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本
しおりを挟む「「僕は殺せないよ」」
レンのその言葉を聞いた後、
憐は深い眠りについていた。
その頃、石田達は、1階の倉庫で、
レンを殺すための武器を探していた。
この高校の倉庫には、色々な物があるのだ。
「キングー何か見つかったか?」
杜山が、真後ろにいる石田に聞く。
「何もねぇな…………そっちは?」
「こっちも。……全然だ」
「さっきのぐらいしかねぇみたいだな」
石田が、木製の台の上に置かれた鉈を見て言う。
「ああ。でも、これでもなかなかの収穫だと思うぜ」
「…………これで、ほんとに殺せるのか?」
石田が不安そうに聞く。
「バカいえ。
男狼といえど、今は普通の男だ
さすがに死なないってのはただの噂だ」
杜山のその言葉でも、石田はまだ不安そうにしている。
「………………まぁ、これで死ななかったら2人で自殺でもしてみるか?」
ケラケラと明らかに無理をした笑顔で杜山が言う。
「…………ははっ。
笑えねぇな………………」
「ああ、ほんとに…………
こればかりは俺もどうしようもねぇよ」
杜山が暗い表情で言う。
「………………笑えよ、らしくねぇな」
石田の言葉に、杜山は驚く。
「ははははははは!!!
まさかお前にそんなこと言われる時がくるなんてな。
俺も落ちたもんだぜ」
「これから、上がればいい」
杜山はさらに笑う。
そして、石田に本当の笑顔で言う。
「2人で……な」
「……!!
ああ、2人でだ…………!」
2人は倉庫で笑いあう。
「もう少し、探してみるか?」
石田が聞く。
「……ああ、そうだな」
そうして2人は捜索を再開する。
ガタッ
石田が、古い本棚にぶつかる。
あちこちが壊れていて、
ボロボロだ。
「……おっと!」
倒れそうになった本棚を、石田が間一髪で支える。
その時、一冊の古そうな薄い本が落ちてきた。
「…………ん?」
それを石田が拾う。
埃が被っていて、題名が読めない。
それを石田が払う。
「………………なっ!!」
「……?どうした?」
杜山が石田の元へと駆け寄る。
「…………!!これは、……」
石田が本の題名を読む。
「“男狼について”…………だと?」
本には確かにそう記されていた。
「どういうことだよ」
杜山が聞く。
「……わからねぇ。
とりあえず、開けるぞ?」
杜山は、無言で頷く。
1ページ目は、男狼の呼び出し方についてだった。
これは石田達も知っている。
だが、次だ。
次にページをめくった先には、
石田達も知らない真実が示されている。
石田が、次のページへと、手をかける。
「「みぃつけたぁ」」
石田達の後ろには、
いつの間にかレンがいた。
「…………なっ!!」
石田は驚きの声をあげる。
だが、杜山は動揺しなかった。
瞬時にレンの後ろへと回り込み、
手に入れた鉈を降り下ろした。
ザシュッ
レンの背中が深く切り裂かれる。
同時に教室の憐の体も。
「…………殺ったか!?」
杜山が叫ぶ。
だが………………
「「…………全く、どれだけ繰り返せば分かるのかな?
残念ながら、僕は死なないよ」」
完全に傷をなおしたレンが、
石田の持つ本へと手をのばす。
「「この本。
…………返してもらうよ?」」
「……っ圭!!!!」
石田は杜山に本を投げ渡した。
奇跡的に、それは杜山の手へと綺麗に渡る。
「逃げろ!!
絶対それは渡すな!!!
その本には、男狼についての、
何か重要なことがあるはずだ!!!!!」
「……でも!」
「行け!!」
「二人で、二人で行くんだろ?」
杜山が聞く。
「…………ああ、約束する。
だから……」
石田がそう言うと、無言で杜山は倉庫の出口へと走った。
「「身代わりになるつもりかい?」」
レンが聞く。
「ああ。
でも、ただの身代わりじゃあねぇぜ……」
「「ほう、どういうことだい?」」
レンが興味をしめす。
石田は、笑みを浮かべる。
「どうせ身代わりならよ、
面白いことしなくちゃな!」
そう言って石田は、
レンの体を引き裂いた鉈を持って構える。
「「どういうつもりだい?」」
「殺せないなろよ、何度でも、殺してやるよ!!
さあ、こい!
俺………………我の前にひれ伏せ!!!!!」
にやりと笑って、石田は言った。
「「あっははははははは!!!
やっぱり君たちは面白い。
面白い、けど、
不愉快だね!!!!!
僕を殺すって?殺ってみなよ」」
1人のキングと呼ばれた少年と、
時の牢獄から解き放たれた狼が、
戦いの火花を散らした。
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