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序章 双子の神
1 生命の起源
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途方も無く広がる無限の宇宙。
途方も無く無数の星が存在する世界。
これはそんな無数の星の中にあるうちのひとつ、生まれたばかりの星の物語。
球体状の星に存在している物質の大半は水。
水は太陽から降り注ぐ熱で常に高温で沸騰している。
沸騰した水は蒸発し、水蒸気となると星の周りを覆っていった。
星を覆った水蒸気が太陽からの熱を妨げ始めると、温度が下がり水は次第に沸騰しなくなってゆく。
徐々に全体の温度が下がってゆく星。
しかし水は未だに高温で、常に蒸発してゆく気体には水に含まれていた有害な物質が存在していた。
有害な気体は太陽からの光を妨げ、星は常に暗黒の世界となる。
数万年の時を経て、変化が安定した暗黒の星の大気上に突如、黒い球体が出現した。
黒い球体はブゥゥンと重低音を発し、その直径をどんどん広げてゆく。
黒い球体は一定の大きさになると急にバチンと弾け、球体の中心部だった場所に2つの物体を残す。
星に現れた2つの物体は身体を丸め、蹲っていた。
2つの物体は動き出し、身体を伸ばし始める。
物体は、全長20メートル程の人の姿をしていた。
スラリと伸びた手足。
片方の巨人はやや褐色がかった肌をしており、もう片方は色白の肌。
背中には左右に3枚、計6枚の白い翼を持つ2人の巨人が星に現れる。
巨人は男性とも女性とも区別が付かない中性的な顔立ちで、男性・女性特有の部位は無い。
項垂れていた顔を上げ、2人とも同時に目を開いた。
2人の巨人は、星の世界を見渡しながら呟く。
「………この星は…どうなっているのだ?」
「どうやら我々は、この星を任されたようだな」
「父はこの星に生命体を作り、繁栄させよというのか?」
「そのようだ。やり甲斐があるではないか、ネロスよ」
「お前は楽観的過ぎるぞ。シウスよ、どこから手をつければ良いのかすら…分からぬ状況ではないか」
「やっと我等にも創造する星を与えられたのだ。とても喜ばしい事ではないか」
「こんな星に生命体を繁栄させよと…父は我等に途方もない試練を与えて下さったものだな」
「上の兄達にも負けぬ、強靭な生命体を作らなくてはな、ネロスよ」
星に出現したのは双子の兄弟、ネロスとシウス。
2人は父である創造主の命令を受け、この星に生命体を創造し、繁栄させよと派遣された『神』と呼ばれる存在だった。
兄ネロスは弟シウスに話す。
「ふむ、やれと言われたらやらねばなるまい。しかし、どこから手を付ければ良いものか?」
「まずはこの星の大気や水を、何とかしなければならないのではないか?」
「そうだな。こんな大気や水では、半端な生命体を作っても…すぐに死滅してしまうであろうな」
「この酷い大気と水を作り変える生命体から作ってみようではないか」
「うむ。では、始めるとするか」
ネロスとシウスは水面まで降りて来ると、両手で水を掬って口に含む。
口の中で吟味し、プッと吐き捨てながら話す。
「…ふむ。温度は高いが、これなら何とか作れるか」
「…そうだな。では、どんな生命体にする?」
「水の成分を分解し、この薄い大気をより密度の濃いものにする生命体が良いだろうな」
「大きさや寿命は?」
「極めて微小で、大量に繁殖するものにしよう。寿命はほんの僅かで良い」
「僅かな寿命でいいのか?」
「うむ。寿命の長い生命体を作るのは、大気を安定させてからでも良い」
「確かにそうだな。では、始めよう」
「お前はこの大気を作り変える生命体を作れ。我はこの水の成分を作り変える生命体を作る」
「何故だ? 一緒に同じ生命体を作らないのか?」
「2人で同じ生命体を作るよりも効率が良い。別々にやったほうが、より早く次の生命体を作り出せる」
「成る程。ではネロス、頼む」
「うむ。お前もな、シウス」
シウスは両手を水にあてがい、新たな生命体を作り始める。
作り出された生命体は水に反応し、爆発的に繁殖しながら有害物質を分解しつつ、新たな気体を星全体に拡散してゆく。
ネロスも両手を水にあてがい、新たな生命体を作り始める。
作り出された生命体は水に反応し、爆発的に繁殖しながら有害物質を分解しつつ新たな成分を星全体に拡散してゆく。
2人はそれぞれが作った生命体の活動を見守り、星全体の水に行き渡るのを待った。
星の大気がその成分を変え、水がその成分を変えた辺りで2人は失敗したと話し合う。
「シウス、我は失敗した。水の成分が変わり過ぎて、別物になってしまった」
「ネロスよ、私も失敗した。大気が変わり過ぎて、温度が更に上がってしまった」
「お互いに失敗してしまったようだな」
「このままではいかん、何とかせねばなるまい」
「しかし、大気が変わった事でこの星にも光が届き、明るくなったな。良くやってくれた、シウス」
「水の成分を変えてくれたので、新たな生命体を作り出しやすくしてくれた。良い結果だネロス」
「失敗だったと判断するのは早計だったか?」
「…かも知れぬ。まだまだ修正出来る」
「では、我はお前が変えてしまった大気を別な大気に作り変える生命体を作ろう」
「では、私はお前が変えてしまった水を維持出来る生命体を作ろう」
「次の生命体は慎重に作るとしよう」
「分かった。慎重にだな?」
ネロスは再び差し込み始めた太陽の光と水を養分にし、新たな大気を作り出す生命体を作る。
シウスも成分が変わった水を養分にする生命体を作り、水の成分を維持する新たな生命体を作る。
試行錯誤を繰り返し、お互いの失策を挽回し合った。
暫く様子を見守った2人は、その成果を評価し合う。
「シウス、お前の作った生命体は順調に増殖しておるな。水が生命体で溢れかえっておる」
「ネロス、お前の作った生命体は順調に大気を変えているな。大気の温度がかなり下がった」
「我はこの大気を空気と名付けたい。良いか?」
「私もこの水を海と名付けたい。良いか?」
「海か。良い名だ」
「空気か。良い名だな」
2人は成功した成果を褒め合い、成功の記念に大気と水へ名を付けた。
こうして暗黒であった星は、2人の神によって生命体が作りやすい世界へと変貌を遂げていった。
ネロスとシウスは次の段階へと駒を進める。
「シウスよ、我は海以外の部分を作りたい。良いか?」
「海以外の部分だと? それはどんなものだ?」
「生命体を海の中だけで完結させたくない。もっと数多くの生命体を作りたいのだ」
「どうしたいのだ?」
「まずは海の中にある部分を空気上に隆起させる。隆起させた部分を大地と名付けたい」
「大地か…良い名だ。そこに生命体を作るのだな?」
「我は大地を作り出す。お前にはその大地へ、この空気を維持させる生命体を作って貰いたい」
「いいだろう。大地はどのくらい作るのだ?」
「海の半分よりは少ない程度と思っておる」
「分かった。私もその大地へ空気を維持する生命体を作ろう」
「では、始めるとしよう」
ネロスは海の中の地形を隆起させ、大地を次々と作り出す。
シウスは出来上がった大地に新たな生命体を作り出す。
シウスは生命体に初めて色彩を与え、緑色を着色させた。
2人は海と出来上がった大地を見ながら話す。
「シウス、お前が作った生命体はなかなか良い。鮮やかな色合いだ」
「であろう? 大地にはこういった色合いが似合うと思ったのだ」
「名は何と付ける?」
「そうだな、植物とでも名付けるか」
「植物か、良い名だ。しかし…その生命体は動かぬのか?」
「生命体というよりは、この星の空気を維持する為の機能だと思ってくれて構わん。なので動く必要は無いと思った」
「ふむ、大したものだ。空気に含まれる水が集まって海に戻ろうとする現象で、大地が崩れるのを心配したが…お前の作った機能はそれを阻害してくれている」
「空気を吸収し、新しい空気に変えるものを作ったのだが、どうしても大地の成分と水が必要な生命体しか作れなかった」
「ふむ、大地の成分も吸収しておるのかこの生命体は?」
「水の問題は海に戻ろうとする水のお陰で何とか出来たのだが、大地の成分はどんどん吸われてしまう。大地の成分を維持する方法は無いか、ネロスよ?」
ネロスは青々と生い茂る植物を見ながらシウスに話す。
「では、この植物を糧にする生命体、虫を作るとしよう。その排泄物や死すとそのまま大地の成分へとなる生命体だ」
「成る程、虫か。大きさや寿命はどうするのだ?」
「小さいものを大量に作る。大きいものだと植物を喰らい尽くしかねん。寿命も長くは与えぬ」
「ふむ、植物の繁殖よりも弱めるのか?」
「うむ。繁殖方法はお前が植物で試した方法を使う。異なる生命体を交配させ、新たな生命体を作る」
「雄種と雌種、同一生命体でも機能の異なるものを作ってみたのだが…私の予想外の繁殖をしてしまったのだぞ?」
「素晴らしいではないか。我はその繁殖方法を気に入った」
「しかし…あれは異なる形状の個体を作り出して予定外の事態を招いているぞ?」
「それが良いのだ。同一の個体にはならず、亜種や新種が意図せずとも作り出せる」
「海で繁殖している生命体のように、自己分裂で増殖させたほうが良いのではないのか?」
「シウスよ、それは違う。自己分裂でしか繁殖出来ぬと同じ生命体にしかならぬ。2種の個体が交配する方法が良いのだ」
シウスはネロスの主張に悩みながら聞く。
「それではいずれ我等の知らぬところで…望まぬ生命体が出来てしまうのではないか?」
「それが良いのだ。お前は我等が生命体の繁殖を随時監視すべきだと思っておるのか?」
「違うのか?」
「父はこの星に生命体を繁栄させよと言われた。だが、その生命体の種類が少数だと失望されてしまうぞ?」
「亜種や新種を意図せずとも作り出し、放置して勝手に種類が増えても構わぬ…という事か?」
「個体の維持や亜種、新種を誕生させる能力は生命体そのものに与えるべきだ」
「その方法で…父は喜ばれると?」
「我はそう思っておる。お前が試した方法は我の悩みを解消させる素晴らしいものだ」
「ネロスがそう思うのなら…私も納得するとしよう」
ネロスはシウスに次の段階を話す。
「シウス、そろそろ次の生命体を作ろうではないか。ただ、法則は統一したいのだ」
「どのような法則だ?」
「作り出した生命体には更に捕食する生命体を作る」
「…何だと? 生命体に種の安定を与えぬのか?」
「うむ。但し、捕食させる生命体は絶対に捕食される生命体以上の繁殖能力を与えぬ」
「それはその通りにせぬと捕食される生命体は滅亡してしまうが…」
「捕食する生命体は捕食した生命体を体内で分解させ、排泄物を生み出させる。排泄物と死した抜け殻は大地や海へと還す」
「ふむ、生命体そのものを星の維持に使うのか?」
「そうだ。そして繁殖は生を与える個体と命を与える個体の2種を作って交配させる。雄種と雌種によってな」
「交配の過程で亜種や新種を作らせるのだな。では、寿命はどうする?」
「無限の命は絶対に与えるな。捕食される側の生命体には短い寿命を与え、より上位の生命体の寿命は少しずつ伸ばす」
「何故無限の命を与えてはならぬのだ?」
「我等が作り出せる生命体の数には限りがある。無限の命を与えてしまうと我等の力を費やし、その分作り出せる生命体の数は減る」
「今の星の状態に対応出来る生命体全てに無限の命を与え、作りきってしまえば良いのではないか?」
「シウスよ、お前は我の話を聞いていなかったのか? それでは父を失望させるだけだ」
「いや、聞いてはいたが…それではいかぬのか?」
「お前は知らぬだろうが、他の兄達はそれをやって父から叱責されておったのだぞ?」
「何っ!? それは知らなかった」
「愚か者の神と失望されておった。我は失敗した兄達と同じ事をしたくないのだ」
「そうであったか、すまぬネロスよ」
「分かれば良い。では、何故無限生命体を作ると駄目なのかは分かるか?」
「分からぬ。教えてくれ」
ネロスはシウスに無限生命体の存在が如何なる不具合をもたらすかを説く。
「無限の命を持つ生命体を作ってしまうと、星の維持に支障が出る。生命活動中無限に繁殖してしまうではないか」
「成る程、その通りだ」
「兄達はそれが分からず作ってしまい、その生命体に星を食い潰されたのだ」
「そうか…無限生命体はその存在自体が厄介になってしまうのか」
「故に我等は絶対に無限生命体を作らぬ。シウスも守れ」
「分かった、ネロスよ」
「生命体にある程度の寿命は与える。しかし代わりに繁殖は制限させる」
「ふむ、個体の数を極力増やさぬのだな?」
「その通りだ、寿命の長い生命体は繁殖能力を下げる。最上位となる生命体は数多く繁殖させぬほうが良い」
「しかし…それでは長い寿命の生命体が圧倒的に有利ではないか」
「そこでだ。長い寿命の生命体にはそれを阻害する生命体を作る」
「どのように阻害するのだ?」
「長い寿命の個体の生命活動を止める事の出来る極めて小さな生命体だ。体内に取り込めば確実に死なせる程の力を持たせる」
「それは…危険ではないのか?」
「蔓延すれば個体を絶滅させる可能性は確かにある。だが我は最上位の生命体にもそれくらいの脅威を持たせたいのだ」
「しかしそれでは…折角繁栄させた生命体を滅ぼす恐れがあるのではないか?」
「だから亜種や新種を作らせるのだ。その危険な生命体に抵抗出来る新たな個体をな」
「…絶滅を逃れる為に抵抗する能力を繁殖の上で手に入れさせるという事か」
「そうだ。理解が早くて助かる。当然危険な生命体にも同じ能力を持たせるぞ」
「何故だ?」
「危険な生命体は常に危険な生命体にさせる為だ。いつまでも延々と無力化出来ぬようにな」
「現段階でそれを作るのは……危険だ」
ネロスの提案に、シウスは将来この生命体が原因で絶滅してしまうのではないかと危機感を覚えた。
シウスはネロスに反論する。
「ネロスよ、その危険な生命体を作る事に…私は反対する」
「何故だ? 他に最上位生命体の個体数を管理出来る方法があるというのか?」
「…今は思い当たらぬ。しかし…その方法は危険だ」
「シウスよ、お前が危惧するのは分かる。だが、これが最良なのだ」
「今すぐその生命体を作るのは待たぬか? そのうち良い方法を思い付くかも知れぬ」
「…分かった。シウスの言う通り、その生命体を作るのは見送ろう」
「良し。では海から徐々に作り、繁栄させたら大地へと作って行こうではないか」
「確かに海から始めたほうが良いな。生命に溢れておるから作りやすいであろう」
「だがネロスよ、大地に作る最初の生命体は何を捕食すれば良いのだ?」
「虫で良いではないか。捕食は既に組み込んでいるが、大地に新しい生命を作る頃には大いに繁殖しているであろう」
「虫か、それで良いだろう。 ではネロス、始めるとしよう」
海に向かおうとするシウスを引き留め、ネロスは話す。
「待てシウス、我の話はまだ終わっておらぬ」
「まだ法則を作るのか? ネロスよ」
「うむ。これから作る生命体はその個体を維持する為に捕食させるが、それとは別に生命活動力を設ける」
「…まさか生命体にオドを組み込もうというのか?」
「そうだ。生命活動力であるオドの概念を組み込む」
「何故我等と同じくオドを組み込むのだ?」
「オドは生命体が生命体である為に必須なものであると我は思っている」
「生命体を捕食する時にオドも取り込ませるというのか?」
「そうだ。オド無しでは生命活動を維持させぬ」
「…制約をかけ過ぎではないのか?」
「兄達はオドの概念を組み込まずに作り、そして失敗して父に叱責された。我等はオドの概念を組み込んで父を驚かせたいのだ」
「父はそれで喜ばれるとでも?」
「兄達から不出来の弟と馬鹿にされてきた我等が父から喜ばれると思ってみよ。兄達の悔しがる姿を想像すると今から笑いが止まらぬわ」
「オドか……裏目に出ぬと良いのだが……」
「心配するなシウスよ。この星にはオドが溢れておる。流石に出来たばかりの星だけの事はある」
「何もせずともオドを取り込めるなら…私も賛成する」
「無論、作り出す生命体全てにその力を与える。オドの概念を教えるのはいずれ作るであろう最上位の生命体だけで良かろう」
「教えるのか?」
「無論だ。 最上位生命体には知恵も与える」
「知恵も…だと?」
「生命の理を知らぬ最上位生命体など作ってどうするのだ?」
「兄達から馬鹿にされてしまう…か」
「その通りだ。 可能なら自力でこの星から飛び出して兄達の作った生命体の居る星へと行き、滅亡させる程の存在にしたいのだ」
「それはやり過ぎだ」
「言ってみただけだ。流石にそこまでの生命体になる前に兄達の星から侵略されるであろうな」
「折角作った生命体を兄達に滅ぼされたくはないものだな」
「父が何とかしてくれる事に期待しようではないか」
「……そうだな。作り出す生命体が繁栄していくさまを見守ろうではないか、ネロスよ」
「我等は作り出す生命体が自力で生き続ける為に余計な手出しはせぬようにしよう、シウスよ」
生命体の設定を決めると、ネロスとシウスは海へと向かっていった。
ネロスとシウスはその後途方もない時間をかけ、次々と生命体を作っていった。
中には刻々と変化する星の環境に順応出来ずに絶滅してしまう生命体もあったが、2人は着々と生命体を増やし続けた。
ネロスの目算通り、生命体をオスとメスの2種類に分けた事により交配は様々な亜種、新種を生み出す。
ネロスは何もせずとも次々と現れる新種に満足し、シウスはネロスの先見の明に感心した。
2人は新種の誕生に喜び、進化と名付けて新たに誕生した生命体それぞれに名前を付けていった。
やがて誕生するであろう最上位の生命体へその名を教える為に。
海には大小の魚や独特の進化を遂げた生命体が溢れ、大地にも様々な生命体が誕生していった。
進化と絶滅を繰り返しながら、星には数多の生命体がひしめきあってゆく。
途方も無く無数の星が存在する世界。
これはそんな無数の星の中にあるうちのひとつ、生まれたばかりの星の物語。
球体状の星に存在している物質の大半は水。
水は太陽から降り注ぐ熱で常に高温で沸騰している。
沸騰した水は蒸発し、水蒸気となると星の周りを覆っていった。
星を覆った水蒸気が太陽からの熱を妨げ始めると、温度が下がり水は次第に沸騰しなくなってゆく。
徐々に全体の温度が下がってゆく星。
しかし水は未だに高温で、常に蒸発してゆく気体には水に含まれていた有害な物質が存在していた。
有害な気体は太陽からの光を妨げ、星は常に暗黒の世界となる。
数万年の時を経て、変化が安定した暗黒の星の大気上に突如、黒い球体が出現した。
黒い球体はブゥゥンと重低音を発し、その直径をどんどん広げてゆく。
黒い球体は一定の大きさになると急にバチンと弾け、球体の中心部だった場所に2つの物体を残す。
星に現れた2つの物体は身体を丸め、蹲っていた。
2つの物体は動き出し、身体を伸ばし始める。
物体は、全長20メートル程の人の姿をしていた。
スラリと伸びた手足。
片方の巨人はやや褐色がかった肌をしており、もう片方は色白の肌。
背中には左右に3枚、計6枚の白い翼を持つ2人の巨人が星に現れる。
巨人は男性とも女性とも区別が付かない中性的な顔立ちで、男性・女性特有の部位は無い。
項垂れていた顔を上げ、2人とも同時に目を開いた。
2人の巨人は、星の世界を見渡しながら呟く。
「………この星は…どうなっているのだ?」
「どうやら我々は、この星を任されたようだな」
「父はこの星に生命体を作り、繁栄させよというのか?」
「そのようだ。やり甲斐があるではないか、ネロスよ」
「お前は楽観的過ぎるぞ。シウスよ、どこから手をつければ良いのかすら…分からぬ状況ではないか」
「やっと我等にも創造する星を与えられたのだ。とても喜ばしい事ではないか」
「こんな星に生命体を繁栄させよと…父は我等に途方もない試練を与えて下さったものだな」
「上の兄達にも負けぬ、強靭な生命体を作らなくてはな、ネロスよ」
星に出現したのは双子の兄弟、ネロスとシウス。
2人は父である創造主の命令を受け、この星に生命体を創造し、繁栄させよと派遣された『神』と呼ばれる存在だった。
兄ネロスは弟シウスに話す。
「ふむ、やれと言われたらやらねばなるまい。しかし、どこから手を付ければ良いものか?」
「まずはこの星の大気や水を、何とかしなければならないのではないか?」
「そうだな。こんな大気や水では、半端な生命体を作っても…すぐに死滅してしまうであろうな」
「この酷い大気と水を作り変える生命体から作ってみようではないか」
「うむ。では、始めるとするか」
ネロスとシウスは水面まで降りて来ると、両手で水を掬って口に含む。
口の中で吟味し、プッと吐き捨てながら話す。
「…ふむ。温度は高いが、これなら何とか作れるか」
「…そうだな。では、どんな生命体にする?」
「水の成分を分解し、この薄い大気をより密度の濃いものにする生命体が良いだろうな」
「大きさや寿命は?」
「極めて微小で、大量に繁殖するものにしよう。寿命はほんの僅かで良い」
「僅かな寿命でいいのか?」
「うむ。寿命の長い生命体を作るのは、大気を安定させてからでも良い」
「確かにそうだな。では、始めよう」
「お前はこの大気を作り変える生命体を作れ。我はこの水の成分を作り変える生命体を作る」
「何故だ? 一緒に同じ生命体を作らないのか?」
「2人で同じ生命体を作るよりも効率が良い。別々にやったほうが、より早く次の生命体を作り出せる」
「成る程。ではネロス、頼む」
「うむ。お前もな、シウス」
シウスは両手を水にあてがい、新たな生命体を作り始める。
作り出された生命体は水に反応し、爆発的に繁殖しながら有害物質を分解しつつ、新たな気体を星全体に拡散してゆく。
ネロスも両手を水にあてがい、新たな生命体を作り始める。
作り出された生命体は水に反応し、爆発的に繁殖しながら有害物質を分解しつつ新たな成分を星全体に拡散してゆく。
2人はそれぞれが作った生命体の活動を見守り、星全体の水に行き渡るのを待った。
星の大気がその成分を変え、水がその成分を変えた辺りで2人は失敗したと話し合う。
「シウス、我は失敗した。水の成分が変わり過ぎて、別物になってしまった」
「ネロスよ、私も失敗した。大気が変わり過ぎて、温度が更に上がってしまった」
「お互いに失敗してしまったようだな」
「このままではいかん、何とかせねばなるまい」
「しかし、大気が変わった事でこの星にも光が届き、明るくなったな。良くやってくれた、シウス」
「水の成分を変えてくれたので、新たな生命体を作り出しやすくしてくれた。良い結果だネロス」
「失敗だったと判断するのは早計だったか?」
「…かも知れぬ。まだまだ修正出来る」
「では、我はお前が変えてしまった大気を別な大気に作り変える生命体を作ろう」
「では、私はお前が変えてしまった水を維持出来る生命体を作ろう」
「次の生命体は慎重に作るとしよう」
「分かった。慎重にだな?」
ネロスは再び差し込み始めた太陽の光と水を養分にし、新たな大気を作り出す生命体を作る。
シウスも成分が変わった水を養分にする生命体を作り、水の成分を維持する新たな生命体を作る。
試行錯誤を繰り返し、お互いの失策を挽回し合った。
暫く様子を見守った2人は、その成果を評価し合う。
「シウス、お前の作った生命体は順調に増殖しておるな。水が生命体で溢れかえっておる」
「ネロス、お前の作った生命体は順調に大気を変えているな。大気の温度がかなり下がった」
「我はこの大気を空気と名付けたい。良いか?」
「私もこの水を海と名付けたい。良いか?」
「海か。良い名だ」
「空気か。良い名だな」
2人は成功した成果を褒め合い、成功の記念に大気と水へ名を付けた。
こうして暗黒であった星は、2人の神によって生命体が作りやすい世界へと変貌を遂げていった。
ネロスとシウスは次の段階へと駒を進める。
「シウスよ、我は海以外の部分を作りたい。良いか?」
「海以外の部分だと? それはどんなものだ?」
「生命体を海の中だけで完結させたくない。もっと数多くの生命体を作りたいのだ」
「どうしたいのだ?」
「まずは海の中にある部分を空気上に隆起させる。隆起させた部分を大地と名付けたい」
「大地か…良い名だ。そこに生命体を作るのだな?」
「我は大地を作り出す。お前にはその大地へ、この空気を維持させる生命体を作って貰いたい」
「いいだろう。大地はどのくらい作るのだ?」
「海の半分よりは少ない程度と思っておる」
「分かった。私もその大地へ空気を維持する生命体を作ろう」
「では、始めるとしよう」
ネロスは海の中の地形を隆起させ、大地を次々と作り出す。
シウスは出来上がった大地に新たな生命体を作り出す。
シウスは生命体に初めて色彩を与え、緑色を着色させた。
2人は海と出来上がった大地を見ながら話す。
「シウス、お前が作った生命体はなかなか良い。鮮やかな色合いだ」
「であろう? 大地にはこういった色合いが似合うと思ったのだ」
「名は何と付ける?」
「そうだな、植物とでも名付けるか」
「植物か、良い名だ。しかし…その生命体は動かぬのか?」
「生命体というよりは、この星の空気を維持する為の機能だと思ってくれて構わん。なので動く必要は無いと思った」
「ふむ、大したものだ。空気に含まれる水が集まって海に戻ろうとする現象で、大地が崩れるのを心配したが…お前の作った機能はそれを阻害してくれている」
「空気を吸収し、新しい空気に変えるものを作ったのだが、どうしても大地の成分と水が必要な生命体しか作れなかった」
「ふむ、大地の成分も吸収しておるのかこの生命体は?」
「水の問題は海に戻ろうとする水のお陰で何とか出来たのだが、大地の成分はどんどん吸われてしまう。大地の成分を維持する方法は無いか、ネロスよ?」
ネロスは青々と生い茂る植物を見ながらシウスに話す。
「では、この植物を糧にする生命体、虫を作るとしよう。その排泄物や死すとそのまま大地の成分へとなる生命体だ」
「成る程、虫か。大きさや寿命はどうするのだ?」
「小さいものを大量に作る。大きいものだと植物を喰らい尽くしかねん。寿命も長くは与えぬ」
「ふむ、植物の繁殖よりも弱めるのか?」
「うむ。繁殖方法はお前が植物で試した方法を使う。異なる生命体を交配させ、新たな生命体を作る」
「雄種と雌種、同一生命体でも機能の異なるものを作ってみたのだが…私の予想外の繁殖をしてしまったのだぞ?」
「素晴らしいではないか。我はその繁殖方法を気に入った」
「しかし…あれは異なる形状の個体を作り出して予定外の事態を招いているぞ?」
「それが良いのだ。同一の個体にはならず、亜種や新種が意図せずとも作り出せる」
「海で繁殖している生命体のように、自己分裂で増殖させたほうが良いのではないのか?」
「シウスよ、それは違う。自己分裂でしか繁殖出来ぬと同じ生命体にしかならぬ。2種の個体が交配する方法が良いのだ」
シウスはネロスの主張に悩みながら聞く。
「それではいずれ我等の知らぬところで…望まぬ生命体が出来てしまうのではないか?」
「それが良いのだ。お前は我等が生命体の繁殖を随時監視すべきだと思っておるのか?」
「違うのか?」
「父はこの星に生命体を繁栄させよと言われた。だが、その生命体の種類が少数だと失望されてしまうぞ?」
「亜種や新種を意図せずとも作り出し、放置して勝手に種類が増えても構わぬ…という事か?」
「個体の維持や亜種、新種を誕生させる能力は生命体そのものに与えるべきだ」
「その方法で…父は喜ばれると?」
「我はそう思っておる。お前が試した方法は我の悩みを解消させる素晴らしいものだ」
「ネロスがそう思うのなら…私も納得するとしよう」
ネロスはシウスに次の段階を話す。
「シウス、そろそろ次の生命体を作ろうではないか。ただ、法則は統一したいのだ」
「どのような法則だ?」
「作り出した生命体には更に捕食する生命体を作る」
「…何だと? 生命体に種の安定を与えぬのか?」
「うむ。但し、捕食させる生命体は絶対に捕食される生命体以上の繁殖能力を与えぬ」
「それはその通りにせぬと捕食される生命体は滅亡してしまうが…」
「捕食する生命体は捕食した生命体を体内で分解させ、排泄物を生み出させる。排泄物と死した抜け殻は大地や海へと還す」
「ふむ、生命体そのものを星の維持に使うのか?」
「そうだ。そして繁殖は生を与える個体と命を与える個体の2種を作って交配させる。雄種と雌種によってな」
「交配の過程で亜種や新種を作らせるのだな。では、寿命はどうする?」
「無限の命は絶対に与えるな。捕食される側の生命体には短い寿命を与え、より上位の生命体の寿命は少しずつ伸ばす」
「何故無限の命を与えてはならぬのだ?」
「我等が作り出せる生命体の数には限りがある。無限の命を与えてしまうと我等の力を費やし、その分作り出せる生命体の数は減る」
「今の星の状態に対応出来る生命体全てに無限の命を与え、作りきってしまえば良いのではないか?」
「シウスよ、お前は我の話を聞いていなかったのか? それでは父を失望させるだけだ」
「いや、聞いてはいたが…それではいかぬのか?」
「お前は知らぬだろうが、他の兄達はそれをやって父から叱責されておったのだぞ?」
「何っ!? それは知らなかった」
「愚か者の神と失望されておった。我は失敗した兄達と同じ事をしたくないのだ」
「そうであったか、すまぬネロスよ」
「分かれば良い。では、何故無限生命体を作ると駄目なのかは分かるか?」
「分からぬ。教えてくれ」
ネロスはシウスに無限生命体の存在が如何なる不具合をもたらすかを説く。
「無限の命を持つ生命体を作ってしまうと、星の維持に支障が出る。生命活動中無限に繁殖してしまうではないか」
「成る程、その通りだ」
「兄達はそれが分からず作ってしまい、その生命体に星を食い潰されたのだ」
「そうか…無限生命体はその存在自体が厄介になってしまうのか」
「故に我等は絶対に無限生命体を作らぬ。シウスも守れ」
「分かった、ネロスよ」
「生命体にある程度の寿命は与える。しかし代わりに繁殖は制限させる」
「ふむ、個体の数を極力増やさぬのだな?」
「その通りだ、寿命の長い生命体は繁殖能力を下げる。最上位となる生命体は数多く繁殖させぬほうが良い」
「しかし…それでは長い寿命の生命体が圧倒的に有利ではないか」
「そこでだ。長い寿命の生命体にはそれを阻害する生命体を作る」
「どのように阻害するのだ?」
「長い寿命の個体の生命活動を止める事の出来る極めて小さな生命体だ。体内に取り込めば確実に死なせる程の力を持たせる」
「それは…危険ではないのか?」
「蔓延すれば個体を絶滅させる可能性は確かにある。だが我は最上位の生命体にもそれくらいの脅威を持たせたいのだ」
「しかしそれでは…折角繁栄させた生命体を滅ぼす恐れがあるのではないか?」
「だから亜種や新種を作らせるのだ。その危険な生命体に抵抗出来る新たな個体をな」
「…絶滅を逃れる為に抵抗する能力を繁殖の上で手に入れさせるという事か」
「そうだ。理解が早くて助かる。当然危険な生命体にも同じ能力を持たせるぞ」
「何故だ?」
「危険な生命体は常に危険な生命体にさせる為だ。いつまでも延々と無力化出来ぬようにな」
「現段階でそれを作るのは……危険だ」
ネロスの提案に、シウスは将来この生命体が原因で絶滅してしまうのではないかと危機感を覚えた。
シウスはネロスに反論する。
「ネロスよ、その危険な生命体を作る事に…私は反対する」
「何故だ? 他に最上位生命体の個体数を管理出来る方法があるというのか?」
「…今は思い当たらぬ。しかし…その方法は危険だ」
「シウスよ、お前が危惧するのは分かる。だが、これが最良なのだ」
「今すぐその生命体を作るのは待たぬか? そのうち良い方法を思い付くかも知れぬ」
「…分かった。シウスの言う通り、その生命体を作るのは見送ろう」
「良し。では海から徐々に作り、繁栄させたら大地へと作って行こうではないか」
「確かに海から始めたほうが良いな。生命に溢れておるから作りやすいであろう」
「だがネロスよ、大地に作る最初の生命体は何を捕食すれば良いのだ?」
「虫で良いではないか。捕食は既に組み込んでいるが、大地に新しい生命を作る頃には大いに繁殖しているであろう」
「虫か、それで良いだろう。 ではネロス、始めるとしよう」
海に向かおうとするシウスを引き留め、ネロスは話す。
「待てシウス、我の話はまだ終わっておらぬ」
「まだ法則を作るのか? ネロスよ」
「うむ。これから作る生命体はその個体を維持する為に捕食させるが、それとは別に生命活動力を設ける」
「…まさか生命体にオドを組み込もうというのか?」
「そうだ。生命活動力であるオドの概念を組み込む」
「何故我等と同じくオドを組み込むのだ?」
「オドは生命体が生命体である為に必須なものであると我は思っている」
「生命体を捕食する時にオドも取り込ませるというのか?」
「そうだ。オド無しでは生命活動を維持させぬ」
「…制約をかけ過ぎではないのか?」
「兄達はオドの概念を組み込まずに作り、そして失敗して父に叱責された。我等はオドの概念を組み込んで父を驚かせたいのだ」
「父はそれで喜ばれるとでも?」
「兄達から不出来の弟と馬鹿にされてきた我等が父から喜ばれると思ってみよ。兄達の悔しがる姿を想像すると今から笑いが止まらぬわ」
「オドか……裏目に出ぬと良いのだが……」
「心配するなシウスよ。この星にはオドが溢れておる。流石に出来たばかりの星だけの事はある」
「何もせずともオドを取り込めるなら…私も賛成する」
「無論、作り出す生命体全てにその力を与える。オドの概念を教えるのはいずれ作るであろう最上位の生命体だけで良かろう」
「教えるのか?」
「無論だ。 最上位生命体には知恵も与える」
「知恵も…だと?」
「生命の理を知らぬ最上位生命体など作ってどうするのだ?」
「兄達から馬鹿にされてしまう…か」
「その通りだ。 可能なら自力でこの星から飛び出して兄達の作った生命体の居る星へと行き、滅亡させる程の存在にしたいのだ」
「それはやり過ぎだ」
「言ってみただけだ。流石にそこまでの生命体になる前に兄達の星から侵略されるであろうな」
「折角作った生命体を兄達に滅ぼされたくはないものだな」
「父が何とかしてくれる事に期待しようではないか」
「……そうだな。作り出す生命体が繁栄していくさまを見守ろうではないか、ネロスよ」
「我等は作り出す生命体が自力で生き続ける為に余計な手出しはせぬようにしよう、シウスよ」
生命体の設定を決めると、ネロスとシウスは海へと向かっていった。
ネロスとシウスはその後途方もない時間をかけ、次々と生命体を作っていった。
中には刻々と変化する星の環境に順応出来ずに絶滅してしまう生命体もあったが、2人は着々と生命体を増やし続けた。
ネロスの目算通り、生命体をオスとメスの2種類に分けた事により交配は様々な亜種、新種を生み出す。
ネロスは何もせずとも次々と現れる新種に満足し、シウスはネロスの先見の明に感心した。
2人は新種の誕生に喜び、進化と名付けて新たに誕生した生命体それぞれに名前を付けていった。
やがて誕生するであろう最上位の生命体へその名を教える為に。
海には大小の魚や独特の進化を遂げた生命体が溢れ、大地にも様々な生命体が誕生していった。
進化と絶滅を繰り返しながら、星には数多の生命体がひしめきあってゆく。
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