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ザイアン王子
魔女見習いは王女の復讐の依頼を受けた
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エリザ王女が自分の席で頼んだ品を待つ間、付き添いを申し出たザイアンが王女の左隣りに腰かけて、話をする機会を得た。
王女の右側に腰かけると、眼帯で視界が遮られるからだという。マリルはザイアンのダークブラウンの革の眼帯が気になって、それをつけている理由を聞いてほしいとエリザ王女に頼んでみた。
だが、エリザ王女は身体的なことを訊ねるのに遠慮があるらしく、チラリチラリと視線だけを眼帯に向けるだけに留まる。ザイアンがフッと笑い、眼帯に指を触れて、これが気になりますか? と聞いた。
「ええ、差し支えなければ、どうしたのかお伺いしてもよろしいでしょうか? 私のコンパニオンが馬車ごしにザイアン殿下を見たときに、目の病気なのかと心配していたのです」
「あの元気なコンパニオンが心配? ハハハ……きっと珍しかったのでしょう。ああ、パティシエがデザートを持ってきたようだ。あなたがどうしてもハインツのところに行くというのなら、無事に部屋に戻るまで付き添いますから、歩きながら話をしましょう」
エリザ王女はパティシエから焼き菓子を受け取ると、晩餐会場を後にした。
エリザ王女の肩から見上げるザイアン王子は、とんでもなく大きかった。
マリルの身長は王女よりもわずかに低い一六〇㎝だ。並んだ王女と王女の身長差を考えると、ザイアン王子は一九〇cmはあるだろう。
肩幅と胸板がある体躯はフォーマルな装いが似合うだけに、革の眼帯が悪目立ちして、ともすると海賊を彷彿とさせる。静まり返った廊下を歩きながら、ザイアンが長いため息をつき、重く低い声で経緯を語った。
「俺が九歳のとき、西の離宮に忍び込んだ刺客が俺を襲った。俺を庇ったばかりに母は死に、俺は左目を失った」
息を飲んだエリザ王女が、歩みを止めた。
「そんな! まさか、王城の敷地内で九歳の子供を狙うなんて……」
「信じられないかもしれないが、本当のことだ。アルバートの方は毒殺されるところだった。あいつは一命を取り留めてから、犯人捜しを始めたのだが、警告するようなタイミングで、シャーロット側妃が毒に倒れた」
「アルバート王子とシャーロット側妃まで狙われたのですか? いったい誰がそんなことを?」
エリザ王女は辺りを見回し、近衛兵が立っていないのを確認してから、声を潜めて続けた。
「私が思っている方たちが刺客を放ったとしたら、仲間であるアルバート王子を狙うのはおかしいのではないでしょうか」
「アルバートは最初からあいつらと行動を共にしたわけじゃない。俺たちは七歳になると、次代の統率者になるための皇太子教育を受けるのだが、二歳年上で先に帝王学を学んでいたハインツの方が有利なはずなのに、俺もアルバートも一年経つ頃にはハインツに追いついてしまった。ハインツの凡庸さが露見したために、俺たちは邪魔者になったんだ」
燭台のろうそくの揺らめく光が届かないところに、何者かが潜んでいそうで、マリルは背筋が寒くなり、ぶるりと身を震わせた。
「アルバート王子がガルレア王妃側についたのは、お母さまを護るためなのでしょうね。そして王妃の言うことなら、殺人さえも厭わない冷酷非道な人間になりさがったんだわ」
「殺人? どういうことだ? アルバートが誰かを殺めたというのか?」
大きな身体に似合わない素早い動きでエリザ王女の両肩を掴んだザイアン王子が、真剣な顔で問いただす。王女は沸々と煮え滾る怒りがこもった声で、真実を告げた。
「私よ。アルバート王子は私を殺したの」
何を言ってるんだと絶句したザイアン王子は、突然閃いた理由ににやりと笑った。
「ああ、そうか。分かったぞ。俺が過去の話であなたを怖がらせたから、さては仕返しをするつもりだったんだな。ハハハハ。参った。驚いたよ」
エリザ王女が反論するより先に、廊下の角から現れた人影が口を開いた。
「とても興味深い話だが、誰が聞いているか分からない廊下でする話じゃないな。その邪魔なカゴをハインツに届けてから、西か東の離宮で話を聞こう」
近づいてくるアルバート王子をキッと睨みつけ、エリザ王女が全身で拒否を示した。
「アルバート殿下。あなたにこそ聞かれたくありません。あなたがやったことを誤魔化されては敵いませんから。カゴは殿下に差し上げますので、お仲間のご機嫌取りに使ってください。私はザイアン王子と西の離宮に行きます」
エリザ王女がアルバートにカゴを突きつけるのを、ザイアン王子が驚きの表情で見たが、怒りをぶつけられたアルバート王子の方は、平然とした顔で受け取った。
「俺はあいつの見舞いなどする気はない。だが、俺がいては話しにくいというのなら、あなたの名前で届けよう。二人の邪魔をしない代わりに、マリルの居場所を教えて欲しい。母を送り届けてから、エリザ王女の部屋を訪ねたら、侍女に言われた。マリルは晩餐会の控室で王女を待っているとな。確か今夜の晩餐会にはコンパニオンの控室などなかったはずだ。だとしたら、マリルはどこに消えたんだ?」
マリルの居場所を訊ねながら、アルバート王子は食い入るようにブローチの中のマリルを見ている。緊張のあまり、マリルは自分の身体がかちこちに固まってしまったように感じた。多分ブローチに入ってから一番人形らしく見えるだろう。
エリザ王女がさりげなく身体の向きをかえ、マリルをアルバート王子の視線から解放した。
「アルバート殿下はマリルから歳を聞いたのでしょうに、なぜそんなにマリルに拘るのですか?」
「あなたが想像しているような邪な心は、マリルに対して持っていないから安心してくれ。本当はエリザ王女に真意を訊ねたいが、俺が傍に寄るだけで気分を害して、食ってかかるだろう? だったらマリルに聞くより他はない」
ちょっと二人とも静かにしてくれと割って入ったザイアン王子が、思案気な様子でぶつぶつ言いながら考えをまとめている。大きな手で額にかかった髪をぐしゃりと掴んで後ろに流すと、さも分からないというように両腕を組んで項垂れた。
「王女が先ほど、自分はアルバートに殺されたと言ったときには冗談かと思ったが、お前に対する王女の怒りは本物のようだ。そういえば、王妃のコテージでハインツが気になることを言っていたよな……確か、王女が生きていることが信じられないと言った気がする。まさかとは思うが、アルバート、本当にお前が……いや、エリザ王女はここにいる。どういうことだ?」
困惑するザイアン王子の腕に、エリザ王女がそっと手を置いた。
「それは、これから西の離宮で私がお話しましょう。アルバート王子、私の真意が聞きたいとおっしゃるなら、まずはそのお菓子をハインツ王子に届けた後、西の離宮にいらしてください」
「一国の王子である俺を遣い走りにするとはいい度胸だな。本当にハインツに気があるのなら、届けてもいいが、そうでないのなら、その気にさせると厄介だぞ」
「不本意ながら、アルバート殿下にお願いがあるのです。もし、ハインツ王子の部屋にルーカス大魔導師がおられるようでしたら、私のコンパニオンに会って頂けるか訪ねてもらえませんか。あの子は魔術師が大好きで、王宮のお抱えの大魔導師に憧れていて、会いたくてうずうずしていますの。もし、ここにいたら、きっとダメだといってもあなたについていってしまうでしょう」
心得たと答えたのは、アルバート王子だけではない。マリルも王女の意図したことを読み取って、心の中で了解と答える。
次の瞬間、マリルはブローチの中から消え去り、ハインツ王子の部屋に向かって歩き出したアルバート王子の元へと転移した。
正確にはアルバート王子が持つお菓子の入ったカゴの中にだが、菓子の周りに飾られた花の影に、マリルはブローチの中にいたときよりも小さくなって身を潜めた。
葉陰からそっと外を覗くと、エリザ王女がザイアン王子と腕をからめて、廊下の角を曲がっていくところだった。
エリザ王女は振り向きざまにちらりとカゴに目をやり、見えないはずのマリルに向かって手を振っている。マリルは急いで指を振り、王女の肩を彩る花が聞いた音を、自分が隠れている花に伝える伝言魔法をかけた。
エリザ王女とザイアン王子の姿はすぐに曲がり角に消えてしまったが、二人の足音が完全に聞こえなくなるやいなや、アルバート王子の苛立ちが漏れた。
「何が憧れの大魔導師だ。主人の暗殺に手を貸した奴に会いたいだと? 今度はマリルがあいつの術にはまって、エリザ王女を殺すはめになるに違いない。絶対に会わせないからな」
マリルは、暗殺の真相に迫る独白を聞き、心臓が跳ね上がるのを感じた。
あらかじめ作っておいた記録の書を、自分の荷物から移転させる。記憶の書からペンが浮かび上がり、マリルはアルバート王子が独白した中で、ルーカスがエリザ王女の暗殺に手を貸したことを日付入りで書いた。
記憶の書には嘘が書けない。書こうとしても文字が消えてしまうのだ。
マリルはこれから見聞きするルーカスに関する会話を、自動で文字起こしするように魔法をかけてから、取りこぼしがないかどうかアルバート王子の言葉を反芻してみた。
『何が憧れの大魔導師だ。主人の暗殺に手を貸した奴に会いたいだと? 今度はマリルがあいつの術にはまって、エリザ王女を殺すはめになるに違いない。絶対に会わせないからな』
あれ? とマリルが首を傾げる。冷酷非道の王子のはずなのに、ひょっとして心配されている?
訳が分からずアルバート王子を見上げるが、無表情の王子からは何も窺い知ることはできなかった。
王女の右側に腰かけると、眼帯で視界が遮られるからだという。マリルはザイアンのダークブラウンの革の眼帯が気になって、それをつけている理由を聞いてほしいとエリザ王女に頼んでみた。
だが、エリザ王女は身体的なことを訊ねるのに遠慮があるらしく、チラリチラリと視線だけを眼帯に向けるだけに留まる。ザイアンがフッと笑い、眼帯に指を触れて、これが気になりますか? と聞いた。
「ええ、差し支えなければ、どうしたのかお伺いしてもよろしいでしょうか? 私のコンパニオンが馬車ごしにザイアン殿下を見たときに、目の病気なのかと心配していたのです」
「あの元気なコンパニオンが心配? ハハハ……きっと珍しかったのでしょう。ああ、パティシエがデザートを持ってきたようだ。あなたがどうしてもハインツのところに行くというのなら、無事に部屋に戻るまで付き添いますから、歩きながら話をしましょう」
エリザ王女はパティシエから焼き菓子を受け取ると、晩餐会場を後にした。
エリザ王女の肩から見上げるザイアン王子は、とんでもなく大きかった。
マリルの身長は王女よりもわずかに低い一六〇㎝だ。並んだ王女と王女の身長差を考えると、ザイアン王子は一九〇cmはあるだろう。
肩幅と胸板がある体躯はフォーマルな装いが似合うだけに、革の眼帯が悪目立ちして、ともすると海賊を彷彿とさせる。静まり返った廊下を歩きながら、ザイアンが長いため息をつき、重く低い声で経緯を語った。
「俺が九歳のとき、西の離宮に忍び込んだ刺客が俺を襲った。俺を庇ったばかりに母は死に、俺は左目を失った」
息を飲んだエリザ王女が、歩みを止めた。
「そんな! まさか、王城の敷地内で九歳の子供を狙うなんて……」
「信じられないかもしれないが、本当のことだ。アルバートの方は毒殺されるところだった。あいつは一命を取り留めてから、犯人捜しを始めたのだが、警告するようなタイミングで、シャーロット側妃が毒に倒れた」
「アルバート王子とシャーロット側妃まで狙われたのですか? いったい誰がそんなことを?」
エリザ王女は辺りを見回し、近衛兵が立っていないのを確認してから、声を潜めて続けた。
「私が思っている方たちが刺客を放ったとしたら、仲間であるアルバート王子を狙うのはおかしいのではないでしょうか」
「アルバートは最初からあいつらと行動を共にしたわけじゃない。俺たちは七歳になると、次代の統率者になるための皇太子教育を受けるのだが、二歳年上で先に帝王学を学んでいたハインツの方が有利なはずなのに、俺もアルバートも一年経つ頃にはハインツに追いついてしまった。ハインツの凡庸さが露見したために、俺たちは邪魔者になったんだ」
燭台のろうそくの揺らめく光が届かないところに、何者かが潜んでいそうで、マリルは背筋が寒くなり、ぶるりと身を震わせた。
「アルバート王子がガルレア王妃側についたのは、お母さまを護るためなのでしょうね。そして王妃の言うことなら、殺人さえも厭わない冷酷非道な人間になりさがったんだわ」
「殺人? どういうことだ? アルバートが誰かを殺めたというのか?」
大きな身体に似合わない素早い動きでエリザ王女の両肩を掴んだザイアン王子が、真剣な顔で問いただす。王女は沸々と煮え滾る怒りがこもった声で、真実を告げた。
「私よ。アルバート王子は私を殺したの」
何を言ってるんだと絶句したザイアン王子は、突然閃いた理由ににやりと笑った。
「ああ、そうか。分かったぞ。俺が過去の話であなたを怖がらせたから、さては仕返しをするつもりだったんだな。ハハハハ。参った。驚いたよ」
エリザ王女が反論するより先に、廊下の角から現れた人影が口を開いた。
「とても興味深い話だが、誰が聞いているか分からない廊下でする話じゃないな。その邪魔なカゴをハインツに届けてから、西か東の離宮で話を聞こう」
近づいてくるアルバート王子をキッと睨みつけ、エリザ王女が全身で拒否を示した。
「アルバート殿下。あなたにこそ聞かれたくありません。あなたがやったことを誤魔化されては敵いませんから。カゴは殿下に差し上げますので、お仲間のご機嫌取りに使ってください。私はザイアン王子と西の離宮に行きます」
エリザ王女がアルバートにカゴを突きつけるのを、ザイアン王子が驚きの表情で見たが、怒りをぶつけられたアルバート王子の方は、平然とした顔で受け取った。
「俺はあいつの見舞いなどする気はない。だが、俺がいては話しにくいというのなら、あなたの名前で届けよう。二人の邪魔をしない代わりに、マリルの居場所を教えて欲しい。母を送り届けてから、エリザ王女の部屋を訪ねたら、侍女に言われた。マリルは晩餐会の控室で王女を待っているとな。確か今夜の晩餐会にはコンパニオンの控室などなかったはずだ。だとしたら、マリルはどこに消えたんだ?」
マリルの居場所を訊ねながら、アルバート王子は食い入るようにブローチの中のマリルを見ている。緊張のあまり、マリルは自分の身体がかちこちに固まってしまったように感じた。多分ブローチに入ってから一番人形らしく見えるだろう。
エリザ王女がさりげなく身体の向きをかえ、マリルをアルバート王子の視線から解放した。
「アルバート殿下はマリルから歳を聞いたのでしょうに、なぜそんなにマリルに拘るのですか?」
「あなたが想像しているような邪な心は、マリルに対して持っていないから安心してくれ。本当はエリザ王女に真意を訊ねたいが、俺が傍に寄るだけで気分を害して、食ってかかるだろう? だったらマリルに聞くより他はない」
ちょっと二人とも静かにしてくれと割って入ったザイアン王子が、思案気な様子でぶつぶつ言いながら考えをまとめている。大きな手で額にかかった髪をぐしゃりと掴んで後ろに流すと、さも分からないというように両腕を組んで項垂れた。
「王女が先ほど、自分はアルバートに殺されたと言ったときには冗談かと思ったが、お前に対する王女の怒りは本物のようだ。そういえば、王妃のコテージでハインツが気になることを言っていたよな……確か、王女が生きていることが信じられないと言った気がする。まさかとは思うが、アルバート、本当にお前が……いや、エリザ王女はここにいる。どういうことだ?」
困惑するザイアン王子の腕に、エリザ王女がそっと手を置いた。
「それは、これから西の離宮で私がお話しましょう。アルバート王子、私の真意が聞きたいとおっしゃるなら、まずはそのお菓子をハインツ王子に届けた後、西の離宮にいらしてください」
「一国の王子である俺を遣い走りにするとはいい度胸だな。本当にハインツに気があるのなら、届けてもいいが、そうでないのなら、その気にさせると厄介だぞ」
「不本意ながら、アルバート殿下にお願いがあるのです。もし、ハインツ王子の部屋にルーカス大魔導師がおられるようでしたら、私のコンパニオンに会って頂けるか訪ねてもらえませんか。あの子は魔術師が大好きで、王宮のお抱えの大魔導師に憧れていて、会いたくてうずうずしていますの。もし、ここにいたら、きっとダメだといってもあなたについていってしまうでしょう」
心得たと答えたのは、アルバート王子だけではない。マリルも王女の意図したことを読み取って、心の中で了解と答える。
次の瞬間、マリルはブローチの中から消え去り、ハインツ王子の部屋に向かって歩き出したアルバート王子の元へと転移した。
正確にはアルバート王子が持つお菓子の入ったカゴの中にだが、菓子の周りに飾られた花の影に、マリルはブローチの中にいたときよりも小さくなって身を潜めた。
葉陰からそっと外を覗くと、エリザ王女がザイアン王子と腕をからめて、廊下の角を曲がっていくところだった。
エリザ王女は振り向きざまにちらりとカゴに目をやり、見えないはずのマリルに向かって手を振っている。マリルは急いで指を振り、王女の肩を彩る花が聞いた音を、自分が隠れている花に伝える伝言魔法をかけた。
エリザ王女とザイアン王子の姿はすぐに曲がり角に消えてしまったが、二人の足音が完全に聞こえなくなるやいなや、アルバート王子の苛立ちが漏れた。
「何が憧れの大魔導師だ。主人の暗殺に手を貸した奴に会いたいだと? 今度はマリルがあいつの術にはまって、エリザ王女を殺すはめになるに違いない。絶対に会わせないからな」
マリルは、暗殺の真相に迫る独白を聞き、心臓が跳ね上がるのを感じた。
あらかじめ作っておいた記録の書を、自分の荷物から移転させる。記憶の書からペンが浮かび上がり、マリルはアルバート王子が独白した中で、ルーカスがエリザ王女の暗殺に手を貸したことを日付入りで書いた。
記憶の書には嘘が書けない。書こうとしても文字が消えてしまうのだ。
マリルはこれから見聞きするルーカスに関する会話を、自動で文字起こしするように魔法をかけてから、取りこぼしがないかどうかアルバート王子の言葉を反芻してみた。
『何が憧れの大魔導師だ。主人の暗殺に手を貸した奴に会いたいだと? 今度はマリルがあいつの術にはまって、エリザ王女を殺すはめになるに違いない。絶対に会わせないからな』
あれ? とマリルが首を傾げる。冷酷非道の王子のはずなのに、ひょっとして心配されている?
訳が分からずアルバート王子を見上げるが、無表情の王子からは何も窺い知ることはできなかった。
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