男狼(おとこおおかみ)

MERORE(メロル)

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不死身

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石田と杜山の2人は、1階の倉庫で息を潜めていた。

西之達が、扉が開かないなどと言っている時、

出ていこうとしたのだが、

男狼のレンが来たので、咄嗟に隠れたのだ。

「どうする?学校から出られないんじゃ、逃げても意味ないぞ?」

石田が聞く。

「…………くそっ!願いなんか叶えてくれねぇじゃん」

杜山は石田の問いには答えず、

愚痴を言い始める。

「そもそも憐が誘ってきたからやったのによ!
最悪だぜ」

杜山の愚痴は、止まりそうにない。

どうやら怒りの矛先は、憐に向いたようだ。

その時、石田がいきなり小声で杜山に聞いた。

「なぁ、レン殺すか?」

杜山は石田と距離を少しあけて言う。

「……いや、殺すって…………そこまで怒ってねぇよ」

「違う」

石田が即座に訂正する。

「男狼の、レンだ」

「……は!?」

そして、静かな作戦会議が始まった。



教室では………………

「「いつまでそこにいるんだい?
…………まぁ、そこにずっといてくれるほうが、
僕にとっては好都合なんだけどね」」

レンが話しかける。

「何……だって?」

憐が体を震わせる。

恐怖感によってではない、

怒りによってだ。

「何……してんだよ」

憐が聞く。

「「何って?願いを叶え…………」」

憐がレンの言葉を遮る。

「そうじゃねぇよ!!
何で人を殺すんだよ!!」

憐は元からすぐにカッっとなる性格だ。

クラスメイトの死は、

もちろん、我慢できなかった。

「「…………は?」」

レンがすさまじいプレッシャーを放つ。

が、憐は怯まず、レンを睨む。

「命は……重いんだよ!
尊いんだよ!!

お前なんかが、簡単に奪っていいもんじゃ、
ねぇんだよ!!!!

何の理由があろうとだ!!!!!」

憐が激情する。

「「……だから人間は嫌いなんだ。
命は重い?分かってるよ!!!

分かってるからするんだよ!!!
その命の対価があるからだ!!!!

時は確かに進んでるのに、
君たちは同じことを言う。

技術も、文化も発展していくなかで、
成長していくなかで、

お前達の心は成長しない!!!

犠牲はどんなものにもでてくる!
願いには必ず代償があるんだよ!!!!!」」

何年ぶりだろうか。

男狼が思いを人間に話すのは。

いつ頃からだろうか。

男狼が、人間に感謝しなくなったのは。

いや、最初からかもしれない。

男狼、レンは吠える。

「「嫌いだ!!!!
僕は、お前達が嫌いだ!!!!

理解もせずに、僕達に押し付けるな!!!」」

そう言ってレンは憐に向かって走り出す。

同時、いや、少し遅れて憐も走り出す。

「「死ね!!人間!!!!!!

我らの悲しみと怒りを、知れぇぇぇぇぇ!!!!」」

レンは咆哮を上げる。


憐は咄嗟に、机の中から坂口が持っていたものと同じカッターナイフを取り出した。

「「そんなもので殺せると?
なめるなぁぁぁ!!!」」

「っ!!!!
西之と…………坂口のぉ!!!

敵(かたき)!!!!」

レンが振り上げた手を、

憐に向かって勢いよく降り下ろす。

それを憐は反射だけで避けた。

そして、そのまま刃を………………


ブスッ


レンの首もとに、刃が突き刺さる。

「……っらぁ!!!!」


ザシュッ


レンの首もとが、深く切り裂かれる。


プシュッ


傷口から、血が吹き出る。

血は憐の顔にかかった。


ギョロ


レンの目が、しっかりと憐を見つめる。

瞬間、レンの傷口がふさがっていく。

たったの一瞬で、

憐のつけた渾身の一撃による傷はなおってしまった。

「……そ、んな」

「「残念だったね」」

レンが言う。

その時、憐の首もとが裂けた。

血が、吹き出る。

憐とレンの痛覚などの感覚は、リンクしている。

だから、レンが受けたダメージを、

憐も受けたのだ。

くそ…………!

心の中で、憐はそう呟く。

薄れ行く意識の中で、憐は聞いた。

「「僕は殺せないよ」」

心の中まで、絶望で黒く染まった気がした。

やつは、殺せない。

殺しては、いけないのだ。

そうして憐の意識は闇へと落ちた。

「「ふぅ、やっぱり、痛いねぇ」」

レンが呟く。

「「本物と戦うのは、よしたほうがいいねぇ。
…………あと、83回……か」」

教室には、そのレンの言葉しか聞こえなかった。

 
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