男狼(おとこおおかみ)

MERORE(メロル)

文字の大きさ
12 / 13

4階

しおりを挟む

70回目。

あれから憐が、殺された回数。

「「あと10回だけど、何か言いたいことはあるかい?」」

レンが聞く。

「「あ、先に言っておくと、

あと10回なのな僕だけだからね」」

憐がその言葉に反応する。

「「他の大神も、復活させてもらうよ?」」

そう言ったレンの顔を、

憐は、震えながらも、顔をあげて見た。

「っ!!」

レンは、笑っていた。

喜んでいる。

憐はその表情に、今まで感じたことのない恐怖を感じた。

レンは続ける。

「「そーだね。

少なくてもあと、


1億回

は、死んでね?」」

憐が、震えながらも、残る力を振り絞って叫ぼうとする。

「………………も……」

「「も?」」

「もう、止めて…………くれ。

もう…………もう、もう嫌だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

憐が叫び、逃げ惑う。

「「精神が、もたなかったか…………
まあいい」」

そう言ってレンは追いかける。

教室から飛び出した憐は、

すでに少しずつ冷静さを取り戻しつつあった。

左の階段へと向かい、階段を下がる。

「「そうミスミスと逃がさないよ?」」

階段を下がりきった憐は驚く。

一緒なのだ。

景色が。

教室も、全て同じだ。

確かに下がったはずなのに、

まだ3階にいる。

先程飛び出た教室の前には、

楽しそうに笑うレンの姿があった。

「「やあ、おかえり♪」」

「……くっそ!」

憐は次に、階段を上りはじめた。

「下に行けないなら…………上だ……!」

その様子を見たレンは決める。

今、狩ると。

今が最善のタイミングだと。

そう思い、憐を追う。

全速力でだ。

このままではすぐに追い付かれる。

そう思いながら憐は必死で走る。

「………………!!……何で!?」

憐の前には、壁があった。

4階への道がないのだ。

「「残念だったね」」

憐の後ろには、レンが迫ってきていた。

もう、追い付かれる。

「…………っ!!どうにでも……なれっ!!!」

憐はそのまま走り、壁にぶつかる直前で上空へと跳んだ。

「「……?」」

レンにはその行動が理解できない。

壁蹴り。

憐がおもいっきり目の前の壁を蹴った。

「…………っらぁ!!!」

その勢いで憐はレンの背後へと移動することに成功する。

「っ!うわぁ!!」

憐は、着地を失敗し、一気に階段の下へと転び落ちた。

「ぐあ!」

激痛を感じながらも、憐は走る。

今度は、右の階段へと。

左が行けなくなった。

なら、右は行けるようになったのかもしれない。

そう考え、憐は走り続ける。

憐の予想外の行動に動揺したのか、レンとはまだ距離がある。

憐は階段へとたどり着き、かけ上る。

「…………頼むから、開いててくれよ……?」

小声でそう放つ憐の表情は、真剣だ。

当たり前だ。

これは生死を賭けた賭けなのだから。

憐の額を、冷や汗が撫でる。

階段の終わり、憐は驚く。

「……マジかよ」

通れなくなっていたはずの右の階段から繋がる4階への道が、続いていたのだ。

憐はひとまずの賭けに勝つ。

「「ま…………て……!!!」」

レンが追いかけてくる。

「「まてぇ!!!!!大里 憐!!!!」」

その怒鳴り声と共に、

レンの姿が変わってゆく。

身体中から毛がはえ、

指の爪は伸びて鋭くなった。

さらに鼻先がのび、

口内からは鋭い牙が見える。

やがてそれは、よに言う狼男の姿へと、

変貌した。

恐怖に震えながらも、

憐は4階へと走る。

その時、レンが跳んだ。

そして、憐の真後ろへと着地する。

かなりあったように見えた距離は、

一瞬にしてゼロにされた。


バキッ


その嫌な音と共に、階段が崩壊していく。

「「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉん!!!」」

レンが吠える。

「う、ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

憐が4階へと飛び込む。


ドサッ


それは、憐の着地の音。

憐は見事に、4階へとたどり着いたのだ。

「………………!?」

突如、憐の視界が歪む。

その歪みがなくなった頃、

憐は白い空間にいた。

どこまで続いているのか、

それすらも分からない、不思議な空間。

ただ、その中で異彩を放つものがある。

それは憐の前にあった。

憐の前には、

ただ、真っ赤な扉が1つ。

その時、どこからか声が聞こえる。

『そこにある扉を使えば、

男狼から解放されます』

その声はおそらく女性だろう。

そしてその声は、

美しく、綺麗だった。  
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
隣国の国王キリアン(アルファ)に嫁がされたオメガの王子リュカ。 しかし実は、結婚から逃げ出した双子の弟セラの身代わりなのです… 本当の花嫁じゃないとばれたら大変! だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだんキリアンに惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

【完】はしたないですけど言わせてください……ざまぁみろ!

咲貴
恋愛
招かれてもいないお茶会に現れた妹。 あぁ、貴女が着ているドレスは……。

処理中です...