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21.10年間、一瞬たりとも忘れたことはない。
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この世界にきて10年が経った。
私は一瞬たりともミライのことを忘れたことはない。
「ミランダ王女殿下、夫と娘の件、改めてありがとうございました」
独裁国家エスパル出身のリリアンはとても優秀だった。
私は国王陛下に相談して、彼女を宰相職に据えた。
他国の平民の女性を行政の最高職に据えたことは話題になった。
そのことで、より自分の能力を試したいと思う女性がミラ国に集まってきた。
「この国の宰相として立派に働いてくれているあなたの生活環境を整えるのは当然のことだわ」
リリアンの夫と娘さんもミラ国に亡命してきたので、私は家族で住める住居を用意し娘さんのアカデミーへの入学を斡旋した。
彼女のミラ国への貢献度を考えれば当然のことだ。
「今年は帝国の建国祭に行かれるのですね。差し出がましいようですが、ラキアス皇子殿下とはどうなさるおつもりですか?」
リリアンは10年前のラキアスと最悪の出会いをしている。
しかし、彼女も私もラキアスの手助けがなければ到底、今のミラ国の安寧がないことを知っている。
ラキアスはミラダイヤモンドを皇室御用達にして皇后陛下に紹介してくれた。
その上、世界的富豪であるアーデン侯爵との契約もラキアスの仲介なしにはできなかった。
「私はラキアスが自分を利用して良いと言った言葉に甘えて、かなり助けてもらいました。でも、これから私達がどうなるかはそれとは別問題です」
ラキアスは私との婚約を皇帝陛下に許してもらえるようにすると言っていた。
10年経っても彼は私を愛し続けてくれている。
それでも、私はいつ彼の愛が終わるのかと、いつも考えている。
そして愛が終わった時のことを想像して一番怖いのは、彼のミラ国への支援が終わることだ。
彼が持っているものが大き過ぎるからか、私はラキアスをただ1人の男として見れたことがない。
いつも帝国の皇子ラキアスとして彼を見てしまっている。
優しく美しい彼のことを好きなはずなのに、その愛の感情は私がミライを思う感情を絶対に超えない。
ミライにもう一度会えたら、恋を始められる心境になれるのだろうか。
「ミラ国の王宮騎士団は世界屈強ですし、万が一帝国が攻めて来ても大丈夫ですよ」
リリアンが私の斜め後ろに立っているエイダンを見ながら言った。
王宮騎士団はエイダンの声掛けもあり、ほぼミラリネから構成されている。
彼らはミラ王家に思うところがあれど、今はミラ国のために尽くしてくれている。
そして、リリアンもラキアスの愛が終われば、いつでもミラ国は攻められると思っているようだ。
「ふふ、そうね。頼りにしていますよ。王宮騎士団長」
私はエイダンに微笑みかけると、エイダンは照れたように会釈した。
彼は私の護衛騎士ながら、王宮の騎士団長を任せている。
そもそもミラリネの身体能力が高すぎるので、同じミラリネの彼でないと彼らを任せられないのだ。
「帝国の建国祭に行くとなると1ヶ月はミラ国を留守にすることになります。最近、不穏な動きがあるのをリリアンは気がついていてますよね」
「はい、ルアー公爵を中心としてキース王子殿下を次期国王にしようとの動きがあります。しかし、今のミラ国の安寧はミランダ王女の大胆な改革があってのことです。キース王子はミランダ王女を支えるという姿勢を崩していませんし、問題ないのではないかと私は考えています。もちろん、ミランダ王女の留守中に何らかの動きがないかは注意しておきます」
ルアー公爵はやはり貴族を裏で牛耳る親玉だった。
私は彼が王権をも自由にしようとしていることに気がつき、彼を宰相職からおろすよう国王陛下に進言した。
キースは素直で優しい子に育ってくれた。
彼の健やかな成長と伸び伸びした姿を見ると、私はミライを思い出し胸が締め付けられた。
しかし、キースは純粋すぎるところがあり、ルアー公爵には扱いやすいと取られてしまっている。
だからルアー公爵は彼に近づいて、彼の後見として王権を自由にしようと考えているのだ。
「帝国の建国祭には行かず、ミラ国にとどまったらいかがですか? 留守中にルアー公爵陣営に動かれたら厄介ですよ」
エイダンが私に話しかけてきた。
彼は護衛騎士の立場だが、いつも一緒にいて彼が上下関係に疎いせいか私とは相棒のようになっている。
「もう、2年もラキアスに会えてません。今回、彼から頂いた手紙にどうしても建国祭に来て欲しいとのことが書いてありました。私はいつも彼にお願いを聞いてもらっています。今回初めて彼からお願いされたのです。その頼みを聞かない選択肢はありません」
次期皇帝になるのは、紫色の瞳を持ったラキアスかスコット皇子だと言われている。
ラキアスは皇帝になることを望んでいないが、彼が望まなくても彼を皇帝にと望む人間が多いのだ。
「そうですか。ミランダ王女殿下がそう言われるなら、そうなさったら良いと思いますよ。ラキアス皇子殿下はプロポーズでも計画しているのかもしれませんね」
エイダンが面白くなさそうに言った。
彼は感情をあまり隠さないから、彼が私を好きだということは早いうちから私には分かっていた。
私は一瞬たりともミライのことを忘れたことはない。
「ミランダ王女殿下、夫と娘の件、改めてありがとうございました」
独裁国家エスパル出身のリリアンはとても優秀だった。
私は国王陛下に相談して、彼女を宰相職に据えた。
他国の平民の女性を行政の最高職に据えたことは話題になった。
そのことで、より自分の能力を試したいと思う女性がミラ国に集まってきた。
「この国の宰相として立派に働いてくれているあなたの生活環境を整えるのは当然のことだわ」
リリアンの夫と娘さんもミラ国に亡命してきたので、私は家族で住める住居を用意し娘さんのアカデミーへの入学を斡旋した。
彼女のミラ国への貢献度を考えれば当然のことだ。
「今年は帝国の建国祭に行かれるのですね。差し出がましいようですが、ラキアス皇子殿下とはどうなさるおつもりですか?」
リリアンは10年前のラキアスと最悪の出会いをしている。
しかし、彼女も私もラキアスの手助けがなければ到底、今のミラ国の安寧がないことを知っている。
ラキアスはミラダイヤモンドを皇室御用達にして皇后陛下に紹介してくれた。
その上、世界的富豪であるアーデン侯爵との契約もラキアスの仲介なしにはできなかった。
「私はラキアスが自分を利用して良いと言った言葉に甘えて、かなり助けてもらいました。でも、これから私達がどうなるかはそれとは別問題です」
ラキアスは私との婚約を皇帝陛下に許してもらえるようにすると言っていた。
10年経っても彼は私を愛し続けてくれている。
それでも、私はいつ彼の愛が終わるのかと、いつも考えている。
そして愛が終わった時のことを想像して一番怖いのは、彼のミラ国への支援が終わることだ。
彼が持っているものが大き過ぎるからか、私はラキアスをただ1人の男として見れたことがない。
いつも帝国の皇子ラキアスとして彼を見てしまっている。
優しく美しい彼のことを好きなはずなのに、その愛の感情は私がミライを思う感情を絶対に超えない。
ミライにもう一度会えたら、恋を始められる心境になれるのだろうか。
「ミラ国の王宮騎士団は世界屈強ですし、万が一帝国が攻めて来ても大丈夫ですよ」
リリアンが私の斜め後ろに立っているエイダンを見ながら言った。
王宮騎士団はエイダンの声掛けもあり、ほぼミラリネから構成されている。
彼らはミラ王家に思うところがあれど、今はミラ国のために尽くしてくれている。
そして、リリアンもラキアスの愛が終われば、いつでもミラ国は攻められると思っているようだ。
「ふふ、そうね。頼りにしていますよ。王宮騎士団長」
私はエイダンに微笑みかけると、エイダンは照れたように会釈した。
彼は私の護衛騎士ながら、王宮の騎士団長を任せている。
そもそもミラリネの身体能力が高すぎるので、同じミラリネの彼でないと彼らを任せられないのだ。
「帝国の建国祭に行くとなると1ヶ月はミラ国を留守にすることになります。最近、不穏な動きがあるのをリリアンは気がついていてますよね」
「はい、ルアー公爵を中心としてキース王子殿下を次期国王にしようとの動きがあります。しかし、今のミラ国の安寧はミランダ王女の大胆な改革があってのことです。キース王子はミランダ王女を支えるという姿勢を崩していませんし、問題ないのではないかと私は考えています。もちろん、ミランダ王女の留守中に何らかの動きがないかは注意しておきます」
ルアー公爵はやはり貴族を裏で牛耳る親玉だった。
私は彼が王権をも自由にしようとしていることに気がつき、彼を宰相職からおろすよう国王陛下に進言した。
キースは素直で優しい子に育ってくれた。
彼の健やかな成長と伸び伸びした姿を見ると、私はミライを思い出し胸が締め付けられた。
しかし、キースは純粋すぎるところがあり、ルアー公爵には扱いやすいと取られてしまっている。
だからルアー公爵は彼に近づいて、彼の後見として王権を自由にしようと考えているのだ。
「帝国の建国祭には行かず、ミラ国にとどまったらいかがですか? 留守中にルアー公爵陣営に動かれたら厄介ですよ」
エイダンが私に話しかけてきた。
彼は護衛騎士の立場だが、いつも一緒にいて彼が上下関係に疎いせいか私とは相棒のようになっている。
「もう、2年もラキアスに会えてません。今回、彼から頂いた手紙にどうしても建国祭に来て欲しいとのことが書いてありました。私はいつも彼にお願いを聞いてもらっています。今回初めて彼からお願いされたのです。その頼みを聞かない選択肢はありません」
次期皇帝になるのは、紫色の瞳を持ったラキアスかスコット皇子だと言われている。
ラキアスは皇帝になることを望んでいないが、彼が望まなくても彼を皇帝にと望む人間が多いのだ。
「そうですか。ミランダ王女殿下がそう言われるなら、そうなさったら良いと思いますよ。ラキアス皇子殿下はプロポーズでも計画しているのかもしれませんね」
エイダンが面白くなさそうに言った。
彼は感情をあまり隠さないから、彼が私を好きだということは早いうちから私には分かっていた。
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