8 / 13
本
しおりを挟む「「僕は殺せないよ」」
レンのその言葉を聞いた後、
憐は深い眠りについていた。
その頃、石田達は、1階の倉庫で、
レンを殺すための武器を探していた。
この高校の倉庫には、色々な物があるのだ。
「キングー何か見つかったか?」
杜山が、真後ろにいる石田に聞く。
「何もねぇな…………そっちは?」
「こっちも。……全然だ」
「さっきのぐらいしかねぇみたいだな」
石田が、木製の台の上に置かれた鉈を見て言う。
「ああ。でも、これでもなかなかの収穫だと思うぜ」
「…………これで、ほんとに殺せるのか?」
石田が不安そうに聞く。
「バカいえ。
男狼といえど、今は普通の男だ
さすがに死なないってのはただの噂だ」
杜山のその言葉でも、石田はまだ不安そうにしている。
「………………まぁ、これで死ななかったら2人で自殺でもしてみるか?」
ケラケラと明らかに無理をした笑顔で杜山が言う。
「…………ははっ。
笑えねぇな………………」
「ああ、ほんとに…………
こればかりは俺もどうしようもねぇよ」
杜山が暗い表情で言う。
「………………笑えよ、らしくねぇな」
石田の言葉に、杜山は驚く。
「ははははははは!!!
まさかお前にそんなこと言われる時がくるなんてな。
俺も落ちたもんだぜ」
「これから、上がればいい」
杜山はさらに笑う。
そして、石田に本当の笑顔で言う。
「2人で……な」
「……!!
ああ、2人でだ…………!」
2人は倉庫で笑いあう。
「もう少し、探してみるか?」
石田が聞く。
「……ああ、そうだな」
そうして2人は捜索を再開する。
ガタッ
石田が、古い本棚にぶつかる。
あちこちが壊れていて、
ボロボロだ。
「……おっと!」
倒れそうになった本棚を、石田が間一髪で支える。
その時、一冊の古そうな薄い本が落ちてきた。
「…………ん?」
それを石田が拾う。
埃が被っていて、題名が読めない。
それを石田が払う。
「………………なっ!!」
「……?どうした?」
杜山が石田の元へと駆け寄る。
「…………!!これは、……」
石田が本の題名を読む。
「“男狼について”…………だと?」
本には確かにそう記されていた。
「どういうことだよ」
杜山が聞く。
「……わからねぇ。
とりあえず、開けるぞ?」
杜山は、無言で頷く。
1ページ目は、男狼の呼び出し方についてだった。
これは石田達も知っている。
だが、次だ。
次にページをめくった先には、
石田達も知らない真実が示されている。
石田が、次のページへと、手をかける。
「「みぃつけたぁ」」
石田達の後ろには、
いつの間にかレンがいた。
「…………なっ!!」
石田は驚きの声をあげる。
だが、杜山は動揺しなかった。
瞬時にレンの後ろへと回り込み、
手に入れた鉈を降り下ろした。
ザシュッ
レンの背中が深く切り裂かれる。
同時に教室の憐の体も。
「…………殺ったか!?」
杜山が叫ぶ。
だが………………
「「…………全く、どれだけ繰り返せば分かるのかな?
残念ながら、僕は死なないよ」」
完全に傷をなおしたレンが、
石田の持つ本へと手をのばす。
「「この本。
…………返してもらうよ?」」
「……っ圭!!!!」
石田は杜山に本を投げ渡した。
奇跡的に、それは杜山の手へと綺麗に渡る。
「逃げろ!!
絶対それは渡すな!!!
その本には、男狼についての、
何か重要なことがあるはずだ!!!!!」
「……でも!」
「行け!!」
「二人で、二人で行くんだろ?」
杜山が聞く。
「…………ああ、約束する。
だから……」
石田がそう言うと、無言で杜山は倉庫の出口へと走った。
「「身代わりになるつもりかい?」」
レンが聞く。
「ああ。
でも、ただの身代わりじゃあねぇぜ……」
「「ほう、どういうことだい?」」
レンが興味をしめす。
石田は、笑みを浮かべる。
「どうせ身代わりならよ、
面白いことしなくちゃな!」
そう言って石田は、
レンの体を引き裂いた鉈を持って構える。
「「どういうつもりだい?」」
「殺せないなろよ、何度でも、殺してやるよ!!
さあ、こい!
俺………………我の前にひれ伏せ!!!!!」
にやりと笑って、石田は言った。
「「あっははははははは!!!
やっぱり君たちは面白い。
面白い、けど、
不愉快だね!!!!!
僕を殺すって?殺ってみなよ」」
1人のキングと呼ばれた少年と、
時の牢獄から解き放たれた狼が、
戦いの火花を散らした。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
二重のカーテン (スカートの下の黒い意志)
MisakiNonagase
青春
洗濯物の隙間に隠したのは、母としての祈りと、娘のプライド。
かつて、女子高生という生き物はもっと無防備で、自由だった。
44歳の主婦、愛子が朝のベランダで手にするのは、娘たちが毎日履き替える漆黒のオーバーパンツ、通称「黒パン」。それは、令和を生きる娘たちが自らの尊厳を守るために身に着ける、鉄壁の「鎧」だった。
小学校時代のママ友たちとのランチ会。そこで語られるのは、ブルセラショップに下着を売っていた奔放な50代、無防備なまま凛と歩くしかなかった40代、そして「見せないこと」に命を懸ける10代の、あまりに深い断絶。さらには、階段で石像のように固まる父、生徒の背後に立たないよう神経を削る教師……。
一枚の黒い布を通して浮き彫りになる、現代社会の歪さと、その根底にある不器用なまでの「優しさ」。
ベランダに干された黒いカーテンの向こう側に、あなたは何を見ますか?
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる