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第二章
第57話 ドラゴンの聖地
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翌日。
タコの団長さんの処遇が決まった。
領主とはそこまで仲が悪そうではない。というか顔見知りな感じである。
話はスムーズに進み、なんやかんやで1000人の盗賊団は正式に軍として雇用されることになった。
……むう、なんか大人の汚い世界を見たようで少し複雑な心境だ。だが今回はユーギのせいなので飲み込むしかない。それに少なくない報奨金ももらったし。
平民出身のハンス君とドルフ君もドラゴン装備を購入することが出来たし、お土産のドラゴンクッキーや、ドラゴンフィギュアなど買ってもおつりがくる。
それに、あくまで今回のことは自治権の範囲内であって、あくまで内々で処理された。
その口止め料だろう。まあ俺はその辺はどうでもいい。
シルビアさんもそれは自治権の範囲内なので問題ないと言ってた。なら正しいのだ。
そんなことよりも、今日はこの旅の最終目的地へ向かう、タコの団長など、どうでもいい。
しかし、この街、ドラゴンの街って吹いてるけど、古くからタートルロックって名前の街だ。亀がドラゴンだとでもいうのか? でもドラゴンロックって名前にしなかったのは偉い。
そう、逆に偉いと思った。領主さんは昔からの街の名前は変えなかった。何もかも変えてしまえといった感じではないようだ。
由来については領主さんも知らないらしい。亀が作った街? いや、亀みたいな岩があったからタートルロックなんだろうか、まあそんな歴史ロマンを知るために今から登山に臨むのだ。
早朝から準備をし、本命のドラゴンが住んでたという山へ登山である。ここは流石に険しい土地のため観光地化されていない。
かろうじで登山好きが挑戦するくらいか。それも魔物がでる可能性があるため、得に腕に覚えのあるもの限定で、一般の登山客はいないそうだ。
たしかに魔物はいる、だが、俺たちは魔法学院のAクラスの生徒だ、魔よけの魔法を皆が掛け合うことで、スルーすることが出来た。
学院の外にでて思ったが、魔法学院の生徒はやはりこの世界では相対的に強者なのだろう。
そもそも魔法が使える時点で圧倒的に強いし、日々研鑽を積んでいるのだ、魔よけの魔法を抜けてきた魔物も、一瞬で丸焦げになっていた。
魔法学院での魔法の授業は、より効率的に、最小の魔力で。最大の効果をもたらすことが主眼に置かれていた。
生まれながらの魔力に個人差があるのは当たり前だが、技術でそれを乗り越えるのが是であるようだ。
俺はシルビアさんが指先から放ったビー玉サイズのファイアーボールで心臓部分をピンポイントに打ち抜かれた熊みたいな魔物の死体を見て思ったのだ。
なるほどシルビアさんは俺が渡した拳銃に寄せて自身の魔法を研鑽中なのだろう。威力は抜群だ。オリジナルを超えるのは時間の問題か。
順調に山を登り続け時間は午後を過ぎたあたりだろう。ここらへんで一泊しようか、そんなに高い山ではないけど、高山病は甘く見てはいけない。
それに、目的地にはかなり近い、この先にドラゴンの住処といわれている洞窟がある。これは明日の早朝に挑もう。
翌朝、俺たちはドラゴンの洞窟をみつける。なんだか普通の洞窟である。
……と思っていたがライトの魔法をつかうと同時に皆歓声を上げる。
とても広い鍾乳洞だ。これこそ東京ドームが何個分という表現が適切なくらいの大きさの洞窟だった。
魔法による明かりが鍾乳石から滴る水に反射し、とても幻想的な景色を見せた。
洞窟内部には人の手が加えられているのか道やら階段がつくられている。
完全な天然の洞窟かと思ったが。ある程度は人の手が入っているようだ。まあ、足場があるのはありがたい。
しかも作られた年代が異なるのか、さまざまな工法が垣間見れてこれはこれで面白い。
今の領主が街自体を観光地化してしまったため。ここにはもうほとんど人が訪れなくなったがドラゴン伝説がまだ真面目だったころは、ここは聖地としていろんな人が訪れたらしい。
俺たちは道なりに洞窟の奥に進む。
最奥には何か、とてもおおきい神殿? のような石でできた建造物があった。年代はいつ頃だろう少なくとも。俺たちが歩いてきた歩道よりは、かなり昔のもののように思える。
「中に入ってもいいのかしら?」
「俺に聞かれてもなぁ、そうか、勇者伝説の弊害がここにもあるのか、俺はここには初めて来たし、ドラゴンを使役したことなどないよ。
とりあえずドラゴンの家だったとしても、もう居ないんだからは入ってもいいんじゃない? 観光地としてはオワコンだし、問題ないとおもうよ」
「そうそう、アール君の言うとおり、ちなみにドラゴンは別に家で生活しているわけではないよ。寝るだけだからさしずめベッドってところかな。
ちなみに、手負いのドラゴンが傷を癒す、あるいはそのまま墓地になる場所でもある」
「ユーギさん、ドラゴンに詳しいんだね」
「うーん詳しいというか、創ったというか、まあ専門家と思ってもらってもいいぞよ」
やつの正体を知ってる俺としては微妙だ、それになにが、ぞよ、だ。
だがドラゴンに詳しいと言ったことから皆の注目はユーギに集まる。
騒動が起きなければこの際なんでもいいか。俺もドラゴンには興味がある。なぜドラゴンは滅んでしまったのか。そのへん詳しく聞きたい。
ユーギはドラゴンがいたころの世界を歴史物語風に話し出す。
「これは君たちの知らない伝説よりも遥か昔の話さ。実はね人類は一度滅びたんだ。旧人類は今のこの世界よりも高度な文明を築いていたそうだ。
そうだね、街には城よりも高い建物がいくつもあり。魔法と機械技術を極めた彼らは世界から夜を無くした。人口は爆発的に増えて、それにより領土は広がり。
それでも足りなくなると、山や森を平地に変えていった。そこで、今までは傍観者のポジションだったドラゴンたちの怒りを買ってしまったのさ。でドラゴンと人類の長い戦争が始まったんだよ」
「それで? ドラゴンは負けたんですか? でもそれだと旧人類が滅びたのはどうしてかしら?」
「うーん、シルビアちゃん。いい質問だ。でも答えは簡単で実に人間らしい結末なのさ。ドラゴンという天敵はいなくなったけど、そのすぐ後にもっと強力な敵が現れたんだ、何だと思う?」
「まさか、神が現れたとかじゃないよな?」
「おやおや、アール君は考えが単純だね。違うよ、もっとほら、歴史をよく勉強してる君達なら想像がつくじゃない人類の最大の敵は?」
「……同じ人類です。まさか戦争で滅んだんですか?」
「さっすが僕のローゼちゃんだ、大正解! ね、簡単でしょ?」
そんなやり取りをしながら遺跡探察をすると、ユーギはドラゴンの遺産をみつける。
流石に一万年以上前だから化石になってるんじゃないかと思われたが。爪? いや牙かもしれない。
白い骨のようだが鋭くとがっている。石でも金属でもない不思議な物体がそこにあった。
「これは、竜王の牙だね、ほらここに欠けた後があるし」
「え? それも文献があるんですか? でも今まで誰にも発見されなかったなんて。どうやって見つけたんですか?」
「ふふふ、それは秘密さ、ハンス君、レンジャーとしての経験が足りないようだね。精進するがいい、あはは」
俺は見ていた、やつは何気に岩盤に埋まってた化石から魔法で音もさせずに何事もなく掘り起こしていやがった。
ユーギにだけに聞こえるように質問する。
「おい、そいつお前の知り合いだったのか?」
「ん? 僕に反抗したから、牙というか歯茎当たりにガツンとダメージを与えておいたんだ、食事の時には知覚過敏で苦しんだはずだよ。あははは」
そんな思い出しかないのか。もっと友情というか……いや、昔からそうだったな、こいつは。
しかし、牙でこの大きさってことは、ドラゴンはどれくらい大きいんだろうか。高層ビルくらいありそうだ。
人類とドラゴンの戦争は怪獣映画のようだったのだろうか。俺は有名なGで始まる怪獣映画を思い出した。亀の方ではない。ゴッドな方だ。
タコの団長さんの処遇が決まった。
領主とはそこまで仲が悪そうではない。というか顔見知りな感じである。
話はスムーズに進み、なんやかんやで1000人の盗賊団は正式に軍として雇用されることになった。
……むう、なんか大人の汚い世界を見たようで少し複雑な心境だ。だが今回はユーギのせいなので飲み込むしかない。それに少なくない報奨金ももらったし。
平民出身のハンス君とドルフ君もドラゴン装備を購入することが出来たし、お土産のドラゴンクッキーや、ドラゴンフィギュアなど買ってもおつりがくる。
それに、あくまで今回のことは自治権の範囲内であって、あくまで内々で処理された。
その口止め料だろう。まあ俺はその辺はどうでもいい。
シルビアさんもそれは自治権の範囲内なので問題ないと言ってた。なら正しいのだ。
そんなことよりも、今日はこの旅の最終目的地へ向かう、タコの団長など、どうでもいい。
しかし、この街、ドラゴンの街って吹いてるけど、古くからタートルロックって名前の街だ。亀がドラゴンだとでもいうのか? でもドラゴンロックって名前にしなかったのは偉い。
そう、逆に偉いと思った。領主さんは昔からの街の名前は変えなかった。何もかも変えてしまえといった感じではないようだ。
由来については領主さんも知らないらしい。亀が作った街? いや、亀みたいな岩があったからタートルロックなんだろうか、まあそんな歴史ロマンを知るために今から登山に臨むのだ。
早朝から準備をし、本命のドラゴンが住んでたという山へ登山である。ここは流石に険しい土地のため観光地化されていない。
かろうじで登山好きが挑戦するくらいか。それも魔物がでる可能性があるため、得に腕に覚えのあるもの限定で、一般の登山客はいないそうだ。
たしかに魔物はいる、だが、俺たちは魔法学院のAクラスの生徒だ、魔よけの魔法を皆が掛け合うことで、スルーすることが出来た。
学院の外にでて思ったが、魔法学院の生徒はやはりこの世界では相対的に強者なのだろう。
そもそも魔法が使える時点で圧倒的に強いし、日々研鑽を積んでいるのだ、魔よけの魔法を抜けてきた魔物も、一瞬で丸焦げになっていた。
魔法学院での魔法の授業は、より効率的に、最小の魔力で。最大の効果をもたらすことが主眼に置かれていた。
生まれながらの魔力に個人差があるのは当たり前だが、技術でそれを乗り越えるのが是であるようだ。
俺はシルビアさんが指先から放ったビー玉サイズのファイアーボールで心臓部分をピンポイントに打ち抜かれた熊みたいな魔物の死体を見て思ったのだ。
なるほどシルビアさんは俺が渡した拳銃に寄せて自身の魔法を研鑽中なのだろう。威力は抜群だ。オリジナルを超えるのは時間の問題か。
順調に山を登り続け時間は午後を過ぎたあたりだろう。ここらへんで一泊しようか、そんなに高い山ではないけど、高山病は甘く見てはいけない。
それに、目的地にはかなり近い、この先にドラゴンの住処といわれている洞窟がある。これは明日の早朝に挑もう。
翌朝、俺たちはドラゴンの洞窟をみつける。なんだか普通の洞窟である。
……と思っていたがライトの魔法をつかうと同時に皆歓声を上げる。
とても広い鍾乳洞だ。これこそ東京ドームが何個分という表現が適切なくらいの大きさの洞窟だった。
魔法による明かりが鍾乳石から滴る水に反射し、とても幻想的な景色を見せた。
洞窟内部には人の手が加えられているのか道やら階段がつくられている。
完全な天然の洞窟かと思ったが。ある程度は人の手が入っているようだ。まあ、足場があるのはありがたい。
しかも作られた年代が異なるのか、さまざまな工法が垣間見れてこれはこれで面白い。
今の領主が街自体を観光地化してしまったため。ここにはもうほとんど人が訪れなくなったがドラゴン伝説がまだ真面目だったころは、ここは聖地としていろんな人が訪れたらしい。
俺たちは道なりに洞窟の奥に進む。
最奥には何か、とてもおおきい神殿? のような石でできた建造物があった。年代はいつ頃だろう少なくとも。俺たちが歩いてきた歩道よりは、かなり昔のもののように思える。
「中に入ってもいいのかしら?」
「俺に聞かれてもなぁ、そうか、勇者伝説の弊害がここにもあるのか、俺はここには初めて来たし、ドラゴンを使役したことなどないよ。
とりあえずドラゴンの家だったとしても、もう居ないんだからは入ってもいいんじゃない? 観光地としてはオワコンだし、問題ないとおもうよ」
「そうそう、アール君の言うとおり、ちなみにドラゴンは別に家で生活しているわけではないよ。寝るだけだからさしずめベッドってところかな。
ちなみに、手負いのドラゴンが傷を癒す、あるいはそのまま墓地になる場所でもある」
「ユーギさん、ドラゴンに詳しいんだね」
「うーん詳しいというか、創ったというか、まあ専門家と思ってもらってもいいぞよ」
やつの正体を知ってる俺としては微妙だ、それになにが、ぞよ、だ。
だがドラゴンに詳しいと言ったことから皆の注目はユーギに集まる。
騒動が起きなければこの際なんでもいいか。俺もドラゴンには興味がある。なぜドラゴンは滅んでしまったのか。そのへん詳しく聞きたい。
ユーギはドラゴンがいたころの世界を歴史物語風に話し出す。
「これは君たちの知らない伝説よりも遥か昔の話さ。実はね人類は一度滅びたんだ。旧人類は今のこの世界よりも高度な文明を築いていたそうだ。
そうだね、街には城よりも高い建物がいくつもあり。魔法と機械技術を極めた彼らは世界から夜を無くした。人口は爆発的に増えて、それにより領土は広がり。
それでも足りなくなると、山や森を平地に変えていった。そこで、今までは傍観者のポジションだったドラゴンたちの怒りを買ってしまったのさ。でドラゴンと人類の長い戦争が始まったんだよ」
「それで? ドラゴンは負けたんですか? でもそれだと旧人類が滅びたのはどうしてかしら?」
「うーん、シルビアちゃん。いい質問だ。でも答えは簡単で実に人間らしい結末なのさ。ドラゴンという天敵はいなくなったけど、そのすぐ後にもっと強力な敵が現れたんだ、何だと思う?」
「まさか、神が現れたとかじゃないよな?」
「おやおや、アール君は考えが単純だね。違うよ、もっとほら、歴史をよく勉強してる君達なら想像がつくじゃない人類の最大の敵は?」
「……同じ人類です。まさか戦争で滅んだんですか?」
「さっすが僕のローゼちゃんだ、大正解! ね、簡単でしょ?」
そんなやり取りをしながら遺跡探察をすると、ユーギはドラゴンの遺産をみつける。
流石に一万年以上前だから化石になってるんじゃないかと思われたが。爪? いや牙かもしれない。
白い骨のようだが鋭くとがっている。石でも金属でもない不思議な物体がそこにあった。
「これは、竜王の牙だね、ほらここに欠けた後があるし」
「え? それも文献があるんですか? でも今まで誰にも発見されなかったなんて。どうやって見つけたんですか?」
「ふふふ、それは秘密さ、ハンス君、レンジャーとしての経験が足りないようだね。精進するがいい、あはは」
俺は見ていた、やつは何気に岩盤に埋まってた化石から魔法で音もさせずに何事もなく掘り起こしていやがった。
ユーギにだけに聞こえるように質問する。
「おい、そいつお前の知り合いだったのか?」
「ん? 僕に反抗したから、牙というか歯茎当たりにガツンとダメージを与えておいたんだ、食事の時には知覚過敏で苦しんだはずだよ。あははは」
そんな思い出しかないのか。もっと友情というか……いや、昔からそうだったな、こいつは。
しかし、牙でこの大きさってことは、ドラゴンはどれくらい大きいんだろうか。高層ビルくらいありそうだ。
人類とドラゴンの戦争は怪獣映画のようだったのだろうか。俺は有名なGで始まる怪獣映画を思い出した。亀の方ではない。ゴッドな方だ。
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