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エピソード1
マンインザミラー4/5
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「よーし! 子供達よ、そろっているな。今日は建物が使えないから屋外でバーベキューだ!」
子供たちは先程まで警察に捕まると思っていたのか、暗い表情であったが今はすっかり晴々としている。
俺がサンバとミシェルンの説得をしている間にマードックさんとマリーさんが世話をしてくれていたためだ。
以外なことに、二人は子供の面倒が得意なようだ。
マリーさんはワイヤーソーを巧みに使ってマジックショーをしている。
マードックさんは男の子たちにショットガンを分解、メンテナンスの実習といったところだ。
いつの時代も銃というのは男の子を惹きつけてやまない。
そんな中、クラス委員長のトシオ君は俺に改めて御礼を言ってきた。
「あの、イチローさん。本当にありがとうございました」
深々と頭を下げるトシオ君。名前からして彼のルーツは日系人だろう。
アーススリーは環境がほぼ地球と同じであり、第二の地球として期待され大規模な移民が行われた歴史がある。
歴史は僅か200年あまりであるが、経済状況は地球には劣るものの教育は行き届いているといえる。
ただ、贅沢な遊び、例えば宇宙旅行といったものはまだまだ庶民には行き届いていない。
「よーし、クラスの皆! 注目! 俺は福祉船アマテラスの船長、イチロー・スズキだ。あれだぞ? レーザービームは撃たないから安心してくれよな! ……ここは笑うところだぞ?」
きょとんとしている子供達。
俺の渾身のギャグだったのだが……見事に滑ったな。
まあ、いい。
「よし! 子供達よ揃っているな、今日は建物が使えないから屋外でバーベキューだ!」
宇宙船内で屋外とはいったい、といった感じで子供たちの視線を感じるが、この船は元々観光船なのだ。
居住区画にあるホテルにはとうぜん中庭がある。
さすがに観光船時代にあった、大げさな噴水とか、火を噴く火山、そういったメンテナンス性の悪いモニュメントは無いが、人工芝に土がある広場やテニスコートなどは普通にあるのだ。
たかが子供達100人程度、余裕である。
「あの、スズキさん。先生たちは大丈夫なんでしょうか?」
トシオ君が手を上げて質問をする。
「ああ、問題ない。今は医務室で休んでいるよ。診療の結果、健康に問題は無いそうだ、もうすぐ起きるんじゃないかな」
まあ、犯人捜しはクリステルさんに任せてあるし。俺は子供達の心のケアを最優先だ。
「よーし、安心したらお腹が空いただろ? だが、バーベキューは待ってるだけではできないんだぜ?
まずは火起こし、そして肉や野菜を串に刺して下味をつけたりと、やることは多いんだ」
こうして。楽しいバーベキューパーティーが始まった。
もくもくと煙があがる船内。
さすがに宇宙船でバーベキューは無茶だったか。
勢いよく上がる煙にちょっと危機感を感じてしまう。
「アイちゃん。やっぱまずかったかな……」
「問題ないですよ。船内にはコジマクリーナーを導入していますので」
「コジマクリーナー?」
その単語を聞いたお掃除ロボットのサンバが代わりに答える。
「船長さん。コジマクリーナーとは、私の生まれたコジマ重工製の空気清浄機です。
コジマ粒子によって空気中の毒素を分解する、環境への配慮を目的に開発されたベストセラー商品です。
もちろん宇宙船でも大活躍なのです。えっへん」
テーブルを地面に設置しながら、マニピュレーターをくるくる回し得意顔だ。
もちろん蜘蛛型なので人間の様な顔は無いがなんとなくそんな気がしたのだ。
「コジマ重工ねぇ、ってことは日系企業かな?」
マニピュレータを器用に動かしながら、テーブルの上に並んだ食材の下ごしらえをしているミシェルンも、空いているほうのマニピュレーターをクルクル回しながら答える。
「そのとおりですー。コジマ重工のルーツは日本にあるですー。
ちなみに我々のような蜘蛛型ロボットは、コジマ重工の名誉顧問にしてマーベル科学賞を受賞した天才科学者ゴロウ・ムラマサ博士が開発したのですー。
その完成度の高さは三次元機動を可能にし、二足歩行にこだわる業務用ロボットの世界に革命をもたらしたのですー」
なるほど、サンバもミシェルンもコジマ重工製ってことか。
ひょっとしたらダミ声の猫型ロボットなんかもいたりしてな。
ふーふーふー、ほんとに君は馬鹿だなー、ってのろまな主人公に辛辣なことを言う、あの憎らしく可愛い二頭身の猫型ロボ……。
「なあアイちゃん。コジマ重工って工場見学とかやってないかな。これからの日程に挟み込んでもいいかもだ」
「マスターが何を思っているのかは分かりませんが、さすがに予約はもっと前から……おや、今からでも間に合いますね。明後日ならスケジュールが空いているそうです。でも工場見学って楽しいですかね?
私たち人工生命体の観点では製造過程を見られるのはちょっと恥ずかしいのですが……。
ちなみにマスターが期待しているようなドラいさん的なのはいないと思いますよ?」
バレてたか。まあ、さすがに昨日まで大長編物を数作品見ていたからバレて当然か。
「そうか、少し残念。だが工場見学はいいものだぞ? 社会科見学では定番にして当たりだ。ちなみに場所はどこなの?」
「えっと、冥王星にある『コジマ重工、冥王星工場』ですね」
「うん? 冥王星って、なんでまたそんな辺境な星に」
「なんでも、今の工場長、現社長の息子さんだそうですが、彼が主導で冥王星に新たな工場を作ったそうです。理由は不明ですが、その辺は現地で聞けるんじゃないですか?」
「そっか、よし。ならばアイちゃん、予約をたのむよ。
子供達よ冥王星は知ってるかな? 怖い怖いハーデス様がいる星だぞぉお?」
「マスター。勘はいいんですよね……」
「うん? 何か言ったかい?」
「いいえ、さあマスター。私達もバーベキューの準備を、ちなみに私の身体であるこのメイド型アンドロイドはコジマ製の多脚タイプには劣ります。
ですが二本のマニピュレーターがありますので調理もできるのですよ。
それにさっきからサンバやミシェルンばかりが仕事をしています。
これでは権利違反が発生してしまいますよ? さあ、マスターも口ばかりではなく手を動かしましょう!」
もちろんそのつもりだ。ロボットの権利を侵害すると民事訴訟に繋がってしまうからな。
罰則はよくわからんが、経歴にはばっちりと記録されてしまう。前科持ちにはなりたくないものだ。
子供たちは先程まで警察に捕まると思っていたのか、暗い表情であったが今はすっかり晴々としている。
俺がサンバとミシェルンの説得をしている間にマードックさんとマリーさんが世話をしてくれていたためだ。
以外なことに、二人は子供の面倒が得意なようだ。
マリーさんはワイヤーソーを巧みに使ってマジックショーをしている。
マードックさんは男の子たちにショットガンを分解、メンテナンスの実習といったところだ。
いつの時代も銃というのは男の子を惹きつけてやまない。
そんな中、クラス委員長のトシオ君は俺に改めて御礼を言ってきた。
「あの、イチローさん。本当にありがとうございました」
深々と頭を下げるトシオ君。名前からして彼のルーツは日系人だろう。
アーススリーは環境がほぼ地球と同じであり、第二の地球として期待され大規模な移民が行われた歴史がある。
歴史は僅か200年あまりであるが、経済状況は地球には劣るものの教育は行き届いているといえる。
ただ、贅沢な遊び、例えば宇宙旅行といったものはまだまだ庶民には行き届いていない。
「よーし、クラスの皆! 注目! 俺は福祉船アマテラスの船長、イチロー・スズキだ。あれだぞ? レーザービームは撃たないから安心してくれよな! ……ここは笑うところだぞ?」
きょとんとしている子供達。
俺の渾身のギャグだったのだが……見事に滑ったな。
まあ、いい。
「よし! 子供達よ揃っているな、今日は建物が使えないから屋外でバーベキューだ!」
宇宙船内で屋外とはいったい、といった感じで子供たちの視線を感じるが、この船は元々観光船なのだ。
居住区画にあるホテルにはとうぜん中庭がある。
さすがに観光船時代にあった、大げさな噴水とか、火を噴く火山、そういったメンテナンス性の悪いモニュメントは無いが、人工芝に土がある広場やテニスコートなどは普通にあるのだ。
たかが子供達100人程度、余裕である。
「あの、スズキさん。先生たちは大丈夫なんでしょうか?」
トシオ君が手を上げて質問をする。
「ああ、問題ない。今は医務室で休んでいるよ。診療の結果、健康に問題は無いそうだ、もうすぐ起きるんじゃないかな」
まあ、犯人捜しはクリステルさんに任せてあるし。俺は子供達の心のケアを最優先だ。
「よーし、安心したらお腹が空いただろ? だが、バーベキューは待ってるだけではできないんだぜ?
まずは火起こし、そして肉や野菜を串に刺して下味をつけたりと、やることは多いんだ」
こうして。楽しいバーベキューパーティーが始まった。
もくもくと煙があがる船内。
さすがに宇宙船でバーベキューは無茶だったか。
勢いよく上がる煙にちょっと危機感を感じてしまう。
「アイちゃん。やっぱまずかったかな……」
「問題ないですよ。船内にはコジマクリーナーを導入していますので」
「コジマクリーナー?」
その単語を聞いたお掃除ロボットのサンバが代わりに答える。
「船長さん。コジマクリーナーとは、私の生まれたコジマ重工製の空気清浄機です。
コジマ粒子によって空気中の毒素を分解する、環境への配慮を目的に開発されたベストセラー商品です。
もちろん宇宙船でも大活躍なのです。えっへん」
テーブルを地面に設置しながら、マニピュレーターをくるくる回し得意顔だ。
もちろん蜘蛛型なので人間の様な顔は無いがなんとなくそんな気がしたのだ。
「コジマ重工ねぇ、ってことは日系企業かな?」
マニピュレータを器用に動かしながら、テーブルの上に並んだ食材の下ごしらえをしているミシェルンも、空いているほうのマニピュレーターをクルクル回しながら答える。
「そのとおりですー。コジマ重工のルーツは日本にあるですー。
ちなみに我々のような蜘蛛型ロボットは、コジマ重工の名誉顧問にしてマーベル科学賞を受賞した天才科学者ゴロウ・ムラマサ博士が開発したのですー。
その完成度の高さは三次元機動を可能にし、二足歩行にこだわる業務用ロボットの世界に革命をもたらしたのですー」
なるほど、サンバもミシェルンもコジマ重工製ってことか。
ひょっとしたらダミ声の猫型ロボットなんかもいたりしてな。
ふーふーふー、ほんとに君は馬鹿だなー、ってのろまな主人公に辛辣なことを言う、あの憎らしく可愛い二頭身の猫型ロボ……。
「なあアイちゃん。コジマ重工って工場見学とかやってないかな。これからの日程に挟み込んでもいいかもだ」
「マスターが何を思っているのかは分かりませんが、さすがに予約はもっと前から……おや、今からでも間に合いますね。明後日ならスケジュールが空いているそうです。でも工場見学って楽しいですかね?
私たち人工生命体の観点では製造過程を見られるのはちょっと恥ずかしいのですが……。
ちなみにマスターが期待しているようなドラいさん的なのはいないと思いますよ?」
バレてたか。まあ、さすがに昨日まで大長編物を数作品見ていたからバレて当然か。
「そうか、少し残念。だが工場見学はいいものだぞ? 社会科見学では定番にして当たりだ。ちなみに場所はどこなの?」
「えっと、冥王星にある『コジマ重工、冥王星工場』ですね」
「うん? 冥王星って、なんでまたそんな辺境な星に」
「なんでも、今の工場長、現社長の息子さんだそうですが、彼が主導で冥王星に新たな工場を作ったそうです。理由は不明ですが、その辺は現地で聞けるんじゃないですか?」
「そっか、よし。ならばアイちゃん、予約をたのむよ。
子供達よ冥王星は知ってるかな? 怖い怖いハーデス様がいる星だぞぉお?」
「マスター。勘はいいんですよね……」
「うん? 何か言ったかい?」
「いいえ、さあマスター。私達もバーベキューの準備を、ちなみに私の身体であるこのメイド型アンドロイドはコジマ製の多脚タイプには劣ります。
ですが二本のマニピュレーターがありますので調理もできるのですよ。
それにさっきからサンバやミシェルンばかりが仕事をしています。
これでは権利違反が発生してしまいますよ? さあ、マスターも口ばかりではなく手を動かしましょう!」
もちろんそのつもりだ。ロボットの権利を侵害すると民事訴訟に繋がってしまうからな。
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