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第3章
第3章
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ずしっと身体に重みを感じる。これは馴染みのある重み。いつも見る夢だ。
相手の顔はいつも不鮮明であり、ただ漠然とこの倒れ込んできた人物は自分の恋人なんだと感じる。そして、この夢は決して良いものなんかじゃない。何度も見ている夢だったが、陽希はこの倒れ込んできた恋人を救うことができないからだ。きっと今回も助けられない。
「え……」
不鮮明なはずだった。いつもならば。だが、今日は相手の顔がはっきりとわかる。
「あ、きと…」
自分の口から出ているはずなのに、その声は掠れてしまっており、まるで自分のものではないようだった。
目の前の光景が信じられずに目を見開いて不安げに瞳を左右に動かす。次の瞬間、その視界は目の前の彼の手によって塞がれてしまった。真っ暗になった視界の中、唇に触れたのは柔らかな感触。ほんの一瞬だけの柔らかさと温もり。その感触が離れていくと同時に真っ暗だった視界に再び光が現れ、暁斗の顔が見えた。その顔色はいつもの健康的な暁斗のものとはまるで違い、青白く、体温が失われていっているように見える。そして、数秒もしないうちに唇の端から真っ赤な鮮血が流れ始めた。白い肌に赤い血が顎を伝って落ちていく。
身体にかかる重みが増し、陽希はそれを支えるように暁斗の背中へと手を回した。彼の背中に触れた手のひらには濡れた感触があり、手を上げてみるとそれは彼の血で真っ赤に染まっている。ドクドクと流れ出る生温かい血は彼の背中と陽希の手を赤く染めていき、周囲に血の匂いが広がっていく。
そして、彼の身体からは死を招くあの匂いも漂っていた。
陽希の瞳に涙が浮かび上がり、暁斗の肩に顎を乗せながら震える声で小さく呟いた。
「大丈夫…助かる、から…大丈夫…」
それは暁斗に言っているようでありながら自分に言い聞かせているようでもあった。涙でますます歪んでいく視界の中、暗くどんよりとした空がこのあとの悲劇を伝えるようにごろごろと雷を鳴らしている。
陽希の耳元で暁斗のゆっくりとした呼吸音が聞こえ、弱々しくなっていくその音の中で掠れながらも優しい声が囁いた。
「陽希…愛してる……また、会えるから……」
「っ……や…やだっ…ずっと、一緒にいるって…」
「……ふっ……わかった……俺はずっと、お前の傍にいる……」
その言葉を最期に、陽希に寄りかかる彼の重みが増し、次の言葉を発することはなかった。
陽希の瞳から零れ落ちた涙が彼の肩へと落ち、その水跡を広げるようにして空からもぽつぽつと雨が降り始めた。雨音が二人を包み込み、それは暁斗の冷えていく身体を隠しているようにも感じられ、陽希はその身体をぎゅっと抱き締めてから彼をその場へと横たわらせた。
「暁斗…愛してる…すぐ、いくから…」
彼の冷たくなった唇へと口付けを落とし、陽希は涙と雨に濡れた顔に小さな微笑みを浮かべた。
こんなことしたら暁斗はきっと怒るよね。けど、暁斗がいないなんて耐えられないから。
陽希は暁斗の横たわった身体に跨り、自身の腰から短刀を引き抜いた。そして、彼は躊躇いなくその短刀を自身の左胸へと突き立て、暁斗の身体の上へと倒れ込む。
雨音と雷の音が鳴り響く中、空も意識も真っ暗な闇へと落ちていった。
目頭が熱くなり、閉じた瞼の隙間から涙が溢れそうになる感覚に夢の世界から現実の世界へと浮上する。
何度も見たことのある夢だったが、いつもは不鮮明だった相手の顔がはっきりと見えた。それによっていつもよりも悲しみを強く感じてしまう。
涙が零れてしまう前に拭わなければと手を動かそうとした瞬間、陽希は自分の身体の下に違和感があることに気付いた。パッと目を開け、自分の下を見るとそこにあったのは暁斗の身体。あの夢の中と同じように、横たわる暁斗の上に陽希がいる状態だ。夢の中と違うのは下にいる暁斗は間違いなく生きており、静かな寝息を立てていることだ。
「……?」
昨日、一体何が起こったんだ…?
「んっ…」
陽希がもぞもぞと動いたことで彼の下で眠っていた暁斗も目を覚ました。彼の黒い瞳が陽希のことを捉え、微笑みを浮かべながら目尻を指先で撫でられる。その行動に夢の中で彼と恋人同士だったことを思い出し、何とも言えない気恥ずかしさを感じてしまう。
「陽希、おはよう」
「え、あ、おはよう、ございます」
少ししどろもどろになってしまい、余計恥ずかしさが増していく。このまま暁斗の上にいるのも気まずいと思って降りようとしたのだが、暁斗は逃げることは許さないとでも言うように陽希の腰の辺りをしっかりと抱き締めてきた。
「あの、暁斗さん…?」
「どうしてまた泣いてたんだ?」
暁斗の言葉に目をぱちぱちと瞬かせ、自分が涙を浮かべていたことを思い出す。夢を見て泣いてしまった、なんて子どもっぽくて少し恥ずかしい気もしたが、ここで変に誤魔化すのも何かおかしい気がする。そこで陽希は少し考えてから夢の内容を暁斗に話し始めた。
最初は泣いていた陽希を慰めるように頭を撫でながらその話を聞いていた暁斗だったが、話していくうちにその動きは止まり、真剣な表情で陽希のことを見つめてきた。
「陽希、その夢、俺も見た」
「え?」
「ちょうど今日その夢を見たんだ。それどころか昔からよく見ているし、お前と同じで今までは相手の顔がわからなかったけど、今日はお前だってはっきりとわかった」
暁斗からの衝撃的な言葉に陽希は何と返せば良いかわからず、目をぱちくりさせながら暁斗の顔をじっと見つめた。まさか二人して同じ夢を見ていたなんて。そんなの誰が信じられるだろうか。
陽希の驚きようが面白かったのか、暁斗は笑みを浮かべて陽希の目尻に僅かに残っていた涙を親指の先で拭った。
「陽希、俺、お前に初めて会った時に運命みたいなもん感じたんだよ。こんなこと言ったら変な奴だって思われるかもしれないと思って今まで言えなかったけど。もしかしたら俺たち前世で一緒だったのかもしれないな」
夢の中の出来事は夢ではなく前世の記憶だったかもしれない。そう思ったら、こんなに何度も同じ夢を見ることも、暁斗と陽希が同じような夢を見ていたことも少し納得できるような気もする。
一瞬、それが本当だったらこんな運命的なことあるのだろうかと嬉しくなったが、陽希はすぐに表情を曇らせて悲しげに眉尻を下げた。
「陽希?」
「もし…夢の中のことが前世だったら俺たちは……」
悲しい結末が待っている。
夢の中で二人が無事だったことは一度もなかった。思い出したことが表情に現れてしまっていたようで、暁斗は元気づけるように陽希の頭をくしゃくしゃと撫でた。
「前世は前世。俺はお前を置いて死んだりしないし、もし俺からあの匂いがしたって運命は変えられるって昨日証明しただろ?」
暁斗の力強い言葉にこくっと頷く。すると、暁斗の表情が突然真剣なものになり、つられるようにして陽希の心臓がドキッと大きく音を鳴らした。黒く綺麗な瞳に見つめられ、その真剣な顔に見つめられれば見つめられるほど心臓の音は大きくなっていく。それは、この音が暁斗にも伝わってしまうのではないかと心配になるほどだ。
これ以上見つめられ続けたら心臓が破裂してしまうのではないかと思った時、ようやく暁斗が口を開いた。
「陽希、俺はお前のことが好きだ。陽希は俺のことどう思ってる?」
「えっと……」
陽希はすぐに応えることができずに視線を上げたり下げたりした。
実は、陽希も入社して暁斗に会った瞬間から他の人とは違う特別な感情を抱いていた。だが、その感情に名前を付けることは出来ず、ただ出してはいけない感情だろうとずっと蓋をしていた。あくまで自分たちは会社の先輩と後輩として仲良くやっていけるように。
そんな気持ちを七年間隠し続けていたため、暁斗からの告白は予想外ではあったが、陽希のことを特別だと思ってくれているのだとしたら嬉しくないわけがなかった。しかし、陽希には引っかかる部分もあり、それが素直に喜んで返事ができない理由にもなっていた。
陽希がなかなか言葉を出すことができずにいると、暁斗の指先が陽希の柔らかな唇をゆっくりと撫でた。下唇を撫でた指が顎へと移り、下げていた視線を上げさせるように顎を軽く持ち上げられる。
「陽希?」
「……好き……なの、かも……です…」
「かも?」
「……あの…夢に影響されてる可能性もあるかもしれないと思って……俺の本心なのか、昔から夢で見ていたからなのか…自信が持てないんです……けど、昨日の…あれは、嫌じゃなかったというか……」
後半のほうは羞恥に襲われ、蚊の鳴くような小さな声になってしまった。昨夜の断片的な記憶を思い出して顔が熱くなっていく。酔っ払っていたせいで細部までは覚えていなかったが、暁斗としてしまった行為のことはぼんやりと覚えていた。特に強烈に記憶に残っていたのはキスの記憶だ。先ほど唇を撫でられたことも相まって無意識にそこを薄く開いてしまう。
「……陽希、その顔は反則だ」
「え?ぅあっ…!?」
暁斗は身体の上に乗っていた陽希の身体をベッドへと組み敷き、先ほど薄く開かれた唇へとキスをした。
突然景色が反転したことに驚きはしたものの、陽希はその口付けから逃げることなく素直に受け入れる。
「お前のことが好きだ。俺の恋人になってほしい」
彼の真剣な眼差しに陽希はこくりと頷いた。そして、覆いかぶさる暁斗の首に腕を回し、陽希は自分から彼へとキスをして微笑んだ。
「暁斗さん、やっぱり夢のせいじゃないみたいです。俺が暁斗さんのことを好きなのは」
相手の顔はいつも不鮮明であり、ただ漠然とこの倒れ込んできた人物は自分の恋人なんだと感じる。そして、この夢は決して良いものなんかじゃない。何度も見ている夢だったが、陽希はこの倒れ込んできた恋人を救うことができないからだ。きっと今回も助けられない。
「え……」
不鮮明なはずだった。いつもならば。だが、今日は相手の顔がはっきりとわかる。
「あ、きと…」
自分の口から出ているはずなのに、その声は掠れてしまっており、まるで自分のものではないようだった。
目の前の光景が信じられずに目を見開いて不安げに瞳を左右に動かす。次の瞬間、その視界は目の前の彼の手によって塞がれてしまった。真っ暗になった視界の中、唇に触れたのは柔らかな感触。ほんの一瞬だけの柔らかさと温もり。その感触が離れていくと同時に真っ暗だった視界に再び光が現れ、暁斗の顔が見えた。その顔色はいつもの健康的な暁斗のものとはまるで違い、青白く、体温が失われていっているように見える。そして、数秒もしないうちに唇の端から真っ赤な鮮血が流れ始めた。白い肌に赤い血が顎を伝って落ちていく。
身体にかかる重みが増し、陽希はそれを支えるように暁斗の背中へと手を回した。彼の背中に触れた手のひらには濡れた感触があり、手を上げてみるとそれは彼の血で真っ赤に染まっている。ドクドクと流れ出る生温かい血は彼の背中と陽希の手を赤く染めていき、周囲に血の匂いが広がっていく。
そして、彼の身体からは死を招くあの匂いも漂っていた。
陽希の瞳に涙が浮かび上がり、暁斗の肩に顎を乗せながら震える声で小さく呟いた。
「大丈夫…助かる、から…大丈夫…」
それは暁斗に言っているようでありながら自分に言い聞かせているようでもあった。涙でますます歪んでいく視界の中、暗くどんよりとした空がこのあとの悲劇を伝えるようにごろごろと雷を鳴らしている。
陽希の耳元で暁斗のゆっくりとした呼吸音が聞こえ、弱々しくなっていくその音の中で掠れながらも優しい声が囁いた。
「陽希…愛してる……また、会えるから……」
「っ……や…やだっ…ずっと、一緒にいるって…」
「……ふっ……わかった……俺はずっと、お前の傍にいる……」
その言葉を最期に、陽希に寄りかかる彼の重みが増し、次の言葉を発することはなかった。
陽希の瞳から零れ落ちた涙が彼の肩へと落ち、その水跡を広げるようにして空からもぽつぽつと雨が降り始めた。雨音が二人を包み込み、それは暁斗の冷えていく身体を隠しているようにも感じられ、陽希はその身体をぎゅっと抱き締めてから彼をその場へと横たわらせた。
「暁斗…愛してる…すぐ、いくから…」
彼の冷たくなった唇へと口付けを落とし、陽希は涙と雨に濡れた顔に小さな微笑みを浮かべた。
こんなことしたら暁斗はきっと怒るよね。けど、暁斗がいないなんて耐えられないから。
陽希は暁斗の横たわった身体に跨り、自身の腰から短刀を引き抜いた。そして、彼は躊躇いなくその短刀を自身の左胸へと突き立て、暁斗の身体の上へと倒れ込む。
雨音と雷の音が鳴り響く中、空も意識も真っ暗な闇へと落ちていった。
目頭が熱くなり、閉じた瞼の隙間から涙が溢れそうになる感覚に夢の世界から現実の世界へと浮上する。
何度も見たことのある夢だったが、いつもは不鮮明だった相手の顔がはっきりと見えた。それによっていつもよりも悲しみを強く感じてしまう。
涙が零れてしまう前に拭わなければと手を動かそうとした瞬間、陽希は自分の身体の下に違和感があることに気付いた。パッと目を開け、自分の下を見るとそこにあったのは暁斗の身体。あの夢の中と同じように、横たわる暁斗の上に陽希がいる状態だ。夢の中と違うのは下にいる暁斗は間違いなく生きており、静かな寝息を立てていることだ。
「……?」
昨日、一体何が起こったんだ…?
「んっ…」
陽希がもぞもぞと動いたことで彼の下で眠っていた暁斗も目を覚ました。彼の黒い瞳が陽希のことを捉え、微笑みを浮かべながら目尻を指先で撫でられる。その行動に夢の中で彼と恋人同士だったことを思い出し、何とも言えない気恥ずかしさを感じてしまう。
「陽希、おはよう」
「え、あ、おはよう、ございます」
少ししどろもどろになってしまい、余計恥ずかしさが増していく。このまま暁斗の上にいるのも気まずいと思って降りようとしたのだが、暁斗は逃げることは許さないとでも言うように陽希の腰の辺りをしっかりと抱き締めてきた。
「あの、暁斗さん…?」
「どうしてまた泣いてたんだ?」
暁斗の言葉に目をぱちぱちと瞬かせ、自分が涙を浮かべていたことを思い出す。夢を見て泣いてしまった、なんて子どもっぽくて少し恥ずかしい気もしたが、ここで変に誤魔化すのも何かおかしい気がする。そこで陽希は少し考えてから夢の内容を暁斗に話し始めた。
最初は泣いていた陽希を慰めるように頭を撫でながらその話を聞いていた暁斗だったが、話していくうちにその動きは止まり、真剣な表情で陽希のことを見つめてきた。
「陽希、その夢、俺も見た」
「え?」
「ちょうど今日その夢を見たんだ。それどころか昔からよく見ているし、お前と同じで今までは相手の顔がわからなかったけど、今日はお前だってはっきりとわかった」
暁斗からの衝撃的な言葉に陽希は何と返せば良いかわからず、目をぱちくりさせながら暁斗の顔をじっと見つめた。まさか二人して同じ夢を見ていたなんて。そんなの誰が信じられるだろうか。
陽希の驚きようが面白かったのか、暁斗は笑みを浮かべて陽希の目尻に僅かに残っていた涙を親指の先で拭った。
「陽希、俺、お前に初めて会った時に運命みたいなもん感じたんだよ。こんなこと言ったら変な奴だって思われるかもしれないと思って今まで言えなかったけど。もしかしたら俺たち前世で一緒だったのかもしれないな」
夢の中の出来事は夢ではなく前世の記憶だったかもしれない。そう思ったら、こんなに何度も同じ夢を見ることも、暁斗と陽希が同じような夢を見ていたことも少し納得できるような気もする。
一瞬、それが本当だったらこんな運命的なことあるのだろうかと嬉しくなったが、陽希はすぐに表情を曇らせて悲しげに眉尻を下げた。
「陽希?」
「もし…夢の中のことが前世だったら俺たちは……」
悲しい結末が待っている。
夢の中で二人が無事だったことは一度もなかった。思い出したことが表情に現れてしまっていたようで、暁斗は元気づけるように陽希の頭をくしゃくしゃと撫でた。
「前世は前世。俺はお前を置いて死んだりしないし、もし俺からあの匂いがしたって運命は変えられるって昨日証明しただろ?」
暁斗の力強い言葉にこくっと頷く。すると、暁斗の表情が突然真剣なものになり、つられるようにして陽希の心臓がドキッと大きく音を鳴らした。黒く綺麗な瞳に見つめられ、その真剣な顔に見つめられれば見つめられるほど心臓の音は大きくなっていく。それは、この音が暁斗にも伝わってしまうのではないかと心配になるほどだ。
これ以上見つめられ続けたら心臓が破裂してしまうのではないかと思った時、ようやく暁斗が口を開いた。
「陽希、俺はお前のことが好きだ。陽希は俺のことどう思ってる?」
「えっと……」
陽希はすぐに応えることができずに視線を上げたり下げたりした。
実は、陽希も入社して暁斗に会った瞬間から他の人とは違う特別な感情を抱いていた。だが、その感情に名前を付けることは出来ず、ただ出してはいけない感情だろうとずっと蓋をしていた。あくまで自分たちは会社の先輩と後輩として仲良くやっていけるように。
そんな気持ちを七年間隠し続けていたため、暁斗からの告白は予想外ではあったが、陽希のことを特別だと思ってくれているのだとしたら嬉しくないわけがなかった。しかし、陽希には引っかかる部分もあり、それが素直に喜んで返事ができない理由にもなっていた。
陽希がなかなか言葉を出すことができずにいると、暁斗の指先が陽希の柔らかな唇をゆっくりと撫でた。下唇を撫でた指が顎へと移り、下げていた視線を上げさせるように顎を軽く持ち上げられる。
「陽希?」
「……好き……なの、かも……です…」
「かも?」
「……あの…夢に影響されてる可能性もあるかもしれないと思って……俺の本心なのか、昔から夢で見ていたからなのか…自信が持てないんです……けど、昨日の…あれは、嫌じゃなかったというか……」
後半のほうは羞恥に襲われ、蚊の鳴くような小さな声になってしまった。昨夜の断片的な記憶を思い出して顔が熱くなっていく。酔っ払っていたせいで細部までは覚えていなかったが、暁斗としてしまった行為のことはぼんやりと覚えていた。特に強烈に記憶に残っていたのはキスの記憶だ。先ほど唇を撫でられたことも相まって無意識にそこを薄く開いてしまう。
「……陽希、その顔は反則だ」
「え?ぅあっ…!?」
暁斗は身体の上に乗っていた陽希の身体をベッドへと組み敷き、先ほど薄く開かれた唇へとキスをした。
突然景色が反転したことに驚きはしたものの、陽希はその口付けから逃げることなく素直に受け入れる。
「お前のことが好きだ。俺の恋人になってほしい」
彼の真剣な眼差しに陽希はこくりと頷いた。そして、覆いかぶさる暁斗の首に腕を回し、陽希は自分から彼へとキスをして微笑んだ。
「暁斗さん、やっぱり夢のせいじゃないみたいです。俺が暁斗さんのことを好きなのは」
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