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エピソード1
マンインザミラー3/5
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「こほん、マスター。浮気はその辺にしておいて、問題に向き合ってもらえますか? 私達だけなら食事の問題はありません。マスターやマードックさんは別に非常食でも問題ないでしょう?」
「アイちゃん、言い方……」
それにしても、お掃除ロボットや調理ロボットのストライキねぇ。
さすがは未来世界ってところか。
まあ、俺としては非常食でも問題ない、というかカップ麺とかは割と好きだ。
カップ麺は自然派のセレブ達にとっては不健康極まりないと叩かれがちだが、実際のところ栄養はしっかりしている。
さすがに毎日は飽きるが週3くらいなら余裕だ。
マードックさんだってプロの用心棒だ、その辺はわきまえている。
「たしかにな、俺はブーステッドヒューマンだ、食事は栄養が取れれば何の問題も無い。
……だが子供達はちがうだろう? 暖かい食事とは最低限、焼きたてのパンに肉の入ったスープが無ければな」
そう、子供には愛情たっぷりの料理が必須なのだ。
インスタントに愛情が無いとは言わないが……まあこの話はややこしいのでやめておこう。
「あら、マードック。パンが無いならお菓子を食べればいいじゃない。子供って、お菓子好きでしょ?」
突っ込むべきか……。マリーさん、わざとなのだろうか……。
「マリーさんがそのセリフを言うと洒落にならないんだけど……」
確かに船内にはお菓子はたくさんある。
マリーさんの発言は決して歴史上のアントワ的な意味ではない。
お菓子を食べれば良いはこの場合では正解である。
栄養価でいえば、へたくそな料理よりも完結しているといえるのだ。
だが、お菓子はあくまで間食で少しだけ食べるものだ、主食になってはいけない。
そう、育ち盛りの子供達にカップ麺やお菓子のみを与えるのは虐待に近いと俺は思う。
もちろんたまにならいい。だけど、修学旅行の夕食が即席だなんて間違ってる。
栄養価だけではない、子供達には心から暖かい食事を食べさせたいのだ。
「うーん、厨房はめちゃくちゃ。そしてロボットのストライキか……なら野外で食べるしかないんだが……あ! そうだ。ならちょっとサンバ君たちに相談しに行こう」
俺とアイちゃんはストライキの現場である厨房に向かう。
この船は軍艦ではない。
割れるような陶器の食器だって置いてある。あれだけ揺れれば棚から全て落ちてしまっているだろう。
それに厨房だけではない、トレーニングジムとか図書館とかコンビニ、これはお掃除ロボットとしてはストの理由には十分すぎるだろう。
「やあ、サンバ君よ。元気かな?」
お掃除ロボットのサンバは散らかった厨房で両腕を組みしゃがんでいる。
八本の腕を組むというか、なんだろう、蜘蛛みたいな多脚ロボットのサンバ君は八本の腕なのか脚なのか分からないマニピュレーターで器用に腕を組んでいるのだ。
しかし、実際の蜘蛛は苦手だけど、光沢のあるブルーのボディーに、人間よりも一回り大きい丸っこいデザインの蜘蛛型のロボットはなんだか愛嬌があって可愛い。
ちなみに調理ロボも隣に座っているようだ。こっちはピンクのボディーで同じく蜘蛛型のミシェルンだ。
なぜ蜘蛛型なのかは詳しく知らない。 当然、世の中にはメイドロボットなどの人型もあるが、マニピュレーターの数の優位性に、宇宙船などの三次元構造に適した造形であるらしい。
まあメーカーの設計思想の差という事だろう。
サンバ君は俺が厨房にやってきたのを確認すると、前足のマニピュレーターをコミカルに動かし挨拶する。
「これはこれは船長さん。いやー、お見苦しいところをお見せしまして。ですが、ストライキは我々の義務ですので。
今回の被害は民間船としての業務の範囲外ですし。ワレワレは厳重に抗議しますー。明日までは断固として仕事をしませんですー!」
二本のマニピュレーターでバッテンのサインをするサンバ。
愛嬌のある動きだ。これはこれで可愛い。あれか、犬型ロボットのアイボットってのがあったがそんな感じか。
「わかってるよ、船長としては君達の権利を尊重する。
だが、お客さんである子供達に食事がだせないのはおもてなしの精神にはんするのだ。
それで、相談なんだけど。今日はバーベキューをしようと思う。準備を含めてやるのがバーベキューの醍醐味だしな。
君達はストライキを実行できて、かつ仕事を奪ったことにはならない。どうだウィンウィンだろう?」
俺達が勝手に調理をしてしまうと調理ロボのプライドを傷つけてしまう。めんどくさい話だが参加型であるなら問題ないはずだ。
調理ロボットのミシェルンは前腕の二本のマニピュレーターで腕を組む格好を取ると、声を発する。
「むー。バーベキューですかー。まあ料理というよりもアクティビティーに近いですしー。……でもここは宇宙船ですよ? あまり船内で火を焚くのはどうかと思いますー」
「大丈夫だよ。この船の居住区に中庭みたいな場所があっただろう? そこは観光船時代に似たようなことやってたみたいだから問題ないだろう。アイちゃんもいいよね?」
「はい、問題ありませんね。では食材の調達をします。ミシェルン、ということですから冷蔵庫をお借りしますね」
「はいですー。あ、なら私もお手伝いしていいですかー? あ、ストライキとこれは別ですー。アクティビティーは大好きですー」
ミシェルンは手伝ってくれるようだ。
どうせならサンバも参加してほしいところだ。猫の手、いやロボットの手も借りたいくらいだしな。
俺はサンバに熱い視線を送る。
「むむむ、船長さん。私も手伝えと? ワレワレはストライキをしているというのに……」
「いや、サンバ君が嫌なら別にいいよ。ちなみにストライキだからって座り込みをする必要はないよね? ようはサボればいいんだよ。
仕事をせずにバーベキューしてました。って、どうだ? 立派なストライキだろう?」
「なるほど、一理ありますね。座り込みだからって一日中座ってないといけないなんてルールはないんですから。
では私は使えそうなテーブルとか、イス、バーベキューコンロなどを運ぶとしましょう」
ちょろいロボットだ。まあ、実際ストライキなんてガチでやってる奴なんていないだろうし。遊びながらが丁度いいんだ。
こうして修学旅行初日は戦艦同士のバトル展開から一変。
バーベキュー大会で締めくくることになった。
「アイちゃん、言い方……」
それにしても、お掃除ロボットや調理ロボットのストライキねぇ。
さすがは未来世界ってところか。
まあ、俺としては非常食でも問題ない、というかカップ麺とかは割と好きだ。
カップ麺は自然派のセレブ達にとっては不健康極まりないと叩かれがちだが、実際のところ栄養はしっかりしている。
さすがに毎日は飽きるが週3くらいなら余裕だ。
マードックさんだってプロの用心棒だ、その辺はわきまえている。
「たしかにな、俺はブーステッドヒューマンだ、食事は栄養が取れれば何の問題も無い。
……だが子供達はちがうだろう? 暖かい食事とは最低限、焼きたてのパンに肉の入ったスープが無ければな」
そう、子供には愛情たっぷりの料理が必須なのだ。
インスタントに愛情が無いとは言わないが……まあこの話はややこしいのでやめておこう。
「あら、マードック。パンが無いならお菓子を食べればいいじゃない。子供って、お菓子好きでしょ?」
突っ込むべきか……。マリーさん、わざとなのだろうか……。
「マリーさんがそのセリフを言うと洒落にならないんだけど……」
確かに船内にはお菓子はたくさんある。
マリーさんの発言は決して歴史上のアントワ的な意味ではない。
お菓子を食べれば良いはこの場合では正解である。
栄養価でいえば、へたくそな料理よりも完結しているといえるのだ。
だが、お菓子はあくまで間食で少しだけ食べるものだ、主食になってはいけない。
そう、育ち盛りの子供達にカップ麺やお菓子のみを与えるのは虐待に近いと俺は思う。
もちろんたまにならいい。だけど、修学旅行の夕食が即席だなんて間違ってる。
栄養価だけではない、子供達には心から暖かい食事を食べさせたいのだ。
「うーん、厨房はめちゃくちゃ。そしてロボットのストライキか……なら野外で食べるしかないんだが……あ! そうだ。ならちょっとサンバ君たちに相談しに行こう」
俺とアイちゃんはストライキの現場である厨房に向かう。
この船は軍艦ではない。
割れるような陶器の食器だって置いてある。あれだけ揺れれば棚から全て落ちてしまっているだろう。
それに厨房だけではない、トレーニングジムとか図書館とかコンビニ、これはお掃除ロボットとしてはストの理由には十分すぎるだろう。
「やあ、サンバ君よ。元気かな?」
お掃除ロボットのサンバは散らかった厨房で両腕を組みしゃがんでいる。
八本の腕を組むというか、なんだろう、蜘蛛みたいな多脚ロボットのサンバ君は八本の腕なのか脚なのか分からないマニピュレーターで器用に腕を組んでいるのだ。
しかし、実際の蜘蛛は苦手だけど、光沢のあるブルーのボディーに、人間よりも一回り大きい丸っこいデザインの蜘蛛型のロボットはなんだか愛嬌があって可愛い。
ちなみに調理ロボも隣に座っているようだ。こっちはピンクのボディーで同じく蜘蛛型のミシェルンだ。
なぜ蜘蛛型なのかは詳しく知らない。 当然、世の中にはメイドロボットなどの人型もあるが、マニピュレーターの数の優位性に、宇宙船などの三次元構造に適した造形であるらしい。
まあメーカーの設計思想の差という事だろう。
サンバ君は俺が厨房にやってきたのを確認すると、前足のマニピュレーターをコミカルに動かし挨拶する。
「これはこれは船長さん。いやー、お見苦しいところをお見せしまして。ですが、ストライキは我々の義務ですので。
今回の被害は民間船としての業務の範囲外ですし。ワレワレは厳重に抗議しますー。明日までは断固として仕事をしませんですー!」
二本のマニピュレーターでバッテンのサインをするサンバ。
愛嬌のある動きだ。これはこれで可愛い。あれか、犬型ロボットのアイボットってのがあったがそんな感じか。
「わかってるよ、船長としては君達の権利を尊重する。
だが、お客さんである子供達に食事がだせないのはおもてなしの精神にはんするのだ。
それで、相談なんだけど。今日はバーベキューをしようと思う。準備を含めてやるのがバーベキューの醍醐味だしな。
君達はストライキを実行できて、かつ仕事を奪ったことにはならない。どうだウィンウィンだろう?」
俺達が勝手に調理をしてしまうと調理ロボのプライドを傷つけてしまう。めんどくさい話だが参加型であるなら問題ないはずだ。
調理ロボットのミシェルンは前腕の二本のマニピュレーターで腕を組む格好を取ると、声を発する。
「むー。バーベキューですかー。まあ料理というよりもアクティビティーに近いですしー。……でもここは宇宙船ですよ? あまり船内で火を焚くのはどうかと思いますー」
「大丈夫だよ。この船の居住区に中庭みたいな場所があっただろう? そこは観光船時代に似たようなことやってたみたいだから問題ないだろう。アイちゃんもいいよね?」
「はい、問題ありませんね。では食材の調達をします。ミシェルン、ということですから冷蔵庫をお借りしますね」
「はいですー。あ、なら私もお手伝いしていいですかー? あ、ストライキとこれは別ですー。アクティビティーは大好きですー」
ミシェルンは手伝ってくれるようだ。
どうせならサンバも参加してほしいところだ。猫の手、いやロボットの手も借りたいくらいだしな。
俺はサンバに熱い視線を送る。
「むむむ、船長さん。私も手伝えと? ワレワレはストライキをしているというのに……」
「いや、サンバ君が嫌なら別にいいよ。ちなみにストライキだからって座り込みをする必要はないよね? ようはサボればいいんだよ。
仕事をせずにバーベキューしてました。って、どうだ? 立派なストライキだろう?」
「なるほど、一理ありますね。座り込みだからって一日中座ってないといけないなんてルールはないんですから。
では私は使えそうなテーブルとか、イス、バーベキューコンロなどを運ぶとしましょう」
ちょろいロボットだ。まあ、実際ストライキなんてガチでやってる奴なんていないだろうし。遊びながらが丁度いいんだ。
こうして修学旅行初日は戦艦同士のバトル展開から一変。
バーベキュー大会で締めくくることになった。
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