45 / 55
45.私以外の人を好きにならないでください。
しおりを挟む
「疲れているのは、イザベラだって同じはずです。ルブリス王子殿下と夜通し語り明かしていたのですから」
サイラス様の言葉に、言いようのない罪悪感が込み上げてくる。
私は何をしているのだろう、大切な人を差し置いて他の男を助けようとしている。
ルブリス王子殿下に絶望の中死んだ綾を見ただけだ。
「サイラス様、好きです」
私は大した語彙力もない人間で、コミュニケーション能力も欠如している。
だから、何を言っていいか分からなくて思い浮かぶ言葉を吐くしかない。
「サイラス様を愛しています」
「イザベラ、そんな目で、そんな言葉を言って私を思うがままに操る気ですか?本音を言うと、ルブリス王子にはこのまま滅んで欲しいです。でも、イザベラが守りたいというなら彼を支援します。あなたになら操られたいです。イザベラも寝不足ですよね、今日は私の膝枕で寝かしつけましょう」
応接室のソファーで私はまるで横たわるような形でサイラス様の膝の上に寝かされた。
見上げれば彼の美しい瞳に真っ赤な顔をした私が映っている。
「このような状態では眠れません」
私は緊張で頭がパニックになり叫んだ。
「では、お部屋までお送り致しましょうか」
サイラス様が私の膝裏に手を入れてきて、体がふわっと持ち上がる。
お姫様抱っこをされて部屋まで連れて行かれるのだろう。
流石に恥ずかしくて、彼の首に手を回し顔を伏せる。
「サイラス王太子殿下、娘を大切にしてくれているようで非常に感謝しております」
突然、ライト公爵の声がして顔をあげた。
「イザベラとの婚約話ですが、すぐにでも進めましょう。明日にでも娘をルイ国に連れて行ってください」
ライト公爵がサイラス様に媚びるように話す姿に私は失望した。
フローラを国外追放に追いやると言った時の彼は父親の顔をしていた。
しかし、今は欲にまみれて平気で娘を売り渡しそうな顔をしている。
「お父様、ルブリス王子殿下との婚約が解消されても、すぐに他の方と婚約するような節操のない行動はできません」
「ルブリス王子殿下の卒業パーティーでのしでかしを考えれば、お前の救世主になったサイラス王太子殿下との婚約は受け入れられるだろう。お前は私の言うとおりにしていれば、幸せになれるのだから黙ってなさい」
「黙りません。毎日のようにルブリス王子殿下の機嫌をとるように言っていたのに、今度はサイラス王太子殿下の機嫌をとるように私に言うつもりですか?私は人の機嫌をとるようなコミュニケーション能力を持ち合わせておりません。私には何の期待もしないでください」
「サイラス王太子殿下、娘は色々なことがあり疲れているようです。今日は王太子殿下も公爵邸にお泊りください。娘も王太子殿下が側にいてくれれば心が安定するでしょう」
私はライト公爵の言葉に恥ずかしくなった。
昨日の、今日で真逆な言葉を放つ彼をサイラス様はどう思われるのだろう。
誰もが好きになりそうな彼が私を好きだと言ってくれているのに、言うことも聞かず他の男の支えになりたいなどという私は捨てられてしまうのではないだろうか。
私は不安でサイラス様の表情を見るのが怖くなって顔を伏せた。
「今日はお言葉に甘えさせていただきライト公爵邸に泊らせて頂きます。すぐにでもイザベラとの婚約を結びたいので、ライト公爵は明日私と共にルイ国に向かって頂けますでしょうか?イザベラは愛国心の強い方です。ライ国の環境整備のためにしばらくはライ国に留まりたいそうです。私はいつでも彼女が受け入れられるようルイ国で準備を整えたいと思っています」
頭の上から優しいサイラス様の声がする。
私のささくれた心を癒すかのような温かさを持つ声にホッとすると眠気が襲ってきた。
♢♢♢
私が目を開けると、目の前に美しい銀髪に青い瞳をした青年がいた。
私が愛してやまないサイラス様だ。
「イザベラ、おはようございます。今から私はルイ国に戻ります」
私は自分が彼にルイ国に戻るように言ったのに、一気に不安が襲ってきた。
「私以外の人を好きにならないでください。」
気が付くと自分勝手なことを呟いていて、自分で驚いてしまう。
「イザベラ、あなた以外の女性を好きになるなど、天地がひっくり返るより不可能なことですよ。やっとあなたをルイ国に無理やり連れて行かず、待つ決心がついたのにそんなことを言ってくるなんて酷いです。私は10歳のあなたを誘拐した前科があるのを忘れてしまったのですか?」
「忘れていません。サイラス様、5年前、誘拐してくれてありがとうございます。必ず、私もルイ国に行きます」
私はそういうと、初めて自分からサイラス様に口づけをした。
サイラス様の言葉に、言いようのない罪悪感が込み上げてくる。
私は何をしているのだろう、大切な人を差し置いて他の男を助けようとしている。
ルブリス王子殿下に絶望の中死んだ綾を見ただけだ。
「サイラス様、好きです」
私は大した語彙力もない人間で、コミュニケーション能力も欠如している。
だから、何を言っていいか分からなくて思い浮かぶ言葉を吐くしかない。
「サイラス様を愛しています」
「イザベラ、そんな目で、そんな言葉を言って私を思うがままに操る気ですか?本音を言うと、ルブリス王子にはこのまま滅んで欲しいです。でも、イザベラが守りたいというなら彼を支援します。あなたになら操られたいです。イザベラも寝不足ですよね、今日は私の膝枕で寝かしつけましょう」
応接室のソファーで私はまるで横たわるような形でサイラス様の膝の上に寝かされた。
見上げれば彼の美しい瞳に真っ赤な顔をした私が映っている。
「このような状態では眠れません」
私は緊張で頭がパニックになり叫んだ。
「では、お部屋までお送り致しましょうか」
サイラス様が私の膝裏に手を入れてきて、体がふわっと持ち上がる。
お姫様抱っこをされて部屋まで連れて行かれるのだろう。
流石に恥ずかしくて、彼の首に手を回し顔を伏せる。
「サイラス王太子殿下、娘を大切にしてくれているようで非常に感謝しております」
突然、ライト公爵の声がして顔をあげた。
「イザベラとの婚約話ですが、すぐにでも進めましょう。明日にでも娘をルイ国に連れて行ってください」
ライト公爵がサイラス様に媚びるように話す姿に私は失望した。
フローラを国外追放に追いやると言った時の彼は父親の顔をしていた。
しかし、今は欲にまみれて平気で娘を売り渡しそうな顔をしている。
「お父様、ルブリス王子殿下との婚約が解消されても、すぐに他の方と婚約するような節操のない行動はできません」
「ルブリス王子殿下の卒業パーティーでのしでかしを考えれば、お前の救世主になったサイラス王太子殿下との婚約は受け入れられるだろう。お前は私の言うとおりにしていれば、幸せになれるのだから黙ってなさい」
「黙りません。毎日のようにルブリス王子殿下の機嫌をとるように言っていたのに、今度はサイラス王太子殿下の機嫌をとるように私に言うつもりですか?私は人の機嫌をとるようなコミュニケーション能力を持ち合わせておりません。私には何の期待もしないでください」
「サイラス王太子殿下、娘は色々なことがあり疲れているようです。今日は王太子殿下も公爵邸にお泊りください。娘も王太子殿下が側にいてくれれば心が安定するでしょう」
私はライト公爵の言葉に恥ずかしくなった。
昨日の、今日で真逆な言葉を放つ彼をサイラス様はどう思われるのだろう。
誰もが好きになりそうな彼が私を好きだと言ってくれているのに、言うことも聞かず他の男の支えになりたいなどという私は捨てられてしまうのではないだろうか。
私は不安でサイラス様の表情を見るのが怖くなって顔を伏せた。
「今日はお言葉に甘えさせていただきライト公爵邸に泊らせて頂きます。すぐにでもイザベラとの婚約を結びたいので、ライト公爵は明日私と共にルイ国に向かって頂けますでしょうか?イザベラは愛国心の強い方です。ライ国の環境整備のためにしばらくはライ国に留まりたいそうです。私はいつでも彼女が受け入れられるようルイ国で準備を整えたいと思っています」
頭の上から優しいサイラス様の声がする。
私のささくれた心を癒すかのような温かさを持つ声にホッとすると眠気が襲ってきた。
♢♢♢
私が目を開けると、目の前に美しい銀髪に青い瞳をした青年がいた。
私が愛してやまないサイラス様だ。
「イザベラ、おはようございます。今から私はルイ国に戻ります」
私は自分が彼にルイ国に戻るように言ったのに、一気に不安が襲ってきた。
「私以外の人を好きにならないでください。」
気が付くと自分勝手なことを呟いていて、自分で驚いてしまう。
「イザベラ、あなた以外の女性を好きになるなど、天地がひっくり返るより不可能なことですよ。やっとあなたをルイ国に無理やり連れて行かず、待つ決心がついたのにそんなことを言ってくるなんて酷いです。私は10歳のあなたを誘拐した前科があるのを忘れてしまったのですか?」
「忘れていません。サイラス様、5年前、誘拐してくれてありがとうございます。必ず、私もルイ国に行きます」
私はそういうと、初めて自分からサイラス様に口づけをした。
10
あなたにおすすめの小説
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます
山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。
でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。
それを証明すれば断罪回避できるはず。
幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。
チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。
処刑5秒前だから、今すぐに!
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
婚約破棄された悪役令嬢の心の声が面白かったので求婚してみた
夕景あき
恋愛
人の心の声が聞こえるカイルは、孤独の闇に閉じこもっていた。唯一の救いは、心の声まで真摯で温かい異母兄、第一王子の存在だけだった。
そんなカイルが、外交(婚約者探し)という名目で三国交流会へ向かうと、目の前で隣国の第二王子による公開婚約破棄が発生する。
婚約破棄された令嬢グレースは、表情一つ変えない高潔な令嬢。しかし、カイルがその心の声を聞き取ると、思いも寄らない内容が聞こえてきたのだった。
『処刑されるたびに12歳に戻る悪役令嬢、7回目の人生は「何もせず寝て過ごす」ことに決めたら、なぜか周囲が勝手に勘違いして聖女扱いされています
六角
恋愛
公爵令嬢リリアーナは、18歳の誕生日に必ず断罪・処刑されては12歳に戻るという地獄のループを6回も繰り返していた。 真面目に努力しても、剣を極めても、裏社会を支配しても、結局は殺される運命。 心折れた彼女は、7回目の人生でついに決意する。 「もう頑張らない。どうせ死ぬなら、今回はひたすら寝て過ごそう」と。
しかし、安眠を求めて「うるさい」と敵を黙らせれば『王者の覇気』と恐れられ、寝ぼけて放った魔法は『神の奇跡』と崇められ、枕への異常なこだわりは『深遠なる儀式』と誤解されてしまう。 気がつけば、ストーカー気味のヤンデレ王子、パン屋の元ヒロイン、狂犬の如きライバル令嬢、元部下の暗殺者、そして不眠症の魔王までもが彼女の信者となり、リリアーナは意図せずして国を、そして世界を救う「最強の聖女」へと祭り上げられていく。
「お願いだから、私を寝かせて!」 睡眠欲だけで運命(システム)さえもねじ伏せる、無気力悪役令嬢の痛快勘違いサクセス(?)ストーリー!
死に物狂いで支えた公爵家から捨てられたので、回帰後は全財産を盗んで消えてあげます 〜今さら「戻れ」と言われても、私は隣国の皇太子妃ですので〜
しょくぱん
恋愛
「お前のような無能、我が公爵家の恥だ!」
公爵家の長女エルゼは、放蕩者の父や無能な弟に代わり、寝る間も惜しんで領地経営と外交を支えてきた。しかし家族は彼女の功績を奪った挙句、政治犯の濡れ衣を着せて彼女を処刑した。
死の間際、エルゼは誓う。 「もし次があるのなら――二度と、あいつらのために働かない」
目覚めると、そこは処刑の二年前。 再び「仕事」を押し付けようとする厚顔無恥な家族に対し、エルゼは優雅に微笑んだ。
「ええ、承知いたしました。ただし、これからは**『代金』**をいただきますわ」
隠し金庫の鍵、領地の権利書、優秀な人材、そして莫大な隠し資産――。 エルゼは公爵家のすべてを自分名義に書き換え、着々と「もぬけの殻」にしていく。
そんな彼女の前に、隣国の冷徹な皇太子シオンが現れ、驚くべき提案を持ちかけてきて……?
「君のような恐ろしい女性を、独り占めしたくなった」
資産を奪い尽くして亡命した令嬢と、彼女を溺愛する皇太子。 一方、すべてを失った公爵家が泣きついてくるが、もう遅い。 あなたの家の金庫も、土地も、働く人間も――すべて私のものですから。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる