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086 変化
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厨房に戻ると、ダンさんをはじめニコ、ミラ、マリンが勢揃いしていた。マリンが私の姿を見つけると口を一度開いたが、直ぐに視線を逸らして俯いてしまった。
もしかすると先程、ソルとトニがいた時におかしな雰囲気になったので気になってはいるのかもしれない。何か尋ねたくて口を開いたが、他の人がいるから諦めた様だ。
ごめんねマリン。
後で話さないとな……そう思って、私は座っているマリンの肩をポンと叩いて通り過ぎると、洗い場に立つニコの隣に立って腕まくりをした。
叩いた時マリンの肩がとても細くて驚いた。
骨格からして美人は違うのだ。私は改めて思い知った。
ニコは隣に立った私に気がつくと、水を流しながら顔を上げた。
「ナツミ遅かったね。今日は疲れているから『くくく』の練習は止めておいた方が良い?」
残念そうにニコが呟いた。九九を習うのはどうやら楽しい事の一つの様だ。
「もう『くくく』じゃないよ、九九だってば。大丈夫遅刻しちゃった分頑張らないとね」
「えへへ。良かった。昨日寝る前に、覚えたところを繰り返したんだ。そうしたら、つっかえながらだったのが、つっかえない様になってたんだよ!」
ニコは長く伸びた前髪を耳にかけながら嬉しそうに笑う。大きく宝石の様な赤い瞳がキラキラと輝いている。
うっ、美少年って眩しい。
「凄いわぁニコの悩殺的笑顔。これはファルの下町の女の子もざわつくわね。流石、ナツミは誰でも手なずけてしまうわね。ねぇマリンもそう思わない?」
ミラは真ん中の作業台の椅子に座り、小さな黒板に何やらデザイン画を描きながら溜め息をついた。黒板は何度も消した跡が見え、黒い部分がやたら白くなっている。
「そうね……」
マリンは言葉少なめに言うと俯き、ボウルに沢山盛られたサヤエンドウの様な野菜を一つ手に取り筋取りをしていた。
「そんな手なずけるなんて」
犬や猫じゃあるまいし。私は苦笑いでお皿を洗い始めた。
「じゃぁ、今日も九九をはじめますか」
「うん」
ニコがキラキラの笑顔で答えた。
お皿を全て洗い終わる。
今日の九九は四の段と五の段だったが、ニコが途中で何回か引っかかったが、問題なく覚えていっている。楽しいと本人が思っているので吸収や飲み込みも早い。
何故か後ろでミラとマリンとダンさんも参加する。俯き気味なマリンも一応参加している。
「他の仕事をしながらしたいけど、外で声に出しちゃうとまずいから、眠る前に繰り返して練習するよ」
ニコが嬉しそうに笑った。
「ふふ、一緒に頑張ろうね」
しかしニコ、七の段が最難関だと思うよ。これからといったところだろうか。
終わって振り向くと待ち構えていた様にミラが立ち上がった。
「ねぇねぇ。ニコ、ナツミ、マリンも聞いて欲しいんだけどさ」
ミラが満面の笑顔を浮かべて何度も書き直した黒板を指差した。
そこには独創的なデザイン画が描かれているのだが、何度も書き直した痕があり余りよく形が掴めない。
ただ女性ではなくて男性の服装の様に見える。
「俺は除外か?」
そのデザイン画を覗き込んだ時、隣で古い書類の様な紙を紐解いていたダンさんが首を傾げた。
「ち、違いますよ~ダンさんも、もちろん聞いてください」
ミラは慌ててダンさんの方に振り向く。慌てたミラのワンピースの裾が揺れた。
「冗談だ。俺も聞いているから続けてくれ」
軽く笑ってダンさんは視線を古い書類に落とした。文字は読めないが、ここで広げているのだから私達の様な踊り子が見ても問題なのだろう。
書類の端に絵が見える。どうやらレシピ集の様だ。
何か料理のアイデアをひねり出しているのかもしれない。
「コホン。じゃーん、見て。ニコのみずぎを考えてみました!」
ミラが咳払いをして、デザイン画の黒板を片手でズイッとニコと私の前に突き出した。
「「「えっ」」」」
ニコ、マリン、そして私は声を上げて目を丸めた。
確かに、よくみると男性のビキニタイプの水着にも見える様な。それも、結構際どい。デザイン画では上半身長めのシャツを羽織っているが、何だか現代で言うところの成金の男性がビキニ水着でプールサイドに立っている様な感じだ。
「こ、これはちょっと……」
際どすぎやしないか? 何度も書き直されたデザイン画をよくみると股間辺りが少し盛り上がっているリアルな様子まで垣間見られて笑える。
「何で僕のみずぎ?! と言う事はナツミ達が以前泳ぐために作ったヤツの男性版みたいって事なのかな。嬉しいけど、これって女性の下着みたいな」
ニコは私がジッと見つめていたデザイン画の股間辺りを自分で発見した途端に、顔を赤くした。
「無理無理無理。こんなの恥ずかしくて着られないよ! 大体、男はこんな着飾らなくったって麻素材の短めのズボンで良いじゃないか」
慌ててニコは首を振って、改めて再考するが「ないない」と繰り返す。
それでも、ミラは諦めずニコに詰め寄る。
「そんな事はないわよ。大体ニコは凄く美少年なんだから。このオベントウの話が出た時から、あたしは考えていたのよ。ニコだったら絶対ファルの町の女の子達が食いつくんだから」
逃すまいとミラがニコの両肩を掴んで離さなかった。
「ヒッ」
ミラの薄笑いを浮かべた顔にニコが小さく悲鳴を上げる。
「作ったら絶対着てもらうんだからね」
「えぇ? どうして僕がそんな。助けてナツミ」
ニコが涙目になって私に助けを求める。
何故、ミラはそんなにニコに水着を作りたがるのかな。
「どうしてニコが水着を着るはめになるの?」
するとミラが「よくぞ聞いてくれました」と言わんばかりに両手を腰に添えて胸を張る。その隙にニコはミラから逃れて私の背中に隠れた。
ニコ……私の背中に隠れても余り意味ないよ。同じぐらいの身長なのに。
「あたしさ、このオベントウの話が出た時に思ったんだけど。オベントウを売りに行くならファルの町、つまり裏町や下町にこっちから出向いて売るでしょ?」
「うん。そういう事になるね」
「軍人だけじゃなくて、もしかしたら町の住人も購入してくれるかもしれないでしょ? オベントウを。そう考えると、男性じゃなくて女性も買うかもしれない」
「まぁ、確かに」
「オベントウがおいしければ『ジルの店』に行ってみようかなって思うでしょ? そこで、軍人や町の男達に買ってもらうために客引きをするのは、あたしとかマリンの踊り子が得意だけど、ほら女性相手だとさぁ角が立つって言うか」
「ああ」
なるほど。オベントウを売りに行く事により『ジルの店』へのリピーターを獲得するための客引きって事か。
「そこで思いついたわけ! もちろんナツミやマリン、そしてその他の踊り子達のみずぎも新作を投入するけど、そしてもう一つ。ニコって美少年じゃない。ここは一つ磨いて町の女性達を引きつけてもらおうと!」
ミラはくるりと一回転して、レモン色のワンピースの裾を翻す。
そして両手を天に向けてポーズを作る。
「それで男性の水着って事なのね」
「どう? 良いアイデアでしょ。絶対良いと思うのよね。男性のみずぎ」
グイグイと黒板を私の目の前に突き出す。
「それは、良いと思ううけど、その先は?」
「え、先って?」
黒板の向こうからミラが顔をひょっこり出した。ニコニコ笑いながら首を傾げる。
「ナツミが言いたいのは、女性を客引きして『ジルの店』に呼んでどうするんだ? という事だろう」
私達のやり取りを聞いていたダンさんが声を上げた。
「そ、それを言われると。呼んだ後の事は考えてなかったです……」
ミラは先ほどまでの勢いは何処へやら意気消沈してしまう。
「昼はごくたまに女性のがお昼ご飯を食べに来るけれども、同業者が多いわよね。視察っていう感じの。夜は旅人の女性でも余り酒場には来ないわね。酒場客は全員男性だし」
マリンが現状について呟いた。サヤエンドウに似た野菜の筋取りを丁度終えた様だ。水色のワンピースの裾を払っていた。
「そんな酒場に女性が来るとは思えないな。だからニコが客引きをしたとしても難しいだろ? 面白い考えだと思うがなぁ」
ダンさんがマリンの援護射撃をし、ミラの黒板のデザイン画を見て「これを着るのか?」と付け加え軽く笑った。
「えぇ~ 折角面白い事考えたと思ったのに。ニコに絶対みずぎを着せたかったのに~」
ミラがポニーテールをしおれさせながら溜め息をついた。
「僕にみずぎを着せたかっただけなんて」
ニコがデザイン画を再び見つめて「ないない、無理無理」と、私の背中で隠れたまま丸くなっていた。
いや、ニコ、男性のビキニ水着も私としてはありなのだけれどなぁ。
まぁ、確かにね。『ジルの店』はマリンやダンさんが言う様に、女性が来る様な見世物ではないと言うか、キャバクラの様な感じかな。そこに女性が来るっていうのはね。
女性が接客するのが基本だし。男性も軍人が多くて接客する女性のやり取りを楽しみにしている事もあるし。
ん? でも──
「じゃぁ、女性が来てもいい店にしたらいいんじゃないの?」
「「「「え?」」」」
ミラ、マリン、ニコ、そしてダンさんが私の発言に振り向く。
「どういう事?」
マリンが私に首を傾げる。
「私ね初めてマリンの踊りを見た時、凄く感動したんだ。何て言うの芸術作品を見ている様な。凄いなぁって……」
何て言うのかなバレエやフラメンコの踊りを見る様な。私は当時の衝撃を思い出しながら語った。私の顔を見ながらマリンが恥ずかしそうに呟いた。
「あ、ありがとう……」
「でね、他の女性達の踊りも興味が出てきたんだ。確かに、マリンは別格だけれども他の女性の踊りも見るのは結構楽しいんだよね。だからこの踊りを見世物にするのはきっと女性でも見たいなって思うんだよ。と、言う事は酒場の男性との距離でしょ? 例えば、いっそのこと女性限定の日を作るとかさ」
「えぇ~女性限定の日ってそれはないでしょ。だって酒場で酒を飲むのは男性が圧倒的に多いのよ」
ミラが呆れた様に声を上げた。
「だから女性限定の話は例えばだって。お酒を飲む女性だっていると思うけれども。お酒がダメなら、女性が好きな甘い物ばかり出す日なんてのはどう? 後は角度を変えてお見合い的な相席できるお店は? ほら、町の女性達も軍人とお付き合いしたいって思っているかもしれないし。ちょっとした出会いになっていいじゃない?」
「そんな事。考えた事なかった」
ミラが私の提案に驚いて目を丸めた。
「なるほど……甘い物を出す店か……夜というのは少し難しいが、昼間過ぎに女性を集めて、沢山のお菓子や甘い物を食べ放題にするのもありかもしれないな」
ダンさんがとうとう食いついた。何やら手元のレシピ集をあちこち調べ始める。
向かい側に座るダンさんが急につぶつぶ言い始めたのをマリンは目を丸めて見つめた。
「ミラが新しい提案したみたいに、何か新しい計画を考えて実行すればいいんじゃないかなぁ。女性が来てくれる様なお店づくりをしてみれば面白いかも」
私はミラの肩をポンと叩いた。するとミラがパッと笑顔になった。
「なるほど! じゃぁ、女性客の集客のためにやっぱりニコはみずぎを着るべきよね! これは益々考える事が増えそう。でも、あたしの意見に賛同してくれたのは、ナツミもニコのみずぎ姿を見たかったのね?!」
「いや、そういうわけでは……」
「こうしちゃいられないわ。あたしニコのみずぎの試作を早速作ってくるから! それにナツミやミラ達の新作も作らなきゃ」
「えぇ! そんなっ」
顔を青くしたニコがミラを引き止めようとしたが、ミラは脱兎の如く厨房を出て行った。
「あんなの僕は恥ずかしすぎて着られないよ」
呆然とするニコの肩をポンと叩いて私は笑った。
そこへ優雅な声が聞こえた。
「ナツミの話、斬新でいいわね」
ジルさんだった。今日は赤いブラジャーとスリットが深く入った真っ赤のタイトスカートを身につけ厨房に登場した。頭からはオーガンジーの素材で宝石かガラス石の様な色がついたキラキラする石がちりばめられたストールを被っていた。
金色のサンダルから覗く足の指には真っ赤なネイルが施されている。
両腕には何重にも重なったブレスレットが音を立てていた。
「ジルさん」
「さっきの相席って言うか、お見合いとまでは行かないけど出会いの場って思わせるのは良いかもね。こう男臭いのばっかりは飽きてきたし。売り上げも伸び悩みってところだし」
「飽きてきた……」
飽きてきたとはこれまた凄い言いようだが、ジルさんとしてもこのまま同じ事を繰り返していても特に売り上げが上がるとは思っていないのだろう。
「踊り子達の男性対応の豊富な話術を使って、女性と男性の間をとりなすと言うか。まぁ、もう少し計画を固める必要があるけれども。ねぇ? マリンもそう思わない?」
マリンの肩にしなだれかかる様にジルさんが体重をかける。
マリンはフワフワのウエーブしたプラチナブロンドで顔を隠しながら俯き、小さく声を上げる。
「は、はい……」
「よし! じゃぁオベントウのおにぎりと一緒に新しいお店の在り方も考えてみましょうか。ナツミやマリンも他の踊り子と相談してみて良いアイデアがあったら直ぐに私に言いに来る様に。後、ミラに衣装代は店のお金で出しても良いと伝えておいて。それじゃぁ、ダン。後で私の部屋に来て頂戴。早速話を固めるわよ」
矢継ぎ早にジルさんが話すとちゃっかりワインボトルの瓶を掴んで厨房から去って行った。
「あいつはワインは水かなんかだと思っているのか?」
ダンさんがブツブツ言いながらレシピ集を片づけ始めた。
「じゃぁ、マリン私と一緒に──」
良い案がないか考えようと声をかけたが、マリンは困った様にニッコリ笑うと私の言葉を遮った。
「私、ミラに衣装代の事話してくるね」
「あ……うん」
何だか突き放された様な気がして私は言葉を失ってしまった。マリンは困った様な笑顔を浮かべ立ち去ろうと後ろを向いた。
「じゃぁ、私は行くわね。それと、ナツミ……」
マリンは私に後ろ姿を向けたまま話しはじめた。
「私の踊りを褒めてくれてありがとう。凄く、凄く嬉しかった」
「……うん」
私が頷くとマリンはパタパタと小走りに去って行った。
「マリンさんでも照れるんですね。可愛いですねぇ」
隣でマリンの様子を微笑ましく見送るニコがいた。
「そうだね……」
しかし私はマリンの態度は照れているとは思えなかった。
きっと、トニとのやり取りを聞いていたのかもしれない。それが、尾を引いているとか。
やはり一度マリンに詳しく話を聞かないと。きっとトニが言っていた様に妬みから来る噂話で、男を取っかえ引っかえというのは悪い噂を流されたのだろう。
そして、かばえなかった事を謝りたいな。私はマリンが大好きだから。
「はぁ」
マリンはミラのいる部屋に行くまでの階段を上りながら溜め息をついた。
逃げる様に去るなんて酷いわね私も。
ただ、ナツミがどんどん面白い提案をしてくるから皆がどんどん変わっていく。
どうしよう、私はこのままでいいのかな。
どうしたら、ナツミの様になれるの。
ミラもダンさんも、ニコも色々挑戦する中、何だか私だけ役立たずみたいに思えてきた。
「私って空っぽなんだな……」
しかし、そんな私の踊りをナツミは褒めてくれた。こんなに嬉しい事はない。
だけれど、先ほど路地でトニという踊り子の顔を見て直ぐに分かった。私は良い様に思われていない。きっとナツミにも昔の噂話が伝わっただろう。
ナツミも軽蔑してしまうだろう。男を取っかえ引っかえした覚えはないのだが、どういうわけか同業者の踊り子や町の女性には敵視され嫌われてしまう。
きっと私のウジウジした態度が嫌なのだろう。
それに、昔ザックと関係していた事がもしナツミの耳に入ったら、ナツミは私の事をきっと嫌いになるだろう。ノアにも嫌われる事が怖くて話していないのに。
ザックは昔の事を知らない振りをしてくれているけれども、ナツミには伝えるつもりなのだろうか──
そう考えただけで身震いをしてしまう。
マリンは階段の途中で自分の体を抱きしめた。
もしかすると先程、ソルとトニがいた時におかしな雰囲気になったので気になってはいるのかもしれない。何か尋ねたくて口を開いたが、他の人がいるから諦めた様だ。
ごめんねマリン。
後で話さないとな……そう思って、私は座っているマリンの肩をポンと叩いて通り過ぎると、洗い場に立つニコの隣に立って腕まくりをした。
叩いた時マリンの肩がとても細くて驚いた。
骨格からして美人は違うのだ。私は改めて思い知った。
ニコは隣に立った私に気がつくと、水を流しながら顔を上げた。
「ナツミ遅かったね。今日は疲れているから『くくく』の練習は止めておいた方が良い?」
残念そうにニコが呟いた。九九を習うのはどうやら楽しい事の一つの様だ。
「もう『くくく』じゃないよ、九九だってば。大丈夫遅刻しちゃった分頑張らないとね」
「えへへ。良かった。昨日寝る前に、覚えたところを繰り返したんだ。そうしたら、つっかえながらだったのが、つっかえない様になってたんだよ!」
ニコは長く伸びた前髪を耳にかけながら嬉しそうに笑う。大きく宝石の様な赤い瞳がキラキラと輝いている。
うっ、美少年って眩しい。
「凄いわぁニコの悩殺的笑顔。これはファルの下町の女の子もざわつくわね。流石、ナツミは誰でも手なずけてしまうわね。ねぇマリンもそう思わない?」
ミラは真ん中の作業台の椅子に座り、小さな黒板に何やらデザイン画を描きながら溜め息をついた。黒板は何度も消した跡が見え、黒い部分がやたら白くなっている。
「そうね……」
マリンは言葉少なめに言うと俯き、ボウルに沢山盛られたサヤエンドウの様な野菜を一つ手に取り筋取りをしていた。
「そんな手なずけるなんて」
犬や猫じゃあるまいし。私は苦笑いでお皿を洗い始めた。
「じゃぁ、今日も九九をはじめますか」
「うん」
ニコがキラキラの笑顔で答えた。
お皿を全て洗い終わる。
今日の九九は四の段と五の段だったが、ニコが途中で何回か引っかかったが、問題なく覚えていっている。楽しいと本人が思っているので吸収や飲み込みも早い。
何故か後ろでミラとマリンとダンさんも参加する。俯き気味なマリンも一応参加している。
「他の仕事をしながらしたいけど、外で声に出しちゃうとまずいから、眠る前に繰り返して練習するよ」
ニコが嬉しそうに笑った。
「ふふ、一緒に頑張ろうね」
しかしニコ、七の段が最難関だと思うよ。これからといったところだろうか。
終わって振り向くと待ち構えていた様にミラが立ち上がった。
「ねぇねぇ。ニコ、ナツミ、マリンも聞いて欲しいんだけどさ」
ミラが満面の笑顔を浮かべて何度も書き直した黒板を指差した。
そこには独創的なデザイン画が描かれているのだが、何度も書き直した痕があり余りよく形が掴めない。
ただ女性ではなくて男性の服装の様に見える。
「俺は除外か?」
そのデザイン画を覗き込んだ時、隣で古い書類の様な紙を紐解いていたダンさんが首を傾げた。
「ち、違いますよ~ダンさんも、もちろん聞いてください」
ミラは慌ててダンさんの方に振り向く。慌てたミラのワンピースの裾が揺れた。
「冗談だ。俺も聞いているから続けてくれ」
軽く笑ってダンさんは視線を古い書類に落とした。文字は読めないが、ここで広げているのだから私達の様な踊り子が見ても問題なのだろう。
書類の端に絵が見える。どうやらレシピ集の様だ。
何か料理のアイデアをひねり出しているのかもしれない。
「コホン。じゃーん、見て。ニコのみずぎを考えてみました!」
ミラが咳払いをして、デザイン画の黒板を片手でズイッとニコと私の前に突き出した。
「「「えっ」」」」
ニコ、マリン、そして私は声を上げて目を丸めた。
確かに、よくみると男性のビキニタイプの水着にも見える様な。それも、結構際どい。デザイン画では上半身長めのシャツを羽織っているが、何だか現代で言うところの成金の男性がビキニ水着でプールサイドに立っている様な感じだ。
「こ、これはちょっと……」
際どすぎやしないか? 何度も書き直されたデザイン画をよくみると股間辺りが少し盛り上がっているリアルな様子まで垣間見られて笑える。
「何で僕のみずぎ?! と言う事はナツミ達が以前泳ぐために作ったヤツの男性版みたいって事なのかな。嬉しいけど、これって女性の下着みたいな」
ニコは私がジッと見つめていたデザイン画の股間辺りを自分で発見した途端に、顔を赤くした。
「無理無理無理。こんなの恥ずかしくて着られないよ! 大体、男はこんな着飾らなくったって麻素材の短めのズボンで良いじゃないか」
慌ててニコは首を振って、改めて再考するが「ないない」と繰り返す。
それでも、ミラは諦めずニコに詰め寄る。
「そんな事はないわよ。大体ニコは凄く美少年なんだから。このオベントウの話が出た時から、あたしは考えていたのよ。ニコだったら絶対ファルの町の女の子達が食いつくんだから」
逃すまいとミラがニコの両肩を掴んで離さなかった。
「ヒッ」
ミラの薄笑いを浮かべた顔にニコが小さく悲鳴を上げる。
「作ったら絶対着てもらうんだからね」
「えぇ? どうして僕がそんな。助けてナツミ」
ニコが涙目になって私に助けを求める。
何故、ミラはそんなにニコに水着を作りたがるのかな。
「どうしてニコが水着を着るはめになるの?」
するとミラが「よくぞ聞いてくれました」と言わんばかりに両手を腰に添えて胸を張る。その隙にニコはミラから逃れて私の背中に隠れた。
ニコ……私の背中に隠れても余り意味ないよ。同じぐらいの身長なのに。
「あたしさ、このオベントウの話が出た時に思ったんだけど。オベントウを売りに行くならファルの町、つまり裏町や下町にこっちから出向いて売るでしょ?」
「うん。そういう事になるね」
「軍人だけじゃなくて、もしかしたら町の住人も購入してくれるかもしれないでしょ? オベントウを。そう考えると、男性じゃなくて女性も買うかもしれない」
「まぁ、確かに」
「オベントウがおいしければ『ジルの店』に行ってみようかなって思うでしょ? そこで、軍人や町の男達に買ってもらうために客引きをするのは、あたしとかマリンの踊り子が得意だけど、ほら女性相手だとさぁ角が立つって言うか」
「ああ」
なるほど。オベントウを売りに行く事により『ジルの店』へのリピーターを獲得するための客引きって事か。
「そこで思いついたわけ! もちろんナツミやマリン、そしてその他の踊り子達のみずぎも新作を投入するけど、そしてもう一つ。ニコって美少年じゃない。ここは一つ磨いて町の女性達を引きつけてもらおうと!」
ミラはくるりと一回転して、レモン色のワンピースの裾を翻す。
そして両手を天に向けてポーズを作る。
「それで男性の水着って事なのね」
「どう? 良いアイデアでしょ。絶対良いと思うのよね。男性のみずぎ」
グイグイと黒板を私の目の前に突き出す。
「それは、良いと思ううけど、その先は?」
「え、先って?」
黒板の向こうからミラが顔をひょっこり出した。ニコニコ笑いながら首を傾げる。
「ナツミが言いたいのは、女性を客引きして『ジルの店』に呼んでどうするんだ? という事だろう」
私達のやり取りを聞いていたダンさんが声を上げた。
「そ、それを言われると。呼んだ後の事は考えてなかったです……」
ミラは先ほどまでの勢いは何処へやら意気消沈してしまう。
「昼はごくたまに女性のがお昼ご飯を食べに来るけれども、同業者が多いわよね。視察っていう感じの。夜は旅人の女性でも余り酒場には来ないわね。酒場客は全員男性だし」
マリンが現状について呟いた。サヤエンドウに似た野菜の筋取りを丁度終えた様だ。水色のワンピースの裾を払っていた。
「そんな酒場に女性が来るとは思えないな。だからニコが客引きをしたとしても難しいだろ? 面白い考えだと思うがなぁ」
ダンさんがマリンの援護射撃をし、ミラの黒板のデザイン画を見て「これを着るのか?」と付け加え軽く笑った。
「えぇ~ 折角面白い事考えたと思ったのに。ニコに絶対みずぎを着せたかったのに~」
ミラがポニーテールをしおれさせながら溜め息をついた。
「僕にみずぎを着せたかっただけなんて」
ニコがデザイン画を再び見つめて「ないない、無理無理」と、私の背中で隠れたまま丸くなっていた。
いや、ニコ、男性のビキニ水着も私としてはありなのだけれどなぁ。
まぁ、確かにね。『ジルの店』はマリンやダンさんが言う様に、女性が来る様な見世物ではないと言うか、キャバクラの様な感じかな。そこに女性が来るっていうのはね。
女性が接客するのが基本だし。男性も軍人が多くて接客する女性のやり取りを楽しみにしている事もあるし。
ん? でも──
「じゃぁ、女性が来てもいい店にしたらいいんじゃないの?」
「「「「え?」」」」
ミラ、マリン、ニコ、そしてダンさんが私の発言に振り向く。
「どういう事?」
マリンが私に首を傾げる。
「私ね初めてマリンの踊りを見た時、凄く感動したんだ。何て言うの芸術作品を見ている様な。凄いなぁって……」
何て言うのかなバレエやフラメンコの踊りを見る様な。私は当時の衝撃を思い出しながら語った。私の顔を見ながらマリンが恥ずかしそうに呟いた。
「あ、ありがとう……」
「でね、他の女性達の踊りも興味が出てきたんだ。確かに、マリンは別格だけれども他の女性の踊りも見るのは結構楽しいんだよね。だからこの踊りを見世物にするのはきっと女性でも見たいなって思うんだよ。と、言う事は酒場の男性との距離でしょ? 例えば、いっそのこと女性限定の日を作るとかさ」
「えぇ~女性限定の日ってそれはないでしょ。だって酒場で酒を飲むのは男性が圧倒的に多いのよ」
ミラが呆れた様に声を上げた。
「だから女性限定の話は例えばだって。お酒を飲む女性だっていると思うけれども。お酒がダメなら、女性が好きな甘い物ばかり出す日なんてのはどう? 後は角度を変えてお見合い的な相席できるお店は? ほら、町の女性達も軍人とお付き合いしたいって思っているかもしれないし。ちょっとした出会いになっていいじゃない?」
「そんな事。考えた事なかった」
ミラが私の提案に驚いて目を丸めた。
「なるほど……甘い物を出す店か……夜というのは少し難しいが、昼間過ぎに女性を集めて、沢山のお菓子や甘い物を食べ放題にするのもありかもしれないな」
ダンさんがとうとう食いついた。何やら手元のレシピ集をあちこち調べ始める。
向かい側に座るダンさんが急につぶつぶ言い始めたのをマリンは目を丸めて見つめた。
「ミラが新しい提案したみたいに、何か新しい計画を考えて実行すればいいんじゃないかなぁ。女性が来てくれる様なお店づくりをしてみれば面白いかも」
私はミラの肩をポンと叩いた。するとミラがパッと笑顔になった。
「なるほど! じゃぁ、女性客の集客のためにやっぱりニコはみずぎを着るべきよね! これは益々考える事が増えそう。でも、あたしの意見に賛同してくれたのは、ナツミもニコのみずぎ姿を見たかったのね?!」
「いや、そういうわけでは……」
「こうしちゃいられないわ。あたしニコのみずぎの試作を早速作ってくるから! それにナツミやミラ達の新作も作らなきゃ」
「えぇ! そんなっ」
顔を青くしたニコがミラを引き止めようとしたが、ミラは脱兎の如く厨房を出て行った。
「あんなの僕は恥ずかしすぎて着られないよ」
呆然とするニコの肩をポンと叩いて私は笑った。
そこへ優雅な声が聞こえた。
「ナツミの話、斬新でいいわね」
ジルさんだった。今日は赤いブラジャーとスリットが深く入った真っ赤のタイトスカートを身につけ厨房に登場した。頭からはオーガンジーの素材で宝石かガラス石の様な色がついたキラキラする石がちりばめられたストールを被っていた。
金色のサンダルから覗く足の指には真っ赤なネイルが施されている。
両腕には何重にも重なったブレスレットが音を立てていた。
「ジルさん」
「さっきの相席って言うか、お見合いとまでは行かないけど出会いの場って思わせるのは良いかもね。こう男臭いのばっかりは飽きてきたし。売り上げも伸び悩みってところだし」
「飽きてきた……」
飽きてきたとはこれまた凄い言いようだが、ジルさんとしてもこのまま同じ事を繰り返していても特に売り上げが上がるとは思っていないのだろう。
「踊り子達の男性対応の豊富な話術を使って、女性と男性の間をとりなすと言うか。まぁ、もう少し計画を固める必要があるけれども。ねぇ? マリンもそう思わない?」
マリンの肩にしなだれかかる様にジルさんが体重をかける。
マリンはフワフワのウエーブしたプラチナブロンドで顔を隠しながら俯き、小さく声を上げる。
「は、はい……」
「よし! じゃぁオベントウのおにぎりと一緒に新しいお店の在り方も考えてみましょうか。ナツミやマリンも他の踊り子と相談してみて良いアイデアがあったら直ぐに私に言いに来る様に。後、ミラに衣装代は店のお金で出しても良いと伝えておいて。それじゃぁ、ダン。後で私の部屋に来て頂戴。早速話を固めるわよ」
矢継ぎ早にジルさんが話すとちゃっかりワインボトルの瓶を掴んで厨房から去って行った。
「あいつはワインは水かなんかだと思っているのか?」
ダンさんがブツブツ言いながらレシピ集を片づけ始めた。
「じゃぁ、マリン私と一緒に──」
良い案がないか考えようと声をかけたが、マリンは困った様にニッコリ笑うと私の言葉を遮った。
「私、ミラに衣装代の事話してくるね」
「あ……うん」
何だか突き放された様な気がして私は言葉を失ってしまった。マリンは困った様な笑顔を浮かべ立ち去ろうと後ろを向いた。
「じゃぁ、私は行くわね。それと、ナツミ……」
マリンは私に後ろ姿を向けたまま話しはじめた。
「私の踊りを褒めてくれてありがとう。凄く、凄く嬉しかった」
「……うん」
私が頷くとマリンはパタパタと小走りに去って行った。
「マリンさんでも照れるんですね。可愛いですねぇ」
隣でマリンの様子を微笑ましく見送るニコがいた。
「そうだね……」
しかし私はマリンの態度は照れているとは思えなかった。
きっと、トニとのやり取りを聞いていたのかもしれない。それが、尾を引いているとか。
やはり一度マリンに詳しく話を聞かないと。きっとトニが言っていた様に妬みから来る噂話で、男を取っかえ引っかえというのは悪い噂を流されたのだろう。
そして、かばえなかった事を謝りたいな。私はマリンが大好きだから。
「はぁ」
マリンはミラのいる部屋に行くまでの階段を上りながら溜め息をついた。
逃げる様に去るなんて酷いわね私も。
ただ、ナツミがどんどん面白い提案をしてくるから皆がどんどん変わっていく。
どうしよう、私はこのままでいいのかな。
どうしたら、ナツミの様になれるの。
ミラもダンさんも、ニコも色々挑戦する中、何だか私だけ役立たずみたいに思えてきた。
「私って空っぽなんだな……」
しかし、そんな私の踊りをナツミは褒めてくれた。こんなに嬉しい事はない。
だけれど、先ほど路地でトニという踊り子の顔を見て直ぐに分かった。私は良い様に思われていない。きっとナツミにも昔の噂話が伝わっただろう。
ナツミも軽蔑してしまうだろう。男を取っかえ引っかえした覚えはないのだが、どういうわけか同業者の踊り子や町の女性には敵視され嫌われてしまう。
きっと私のウジウジした態度が嫌なのだろう。
それに、昔ザックと関係していた事がもしナツミの耳に入ったら、ナツミは私の事をきっと嫌いになるだろう。ノアにも嫌われる事が怖くて話していないのに。
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