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第56話 仕事実習
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そのようすをみたカタリはためいきをつく。
「あのですね、アル君、風俗といえば、客に足を開いていればいいってものでもないんですよ。あ、女性相手の場合も突っ込めばいいってもんでもないんですよ。
風俗はなかなか難しい仕事です。
何故かしれませんが風俗を甘い仕事だと下にみる風潮がありますが、他の仕事と同じで命がけの仕事だよ。
殺されるかもしれないし、病気を移されるかもしれない。客にたいして接客しながら、赤の他人に体を預けなければならない。
それでもやる覚悟はありますか?」
「あ、あります」
正直怖いが、お金は欲しい。
もう一度カタリはため息をつく。
「では、特訓をしましょうか?アル君はキスしたことはありますか?」
「あ、ありますが、急に無理やりだったような」
「そうですか、ディープなものは?」
「ディープって」
「舌と唾液を絡め合うことです」
「ないです」
「ではやってみましょう。舌を出して」
カタリに引き寄せられ、あれやこれやをやってみる。
初キスから散々なキスばかりしているなと、アルは思う。
人の唾液を飲めと言われて、飲むのは正直、気持ち悪かった。
「アル君はめっちゃくちゃキス下手だね」
「………すみません」
「まぁ、初々しいのが好きな客もいるかもしれないしね。いいけれど。アル君は女性と寝たことは?」
「ありません」
「男と寝たことは?」
「ありません」
アルの記憶があった時のことはわからないが。
「アル君は、女性と男性の客どちらがいいですか?」
「できれば本番なしでお願いします。本番なしなら男女問わずで、いいです」
「いいけど。それにはかなりのテクニックが必要になるけれど、どうかな?」
「お願いします!」
本番はアルにはハードルが高すぎる。
「こんなスラムにいるんだから、とっとと処女も童貞も捨てたほうが、アル君のためだと思うけれどね」
「そうですか」
「そう。ここ無法地帯だから、結構な頻度で強姦されるよ。好きな相手にさっさと処女でも童貞でも捨てたほうがいいと思うけどな」
「そうですね」
アルの脳裏に複数の男に襲われたことを思い出す。
体がすくみあがる。こんなんで、男娼なんてできるのだろうかと、アルは不安になる。
「今日はいろいろ特訓しようか?アル君、今日は空いてますか?」
「はい。なるべくすぐにお金が欲しいです」
「じゃぁ、今日はいろいろやりましょうか?明日に会う客がいるから、会ってみようか?」
「はい!」
「アル君、歌は歌えますか?」
「歌ですか?」
「本番がない場合、歌とか特技とかで客を誘うと、いいと思います」
「音痴なんですけど」
「そうか。じゃぁ本番以外でがんばろうか?服脱いでもらえるかな?」
「は、はい」
そんなこんなで仕事の特訓が続いたのだった。
色んな行為の最中(本番はなし)カタリは気になることを、アルに言っていた。
「しかし、アル君たいそう呪われているね」
「へ」
そういえば、ジュラさんも同じことを言っていた。
神様に呪われているかもしれないなんて、ショッキングである。
「なかなか面白い呪いだな。見たこともないね。まさか×××ができないなんて」
その言葉にアルは顔を赤くする。そんなはっきり言わないでほしいもんである。
「面白い呪いですか?」
「下手に手を出すと、こちらが呪われるような。アル君、何かしでかした?」
「いえ。でも記憶がないんで、なにもやらかしていないと、はっきり断言できないんですけど」
「アル君は神様への供物か何かかもしれないね」
「へ?」
「人間は血迷うと、人を生贄にする。生贄を欲するのは悪魔だというのに。
アル君は誰かを神の生贄として差し出しだそうとして、呪われてしまったのかもしれないね。それで代わりにアル君が生贄にとか」
「え、そんなひどいこと私はしようとしたんですかね?」
「さぁね?けれど神様に呪われた人って、たいていそういうことがおおいで
すね」
にっこり笑って、カタリはワイシャツを羽織った。
「あのですね、アル君、風俗といえば、客に足を開いていればいいってものでもないんですよ。あ、女性相手の場合も突っ込めばいいってもんでもないんですよ。
風俗はなかなか難しい仕事です。
何故かしれませんが風俗を甘い仕事だと下にみる風潮がありますが、他の仕事と同じで命がけの仕事だよ。
殺されるかもしれないし、病気を移されるかもしれない。客にたいして接客しながら、赤の他人に体を預けなければならない。
それでもやる覚悟はありますか?」
「あ、あります」
正直怖いが、お金は欲しい。
もう一度カタリはため息をつく。
「では、特訓をしましょうか?アル君はキスしたことはありますか?」
「あ、ありますが、急に無理やりだったような」
「そうですか、ディープなものは?」
「ディープって」
「舌と唾液を絡め合うことです」
「ないです」
「ではやってみましょう。舌を出して」
カタリに引き寄せられ、あれやこれやをやってみる。
初キスから散々なキスばかりしているなと、アルは思う。
人の唾液を飲めと言われて、飲むのは正直、気持ち悪かった。
「アル君はめっちゃくちゃキス下手だね」
「………すみません」
「まぁ、初々しいのが好きな客もいるかもしれないしね。いいけれど。アル君は女性と寝たことは?」
「ありません」
「男と寝たことは?」
「ありません」
アルの記憶があった時のことはわからないが。
「アル君は、女性と男性の客どちらがいいですか?」
「できれば本番なしでお願いします。本番なしなら男女問わずで、いいです」
「いいけど。それにはかなりのテクニックが必要になるけれど、どうかな?」
「お願いします!」
本番はアルにはハードルが高すぎる。
「こんなスラムにいるんだから、とっとと処女も童貞も捨てたほうが、アル君のためだと思うけれどね」
「そうですか」
「そう。ここ無法地帯だから、結構な頻度で強姦されるよ。好きな相手にさっさと処女でも童貞でも捨てたほうがいいと思うけどな」
「そうですね」
アルの脳裏に複数の男に襲われたことを思い出す。
体がすくみあがる。こんなんで、男娼なんてできるのだろうかと、アルは不安になる。
「今日はいろいろ特訓しようか?アル君、今日は空いてますか?」
「はい。なるべくすぐにお金が欲しいです」
「じゃぁ、今日はいろいろやりましょうか?明日に会う客がいるから、会ってみようか?」
「はい!」
「アル君、歌は歌えますか?」
「歌ですか?」
「本番がない場合、歌とか特技とかで客を誘うと、いいと思います」
「音痴なんですけど」
「そうか。じゃぁ本番以外でがんばろうか?服脱いでもらえるかな?」
「は、はい」
そんなこんなで仕事の特訓が続いたのだった。
色んな行為の最中(本番はなし)カタリは気になることを、アルに言っていた。
「しかし、アル君たいそう呪われているね」
「へ」
そういえば、ジュラさんも同じことを言っていた。
神様に呪われているかもしれないなんて、ショッキングである。
「なかなか面白い呪いだな。見たこともないね。まさか×××ができないなんて」
その言葉にアルは顔を赤くする。そんなはっきり言わないでほしいもんである。
「面白い呪いですか?」
「下手に手を出すと、こちらが呪われるような。アル君、何かしでかした?」
「いえ。でも記憶がないんで、なにもやらかしていないと、はっきり断言できないんですけど」
「アル君は神様への供物か何かかもしれないね」
「へ?」
「人間は血迷うと、人を生贄にする。生贄を欲するのは悪魔だというのに。
アル君は誰かを神の生贄として差し出しだそうとして、呪われてしまったのかもしれないね。それで代わりにアル君が生贄にとか」
「え、そんなひどいこと私はしようとしたんですかね?」
「さぁね?けれど神様に呪われた人って、たいていそういうことがおおいで
すね」
にっこり笑って、カタリはワイシャツを羽織った。
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