記憶喪失で美醜反転の世界にやってきて救おうと奮闘する話。(多分)

松井すき焼き

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第63話 お家再興編最終話  中編

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しばらくして、ぼろぼろの様子のソルとシルカとライが帰ってきた。なぜか、ソルの後ろには大きな狼の姿がある。
子供三人は泣きそうなアルの顔を見ると、顔を輝かせて、ソルとシルカにアルに抱き着いてくる。

アルは心底ほっとして、涙ぐんだ。
ソルとシルカを抱きしめて、一人立ってこちらを見ているライに、視線を向ける。

ライは失ってしまったはずの声で、言った。

「ある……あいたかった」

ぽつりというライに、アルは微笑んだ。
「お帰り」

ライは泣きながら、アルに抱き着く。
「ただいま」

びえぇええええええーんと、子供たち三人は泣き叫ぶ。

「おいおい、子供たちが死ななかったのは俺のおかげっすよ。森の中の魔物いる中で、必死子いて俺っちが、子供たちを誘導したんすよぉー。アルちゃんにはご褒美にキスしてほしいなぁ」
にやにやレニンが、いつの間にかアルの肩を抱いて真横にいる。

アルは感謝をこめて、レニンの襟をつかんでキスしておいた。

言った張本人のレニンは目玉を見開き、呆然としている。その横にいたジルも、目玉を見開いている。

一匹の灰色の狼が、ソルの横に来て「ワゥっ!」となく。

狼に見えるが、実は犬なのかな?と、アルは内心首をかしげる。
「この子は?」

するとソルはもじもじと体を揺らし、意を決したようで、アルの方を見て叫んだ。
「俺の相棒!こいつ家で飼いたいんだ!!」

子供が一度は言うペットを飼いたいということなのかと、アルはどうしたもんかと考える。

「ソニアさんがいいって言ったらね」とそういった。
もうすぐソニアも退院だ。子供たちも無事帰ってきた。アルは嬉しい気持ちがあふれてくる。

「みんな、今日はごちそう作ろうね!」
アルがそういうと、子供たちから歓声が上がった。

「でもみんな、勝手にジルさんの家を出てはだめだよ。危険だし、ジルさんはみんなのこと心配したんだからね」

そう付け加えると、ソルとシルカとライはぶすくれた顔になった。内心アルは笑いそうになったが、おさえる。

「ジルさんにみんなで謝りましょう」
ソルとシルカとライの背を軽く押し、ジルの方に向ける。

ジルは嫌そうな顔をしている。

「ジル、ごめんなさい!!」子供一斉にジルに謝った。

「どういたしまして」
ジルはにこりと微笑んだ。

アルは子供三人の頭をなでた。
「みんなごめんね、寂しい思いをさせて」

「「うん!!」」
ソルとシルカと、ライは、目を閉じてアルに抱き着き、久々のアルの匂いをかいだ。
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