬢が、たくさん私を見ているのですが」
私はサイラス王太子殿下のリードを頼りながら踊る。

彼はダンスの先生よりも踊りが上手で、体を少し預けるだけで形になってしまう。
しかし、身長差があって少し踊りづらくて足を踏んでしまった。

「私にはイザベラ様しか見えません」
彼が私を少し持ち上げて、私は自分が宙に浮いたことに驚く。
「あの、足踏んだの痛かったですよね。申し訳ございませんでした。私は重くないですか?」

「空気のように、軽いです」
微笑みながら言ってくる、彼の声はそよ風のように優しく私の耳元に届く。

「ダンスパートナーが私で良かったのでしょうか。私が婚約者であるルブリス王子殿下と踊らなかったのに、サイラス王太子殿下と踊って問題になったりしませんか?」
踊っている最中、チラリと見えたルブリス王子が冷たい目で私を睨んでいて怖くなった。

「イザベラ様、一つ決めたことがあるのです。私は初めて愛おしいと思える女性と出会いました。10歳のはずなのに、そう見えない瞬間があり不思議と惹かれてしまう魅力を持った女性です。どうしても、彼女と踊りたくて我儘な行動を初めてとりました。イザベラ様には迷惑がかからないようにするので、安心してください。イザベラ様の見立てとは違い私は20歳ではなく、自分の欲求を抑えられない15歳の未熟な男だと反省しました。でも、今、イザベラ様と踊れて幸せです」

サイラス王太子殿下の青い澄んだ瞳に、ときめきを抑えきれない私が映っていた。
彼は私を愛おしいと言っているのだろうか、そんなこと言われたことがなくて戸惑ってしまう。

私を揶揄っていたり、利用しようとしている人には見えないけれど、自分が彼のような光の住人に想われる魅力があるようには思えない。
夢のような不思議な時間は曲の終わりと共に終わった。

「とても、良い時間でした」
私は顔が熱くて真っ赤になっているのが分かった。
なんとか、彼に優雅に挨拶すると舞踏会会場を抜けて中庭に出た。

こんな赤い顔で、ルブリス王子の横の席に座りには行けない。
また、ルブリス王子から棘のある言葉を受けるのも怖い。

「赤信号!」
私は思わず聞こえた女の声に振り向いた。

そこには、ピンク色のウェーブ髪にピンク色の瞳をしたヒロインであるフローラ・レフト男爵令嬢が立っていた。
この世界に信号は存在しない。

「白川愛⋯⋯」
私は憧れのフローラを前にして、私を虐め抜いた首謀者の名前を呟いていた。

「やだ、マジで綾なの? キモ女、今度は悪役令嬢になったんだ。これ、あんたがよく読んでた小説の世界でしょ。どこ行っても邪魔者なのね。あんたよっぽど赤信号が気に入ってたのね、その赤髪、あの時の信号の色みたい」

私が学校に行けなくなった最大の事件は、赤信号を無理やり何度も往復させられたことだった。
死ぬまで往復しろと愛を中心としたクラスの人間に煽られて、結局バイクに轢かれて入院するほどの怪我をしたのだ。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます

山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。 でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。 それを証明すれば断罪回避できるはず。 幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。 チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。 処刑5秒前だから、今すぐに!

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

婚約破棄された悪役令嬢の心の声が面白かったので求婚してみた

夕景あき
恋愛
人の心の声が聞こえるカイルは、孤独の闇に閉じこもっていた。唯一の救いは、心の声まで真摯で温かい異母兄、第一王子の存在だけだった。 そんなカイルが、外交(婚約者探し)という名目で三国交流会へ向かうと、目の前で隣国の第二王子による公開婚約破棄が発生する。 婚約破棄された令嬢グレースは、表情一つ変えない高潔な令嬢。しかし、カイルがその心の声を聞き取ると、思いも寄らない内容が聞こえてきたのだった。

『処刑されるたびに12歳に戻る悪役令嬢、7回目の人生は「何もせず寝て過ごす」ことに決めたら、なぜか周囲が勝手に勘違いして聖女扱いされています

六角
恋愛
公爵令嬢リリアーナは、18歳の誕生日に必ず断罪・処刑されては12歳に戻るという地獄のループを6回も繰り返していた。 真面目に努力しても、剣を極めても、裏社会を支配しても、結局は殺される運命。 心折れた彼女は、7回目の人生でついに決意する。 「もう頑張らない。どうせ死ぬなら、今回はひたすら寝て過ごそう」と。 しかし、安眠を求めて「うるさい」と敵を黙らせれば『王者の覇気』と恐れられ、寝ぼけて放った魔法は『神の奇跡』と崇められ、枕への異常なこだわりは『深遠なる儀式』と誤解されてしまう。 気がつけば、ストーカー気味のヤンデレ王子、パン屋の元ヒロイン、狂犬の如きライバル令嬢、元部下の暗殺者、そして不眠症の魔王までもが彼女の信者となり、リリアーナは意図せずして国を、そして世界を救う「最強の聖女」へと祭り上げられていく。 「お願いだから、私を寝かせて!」 睡眠欲だけで運命(システム)さえもねじ伏せる、無気力悪役令嬢の痛快勘違いサクセス(?)ストーリー!

死に物狂いで支えた公爵家から捨てられたので、回帰後は全財産を盗んで消えてあげます 〜今さら「戻れ」と言われても、私は隣国の皇太子妃ですので〜

しょくぱん
恋愛
「お前のような無能、我が公爵家の恥だ!」 公爵家の長女エルゼは、放蕩者の父や無能な弟に代わり、寝る間も惜しんで領地経営と外交を支えてきた。しかし家族は彼女の功績を奪った挙句、政治犯の濡れ衣を着せて彼女を処刑した。 死の間際、エルゼは誓う。 「もし次があるのなら――二度と、あいつらのために働かない」 目覚めると、そこは処刑の二年前。 再び「仕事」を押し付けようとする厚顔無恥な家族に対し、エルゼは優雅に微笑んだ。 「ええ、承知いたしました。ただし、これからは**『代金』**をいただきますわ」 隠し金庫の鍵、領地の権利書、優秀な人材、そして莫大な隠し資産――。 エルゼは公爵家のすべてを自分名義に書き換え、着々と「もぬけの殻」にしていく。 そんな彼女の前に、隣国の冷徹な皇太子シオンが現れ、驚くべき提案を持ちかけてきて……? 「君のような恐ろしい女性を、独り占めしたくなった」 資産を奪い尽くして亡命した令嬢と、彼女を溺愛する皇太子。 一方、すべてを失った公爵家が泣きついてくるが、もう遅い。 あなたの家の金庫も、土地も、働く人間も――すべて私のものですから。

処理中です...