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第一章
第40話 決戦(前)
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上位アンデッド召喚、ボーンフォートレス。
文字通り巨大な骨の要塞は真っ白な外観で、月の光に照らされると周りの森に照り返し、浮かび上がって見えるため余計に不気味さを増していた。
高さは一般的な城の城壁と同じで、広さはバンデル家の邸宅をそのまま中に覆い隠すほどだ。
その上には弓矢をもった無数のスケルトンに攻城弓や投石器もある。
なかには魔法使いのようなスケルトンも数体みられた。
これの用途は大規模な戦闘、それこそ戦争においては防衛戦、あるいは攻城戦の切り札ともいえる魔法であろう。
これがもし市街地で出現したらその被害は計り知れなかっただろう。
しかし、その破壊力を発揮することなく骨の要塞は炎上し、今崩れようとしている。
相手にしているのはジェット戦闘機である。高速かつ高高度を飛行している物体に弓矢はおろか、魔法ですら届かない。
要塞に乗っていた数体のユニソルの放つ攻城弓だけが唯一届きそうになったくらいで、命中には至らなかった。
逆に相手は一回の攻撃で100発ほどの爆発を引き起こす物体をぶつけてくるのだ。それは骨の壁をたやすく貫き、内部で発火、爆発するのである。
召喚者であるスケルトンメイジは崩れ行く要塞を俯瞰しながら。運命を悟ったのか攻撃を止める。
その直後、弾丸が彼の近くに着弾する。彼の身体は爆散し、頭部を含めた上半身は森に吹き飛んだ。
バンデルはその残骸の近くに立つと、スケルトンの頭部はバンデルを見上げながら。
「息子よ、すまなかった。……が、これも一族の悲願の為、あれも理解しているはずだ」
「父上、それはあなたの勝手な思い込みにすぎません。少なくとも母上は笑ったことはなかった。
それに僕に謝るのは筋違いです。そんなことをする暇があるなら、あの世での母に対する謝罪の言葉のひとつでも考えておくことです」
燃え盛る骨の要塞に再び上空から弾丸が降り注ぐ。爆発と煙に包まれて要塞は跡形もなく消失した。
「それでは約束通り解放してあげましょう。ターンアンデッド!」
スケルトンメイジ、エリック・バンデルは光に包まれた。
『マスター、残弾ゼロになりました。これより帰還いたします。ご武運を』
空の彼方に消えていく飛行機を見ながらアールは言う。
「ご苦労様。後でお礼をしないとな。なにかリクエストはあるかい?」
『そうですね。実は私も学生に…………』
距離が離れたのか通信は途絶えた。何か言いかけたが長距離通信は魔力の消費が大きいため後回しにする。
目の前には三体のユニソルとバンデルがまだ無傷で対峙しているのだ。
「なるほど、ドラゴンは帰還したか。無能な父上も初めて役に立ったという事か……」
バンデルはアールを睨みながら言った。
「今さら言葉は不要だが。最後に聞かせてくれ。君は勇者なのか?」
アールは答える。正直に言うべきか悩んだが今さら隠してもしょうがない。
「そうだ。俺は勇者だ、理由は分からないがこの身体に転生してしまったのさ、困ったものだ」
バンデルは一瞬驚いた表情をしたが、すぐに笑みに変わる。初めて見る落ち着いた、やさしい表情だった。
「……そうか、僕もなぜこの一族に生まれてしまったのか理由を考えていたが分からなかった。困ったものだな」
…………。
一瞬の沈黙の後、戦いの火蓋は切られた。
「ロボさん、射撃のサポートを頼む。まずはユニソルを倒す」
二連式ショットガンには火炎弾を装填している。シルビアに渡した火炎弾と同じ魔法効果をもつ弾を散弾にしたものである。
三体のユニソルはそれぞれ一定の間隔で三方向から攻めてくる。
(この距離では撃っても回避されてしまいます。接近戦に持ち込みましょう、合図を出しますので意識して狙わずに格闘戦に集中してください)
「苦手なんだけどな。まあドルフ君とは結構練習したし、やってやろうじゃないの」
バンデルはその後方から魔法を放つ
「ソニックブーム!」
風の上位魔法、音速の衝撃波で敵を吹き飛ばす支援魔法だが。その威力は純粋に攻撃魔法としても有効なレベルである。
だがアール自身は、高い魔法防御力をもつミスリルがベースの身体であるため。ダメージは皆無であるが、衝撃波によって一瞬バランスを崩した。
三体のユニソルがその隙に襲い掛かる。正面からくる一体の拳をショットガンの銃身で受け止める。
側面からもう一体が攻めてくる。
(今!)
パァン!
真横に向いている銃口から弾丸が発射され、側面にいたユニソルは青白い炎に包まれて消失する。
反対側の側面にいたユニソルの攻撃をしゃがんでかわす。
ショットガンを真上に向けて持ち替える。
(今!)
パァン!
攻撃をかわされ、覆いかぶさるように真上にいたユニソルも消失した。
正面のユニソルは回し蹴りを放つ。
アールは相手の足を掴み、そのまま軸足を払い地面に転ばせる。
そのままユニソルを踏みつけ動きを封じると、素早く弾丸を一発だけ再装填し発砲。
三体のユニソルは一瞬で全滅した。
アールはショットガンを肩に担ぎ、空いた方の手で手招きをする。
「さあ、バンデル先生、かかってこい!」
文字通り巨大な骨の要塞は真っ白な外観で、月の光に照らされると周りの森に照り返し、浮かび上がって見えるため余計に不気味さを増していた。
高さは一般的な城の城壁と同じで、広さはバンデル家の邸宅をそのまま中に覆い隠すほどだ。
その上には弓矢をもった無数のスケルトンに攻城弓や投石器もある。
なかには魔法使いのようなスケルトンも数体みられた。
これの用途は大規模な戦闘、それこそ戦争においては防衛戦、あるいは攻城戦の切り札ともいえる魔法であろう。
これがもし市街地で出現したらその被害は計り知れなかっただろう。
しかし、その破壊力を発揮することなく骨の要塞は炎上し、今崩れようとしている。
相手にしているのはジェット戦闘機である。高速かつ高高度を飛行している物体に弓矢はおろか、魔法ですら届かない。
要塞に乗っていた数体のユニソルの放つ攻城弓だけが唯一届きそうになったくらいで、命中には至らなかった。
逆に相手は一回の攻撃で100発ほどの爆発を引き起こす物体をぶつけてくるのだ。それは骨の壁をたやすく貫き、内部で発火、爆発するのである。
召喚者であるスケルトンメイジは崩れ行く要塞を俯瞰しながら。運命を悟ったのか攻撃を止める。
その直後、弾丸が彼の近くに着弾する。彼の身体は爆散し、頭部を含めた上半身は森に吹き飛んだ。
バンデルはその残骸の近くに立つと、スケルトンの頭部はバンデルを見上げながら。
「息子よ、すまなかった。……が、これも一族の悲願の為、あれも理解しているはずだ」
「父上、それはあなたの勝手な思い込みにすぎません。少なくとも母上は笑ったことはなかった。
それに僕に謝るのは筋違いです。そんなことをする暇があるなら、あの世での母に対する謝罪の言葉のひとつでも考えておくことです」
燃え盛る骨の要塞に再び上空から弾丸が降り注ぐ。爆発と煙に包まれて要塞は跡形もなく消失した。
「それでは約束通り解放してあげましょう。ターンアンデッド!」
スケルトンメイジ、エリック・バンデルは光に包まれた。
『マスター、残弾ゼロになりました。これより帰還いたします。ご武運を』
空の彼方に消えていく飛行機を見ながらアールは言う。
「ご苦労様。後でお礼をしないとな。なにかリクエストはあるかい?」
『そうですね。実は私も学生に…………』
距離が離れたのか通信は途絶えた。何か言いかけたが長距離通信は魔力の消費が大きいため後回しにする。
目の前には三体のユニソルとバンデルがまだ無傷で対峙しているのだ。
「なるほど、ドラゴンは帰還したか。無能な父上も初めて役に立ったという事か……」
バンデルはアールを睨みながら言った。
「今さら言葉は不要だが。最後に聞かせてくれ。君は勇者なのか?」
アールは答える。正直に言うべきか悩んだが今さら隠してもしょうがない。
「そうだ。俺は勇者だ、理由は分からないがこの身体に転生してしまったのさ、困ったものだ」
バンデルは一瞬驚いた表情をしたが、すぐに笑みに変わる。初めて見る落ち着いた、やさしい表情だった。
「……そうか、僕もなぜこの一族に生まれてしまったのか理由を考えていたが分からなかった。困ったものだな」
…………。
一瞬の沈黙の後、戦いの火蓋は切られた。
「ロボさん、射撃のサポートを頼む。まずはユニソルを倒す」
二連式ショットガンには火炎弾を装填している。シルビアに渡した火炎弾と同じ魔法効果をもつ弾を散弾にしたものである。
三体のユニソルはそれぞれ一定の間隔で三方向から攻めてくる。
(この距離では撃っても回避されてしまいます。接近戦に持ち込みましょう、合図を出しますので意識して狙わずに格闘戦に集中してください)
「苦手なんだけどな。まあドルフ君とは結構練習したし、やってやろうじゃないの」
バンデルはその後方から魔法を放つ
「ソニックブーム!」
風の上位魔法、音速の衝撃波で敵を吹き飛ばす支援魔法だが。その威力は純粋に攻撃魔法としても有効なレベルである。
だがアール自身は、高い魔法防御力をもつミスリルがベースの身体であるため。ダメージは皆無であるが、衝撃波によって一瞬バランスを崩した。
三体のユニソルがその隙に襲い掛かる。正面からくる一体の拳をショットガンの銃身で受け止める。
側面からもう一体が攻めてくる。
(今!)
パァン!
真横に向いている銃口から弾丸が発射され、側面にいたユニソルは青白い炎に包まれて消失する。
反対側の側面にいたユニソルの攻撃をしゃがんでかわす。
ショットガンを真上に向けて持ち替える。
(今!)
パァン!
攻撃をかわされ、覆いかぶさるように真上にいたユニソルも消失した。
正面のユニソルは回し蹴りを放つ。
アールは相手の足を掴み、そのまま軸足を払い地面に転ばせる。
そのままユニソルを踏みつけ動きを封じると、素早く弾丸を一発だけ再装填し発砲。
三体のユニソルは一瞬で全滅した。
アールはショットガンを肩に担ぎ、空いた方の手で手招きをする。
「さあ、バンデル先生、かかってこい!」
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