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第1章.物乞いから冒険者へ
21.糞スキル、結晶になって戻ってきた……
しおりを挟む「でも、あんなに大きいゴブリン、何処から来たんだろうね?」
ドキーッ!
マリアの口から漏れた素朴な疑問に、俺の心臓が飛び跳ねる。
そ、そもそも一体だけでいたゴブリンを見つけて、糞スキルを譲渡しただけなんだけど……。
まさか、こんな事になるなんてな。
「き、急に出てきて、だな……。あっ! も、もしかして何体か合体、した……のかな? なんて……」
「合体?!」
自分でも何言ってんだろうってぐらい、しどろもどろになってしまう。
マリアもきょとんとして、そして頬に手をあてて首を傾げる。
「合体するなんて、ギルドの資料には無かったよ?」
「で、ですよね~?」
なんとか話の矛先を変えられないか、馬鹿な頭で考える。
――そうだ!
「と、とにかく魔石とか獲っちゃおうぜ!」
「それもそうね。レオに迷惑をかけた分、取り出しはわたしが頑張るよ!」
マリアが「ふんす!」とやる気になってくれて、ナイフを手にハイゴブリンの亡骸に向かって行く。
でも、うつ伏せで死んでいるハイゴブリンの側で立ち尽くす。
「どうした、マリア?」
「これ……。この大きさ、やっぱりゴブリンじゃないよね?」
ドキーッ!
気付かない訳ないですよねー? ぜんぜん違いますからねー?
せめてホブゴブリンってことにできねえかな……。
「ホ、ホブゴブリンじゃねえか? もしかして」
「ホブねぇ……そうかもね?」
「ど、どっちみち俺らはゴブリン以外を見たことねえからな。婆さんなら分かるだろ」
「そうだね! 討伐証明を見せれば分かるよね?」
「おう! あれ? 証明部位ってどっちだっけ」
「右耳だよ」
「そうだったそうだった。よし! 右だな……」
「レオ! そっちは左! うつ伏せなんだからこっちだよ」
マリアが自分の手の平よりも大きいハイゴブリンの右耳を根元から削ぎ取って、俺に渡しながら「どうしようかな……」と、また困り顔になっている。
「どうしたんだ?」
俺が尋ねると、マリアはハイゴブリンがうつ伏せなので魔石が取り出せないって言う。
ドキーッ!
コイツを仰向けにしたら、下半身丸出しになるじゃねえか!
あ、あんなのをマリアに見せるわけにはいかんっ!!
たっ【体内収納】は?!
駄目だ、反応しない。そりゃそうか、俺の何倍もデカイもんな……。
「せ、背中から取り出せねえのか?」
「背骨が邪魔だよ?」
「そ、そうだな……」
ベルナールや婆さんから習ったのも、仰向けの死体の捌き方だったな……。
なんとかならないか、馬鹿な頭で考える。
結局、野郎の右腕に刺した俺の剣を抜いて、手首に縄を括ってマリアに引いてもらってひっくり返すことにする。
俺はこいつの体を持ち上げて、ひっくり返しやすくする係だ。
マリアがうんうんと唸りながら縄を引く間、俺も懸命にハイゴブリンの体を持ちあげつつ、足でそこら辺の枝を手繰る。
ちょうどいいサイズで、葉も茂っている枝を。
もちろん、死体がひっくり返った瞬間に、野郎の股間を隠す為だ。
意地でもマリアには見せんっ!!
ふぅ。何とかなった。
何故か小さくなってたけど、それでも隠したよ。うん。
マリアは怪訝そうにしてたけど、ザクザクと胸を切り開いて魔石とスキル結晶を取り出した。
こころなしか顔を赤らめていた気がするけど、気のせいだろう。
ベルナールの握り拳と同じくらいデカイ魔石。それと五つのスキル結晶。
どっちも紫色の血がべっとりと付いている。
俺はそれを布で受け取りながら、拭いて、体内収納していく。
討伐証明の耳くらいなら腰袋に入れりゃあ充分だけど、このデカイ魔石は高いだろうから仕舞っとくに越したことは無いだろう。
そしてスキル結晶も……。
【攻撃衝動】【自然回復】【呼吸】【姿勢制御】【性欲常態化〈3〉】←これ!
【性欲常態化】は、絶対に素手で触らないように布で血を拭って、その布ごと収納する。
間違って取り込んじまったら、振り出しに戻るからな……あんな思いは二度と御免だ。
「一応、この牙みたいな歯と……爪も獲っとこうぜ? こんなにデカくて鋭いんだ、何かの素材として売れそうだしな!」
魔石を抜かれた魔物の死体は、朽ちるのが早いらしい。
スキル結晶を取り込んだ時みたいに、サラサラ消えるワケじゃないけど、普通の動物の死体より早く腐るそうだ。
イノシシ系やシカ系とかの、肉が食用になる部分は早く解体しておけば普通に残るけど、解体せずに放置してたら食べられないくらい腐るんだとさ。
ちなみに魔物を殺して、魔石も獲らずに放置しておくと、その魔物は魔石に残った魔力でアンデッドになって、腐った体や骨だけでうろつくんだって。
まあ、冒険者が金になる魔石を放置することなんてほとんどないし、アンデッド化した魔物は臭いし気持ち悪りいから、そうならないように魔石は必ず取るように言われるからな……。
魔石とスキル結晶、それに牙と爪を剥ぎ取り終えた俺らは、亡骸に土を被せてその場を去る。
朽ちるのが早いからってそのままにしとくと、他の魔物が喰って少し強くなってしまうから食えないように土で隠すんだと。
傷口に重点的に土を塗り込んで血のニオイを消して、全身に軽く土を被せて終わり。
ハイゴブリンの図体がデカイので少し時間がかかったけど、埋めなくてもいい分“帝国”でのゴミ捨てよりはマシだったな。
……予定とは全然違っちまったけど、まあ一件落着だな。
「さ、ギルドに帰ろうぜ」
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