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□陸篇 Catch Me If You Can.
1.07.4 南西へ
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パールの緊急捜査は夜通し続き、三人は(キースは嫌々ではあったが)イザベラを信じ、娼館に身を潜めていた。
「ロムと会って手当てして、そこで別れたの。助けるって言ったら、自分達のことだって聞かなくて…彼、こういう時は頑固でしょ?」
「ロムらしいよ」
「あたしも、仕事があったから…それが間違いだった。ごめんなさい」
「イザベラのせいじゃない…」
昨日までの経緯を聞き、終わりにビアンカは首を振ったが、もしロムが彼女の申し出を受けていたら違った未来があったかもしれないと、つい考えてしまう。それはイザベラ自身も考えることで、たらればの考えは自責の念となっていた。
「…ロムは、信じてたのよ。仲間を…だから待ち合わせを守った」
「…うん」
ビアンカはロムと話した夜を思い出す。裏切り者がいるかもしれないと言いながら、苦しそうな顔をしていたこと。彼も好きで疑ってたわけじゃない、わかってる。イザベラの言う通り、きっと最後まで信じようとしていた…
俯いてしまったビアンカの頭をそっと撫でてやる。傍らで見守るスタンと目が合い、イザベラは決意を固めた。
「ねぇ、彼何か言ってなかった?リンブルのこと聞かれたから、行くんじゃないかと思ったんだけど」
「!言われた、リンブル。待ち合わせしたんだ…ロムが、迎えに来てくれるはずだった」
「そう…他には?」
「えっと……あ、デニス。その人頼れって」
「!あら…よりによって、その名前なのね」
行き先がわかり、さらに名前を聞いて苦笑いする。ビアンカは首を傾げたがイザベラは咳払いし笑ってみせ、
「リンブルまで連れてってあげる。彼にも会わせる…助けられなかった分、協力させて。いいでしょ?」
嬉しい申し出にビアンカは顔を綻ばせ、こくこくと頷き返した。振り返るとスタンは肩を竦め笑っていて、あとはキースが何と言うか、だ。
「…お、まぁた粧し込んだな」
「うっせぇ、込んでねぇ」
タイミングよく着替え中だったキースが戻ってくる。軍の制服から普段着に替えただけかと思いきや、男装のように髪で作った髭を付け、長めの後ろ髪も小さく結い纏め隠している。今の話をすると、彼はまた眉を寄せイザベラを見遣ったが、好きにしろとぼやいたので女子二人は目配せして頷いた。
段々と東の空が明るくなる。
また扉を叩く音がし、キースやビアンカが警戒するが、聞こえた声にイザベラは微笑み扉を開けた。
「遅いわよ」
「すんません、バタバタしてて」
現れたのは青髪の軍兵。ビアンカが慌ててスタンの背に身を隠すが、見覚えのある顔にキースは別の意味で驚く。
「お前…あの時の?」
「あ…ははぁ。やっぱりあんたでしたかぁ」
キースを見るなり苦笑いする軍兵、正体はブラウンだ。二人の様子にビアンカとスタンだけでなく、イザベラも眉を持ち上げた。
「何よあんた達、知り合い?」
「いや、さっき…会った」
「なぁんかおかしいと思ったんすよね、デュレーさんの休み知ってるし」
「デュレー、さん??」
「えぇっと、刺繍、見ましたよね?あれ気をつけてくだせぇ。バレます」
「……」
さん付けに眉を寄せればブラウンは逃げ腰になったが、ちゃっかり言い返しもしてきてキースも舌打ち視線を逸らした。
彼は格好の通り軍兵らしいが…ビアンカにはなんだかひ弱に見えた。
「とりあえず…今は街を出るのが先っす。皆一旦引き上げたんで、頃合いですよ」
聞くなりイザベラが動き出し、一人先に荷馬車を取りに向かった。ブラウンも手伝いにいき、急に始まった支度に三人は慌てふためいた。
荷馬車を路地に付け、食糧や酒を積み込んでいく。叩き起こしたせいで荷馬車に繋いだサーシャが嫌々そうに嘶いたが、キースに宥められるとお利口さんで大人しくなった。軍兵達の姿が無くなった街はやっと静けさを取り戻し、色街も灯りを消しはじめる。
「彼はスチュアート、あたしの弟分。訳あって今はバルハラ兵やってるの」
「スパイってやつっす!」
「あんたそれ、自分で言っちゃダメでしょ」
荷物を積みながら語る二人。スチュアートはブラウンと名を騙り軍に在籍し、色々と情報を集めているらしい。そんな彼とイザベラとの関係が気になったが、スパイという単語に一番に反応したのはキースで、
「…んでそんなことやってんだ?」
「いやそれは、企業秘密で、」
「あ"ぁ?」「っひぇ」
「今は大目に見てちょうだい、あなたや彼女には無関係なの。また会った時に、ね?」
また揉めている暇はないとイザベラが待ったをかけるが、スタンも混ざってきて、何やらスチュアートを睨み、
「俺も気にはしてんだけど?」
「?商売敵じゃないわよ」
「違う。こんな若ぇ奴だと思わなかった」
「はぁ?」「へ…??」
「ホントに弟分か?マジで、そういうんじゃねぇよなぁ?」
「…あんたバカ?ホント面倒なんだけどっ」
どうやら嫉妬らしい。論点が違うスタンにイザベラはつい眉を寄せ呆れてしまう。
「ぁ、あの…本当、あんたらを巻き込むつもりは、ないんで…」
おかしな方向に行きつつある話にスチュアートも苦笑いして(顔が引き攣ってたようにも見える)、もう構うことなく荷積みを進めた。彼から荷物を受け取ったビアンカは面白い光景にくすくす笑うだけで、
「今は信じるしかないよ。本当に頼れるなら、ありがたい」
「……今は、って」
彼女の言葉にも引っかかりを覚え、スチュアートは溜息をもらした。
と、朝の時鐘が鳴り、明るくなりつつある空に綺麗な音が響き渡る。
「!ヤバっ…姐さんすみません、もう時間っす!俺戻らないと」
「え?途中まで一緒にって、」
「騒ぎのせいで出勤時間変わったんす!余計な仕事増えるっぽいし…もう、駐屯兵のスケジュールだだ崩れなんすよッ」
「……知るかよ」
焦り説明するスチュアートの視線から逃れるように、キースはそっぽを向いた。
「これ、通行証!人数増えなきゃ大丈夫なんで、あと鳩はリュシーに飛ばしといて!」
「ちょ、ちょっと…ホントに行っちゃうの?」
「クビになったらまずいっしょぉ!」
懐から羊皮紙を取り出し押し付けると、スチュアートは駆け出し行ってしまった。
三人は顔を見合わせ彼の背を見送ったが、予定外なことにご機嫌ナナメになったイザベラは溜息を吐き、渡された羊皮紙で荷台を叩き当たった。
支度も出来、馬を走らせる。港や朝市へ行く街人を通り過ぎ、南側の道へ向かう。
昨日は朝も夜も騒がしかったが、今日はいつも通りという雰囲気で、笑い話をしながら働く漁師達を荷台から眺める。ガタイのいい漁師の姿がロムと重なり、ビアンカが吐息をもらす。淋しそうな彼女の横顔が見え、キースは目を逸らし、煙草に火を点けた。
荷馬車が大通りに入り直進しはじめた時、手綱が引かれブレーキがかかる。急停車に皆驚き手綱を握るスタンを見ると、彼は前方を指差して…道の先では何やらマズいことになっていた。
「あれって…軍兵だよね?」
「検問じゃねぇか…どうなってんだ?」
前方、大通りから街道に繋がる街の終わり。そこでは軍の騎馬や馬車が道を塞ぎ、その前で列をなす民間の馬車や人々の姿があった。
兵達が荷物の中身や人相を細かく確かめる。騒ついてはいるものの揉め事などは起こっていないようで、だが四人にとっては最悪な事態だ。
「あのバカ、こんなの聞いてないわよ…!」
イザベラが眉を寄せぼやく。スチュアートから検問については当然知らされておらず、彼の調べが抜けていたらしい。
スタンが手綱を持ち直し方向を変えようとするが、キースに掴まれ止められる。首を振り目配せされ、ビアンカも気がつく…検問から少し離れた路地や建物の前にも兵の姿があった。見張りだろう。この馬車も見えているはずで、今下手に方向を変えれば怪しまれてしまう。
「どうする?」
「堂々と抜けてみる、とか」
「あんな細かく見てんならヤベぇぞ」
「荷物に隠れても…バレんだろうな」
「余計ヤバいことになるわ」
「北側もやってんのか?」
「わかんねぇし、行ったら尾いて来んじゃね?」
「ここで気づかれねぇように変装、ってのは?」
「それもバレたら終わる…」
男子二人で緊急会議。このまま道端で停まり続けるのも怪しまれそうで、二人共嫌な汗が出てしまう。ふと、キースの視界にあるものが映り、
「!…ドウェイン」
彼の視線を追うと大通り沿いの店の一つ、その二階の窓からこちらを見つめるドウェインとバチっと目が合った。
ドウェインは何を言うでもなく、キースをじっと見つめたまま指を二本出し、自身のほうへ動かしてみせた。意味がわかり、煙草を投げ捨て荷台奥へ駆け込むキース。彼は兵達に気づかれぬよう幌を捲り外へ出て、
「お前もだ、行くぞ!」
「ぇ…なに?どういうこと?」
ビアンカを呼び、半ば引き摺り降ろす。彼女は戸惑っていたが大人しくキースに付いていき、二人はドウェインがいる店へ向かった。イザベラもよくわからず心配顔になるが、スタンは察したのかまた馬を走らせ、
「相棒、海側の道だ!ちゃんと来いよ!」
「相棒って呼ぶなッ」
声をかけるスタンにしっかりと答え、二人は店の中へ消えた。
二人が入ったのは肉屋で、朝市の準備をする若い衆が忙しなく動いていた。
鉈を打ちつける音や血生臭さに五感が働く。どうしたものかと辺りを見回す二人だったが、店の者は無関心で、奥に階段が見えて駆け寄れば、階下を覗くドウェインが見えた。二階に上がり老人のもとへ行く。
「こんなとこで何してんだ??」
「困ってる頃だと思ってな、実際そうだろ?」
眉を寄せるキースに対し、ドウェインは楽しそうだ。
「道案内してやる。来い」
言うなり杖を突きながら二階を進んでいくドウェイン。ビアンカは驚き思わずキースを見遣るが、彼も溜息するだけで後を追っていった。道案内とは?不安になりながらもビアンカも付いて行く。
肉屋の二階は何故か一階よりも広く、長く薄暗い廊下を進んで終点の壁に行き着く。が、隅に小さな扉が付いており、ドウェインが押し開くと外の光が射し込んで、彼は扉の向こうへ出ていってしまう。
二人も出てみるとそこはバルコニーで、隣の建物の大きな窓と板一枚で繋がっていた。
「これ…道、なのか?」
「…道とは言わねぇ」
驚きと疑問でいっぱいのビアンカの呟きに、キースもつい本音で答えるが、ドウェインは構わずに板を渡り、何故か鍵のかかっていない窓を開け中に入った。
板を渡り隣の建物へ。既に何処なのかもわからず廊下を進み、今度は階段を上がり、ベランダ、梯子からベランダ、また梯子、屋根へと進む。
まるで猫の散歩のように屋根を歩き、くっ付いている隣の家へ跳び、全開の天窓から中へ。人の気配がし内心焦るが、ドウェインは堂々と階段を下りて行ってしまう。二人も足早に下り、家の者の気配に息を殺す。今度は外の狭い路地に出て、暫く庇の下を歩いた。
最後に入ったのは酒場で、カウンターで居眠りする店主の他には誰も居らず、勝手に奥へ入る。店内のど真ん中で立ち止まり、ドウェインが杖で何回か床板を突くと板の一枚が持ち上がった。それは戸なのか扉なのか、兎に角それが開き薄らと土埃が舞った。戸をしっかり開ければ梯子付きで、しかも古めかしく、カビの臭いも上がってくる。ドウェインは杖を床下に放り投げ、自らも下りようとする。危なっかしく思ったキースが肩を捕まえ止めるが、
「なぁ、それじゃキツ…!っ!ぃ"……てぇ…」
「……ぅゎ」
掴んだ手を掴み返された途端、思い切り引っ張られ音を立てて転がり落ちる。真っ暗な下から呻き声が聞こえたので、無事ではあるらしい。ビアンカが痛そうに顔を歪め、ドウェインは要らぬ世話とばかりに短く息を吐き、下りていった。
キースは打った頭を押さえながらも燐寸を出し、火を起こした。地下は物置きか貯蔵庫のようで無駄に広く、奥にはまた道があった。
「誰がキツいって?生意気なガキんちょが…いいから、黙って付いて来い」
杖を拾い、持ってきていたランプに火を移させ、また一人進んでいくドウェイン。ビアンカはますます疑問を抱きながらキースを起こしてやる。
「…ねぇ…ドウェインさんって、何者?」
「…手癖と口の悪ぃ、雑貨屋のジジィ」
キースが不機嫌そうに答えると、
「修理も出来る雑貨屋だ」
「はっ、俺のが上手いね」
「誰がテメェにイロハ教えてやった?」
「あんただけじゃねぇし」
「銃以外は俺だろうが、クソガキ」
「クソジジィ、一人じゃ客来ねぇくせに」
「…っ…二人共、やめて」
唐突にはじまった口喧嘩にビアンカは笑いを堪える。二人は揃って鼻を鳴らし、言い合いはそれ切りとなったが、そんな姿もやっぱり親子のようだった。
「…ゎ、と…」「転ぶなよ…」
暫く地下道を進む。
道は細く狭く、何回か曲がった。小さなランプの灯り一つが頼りなのだが、止まらず怯みもせず進むドウェインはこれまでの彼とは別人のようで、まるで道無き森を行く獣のようだった。
何処からか風の音が聞こえ、時折足元をネズミや虫が横切っていく。かつて無人島の洞窟を探検した時のことを思い出す。陸でこんな所を歩くのは初めてで、だが前を行く二人の男の背を見ていると何故か安心感を得られた。
「……」「??」「…!」
道の途中、ドウェインが立ち止まる。何やら察知したキースが辺りを見回すと、土壁に打ち付けられた梯子があり、梯子の先の頭上には蓋らしき物が見えた。キースが先に上り、地上から伸びる草の根を引き千切り、手や腕で蓋を押し開ける。勢いよく開いた先は青で、地下道に光が射す…ビアンカはドウェインに肩を叩かれ梯子を上り、出る頃には潮風や波の音を感じ、海が近いのだとわかった。
「…、…はは…!」
地下道の出口はパールの街ではなく海辺の林道で、木立の間から白波を立てる海が見え、つい心が躍る。道は人の往来が殆ど無いのか草が生い茂り、近くにいた小鳥達が飛び去っていった。
「お前も大分走ってるがな、俺の足下にゃ及ばねぇ。パールは俺の身体だ」
「……はいはい、お見それしました」
遅れて上って来たドウェインの言葉に、キースは溜息をもらすが素直に答えた。これまでの道はどうやら彼も知らないようだ。
数日前の逃走劇を思い出す。あんな走り方が出来るキースよりも上で、街が身体だと言う老人の正体が気になった。だが素直な弟子に満足気に笑う彼を見ていると、決して悪い人ではないと、ビアンカの中で確証のない確信が芽生えた。
ドウェインが杖を持ち上げ道の先を示す。人に忘れられたこの道を進めば一旦街道に行き当たり、それも少し進むと行きたかった海側の街道に出るらしい。
ビアンカが海に気を取られていると、
「ドウェイン…頼みがある」
何やら深刻そうなキースの声がし、ドウェインは煙草を味わいながら耳を傾けていた。波の音で声が掻き消されていく。屋根裏の棚だの基地だの聞こえ、少し気になる。
「ったく、厄介なもん盗りやがって」
「悪ぃ…」
ビアンカが聞き耳を立てようとするが話は早々に終わってしまう。ドウェインが腰に下げていた袋を取り、キースに差し出す。受け取り中を覗くと飛び道具の'糸'や火薬や、奥底には硬貨も入っていて、キースの肩越しに覗いたビアンカは目をぱちくりさせた。
「さっきみてぇのは、他にも嫌ってほどある。兎角、この街はな。戻って来たら教えてやるよ」
思わず顔を上げる。不敵な笑みを浮かべる師匠は、結局いつも、スタンの指摘通り甘やかしてきて、自身も甘えてしまう…先日怒りをぶつけてしまったことを思い出し、何も返せず迷う。
「嬢ちゃん送ったら戻って来い。ほっつき歩いてねぇでな…探し物は、まだあるんだろ?」
「……」
「キース」
「っ…わかったよ!……ありがと…行ってくる」
怒鳴り返すがまた素直な言葉が溢れる。笑みを深めたドウェインにキースは背を向け、一人先に進んでいく。が、彼の耳は離れててもわかるくらい赤くなっていて、ビアンカは笑いをもらし追いかけた。
「簡単に捕まんじゃねぇぞ、クソガキ」
キースが黙ったままなので、ビアンカが振り返り手を振る。
「ドウェインさん、ありがとう!お世話になりました!行ってきます!!」
老人はただ笑顔で見送ってくれた。不意に風が吹き、ビアンカを越えてキースの背を押しやる。暖かな追い風。季節はいつの間にか春へ移った。
キースは言葉も無く振り返りもしなかったが、ひらりと手を上げてみせた。
林道を進んだ二人がスタン達と合流したのは、それから間もなくのことである。
ドウェインは一人店へと戻り、昼には街を散歩しに出かけた。
パール基地まで来ると、軍兵の目を盗み外壁の内側へ或る物を投げ入れた。それが発見された頃には道にドウェインの姿は無く、疑わしき者も見つからなかった。
この投棄物はすぐさま捜索隊とジェラルドへ報された。それは本や書簡の束で、かつてキースが軍の荷馬車から盗んだものだ。
『お返しします。お粗末様 /// 』
一緒に付けられていた紙端にジェラルドもハリソンも顔を顰めた。三本傷を模した文字にハリソンが珍しく不機嫌を顕にしたものだから、隊のメンバーだけでなくジェラルドも驚き、苦笑いした。
だがこれでソロウの機嫌は直るだろうし、ルミディウスからの命令も遂行できると、ジェラルドは安堵していた。
──しかし。
捜索隊の二人、そしてドウェインまでも、気がついていない。キースが盗み返却したそれらが不完全であることを。
キースは荷台に寝転がり、手元の紙を天に翳し眺めた。その紙はなんとなく…本当に気まぐれで返す気にならなかった、'アルムガルド王国領地図'だった。
「ロムと会って手当てして、そこで別れたの。助けるって言ったら、自分達のことだって聞かなくて…彼、こういう時は頑固でしょ?」
「ロムらしいよ」
「あたしも、仕事があったから…それが間違いだった。ごめんなさい」
「イザベラのせいじゃない…」
昨日までの経緯を聞き、終わりにビアンカは首を振ったが、もしロムが彼女の申し出を受けていたら違った未来があったかもしれないと、つい考えてしまう。それはイザベラ自身も考えることで、たらればの考えは自責の念となっていた。
「…ロムは、信じてたのよ。仲間を…だから待ち合わせを守った」
「…うん」
ビアンカはロムと話した夜を思い出す。裏切り者がいるかもしれないと言いながら、苦しそうな顔をしていたこと。彼も好きで疑ってたわけじゃない、わかってる。イザベラの言う通り、きっと最後まで信じようとしていた…
俯いてしまったビアンカの頭をそっと撫でてやる。傍らで見守るスタンと目が合い、イザベラは決意を固めた。
「ねぇ、彼何か言ってなかった?リンブルのこと聞かれたから、行くんじゃないかと思ったんだけど」
「!言われた、リンブル。待ち合わせしたんだ…ロムが、迎えに来てくれるはずだった」
「そう…他には?」
「えっと……あ、デニス。その人頼れって」
「!あら…よりによって、その名前なのね」
行き先がわかり、さらに名前を聞いて苦笑いする。ビアンカは首を傾げたがイザベラは咳払いし笑ってみせ、
「リンブルまで連れてってあげる。彼にも会わせる…助けられなかった分、協力させて。いいでしょ?」
嬉しい申し出にビアンカは顔を綻ばせ、こくこくと頷き返した。振り返るとスタンは肩を竦め笑っていて、あとはキースが何と言うか、だ。
「…お、まぁた粧し込んだな」
「うっせぇ、込んでねぇ」
タイミングよく着替え中だったキースが戻ってくる。軍の制服から普段着に替えただけかと思いきや、男装のように髪で作った髭を付け、長めの後ろ髪も小さく結い纏め隠している。今の話をすると、彼はまた眉を寄せイザベラを見遣ったが、好きにしろとぼやいたので女子二人は目配せして頷いた。
段々と東の空が明るくなる。
また扉を叩く音がし、キースやビアンカが警戒するが、聞こえた声にイザベラは微笑み扉を開けた。
「遅いわよ」
「すんません、バタバタしてて」
現れたのは青髪の軍兵。ビアンカが慌ててスタンの背に身を隠すが、見覚えのある顔にキースは別の意味で驚く。
「お前…あの時の?」
「あ…ははぁ。やっぱりあんたでしたかぁ」
キースを見るなり苦笑いする軍兵、正体はブラウンだ。二人の様子にビアンカとスタンだけでなく、イザベラも眉を持ち上げた。
「何よあんた達、知り合い?」
「いや、さっき…会った」
「なぁんかおかしいと思ったんすよね、デュレーさんの休み知ってるし」
「デュレー、さん??」
「えぇっと、刺繍、見ましたよね?あれ気をつけてくだせぇ。バレます」
「……」
さん付けに眉を寄せればブラウンは逃げ腰になったが、ちゃっかり言い返しもしてきてキースも舌打ち視線を逸らした。
彼は格好の通り軍兵らしいが…ビアンカにはなんだかひ弱に見えた。
「とりあえず…今は街を出るのが先っす。皆一旦引き上げたんで、頃合いですよ」
聞くなりイザベラが動き出し、一人先に荷馬車を取りに向かった。ブラウンも手伝いにいき、急に始まった支度に三人は慌てふためいた。
荷馬車を路地に付け、食糧や酒を積み込んでいく。叩き起こしたせいで荷馬車に繋いだサーシャが嫌々そうに嘶いたが、キースに宥められるとお利口さんで大人しくなった。軍兵達の姿が無くなった街はやっと静けさを取り戻し、色街も灯りを消しはじめる。
「彼はスチュアート、あたしの弟分。訳あって今はバルハラ兵やってるの」
「スパイってやつっす!」
「あんたそれ、自分で言っちゃダメでしょ」
荷物を積みながら語る二人。スチュアートはブラウンと名を騙り軍に在籍し、色々と情報を集めているらしい。そんな彼とイザベラとの関係が気になったが、スパイという単語に一番に反応したのはキースで、
「…んでそんなことやってんだ?」
「いやそれは、企業秘密で、」
「あ"ぁ?」「っひぇ」
「今は大目に見てちょうだい、あなたや彼女には無関係なの。また会った時に、ね?」
また揉めている暇はないとイザベラが待ったをかけるが、スタンも混ざってきて、何やらスチュアートを睨み、
「俺も気にはしてんだけど?」
「?商売敵じゃないわよ」
「違う。こんな若ぇ奴だと思わなかった」
「はぁ?」「へ…??」
「ホントに弟分か?マジで、そういうんじゃねぇよなぁ?」
「…あんたバカ?ホント面倒なんだけどっ」
どうやら嫉妬らしい。論点が違うスタンにイザベラはつい眉を寄せ呆れてしまう。
「ぁ、あの…本当、あんたらを巻き込むつもりは、ないんで…」
おかしな方向に行きつつある話にスチュアートも苦笑いして(顔が引き攣ってたようにも見える)、もう構うことなく荷積みを進めた。彼から荷物を受け取ったビアンカは面白い光景にくすくす笑うだけで、
「今は信じるしかないよ。本当に頼れるなら、ありがたい」
「……今は、って」
彼女の言葉にも引っかかりを覚え、スチュアートは溜息をもらした。
と、朝の時鐘が鳴り、明るくなりつつある空に綺麗な音が響き渡る。
「!ヤバっ…姐さんすみません、もう時間っす!俺戻らないと」
「え?途中まで一緒にって、」
「騒ぎのせいで出勤時間変わったんす!余計な仕事増えるっぽいし…もう、駐屯兵のスケジュールだだ崩れなんすよッ」
「……知るかよ」
焦り説明するスチュアートの視線から逃れるように、キースはそっぽを向いた。
「これ、通行証!人数増えなきゃ大丈夫なんで、あと鳩はリュシーに飛ばしといて!」
「ちょ、ちょっと…ホントに行っちゃうの?」
「クビになったらまずいっしょぉ!」
懐から羊皮紙を取り出し押し付けると、スチュアートは駆け出し行ってしまった。
三人は顔を見合わせ彼の背を見送ったが、予定外なことにご機嫌ナナメになったイザベラは溜息を吐き、渡された羊皮紙で荷台を叩き当たった。
支度も出来、馬を走らせる。港や朝市へ行く街人を通り過ぎ、南側の道へ向かう。
昨日は朝も夜も騒がしかったが、今日はいつも通りという雰囲気で、笑い話をしながら働く漁師達を荷台から眺める。ガタイのいい漁師の姿がロムと重なり、ビアンカが吐息をもらす。淋しそうな彼女の横顔が見え、キースは目を逸らし、煙草に火を点けた。
荷馬車が大通りに入り直進しはじめた時、手綱が引かれブレーキがかかる。急停車に皆驚き手綱を握るスタンを見ると、彼は前方を指差して…道の先では何やらマズいことになっていた。
「あれって…軍兵だよね?」
「検問じゃねぇか…どうなってんだ?」
前方、大通りから街道に繋がる街の終わり。そこでは軍の騎馬や馬車が道を塞ぎ、その前で列をなす民間の馬車や人々の姿があった。
兵達が荷物の中身や人相を細かく確かめる。騒ついてはいるものの揉め事などは起こっていないようで、だが四人にとっては最悪な事態だ。
「あのバカ、こんなの聞いてないわよ…!」
イザベラが眉を寄せぼやく。スチュアートから検問については当然知らされておらず、彼の調べが抜けていたらしい。
スタンが手綱を持ち直し方向を変えようとするが、キースに掴まれ止められる。首を振り目配せされ、ビアンカも気がつく…検問から少し離れた路地や建物の前にも兵の姿があった。見張りだろう。この馬車も見えているはずで、今下手に方向を変えれば怪しまれてしまう。
「どうする?」
「堂々と抜けてみる、とか」
「あんな細かく見てんならヤベぇぞ」
「荷物に隠れても…バレんだろうな」
「余計ヤバいことになるわ」
「北側もやってんのか?」
「わかんねぇし、行ったら尾いて来んじゃね?」
「ここで気づかれねぇように変装、ってのは?」
「それもバレたら終わる…」
男子二人で緊急会議。このまま道端で停まり続けるのも怪しまれそうで、二人共嫌な汗が出てしまう。ふと、キースの視界にあるものが映り、
「!…ドウェイン」
彼の視線を追うと大通り沿いの店の一つ、その二階の窓からこちらを見つめるドウェインとバチっと目が合った。
ドウェインは何を言うでもなく、キースをじっと見つめたまま指を二本出し、自身のほうへ動かしてみせた。意味がわかり、煙草を投げ捨て荷台奥へ駆け込むキース。彼は兵達に気づかれぬよう幌を捲り外へ出て、
「お前もだ、行くぞ!」
「ぇ…なに?どういうこと?」
ビアンカを呼び、半ば引き摺り降ろす。彼女は戸惑っていたが大人しくキースに付いていき、二人はドウェインがいる店へ向かった。イザベラもよくわからず心配顔になるが、スタンは察したのかまた馬を走らせ、
「相棒、海側の道だ!ちゃんと来いよ!」
「相棒って呼ぶなッ」
声をかけるスタンにしっかりと答え、二人は店の中へ消えた。
二人が入ったのは肉屋で、朝市の準備をする若い衆が忙しなく動いていた。
鉈を打ちつける音や血生臭さに五感が働く。どうしたものかと辺りを見回す二人だったが、店の者は無関心で、奥に階段が見えて駆け寄れば、階下を覗くドウェインが見えた。二階に上がり老人のもとへ行く。
「こんなとこで何してんだ??」
「困ってる頃だと思ってな、実際そうだろ?」
眉を寄せるキースに対し、ドウェインは楽しそうだ。
「道案内してやる。来い」
言うなり杖を突きながら二階を進んでいくドウェイン。ビアンカは驚き思わずキースを見遣るが、彼も溜息するだけで後を追っていった。道案内とは?不安になりながらもビアンカも付いて行く。
肉屋の二階は何故か一階よりも広く、長く薄暗い廊下を進んで終点の壁に行き着く。が、隅に小さな扉が付いており、ドウェインが押し開くと外の光が射し込んで、彼は扉の向こうへ出ていってしまう。
二人も出てみるとそこはバルコニーで、隣の建物の大きな窓と板一枚で繋がっていた。
「これ…道、なのか?」
「…道とは言わねぇ」
驚きと疑問でいっぱいのビアンカの呟きに、キースもつい本音で答えるが、ドウェインは構わずに板を渡り、何故か鍵のかかっていない窓を開け中に入った。
板を渡り隣の建物へ。既に何処なのかもわからず廊下を進み、今度は階段を上がり、ベランダ、梯子からベランダ、また梯子、屋根へと進む。
まるで猫の散歩のように屋根を歩き、くっ付いている隣の家へ跳び、全開の天窓から中へ。人の気配がし内心焦るが、ドウェインは堂々と階段を下りて行ってしまう。二人も足早に下り、家の者の気配に息を殺す。今度は外の狭い路地に出て、暫く庇の下を歩いた。
最後に入ったのは酒場で、カウンターで居眠りする店主の他には誰も居らず、勝手に奥へ入る。店内のど真ん中で立ち止まり、ドウェインが杖で何回か床板を突くと板の一枚が持ち上がった。それは戸なのか扉なのか、兎に角それが開き薄らと土埃が舞った。戸をしっかり開ければ梯子付きで、しかも古めかしく、カビの臭いも上がってくる。ドウェインは杖を床下に放り投げ、自らも下りようとする。危なっかしく思ったキースが肩を捕まえ止めるが、
「なぁ、それじゃキツ…!っ!ぃ"……てぇ…」
「……ぅゎ」
掴んだ手を掴み返された途端、思い切り引っ張られ音を立てて転がり落ちる。真っ暗な下から呻き声が聞こえたので、無事ではあるらしい。ビアンカが痛そうに顔を歪め、ドウェインは要らぬ世話とばかりに短く息を吐き、下りていった。
キースは打った頭を押さえながらも燐寸を出し、火を起こした。地下は物置きか貯蔵庫のようで無駄に広く、奥にはまた道があった。
「誰がキツいって?生意気なガキんちょが…いいから、黙って付いて来い」
杖を拾い、持ってきていたランプに火を移させ、また一人進んでいくドウェイン。ビアンカはますます疑問を抱きながらキースを起こしてやる。
「…ねぇ…ドウェインさんって、何者?」
「…手癖と口の悪ぃ、雑貨屋のジジィ」
キースが不機嫌そうに答えると、
「修理も出来る雑貨屋だ」
「はっ、俺のが上手いね」
「誰がテメェにイロハ教えてやった?」
「あんただけじゃねぇし」
「銃以外は俺だろうが、クソガキ」
「クソジジィ、一人じゃ客来ねぇくせに」
「…っ…二人共、やめて」
唐突にはじまった口喧嘩にビアンカは笑いを堪える。二人は揃って鼻を鳴らし、言い合いはそれ切りとなったが、そんな姿もやっぱり親子のようだった。
「…ゎ、と…」「転ぶなよ…」
暫く地下道を進む。
道は細く狭く、何回か曲がった。小さなランプの灯り一つが頼りなのだが、止まらず怯みもせず進むドウェインはこれまでの彼とは別人のようで、まるで道無き森を行く獣のようだった。
何処からか風の音が聞こえ、時折足元をネズミや虫が横切っていく。かつて無人島の洞窟を探検した時のことを思い出す。陸でこんな所を歩くのは初めてで、だが前を行く二人の男の背を見ていると何故か安心感を得られた。
「……」「??」「…!」
道の途中、ドウェインが立ち止まる。何やら察知したキースが辺りを見回すと、土壁に打ち付けられた梯子があり、梯子の先の頭上には蓋らしき物が見えた。キースが先に上り、地上から伸びる草の根を引き千切り、手や腕で蓋を押し開ける。勢いよく開いた先は青で、地下道に光が射す…ビアンカはドウェインに肩を叩かれ梯子を上り、出る頃には潮風や波の音を感じ、海が近いのだとわかった。
「…、…はは…!」
地下道の出口はパールの街ではなく海辺の林道で、木立の間から白波を立てる海が見え、つい心が躍る。道は人の往来が殆ど無いのか草が生い茂り、近くにいた小鳥達が飛び去っていった。
「お前も大分走ってるがな、俺の足下にゃ及ばねぇ。パールは俺の身体だ」
「……はいはい、お見それしました」
遅れて上って来たドウェインの言葉に、キースは溜息をもらすが素直に答えた。これまでの道はどうやら彼も知らないようだ。
数日前の逃走劇を思い出す。あんな走り方が出来るキースよりも上で、街が身体だと言う老人の正体が気になった。だが素直な弟子に満足気に笑う彼を見ていると、決して悪い人ではないと、ビアンカの中で確証のない確信が芽生えた。
ドウェインが杖を持ち上げ道の先を示す。人に忘れられたこの道を進めば一旦街道に行き当たり、それも少し進むと行きたかった海側の街道に出るらしい。
ビアンカが海に気を取られていると、
「ドウェイン…頼みがある」
何やら深刻そうなキースの声がし、ドウェインは煙草を味わいながら耳を傾けていた。波の音で声が掻き消されていく。屋根裏の棚だの基地だの聞こえ、少し気になる。
「ったく、厄介なもん盗りやがって」
「悪ぃ…」
ビアンカが聞き耳を立てようとするが話は早々に終わってしまう。ドウェインが腰に下げていた袋を取り、キースに差し出す。受け取り中を覗くと飛び道具の'糸'や火薬や、奥底には硬貨も入っていて、キースの肩越しに覗いたビアンカは目をぱちくりさせた。
「さっきみてぇのは、他にも嫌ってほどある。兎角、この街はな。戻って来たら教えてやるよ」
思わず顔を上げる。不敵な笑みを浮かべる師匠は、結局いつも、スタンの指摘通り甘やかしてきて、自身も甘えてしまう…先日怒りをぶつけてしまったことを思い出し、何も返せず迷う。
「嬢ちゃん送ったら戻って来い。ほっつき歩いてねぇでな…探し物は、まだあるんだろ?」
「……」
「キース」
「っ…わかったよ!……ありがと…行ってくる」
怒鳴り返すがまた素直な言葉が溢れる。笑みを深めたドウェインにキースは背を向け、一人先に進んでいく。が、彼の耳は離れててもわかるくらい赤くなっていて、ビアンカは笑いをもらし追いかけた。
「簡単に捕まんじゃねぇぞ、クソガキ」
キースが黙ったままなので、ビアンカが振り返り手を振る。
「ドウェインさん、ありがとう!お世話になりました!行ってきます!!」
老人はただ笑顔で見送ってくれた。不意に風が吹き、ビアンカを越えてキースの背を押しやる。暖かな追い風。季節はいつの間にか春へ移った。
キースは言葉も無く振り返りもしなかったが、ひらりと手を上げてみせた。
林道を進んだ二人がスタン達と合流したのは、それから間もなくのことである。
ドウェインは一人店へと戻り、昼には街を散歩しに出かけた。
パール基地まで来ると、軍兵の目を盗み外壁の内側へ或る物を投げ入れた。それが発見された頃には道にドウェインの姿は無く、疑わしき者も見つからなかった。
この投棄物はすぐさま捜索隊とジェラルドへ報された。それは本や書簡の束で、かつてキースが軍の荷馬車から盗んだものだ。
『お返しします。お粗末様 /// 』
一緒に付けられていた紙端にジェラルドもハリソンも顔を顰めた。三本傷を模した文字にハリソンが珍しく不機嫌を顕にしたものだから、隊のメンバーだけでなくジェラルドも驚き、苦笑いした。
だがこれでソロウの機嫌は直るだろうし、ルミディウスからの命令も遂行できると、ジェラルドは安堵していた。
──しかし。
捜索隊の二人、そしてドウェインまでも、気がついていない。キースが盗み返却したそれらが不完全であることを。
キースは荷台に寝転がり、手元の紙を天に翳し眺めた。その紙はなんとなく…本当に気まぐれで返す気にならなかった、'アルムガルド王国領地図'だった。
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