透明な君が

にゅるにゅる

文字の大きさ
上 下
17 / 19

明るい未来へ!

しおりを挟む
~20年前~
神無家は世界有数のお金持ちだった。それはもう、欲しいものはないと言えるほど、すべてを持っていた。しかし朝日家、つまり陽菜のおじさん達の手によって、その地位から引きずり降ろされた。といっても、お金がたまたまあって、そのおかげでその地位まで自動的に上がっていった神無家にとって、そんなに気にすることじゃなかった。それどころか、堅苦しいところから平凡になって気が楽になったと感謝するほどだった。この年に、今の色葉のお母さん、紅羽とお父さんが結婚した。
~2年後~
空白の二年を抜け、色葉が生まれた。このときはまだ人から認知されていた。このときの神無家は一般市民に溶け込んでいた。しかし、神無家の周りで不可解なことが起こる。例を挙げるなら[過去神無家の事業に協力していた人間が一斉に死亡]だったり[色葉を狙ったかのように、大型トラックが家に突っ込んで家が半壊]だったり。
~それからさらに5年後~
この頃から色葉への認知が弱くなってきた。そして事件は起こる。家族ででかけていた神無家の車に急なエンジントラブルが発生(したことになっている)、歩道に突っ込んでしまった。そこにちょうど、帰宅中の蒼の父親がいて巻き込まれてしまった。その時の死者は彼しかいなかった。蒼の父は即死で、家族が見たときには、原形が留められていなかった。これは考察だが、そのショックで蒼は父のことを記憶からほとんど抹消してしまったんだろう。その時運転していたのは、色葉の父だったそうだ。それから神無家はエンジントラブルだと主張していたそうだ。それに、ちゃんと和崎家に謝りに行っていた。
~事件から4ヶ月後~
この年に色葉父は不可解な死を遂げた。その姿はまるでバットで殴られ続けたような傷があったが、人をしに至らしめるほどのものではなかった。では何が死因か、それは舌を自ら噛みちぎり窒息していることがわかった。その顔は、笑顔であった。その遺体を運んだ者が違和感に気づいた、異常に遺体が軽かったのだ。そして腹を開くと、内臓が全てキレイになくなっていた。しかしこのことは誰にも伝えられていなかった。そして父の死を受け、色葉は[死]に関し興味をなくし、次第に父のことを忘れていった。
~その頃の和崎家~
その頃の和崎家は空っぽだった。和崎家のムードメーカーがいなくなったこと、蒼の母親の鬱のこと、金は消費する一方であること、これらのことが重なり、重圧に耐えられず、笑顔をなくしていく子供。残ったのは、父親の死。
~それから3年~
蒼の姉が神無家を恨み続けると決めて、3年がたった。この年に、母親が鬱と栄養失調により死亡した。これにより、また二人に重いストレスがかかる。さらにこの年から蒼の姉はアルバイトを始めていた。姉の方にはより大量のストレスがかかっていた。
~5年後~
この年は蒼のいじめが減ってきた年で、蒼の姉が、一流企業で成り上がっていた年でもある。この年から、放心状態だった紅羽が仕事に復帰している。

~現在~
「とまぁ今調べがついているところはここまでかなぁ。」
「…よくその状況からあそこまで立ち直れたものですね…普通自殺してしまっても仕方ないような状況なのに。」
「子どもたちの心の弱さと、生きようとする強い意志のおかげだろうなぁ…」
「……聞いた限り解決しようがない、これは2つの家族間の問題だから…だけど解った、今私が、私達が何をするべきか…紫音、ちょっといいかしら?」
「なんですか?」
「これから命令をします。あなたしかできません。蒼のそばにいてあげなさい。」
「!?…わかりました。」
「それと、口調は元に戻して接してあげること。」
「…わかったわ。じゃあ、行ってくる。」
ガチャ
「陽菜、おまえあんな感じだったっけ?紫音も。」
「紫音は昔からあんな口調らしいわ。私のことも気になります?先生。」
「あぁ、少しな。」
「じゃあ先生に伝えてから私は行こうかな?ヒミツですよ?」
しおりを挟む

処理中です...