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第1話 プロローグ
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目を覚ますと馬車が走る音が聞こえる。
……音だけだ。
目隠しをされているのだろう。
手を動かそうとしても縛られているため動けない。
おかげか聞こえる音に集中できる。
なにか話し声が聞こえてきた。
「へへ、今日は上玉を手に入れたぜ。こいつは高く売れるにちげえねぇ、お頭はよろこぶだろうぜ?」
「おい、お前、聞いてなかったのか? お頭はこのお嬢さんを傷一つ付けずにさらえと言ってただろうが」
「へぇ、ひょっとして、お頭の女にでもするつもりなんですかねぇ。すげぇ美人だから味見でもしようと思ったのによう」
「やめとけよ、そんなことしたら、お前の舌とその下の物も切られちまうぜ。はっはっは」
「ちょ! 冗談だよぉ、俺っちも、お頭は尊敬してんだ。逆らう真似なんてしねえよ。今回だって切り込み隊長を張ってくれたかと思ったら今度は殿を努めてくれてる。
そして毎回、敵の返り血で血みどろで帰ってくるんだからよぉ。あれは男として惚れちまうってもんだ」
「まったくだ、あの方は元騎士だって言ってたから最初は俺達もなめてた。でも瞬く間に俺らの頭になっちまった。それからだな、俺達が盗賊団として頂点に立てたのは」
私を縄で縛ったであろう男達の声が馬車の前から聞こえてきた。
そうか、私は人さらいにあったのだった。
状況を把握しないと。
そうだ、舞踏会で私は兄に侮辱の言葉を浴びせられ逃げたのだ。
上手く思い出せない。憶えておくのも必要のないくらい意味のない言葉だったし。
私を「家畜の分際で!」と言ったのは覚えている。罵るにしても他の言葉があるだろう。語彙力がないのかしら。
血の繋がりがある兄は、家畜の兄、つまりあなたも家畜ということを言っているというのに。
そのことに誰も気付かない取り巻きも馬鹿しかいない。
この王国は末期だ。私をかばってくれる人は一人もいなかった。
でも、ふふ、そうね、私が外に出た瞬間に爆発があったのははっきりと憶えている。
綺麗な花火だったわ、あれで兄が死んでくれたら面白いのに。
それなら、これからこの盗賊共の慰み者になる運命でも少しは希望が持てるもの。
◆
私はエフタル王国の第四王女。
私が物心つく頃には灰色の王女と呼ばれた。
髪の色が両親と異なっていたのだ。父親である王は金髪、母親は黒髪だった。
なのにまるで老人のように色の抜けた白に近い灰色だった。気味悪がった両親は私への愛はなかったのだろう。
今まで一度も私に会いに来ることはなかったのだから。
それでも、教育係となったレオンハルト・レーヴァテイン伯爵という老人だけは優しかった。
彼はもともとは公爵で、父親の叔父にあたるそうだ。しかし今は伯爵であり、将来の無い私の教育係である。
誰もやりたがらない第四王女の教育係。
外れくじを引きたくない貴族たちは当然断る。
そこで都合よく没落したこの老人が適任だったのだろう。
でもそれにはお礼しなくてはならない。
彼は真剣に私を教育してくれた。
5歳になるころには一通りの常識やこの国の置かれている事情についてはぼんやりとだが理解した。
遊び惚けている兄や姉よりも遥かに賢くなっただろう。
だけど、私に魔力が発現することはなかった。髪色と同じで私は抜け殻なのだろうか。
だから私は見捨てられたのだ。そんな事をこの頃に自覚した。
ある日、ひとりの貴族の女性が訪ねてきた。この国で爵位を持つ女性はひとりしかいない。
「やあ、レーヴァテイン殿、今日はお別れの挨拶に来たのだよ」
彼女は女性にしては背が高いし、顔つきも私が知ってる女性たちとは違う。
男装をしているからだと思ったがそれだけではない。
目つきは鋭く、どちらかといえば戦士の様な風貌だった。
レーヴァテイン伯爵は彼女を迎え入れる。
「わざわざ、この老いぼれの為に感謝の念に耐えません」
「なに、この国に心残りは、はっきり言って何も無い。が、ふと戦友の顔を思い出してな。
旅立つにあたり荷物の整理もかねて、持っていけないものは貴殿に譲渡しようというわけだ」
「ほう、わざわざ、ということは……家具や調度品ではないですな。魔剣ということですかな?」
「さすが相変わらず察しがいいな。二十番は王国が管理しているから無理じゃが。他の数本は貴殿に譲渡する。旅の邪魔だしな。それに貴殿なら間違えはせんだろう?」
「レオンハルト先生。その方はどなたですか?」
私は気になって応接室に顔をだした。
お客の女性は私を見て笑顔で言った。
「おや、可愛らしいお姫様。お初にお目にかかります。吾輩はルカ・レスレクシオン辺境伯と申します。
そして明日からは無職のニートです。いや反逆者ですかな。わっはっは」
随分フランクな人だった。それに。
「レスレクシオン……。貴方が天才で魔法機械技師で魔剣の製作者の? すごい! ずっと尊敬していました。私、クリスティーナと申します」
「はは、お姫様にまで吾輩の名が知られるとは光栄ですな。それに随分と聡明なご様子。レーヴァテイン殿の教育のたまものかな?」
私は伯爵の隣に座ると。二人は話を続けた。
譲渡する魔剣について書かれた書類を並べて使い方の説明を始めた。
私の分からない話を延々とするものだから、退屈になってしまった。
でも魔剣には興味があった。他の貴族たちは関心がないように思えたが私にはその有用性だけは理解していた。
「レオンハルト先生、私も魔剣がほしいです!」
「こらこら、姫様が剣など、はしたないですぞ。それに剣とは配下の騎士に授けるものです」
私は少しわがままになった。懐かしそうに目の前の女性と話をするレオンハルト先生に嫉妬してしまったのだ。
敬語なしで笑いながら話す二人は親友のようだった。私には友達もいないのに。
「なら、私にも騎士をください。もう5歳になるのですから。よろしいでしょう?」
レオンハルト先生は何か考え込む、そして、ふうっ、とため息をつくと。
「それは検討しておきましょう。しかし姫様、客人の前ですぞ。もう少し大人になってくださらないと承諾しかねますな」
「いやー吾輩のことは気にせずともよい、それに吾輩は長居できぬ。セバスちゃんが戻り次第すぐここを離れるのでな。……しかし、貴殿は穏やかになった。今の老後も案外よかったのではないか?」
「ふ、すっかり落ちぶれた私にそれをいいますか。……いいや、おっしゃる通りですな。すっかり隠居ジジイが板についてきましたわい。それに、先月生まれた孫娘が可愛くて可愛くてのう」
「ほう。お孫さんとはおめでたい。名前をお伺いしてもよろしいですかな?」
「もちろんですとも。私の不出来な次男の子で、シャルロットといいましてな。当初は心配しましたが、いざ生まれたら可愛くて可愛くて。目に入れても痛く無いとはよく言ったものですわい」
「あはは。すっかり孫馬鹿ジジイではないですか」
当時の私は、目の前で話すシャルロットという顔も知らない赤ん坊に嫉妬した。
私は可愛くないのだろうかと。
この日は普段と違う先生のいろんな表情を見れて嬉しかった半面、たくさん嫉妬した。
私の知らない外の世界の出来事や、その生活に嫉妬したのだ。
でもそれは子供の時の思い出だ。そして、私が幸せだった頃の大切な思い出。
私は10歳になる頃にはこの国の事情を全て把握した。
きっかけは教育係であるレオンハルト・レーヴァテイン伯爵の死。
死因は老衰だった。
死の間際に残してくれた、彼の書斎にあった日記に全て書いてあったのだ。
私のこれからを案じてくれたのだろう。
そう、このままだと私は確実に殺される。
だからこれからは目立たずに、無能のふりをして、なんとか生きるようにと。
そして日記の最後の一文にはこう書いてあった。
『恥の多い私の人生の中で、最後に姫様の教育係に選ばれたことは幸運だった。どうか健やかに。』
全て知った。この国は詰んでいる。
レオンハルト・レーヴァテイン公爵の降格と、その後にルカ・レスレクシオン辺境伯の失踪。
この国は唯一まともな貴族を失ってしまったのだ。
愚かな父やその取り巻き立ちのブレーキ役だった彼らを無くしたこの国に未来はない。
王の叔父であるレーヴァテイン伯爵が存命だったころは目の上のたんこぶだったのだろう。
父である王はあれでも自制していたのだ。
最近は毎日のように舞踏会を開いている。
レーヴァテイン伯爵が死んだ直後だというのに……。
レーヴァテイン伯爵家にはもう跡取りがいない。
とある遠征で長男を失い、次男が家督を継いだが。
もともと後継者ではないため絵画や歌に没頭した次男は向いていなかったのだろう。
彼は重圧に耐えられなかった。
一人娘を残して夫婦で自殺するという愚かな行いをした。幼い娘はレーヴァテイン伯爵が引き取り、彼が死ぬまでの数年間をすごしたようだ。
思えばその時から彼は一気に衰えていった気がした。
しかし、可哀そうな子がいたものだ。私がもっとも不幸だと思っていたけど、彼女の事を思えばすこしだけ楽になれた。……私は最低だ。
名前はなんといったかしら、シャルロット、いつか合えたらお友達になってくれるかしら。
……音だけだ。
目隠しをされているのだろう。
手を動かそうとしても縛られているため動けない。
おかげか聞こえる音に集中できる。
なにか話し声が聞こえてきた。
「へへ、今日は上玉を手に入れたぜ。こいつは高く売れるにちげえねぇ、お頭はよろこぶだろうぜ?」
「おい、お前、聞いてなかったのか? お頭はこのお嬢さんを傷一つ付けずにさらえと言ってただろうが」
「へぇ、ひょっとして、お頭の女にでもするつもりなんですかねぇ。すげぇ美人だから味見でもしようと思ったのによう」
「やめとけよ、そんなことしたら、お前の舌とその下の物も切られちまうぜ。はっはっは」
「ちょ! 冗談だよぉ、俺っちも、お頭は尊敬してんだ。逆らう真似なんてしねえよ。今回だって切り込み隊長を張ってくれたかと思ったら今度は殿を努めてくれてる。
そして毎回、敵の返り血で血みどろで帰ってくるんだからよぉ。あれは男として惚れちまうってもんだ」
「まったくだ、あの方は元騎士だって言ってたから最初は俺達もなめてた。でも瞬く間に俺らの頭になっちまった。それからだな、俺達が盗賊団として頂点に立てたのは」
私を縄で縛ったであろう男達の声が馬車の前から聞こえてきた。
そうか、私は人さらいにあったのだった。
状況を把握しないと。
そうだ、舞踏会で私は兄に侮辱の言葉を浴びせられ逃げたのだ。
上手く思い出せない。憶えておくのも必要のないくらい意味のない言葉だったし。
私を「家畜の分際で!」と言ったのは覚えている。罵るにしても他の言葉があるだろう。語彙力がないのかしら。
血の繋がりがある兄は、家畜の兄、つまりあなたも家畜ということを言っているというのに。
そのことに誰も気付かない取り巻きも馬鹿しかいない。
この王国は末期だ。私をかばってくれる人は一人もいなかった。
でも、ふふ、そうね、私が外に出た瞬間に爆発があったのははっきりと憶えている。
綺麗な花火だったわ、あれで兄が死んでくれたら面白いのに。
それなら、これからこの盗賊共の慰み者になる運命でも少しは希望が持てるもの。
◆
私はエフタル王国の第四王女。
私が物心つく頃には灰色の王女と呼ばれた。
髪の色が両親と異なっていたのだ。父親である王は金髪、母親は黒髪だった。
なのにまるで老人のように色の抜けた白に近い灰色だった。気味悪がった両親は私への愛はなかったのだろう。
今まで一度も私に会いに来ることはなかったのだから。
それでも、教育係となったレオンハルト・レーヴァテイン伯爵という老人だけは優しかった。
彼はもともとは公爵で、父親の叔父にあたるそうだ。しかし今は伯爵であり、将来の無い私の教育係である。
誰もやりたがらない第四王女の教育係。
外れくじを引きたくない貴族たちは当然断る。
そこで都合よく没落したこの老人が適任だったのだろう。
でもそれにはお礼しなくてはならない。
彼は真剣に私を教育してくれた。
5歳になるころには一通りの常識やこの国の置かれている事情についてはぼんやりとだが理解した。
遊び惚けている兄や姉よりも遥かに賢くなっただろう。
だけど、私に魔力が発現することはなかった。髪色と同じで私は抜け殻なのだろうか。
だから私は見捨てられたのだ。そんな事をこの頃に自覚した。
ある日、ひとりの貴族の女性が訪ねてきた。この国で爵位を持つ女性はひとりしかいない。
「やあ、レーヴァテイン殿、今日はお別れの挨拶に来たのだよ」
彼女は女性にしては背が高いし、顔つきも私が知ってる女性たちとは違う。
男装をしているからだと思ったがそれだけではない。
目つきは鋭く、どちらかといえば戦士の様な風貌だった。
レーヴァテイン伯爵は彼女を迎え入れる。
「わざわざ、この老いぼれの為に感謝の念に耐えません」
「なに、この国に心残りは、はっきり言って何も無い。が、ふと戦友の顔を思い出してな。
旅立つにあたり荷物の整理もかねて、持っていけないものは貴殿に譲渡しようというわけだ」
「ほう、わざわざ、ということは……家具や調度品ではないですな。魔剣ということですかな?」
「さすが相変わらず察しがいいな。二十番は王国が管理しているから無理じゃが。他の数本は貴殿に譲渡する。旅の邪魔だしな。それに貴殿なら間違えはせんだろう?」
「レオンハルト先生。その方はどなたですか?」
私は気になって応接室に顔をだした。
お客の女性は私を見て笑顔で言った。
「おや、可愛らしいお姫様。お初にお目にかかります。吾輩はルカ・レスレクシオン辺境伯と申します。
そして明日からは無職のニートです。いや反逆者ですかな。わっはっは」
随分フランクな人だった。それに。
「レスレクシオン……。貴方が天才で魔法機械技師で魔剣の製作者の? すごい! ずっと尊敬していました。私、クリスティーナと申します」
「はは、お姫様にまで吾輩の名が知られるとは光栄ですな。それに随分と聡明なご様子。レーヴァテイン殿の教育のたまものかな?」
私は伯爵の隣に座ると。二人は話を続けた。
譲渡する魔剣について書かれた書類を並べて使い方の説明を始めた。
私の分からない話を延々とするものだから、退屈になってしまった。
でも魔剣には興味があった。他の貴族たちは関心がないように思えたが私にはその有用性だけは理解していた。
「レオンハルト先生、私も魔剣がほしいです!」
「こらこら、姫様が剣など、はしたないですぞ。それに剣とは配下の騎士に授けるものです」
私は少しわがままになった。懐かしそうに目の前の女性と話をするレオンハルト先生に嫉妬してしまったのだ。
敬語なしで笑いながら話す二人は親友のようだった。私には友達もいないのに。
「なら、私にも騎士をください。もう5歳になるのですから。よろしいでしょう?」
レオンハルト先生は何か考え込む、そして、ふうっ、とため息をつくと。
「それは検討しておきましょう。しかし姫様、客人の前ですぞ。もう少し大人になってくださらないと承諾しかねますな」
「いやー吾輩のことは気にせずともよい、それに吾輩は長居できぬ。セバスちゃんが戻り次第すぐここを離れるのでな。……しかし、貴殿は穏やかになった。今の老後も案外よかったのではないか?」
「ふ、すっかり落ちぶれた私にそれをいいますか。……いいや、おっしゃる通りですな。すっかり隠居ジジイが板についてきましたわい。それに、先月生まれた孫娘が可愛くて可愛くてのう」
「ほう。お孫さんとはおめでたい。名前をお伺いしてもよろしいですかな?」
「もちろんですとも。私の不出来な次男の子で、シャルロットといいましてな。当初は心配しましたが、いざ生まれたら可愛くて可愛くて。目に入れても痛く無いとはよく言ったものですわい」
「あはは。すっかり孫馬鹿ジジイではないですか」
当時の私は、目の前で話すシャルロットという顔も知らない赤ん坊に嫉妬した。
私は可愛くないのだろうかと。
この日は普段と違う先生のいろんな表情を見れて嬉しかった半面、たくさん嫉妬した。
私の知らない外の世界の出来事や、その生活に嫉妬したのだ。
でもそれは子供の時の思い出だ。そして、私が幸せだった頃の大切な思い出。
私は10歳になる頃にはこの国の事情を全て把握した。
きっかけは教育係であるレオンハルト・レーヴァテイン伯爵の死。
死因は老衰だった。
死の間際に残してくれた、彼の書斎にあった日記に全て書いてあったのだ。
私のこれからを案じてくれたのだろう。
そう、このままだと私は確実に殺される。
だからこれからは目立たずに、無能のふりをして、なんとか生きるようにと。
そして日記の最後の一文にはこう書いてあった。
『恥の多い私の人生の中で、最後に姫様の教育係に選ばれたことは幸運だった。どうか健やかに。』
全て知った。この国は詰んでいる。
レオンハルト・レーヴァテイン公爵の降格と、その後にルカ・レスレクシオン辺境伯の失踪。
この国は唯一まともな貴族を失ってしまったのだ。
愚かな父やその取り巻き立ちのブレーキ役だった彼らを無くしたこの国に未来はない。
王の叔父であるレーヴァテイン伯爵が存命だったころは目の上のたんこぶだったのだろう。
父である王はあれでも自制していたのだ。
最近は毎日のように舞踏会を開いている。
レーヴァテイン伯爵が死んだ直後だというのに……。
レーヴァテイン伯爵家にはもう跡取りがいない。
とある遠征で長男を失い、次男が家督を継いだが。
もともと後継者ではないため絵画や歌に没頭した次男は向いていなかったのだろう。
彼は重圧に耐えられなかった。
一人娘を残して夫婦で自殺するという愚かな行いをした。幼い娘はレーヴァテイン伯爵が引き取り、彼が死ぬまでの数年間をすごしたようだ。
思えばその時から彼は一気に衰えていった気がした。
しかし、可哀そうな子がいたものだ。私がもっとも不幸だと思っていたけど、彼女の事を思えばすこしだけ楽になれた。……私は最低だ。
名前はなんといったかしら、シャルロット、いつか合えたらお友達になってくれるかしら。
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