男狼(おとこおおかみ)

MERORE(メロル)

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ずっと、一緒にいられるように

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西之はすでに3階についていた。

「………はぁ、はぁ、はぁ。………………隠れなきゃ……!」

西之は、男狼の儀式をした教室に入った。

「…………!?……い、いやぁぁぁ!!な、なんで?なんでもうここにいるのよ!?」

西之の前には憐がいた。

姿は同じだから、レンと間違えている。

朦朧(もうろう)としていた憐の意識が、

西之の叫び声でしっかりとする。

「……!!ちょっとまてっ!俺は憐だ」

西之はまだ信じず、

怯えて、震えている。

「えーっと、あれだ!
俺は男狼じゃない、人間の、大里 憐だ!」

さすがの西之も理解したようで、落ち着いた。

するととたんに様子が一変し、

今度は憐を睨んできた。

「だったら……なんであんたは男狼のレンをみすみす逃がしたのよ!
おかげでひどい目に遭ったわ!」

「…………ごめん」

憐はあのとき、自分が不老不死となった事実に向き合えなくなって、

現実逃避していた。

ただ、教室の中で突っ立っていた。

「謝ってすむ問題じゃないわよ!
…………鈴だって、捕まったのよ?」

「…………なっ!…マジかよ」

そうして憐は、西之にある事実を話した。

「落ち着いて聞いてくれ。
あいつは、男狼はほんとに願いを叶えてくれる。
どんな願い事でもだ……!
そして、願いを叶えてもらったやつは、
代償として、

死ぬ」

西之はひどく動揺した。

だがなんとか憐は落ち着かせ、話を進めた。

「だから、坂口は生きてるかもしれない」

「なんでよ……」

西之の問いに憐は答える。

「お前らの願いは‘ずっと一緒にいられるように’だ。
なら、願いが叶うには、お前がいないと成立しない。
だから、お前と坂口が一緒にいる状況じゃないと無理なんだ。
とにかく、坂口からは離れたほうがいい」

その時だった。

坂口の声が、2人に聞こえる。

「みーちゃん?どこー?
出てきてよー!」

「………………ひっ!」

西之が悲鳴をあげる。

「………………そこだね」

その声が聞こえたと思うと、

こっちに向かってくる足音が聞こえた。

「……まずい、……隠れるぞ!!」

憐はロッカーの中に、

西之は黒板の前の、机の下に隠れた。

坂口が入ってくる。

明らかにその様子はおかしい。

坂口はしばらく探した後、ドアの前で止まる。

「…………ここじゃないのかな?」 

そう言ったと思うと、

ドアを開けて、閉めた音が聞こえた。

だが憐は見ていた。

ドアを開けた後、坂口は教室から出ずに、

閉めたことを。

出ていったと思った西之が机から出てくる。

「………………まっ!!」

「……………………あ」

西之は、見つかった。

「みーちゃん♥」

坂口の手には、彫刻刀があった。

「…………あ、あぁぁぁぁ!!」

「ずっと、一緒にいようね♥」

坂口は彫刻刀を持った手をあげる。

西之は恐怖で動けない。

「みーちゃん、待っててね?
後ですぐに逝くからね?」

ザシュッ

その音と共に、教室は真っ赤に染まった。

西之が倒れる。

そして…………

ザシュッ

坂口も、倒れた。

憐はロッカーから出る。

「あ、ああああああぁぁぁぁぁ!!!!
坂口!!!西之!!!!!!」

憐は叫ぶ。

その時、教室のドアが開く。

入ってきたのは、レンだった。

「「おや?まだいたのかい。
………………おお、大成功だ」」

憐と、坂口と西之を見てレンは言った。

レンが西之と坂口に触れる。

その瞬間、西之と坂口の死体に、異変が起きた。

くっついたのだ。

死体と死体が。

その姿は、もはや人間とは思えないほどになっていた。

「「…………願いは叶えた。
代償は……すでにもらった」」

そう言ってレンは笑った。

嘲笑った。

憐の頭のなかには、ずっとその声が響いていた。
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