44 / 55
44.彼のメンタルが心配です。
しおりを挟む
「サイラス様、カール、皆様への対応ありがとうございました」
私がルブリス王子殿下を応援するという言葉に、皆驚きのあまりパニック状態になった。
それを私の頼れる味方の2人が沈めてくれたのだ。
「イザベラ、あなたの願うことを叶えるのが私の役目です」
サイラス様が私を愛おしそうに見つめて来て頬に手を添えてくる。
私は彼に口づけして欲しくて目を瞑った。
「姉上、僕は退散します。僕は大したことはしていません。むしろ姉上の意図を察せられず、余計なことをしてしまって申し訳ございませんでした」
カールが慌てるように言った言葉に我にかえる。
「カール、私はあなたにしつこいくらいのありがとうを言いたいわ。沢山の人々に私のために動くよう説得してくれたのよね。皆、あなたのことを慕っていたわ。私が自分のことしか考えていない時に、あなたが多くの人の心をとらえてきたの。私はいつも助けられてばかりね」
彼はあれだけの人数に声をかけられるのだ。
彼が日々信用を築いて来たから、皆すぐに彼の言うことに耳を傾けたのだろう。
「姉上、幸せになってください。僕に何かしたいと願ってくれているのは知っています。だとしたら、僕の幸せは姉上が幸せになることです。もし僕に姉上の幸せを手伝えることがあれば、いつでも言ってください」
カールはそう言い残すと部屋を去っていった。
また、サイラス様と2人きりになり私はこのまま死んでしまうのかというくらい胸のときめきが止まらない。
「サイラス様、私」
扉のノック音と共にメイが部屋に入ってきた。
「ルブリス王子殿下がお見えです」
「分かりました、通してください」
ルブリス王子は大丈夫だろうか。
寝不足でおかしな言動をしていたのに、長子相続のルールを撤廃し、私との婚約を破棄しろなどと注文ばかりをつけてしまった。
「ちょ、サイラス様」
突然サイラス様が私を抱き込んで、したことのない大人の口づけをしてきた。
私は膝がガクガクしだして立っていられそうになり、慌てて彼の首に手をまわす。
頭がぼーっとしてきて何も考えられなくなりそうになる。
「サイラス王太子殿下、明日、私とイザベラの婚約破棄は明日発表されることになりました。イザベラは今日までは私の婚約者なので不埒な行動は控えてもらえませんでしょうか?」
聞こえてきたルブリス王子の言葉に、私は慌ててサイラス王子を押し返そうとした。
しかし、彼は私の力ではビクともしなかった。
「ルブリス王子殿下、早速、婚約破棄の手続きをしてくださったのですね。ありがとうございます」
「イザベラ、君のいう通り王位を長子に継承するルールについても疑義を唱えてきた。父上は驚いていたが、私を見直したとおっしゃっていた。私は昨日からほぼ寝ていなくてフラフラだ。イザベラに一生のお願いがあるんだ。婚約者として過ごす最後の夜、イザベラの膝枕で寝かしつけて欲しい」
私はルブリス王子殿下の言動がおかしいのが怖くなった。
小説での彼は最初は冷たい人間だが、フローラの温かい人間性に触れ次第に生来の優しさを取り戻していく。
小説の中のルブリス王子は本来なら優しく爽やかな面を持った素敵な方だった。
今の彼は白川愛の憑依したフローラに無理矢理恋をさせられたせいか、味方が私のような根暗な元引きこもりなせいかメンタルがおかしい人になってしまった。
「申し訳ございません。サイラス様にさえしたことがないのに、ルブリス王子殿下に膝枕などできるはずがありません」
「これが、イザベラを傷つけた罰なのだな。一生のお願いさえ聞いてもらえない」
ルブリス王子殿下は心底苦しそうに手を額に当てて首を振った。
「ルブリス王子殿下、氷の輸出の件をイザベラより聞きました。初年度は無償でライ国に提供します。私との交渉により獲得した権利だと周りにアピールして頂ければと思います」
サイラス様がありえないような提案をしてくれる。
彼は優しい人だから、ルブリス王子殿下のメンタルが心配なのかもしれない。
「サイラス王太子殿下、お言葉に甘えさせて頂きます。今、本当に崖っぷちにいるのです、そのような崖っぷちに一緒に立ってくれる女性が私にはいます。誰かは秘密です。サイラス王太子殿下、イザベラは自分のだからお前は退場しろという気持ちを殿下の態度から感じました。私は一時退散しますが、最終的に選ぶのはイザベラです」
「ルブリス王子殿下、王宮でゆっくり休んだ方が良いかと思います。かなりお疲れのようです」
私は自分が知っている小説のルブリス王子とはかけ離れている彼を見て、かなりメンタルが危険な状態だと判断した。
「イザベラ、今日はあなたへの気持ちを数えながら眠りにつきたいと思います」
ルブリス王子殿下は私にそう言い残すと去っていった。
私がルブリス王子殿下を応援するという言葉に、皆驚きのあまりパニック状態になった。
それを私の頼れる味方の2人が沈めてくれたのだ。
「イザベラ、あなたの願うことを叶えるのが私の役目です」
サイラス様が私を愛おしそうに見つめて来て頬に手を添えてくる。
私は彼に口づけして欲しくて目を瞑った。
「姉上、僕は退散します。僕は大したことはしていません。むしろ姉上の意図を察せられず、余計なことをしてしまって申し訳ございませんでした」
カールが慌てるように言った言葉に我にかえる。
「カール、私はあなたにしつこいくらいのありがとうを言いたいわ。沢山の人々に私のために動くよう説得してくれたのよね。皆、あなたのことを慕っていたわ。私が自分のことしか考えていない時に、あなたが多くの人の心をとらえてきたの。私はいつも助けられてばかりね」
彼はあれだけの人数に声をかけられるのだ。
彼が日々信用を築いて来たから、皆すぐに彼の言うことに耳を傾けたのだろう。
「姉上、幸せになってください。僕に何かしたいと願ってくれているのは知っています。だとしたら、僕の幸せは姉上が幸せになることです。もし僕に姉上の幸せを手伝えることがあれば、いつでも言ってください」
カールはそう言い残すと部屋を去っていった。
また、サイラス様と2人きりになり私はこのまま死んでしまうのかというくらい胸のときめきが止まらない。
「サイラス様、私」
扉のノック音と共にメイが部屋に入ってきた。
「ルブリス王子殿下がお見えです」
「分かりました、通してください」
ルブリス王子は大丈夫だろうか。
寝不足でおかしな言動をしていたのに、長子相続のルールを撤廃し、私との婚約を破棄しろなどと注文ばかりをつけてしまった。
「ちょ、サイラス様」
突然サイラス様が私を抱き込んで、したことのない大人の口づけをしてきた。
私は膝がガクガクしだして立っていられそうになり、慌てて彼の首に手をまわす。
頭がぼーっとしてきて何も考えられなくなりそうになる。
「サイラス王太子殿下、明日、私とイザベラの婚約破棄は明日発表されることになりました。イザベラは今日までは私の婚約者なので不埒な行動は控えてもらえませんでしょうか?」
聞こえてきたルブリス王子の言葉に、私は慌ててサイラス王子を押し返そうとした。
しかし、彼は私の力ではビクともしなかった。
「ルブリス王子殿下、早速、婚約破棄の手続きをしてくださったのですね。ありがとうございます」
「イザベラ、君のいう通り王位を長子に継承するルールについても疑義を唱えてきた。父上は驚いていたが、私を見直したとおっしゃっていた。私は昨日からほぼ寝ていなくてフラフラだ。イザベラに一生のお願いがあるんだ。婚約者として過ごす最後の夜、イザベラの膝枕で寝かしつけて欲しい」
私はルブリス王子殿下の言動がおかしいのが怖くなった。
小説での彼は最初は冷たい人間だが、フローラの温かい人間性に触れ次第に生来の優しさを取り戻していく。
小説の中のルブリス王子は本来なら優しく爽やかな面を持った素敵な方だった。
今の彼は白川愛の憑依したフローラに無理矢理恋をさせられたせいか、味方が私のような根暗な元引きこもりなせいかメンタルがおかしい人になってしまった。
「申し訳ございません。サイラス様にさえしたことがないのに、ルブリス王子殿下に膝枕などできるはずがありません」
「これが、イザベラを傷つけた罰なのだな。一生のお願いさえ聞いてもらえない」
ルブリス王子殿下は心底苦しそうに手を額に当てて首を振った。
「ルブリス王子殿下、氷の輸出の件をイザベラより聞きました。初年度は無償でライ国に提供します。私との交渉により獲得した権利だと周りにアピールして頂ければと思います」
サイラス様がありえないような提案をしてくれる。
彼は優しい人だから、ルブリス王子殿下のメンタルが心配なのかもしれない。
「サイラス王太子殿下、お言葉に甘えさせて頂きます。今、本当に崖っぷちにいるのです、そのような崖っぷちに一緒に立ってくれる女性が私にはいます。誰かは秘密です。サイラス王太子殿下、イザベラは自分のだからお前は退場しろという気持ちを殿下の態度から感じました。私は一時退散しますが、最終的に選ぶのはイザベラです」
「ルブリス王子殿下、王宮でゆっくり休んだ方が良いかと思います。かなりお疲れのようです」
私は自分が知っている小説のルブリス王子とはかけ離れている彼を見て、かなりメンタルが危険な状態だと判断した。
「イザベラ、今日はあなたへの気持ちを数えながら眠りにつきたいと思います」
ルブリス王子殿下は私にそう言い残すと去っていった。
10
あなたにおすすめの小説
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
『処刑されるたびに12歳に戻る悪役令嬢、7回目の人生は「何もせず寝て過ごす」ことに決めたら、なぜか周囲が勝手に勘違いして聖女扱いされています
六角
恋愛
公爵令嬢リリアーナは、18歳の誕生日に必ず断罪・処刑されては12歳に戻るという地獄のループを6回も繰り返していた。 真面目に努力しても、剣を極めても、裏社会を支配しても、結局は殺される運命。 心折れた彼女は、7回目の人生でついに決意する。 「もう頑張らない。どうせ死ぬなら、今回はひたすら寝て過ごそう」と。
しかし、安眠を求めて「うるさい」と敵を黙らせれば『王者の覇気』と恐れられ、寝ぼけて放った魔法は『神の奇跡』と崇められ、枕への異常なこだわりは『深遠なる儀式』と誤解されてしまう。 気がつけば、ストーカー気味のヤンデレ王子、パン屋の元ヒロイン、狂犬の如きライバル令嬢、元部下の暗殺者、そして不眠症の魔王までもが彼女の信者となり、リリアーナは意図せずして国を、そして世界を救う「最強の聖女」へと祭り上げられていく。
「お願いだから、私を寝かせて!」 睡眠欲だけで運命(システム)さえもねじ伏せる、無気力悪役令嬢の痛快勘違いサクセス(?)ストーリー!
断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます
山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。
でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。
それを証明すれば断罪回避できるはず。
幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。
チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。
処刑5秒前だから、今すぐに!
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
〘完〙前世を思い出したら悪役皇太子妃に転生してました!皇太子妃なんて罰ゲームでしかないので円満離婚をご所望です
hanakuro
恋愛
物語の始まりは、ガイアール帝国の皇太子と隣国カラマノ王国の王女との結婚式が行われためでたい日。
夫婦となった皇太子マリオンと皇太子妃エルメが初夜を迎えた時、エルメは前世を思い出す。
自著小説『悪役皇太子妃はただ皇太子の愛が欲しかっただけ・・』の悪役皇太子妃エルメに転生していることに気付く。何とか初夜から逃げ出し、混乱する頭を整理するエルメ。
すると皇太子の愛をいずれ現れる癒やしの乙女に奪われた自分が乙女に嫌がらせをして、それを知った皇太子に離婚され、追放されるというバッドエンドが待ち受けていることに気付く。
訪れる自分の未来を悟ったエルメの中にある想いが芽生える。
円満離婚して、示談金いっぱい貰って、市井でのんびり悠々自適に暮らそうと・・
しかし、エルメの思惑とは違い皇太子からは溺愛され、やがて現れた癒やしの乙女からは・・・
はたしてエルメは円満離婚して、のんびりハッピースローライフを送ることができるのか!?
婚約破棄された悪役令嬢の心の声が面白かったので求婚してみた
夕景あき
恋愛
人の心の声が聞こえるカイルは、孤独の闇に閉じこもっていた。唯一の救いは、心の声まで真摯で温かい異母兄、第一王子の存在だけだった。
そんなカイルが、外交(婚約者探し)という名目で三国交流会へ向かうと、目の前で隣国の第二王子による公開婚約破棄が発生する。
婚約破棄された令嬢グレースは、表情一つ変えない高潔な令嬢。しかし、カイルがその心の声を聞き取ると、思いも寄らない内容が聞こえてきたのだった。
死に物狂いで支えた公爵家から捨てられたので、回帰後は全財産を盗んで消えてあげます 〜今さら「戻れ」と言われても、私は隣国の皇太子妃ですので〜
しょくぱん
恋愛
「お前のような無能、我が公爵家の恥だ!」
公爵家の長女エルゼは、放蕩者の父や無能な弟に代わり、寝る間も惜しんで領地経営と外交を支えてきた。しかし家族は彼女の功績を奪った挙句、政治犯の濡れ衣を着せて彼女を処刑した。
死の間際、エルゼは誓う。 「もし次があるのなら――二度と、あいつらのために働かない」
目覚めると、そこは処刑の二年前。 再び「仕事」を押し付けようとする厚顔無恥な家族に対し、エルゼは優雅に微笑んだ。
「ええ、承知いたしました。ただし、これからは**『代金』**をいただきますわ」
隠し金庫の鍵、領地の権利書、優秀な人材、そして莫大な隠し資産――。 エルゼは公爵家のすべてを自分名義に書き換え、着々と「もぬけの殻」にしていく。
そんな彼女の前に、隣国の冷徹な皇太子シオンが現れ、驚くべき提案を持ちかけてきて……?
「君のような恐ろしい女性を、独り占めしたくなった」
資産を奪い尽くして亡命した令嬢と、彼女を溺愛する皇太子。 一方、すべてを失った公爵家が泣きついてくるが、もう遅い。 あなたの家の金庫も、土地も、働く人間も――すべて私のものですから。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる