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102 香辛料商人
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ジルさんがワインを片手にゴッツさんに話をする事三十分。『ファルの町』に潜伏している奴隷商人の話から、ノアのお兄さんアルさんと恋人であるオーガさんの話まで要点をまとめながら説明する。
その間ゴッツさんは静かに話を聞き、すべてを聞き終わった後にようやくゴッツさんはワインを一口含んだ。
「何て事だ。お前も大変だなぁノア」
半ば呆れた様な口調でノアに振り返った。
「今に始まった事ではないからな。俺と兄のアルの関係が微妙である事も『ファルの町』では周知の事実だろうし」
ノアは目の前に置かれたワイングラスを一気に煽る。
「まぁな。俺達からしたら、何故そこまで仲が悪いのかまでは知る事もないしな」
ノアの横顔を見ながら軽くゴッツさんは笑った。
「仲が悪い理由? それこそ俺が知りたいさ」
ノアはグラスを置くと口の端を拭った。
「何だ……分かってないのにお前達兄弟は対峙しているのか。それなら、何故そんなにノアに怒りの矛先を向け続けるのか一度考た方がいいんじゃないのか? 例えば、ネロがいるのに何故ネロにはその矛先が向かないのか──とか」
「フン。考えたくもない!」
「やれやれ……面倒臭い奴らだな」
ノアがプイと横を向いて口を閉ざしてしまったのを見たゴッツさんは呆れかえってネロを振り返る。
ネロさんも小さく肩を上げて眉を下げて笑っていた。
そのネロさんの様子に私は一種の諦めを感じとった。
三兄弟だけれど、それぞれ違うのだろうな。しかし、ネロさんって真ん中でしょ? 何か知っている事とかあるのじゃないのかな。
などと私がボンヤリ考えた時だった。
「で? ゴッツ。あんたの情報も聞かせてもらうわよ」
ジルさんは話し終わって喉が渇いたのか既に二杯目のワインを手酌で注いでいた。
「ああ。いいだろう。雨季に入ったばかりだったな三人の男が現れたのは。三人とも白髪交じりの金髪だったな。三十代から四十代の歳だと思う」
ゴッツさんが酒で嗄れた声でゆっくりと話す。
「だと思うって、ゴッツあんたは心眼に長けているのに」
ジルさんが意外だと声を上げる。
そういえば先ほど私の瞳をじっと見ていたなぁ。
ジルさんも第六感が冴えている。
ゴッツさんも直感的な事を感じとる魔法の様な不思議な能力を持っているのかもしれない。
「心眼だなんて、よせよ。俺の生い立ちが奴隷やら盗賊やらやっていたおかげで、何となくどんな人間か分かるだけだ。言い切る事が出来ないのは、その男達の服装がやたら若い男よりだった事とな、ボロの外套の下にはそれは派手な色のチュニックを着ていて、話す話題もまるで二十代前半の様な実につまらん幼稚な内容でな。女受けはいいかもしれないが、到底歳を重ねた男には見えなかったのさ。そうだな祭りの時に見かける流れの踊り子の様な雰囲気だったな」
その話を聞いたマリンが動きを止めた。自分の前に置かれているワイングラスに手を伸ばそうとしたが固まっている。
その様子を隣に座っていたノアが見逃すはずもなく。ゆっくりマリンの肩を抱いた。
マリンは安堵した表情を浮かべてワイングラスを手に持った。マリンの耳元でノアが小さく何か呟いていた。マリンは小さく頷いてノアに体をあずけていた。
派手な色のチュニックを着た男性──私は以前祭りの時繰り出した『ファルの町』の様子を思い出した。確か異国の男女が派手な服を着て地面を蹴るステップを踏んで踊っていた。
男性の踊り子……もしかしてマリンが逃げた踊り子集団の男性なのかもしれない。私も考えを巡らせていた時だった。
「やぁね。見せつけてくれるじゃないのさ……」
トニの心の声が漏れ聞こえていた。
トニ聞こえてるよ! 私はトニのワンピースを引っ張ってみた。トニは舌を出して見せた。
「そう思っていたら、やたら羽振りがいいんだ。まぁ確かに身に付けている金品や短剣もやたら装飾をしているもので高そうだったのは確かだ。応対をした踊り子が言うには、商人をしていて前に留まっていた町で沢山儲けたんだそうだ。怪しいとは思ったが、店の踊り子やウエイターを含めた従業員に酒や食事をふるまってくれ、だの言いだしてな。金を落としてくれるんだから文句はないだろ」
ゴッツさんが溜め息をついた。
あれだなぁ、きっと。
キャバクラみたいなところで従業員皆にお酒をふるまう男性? の様な。
後はホストクラブで盛り上げる女性みたいな?
日本の事情に置き換えながら私は話を遠い目をして聞いていた。
「何だか嫌な飲み方だな」
「そう? 俺はその場にいたかったなぁ」
「何言ってんだ。タダ酒ほど裏があるものはないんだぜ?」
「いやぁ? そんなの程よく飲んでその場を離脱すればいいだけじゃないか」
「お前なぁ」
ザックとウツさんがブツブツ話をしている。それぞれの性格が伺えて面白い。
「店が盛り上がった頃に挨拶をしようと、その三人のいるテーブルに出向いたのさ。例の寝込んでしまった娘もその時からべったりついていたな。リーダー格の男に取り入るのに必死といった様子だった。まぁ、金の羽振りもいいし男前と来たもんだ。話も若い娘には面白く感じたのだろう。上客と見ていたのだろうな。すると、男達は一度突然踊り子を下がらせてな。俺にこんな話をしはじめたのさ」
『俺達は町から町を移動しながら、その町では手に入らない香辛料を取り扱っている商人だ。以前『オーガの店』で取り引きをしていたのだが、久しぶりに立ち寄ったら無くなっているとは。たまたま別の町に商いで出向いていたのだが。集金をしたいと思っていたのに行方すら分からない。オーガが何処へ行ったのか知らないか?』
──そうか。それは残念だったな。気の毒だと思うが俺も行方までは分からない。
『そうか……では仕方ない諦めるとするか。たいした金ではなかったからな。ところで店主、この店はとても居心地がいい。食事も踊りも応対も全てが素晴らしい』
──それはそれは、嬉しい言葉だ。
『店主、ゴッツと言ったか? 折角の縁だ。もし良かったら俺達の取り扱っている香辛料を使ってみないか?』
──香辛料?
『そう。俺達は当面『ファルの町』近辺で商いをしたいと思っている。拠点が出来れば珍しい香辛料の他にも。俺達が着ている様な服の織物も次々に取り扱いたいと思っているんだが。そうだ! 織物はこういった踊り子には欠かせないだろう? 是非この素晴らしい宿に俺達を長期間留めてはもらえないだろうか』
「香辛料に織物ねぇ……」
ジルさんが紫煙をくゆらせる。
「今思えばものは言い様だな」
腕を組んでゴッツさんが唸る様な声で呟いた。
香辛料と言いながらも、南方でしか取れない植物からつくりだした薬の隠語なのかもしれない。取ってつけた様な織物も、確かにお金がかかるものだから、ミラの様な自分で衣装を作る踊り子は多いから飛びつく話かもしれない。
「それで、拠点の話は乗ったのですか? 僕なら様子を見て、乗ってもいいと思うところですが」
ネロさんが話の続きを促した。すべてが怪しいと感じる今なら、そんな話は乗らないべきと思うが、様子を見て良さそうなら交渉するのも悪くないのではと言うネロさんの考えもありだろう。
ネロさんの言葉にゴッツさんは彫りの深い瞳を閉じて左右にゆっくり首を振った。
「即答できなかった俺にな、男は更にこう続けたのさ──」
『ゴッツ、あなたは非常に苦労した人生を送っていたそうではないですか。聞きましたよ。何でも盗賊上がりだとか……確か盗賊の罪で何年か牢屋に入れられたのでしょう?』
──そこまで知っているのか。詳しいな。罪は罪だ。牢屋に入れられても仕方がない。
『貧困の上での盗賊ですから罪と言っても恩赦があっても良かったと思いませんか? それに相変わらず近辺の町では奴隷売買なども行われていると言うのに。その奴隷を買うのは意外と軍人だったり権力を持った偉い人間だったりするのですよねぇ。本当に彼奴らは世間知らずと言うか。腹立たしいと言うか。この店に訪れる軍人にも本当にいけ好かない奴も多いでしょう?』
──奴隷売買ねぇ。そういう奴ら等もいるだろうが世の中の全ての不幸を軍人に結びつけても切りがないだろう。
『おお。素晴らしい。あなたは右耳を削がれる様な厳しい盗賊人生を送って来たと言うのに、軍人や町、国などを許していると言うのですね』
──はは。許すなんてたいそうな事じゃねぇ。それこそ商人としてあんたはどう思うのだ? 色々な町を、国を、人を見てきたのだろう?
『いいえ私の商人としての人生などあなたの人生に比べれば大したことはありませんよ。でも、そうですね一つ言えるとすれば──そう。奴隷商人なんてとんでもないですよ。早く捕まえるべきですよ盗賊なんかを捕まえる前にね』
──……
「盗賊だった俺の気持ちに寄り添ったつもりだったのかもな。俺はその時、男の目を見たんだ。真剣な振りをしているが、瞳の奥は淀みがある気持ちの悪いものだった。顔が嘆かわしいのに、目が笑っているんだ。俺はあの目を知っている。人を人と思っていない。口では罪人の傷に寄りそう事を言っているが、そんな事はこれっぽっちも感じていやしない!」
酒で潰れた声は更にゴッツさんの今までお苦労を滲ませる。
吐き捨てる様にゴッツさんは呟いた。
「馬鹿な奴らだね。ゴッツの過去をもっと洗えば、盗賊という事以外に分かった事実があっただろうに。それを含めれば、やり取りをするにはマズイ相手だと分かったろうに」
ウツさんがワイン口に含んで、うまいなぁと呟いていた。
「ははっ確かにな。俺が奴隷上がりという事を知らなかったのだろう。奴隷上がりが奴隷商人を見抜けない事はない。特に俺はな」
そう言って、ゴッツさんは自分の瞳を指差した。
先ほど言っていた心眼の事だろう。
「本当よね。右耳を削がれたのも奴隷時代の事だって言うのにね。盗賊時代の話で軍人に拷問された傷だとでも考えたのかしら。フフフ……聞けば聞くほど実にくだらない野郎だわ。で? ゴッツの見立ではそいつら商人の正体は何だと思うの。香辛料商人?」
ジルさんが口の端を上げながら笑った。答えが分かっていて聞いているのだろう。
「はは。何が香辛料商人だ。笑わせるな。ジルの話を聞いて確信が持てた。彼奴らはな、俺を昔売り払った奴隷商人の目と同じだ。クズの奴隷商人さ」
そう言い切ったゴッツさんの言葉に、皆が溜め息をついた。
「拠点の話は断ったさ。その時の諦めた商人の様子に俺は理解をしてくれたのだと思っていた。その後も優良な客として店の踊り子と接していたので油断したのがいけなかった……クソッ! もっと厳しく判断していればあいつは、あんな寝込む事はなかったのに。俺の監督不行き届きだ」
ゴッツさんは頭を抱えて俯いた。
それと同時に、トニが拳を握りしめるのが分かった。
そうだ、犠牲になった同僚の踊り子の事を考えているのだろう。
「ゴッツ、誰にでも間違いはあるわ。私も判断が鈍くなっていると考えられる事だもの」
ジルさんがゴッツさんの肩を叩いて慰める。
「出来るだけ彼女が健康的な暮らしに戻れるよう僕達も努力をするよ」
ネロさんがポツリと呟く。
その言葉を聞いたゴッツさんがゆっくりと顔を上げて彫りの深い瞳を閉じて小さく頷いた。
「頼む……」
「ああ。俺も協力するさ」
ウツさんもネロさんに続いて呟いた。
「じゃぁ。この件は協力してくれるわね? ゴッツ」
ジルさんが同意を求めて右手をゴッツさんに差し出した。
「分かった。協力しよう」
ゴッツさんは快くジルさんの手を握った。
話がどんどん大きくなっていく。
私は何だかとても恐ろしい相手を捕まえようとしているのだと再認識した。
私は両手に拳を握って鼻息を一つ荒く吐きだした。
そうして、ジルさんとゴッツさんが握手を交わして皆が一つ安堵した時だった。
「ん?」
ザックが思い出した様に声を上げた。その小さな声に皆が反応する。
「そういえば何気にウツがいるのが不思議なんだが。ジル、いいのかこの件ウツに話しても」
ザックがウツさんとジルさんを見比べながら首を傾げた。
「本当だ。このアルさんと奴隷商人の話って、ウツさん元々知らなかったんじゃ……」
私もザックの言葉に頷きながら目を丸めた。
「あら、本当だわ。ウツがいるの自然すぎて気がつかなかったわ。トニは話の元になっているしゴッツの店の一員だし良いとして。ソルは──もう路地で話を聞いた時点で何が何でも、嫌がっても裏町の情報収集をさせるつもりだったけど。ウツについては忘れていたわ。ハハハ」
ジルさんが笑い飛ばしていた。
「何が何でも、嫌がってもって……」
ジルさんの言葉を聞いて若者のソルが震え上がる。
「諦めろ」
シンがソルの肩をポンと叩いた。
そこで、皆の視線がウツさんに集中する。ウツさんはサラサラの金髪を揺らしてカラカラ笑う。
「えぇ~いいじゃないの。南方の薬の件は『おっちょこちょい』ネロよりも俺の方が得意分野だよ? それに、俺も『ジルの店』一家として裏町で情報収集をするよ。ここにいるソルと同じ様なもんさ」
そう言って胸を張ったウツさんだった。
「一家? 一家なのか? うーん。まぁ、いいんじゃないか? だって、ウツだし」
何だか適当に返事をしたのはノアだった。
「それもそうか。ウツだしな」
ザックもウツがいても大丈夫かと議題に挙げたがすぐに取り下げた。
そんな事でいいのだろうか。何となくいい加減でぐだぐだになったので不安に思う中、一人不満そうな声を上げた。
「む『おっちょこちょい』じゃないですよ」
ネロさんだった。ネロさんは隣に座るウツさんに食ってかかっていた。
「えー? 『おっちょこちょい』でしょ? 俺からすれば子どもの様な青さや甘さが残るところが多い。それに勘違いや思い込みが多いドジな魔法部隊小隊長だよ?」
ウツさんは食ってかかるネロさんを片手で払いながら鼻で笑った。
「いいえ! 『おっちょこちょい』ではありません。僕は、僕は……うう~ん」
ネロさんは『おっちょこちょい』に変わる言葉を探すが、どうやらピッタリとはまる言葉が思いつかない様だ。
「『僕は』の続きは何だい? 先走り野郎とか? あ、ちょっとエロい感じもするね、先走り~って後ろにつく言葉でエロくなる」
ウツさんがからかって笑う。結構な酷い言葉だ。
「相変わらず馬鹿なやり取りを」
「はは。ウツにかかればネロも可愛いもんだな」
ノアとザックが呆れた様に声を上げていた。
答えに困ったネロさんがぐるりと周囲を見回して私に視線を合わせた。その時私はネロさんの頭上にピンポンと音が鳴った様な気がした。
「そうですよ! 僕は『一流の変態』です!」
エッヘンと胸を張りその場で立ち上がる。
ネロさんの言葉にその場にいた一同が皆固まり、次の瞬間大爆笑となった。
「何言ってんだ。お前は本当にどうしようもないな!」
「でもピッタリだわ。いいわね誰が考えたの」
「ハハハ、本当だな。間違いないな」
ずっと黙っていたダンさんも笑い出す。
先ほどまで真剣に話していたジルさんもゴッツさんも吹きだして笑っていた。
だが、私だけ笑えないでいた。だってその言葉は──
「ほら素晴らしいでしょ。僕にピッタリ」
フンと鼻息荒くウツさんに立ったまま向き直る。
当然ウツさんも皆と一緒に笑っている、そう思っていたのだが違った。
慌てて立ち上がりネロさんに向き直る。
「な、何それ?! 誰が考えたの『一流の変態』は俺だろ?!」
ウツさんは全く違う事に食いついていた。
「フフン。いいでしょう? これを命名してくれたのは何とナツミさんなんですよ!」
「何だって! ナツミ、おかしくないか? その『一流の変態』というあだ名と言うか肩書きはむしろ俺に与えられる言葉だろう?!」
ウツさんは必死な形相で、ネロさんは満面の笑みで私を振り返る。
それに対して私は頭を抱えた。
「もう、もう~!!! ネロさんの馬鹿っ! ザックどうしようお嫁に行けない!」
私は大声で叫んだ。そして隣のザックに半泣きになってしがみつく。
だって『一流の変態』って言葉は、ザックとエッチをしている時に話した言葉なのだから、それをネロさんが知っているっていう事は──
やはり覗かれていたのだっ!
私は、恥ずかしくて穴を掘って埋まってしまいたい気分だった。
その間ゴッツさんは静かに話を聞き、すべてを聞き終わった後にようやくゴッツさんはワインを一口含んだ。
「何て事だ。お前も大変だなぁノア」
半ば呆れた様な口調でノアに振り返った。
「今に始まった事ではないからな。俺と兄のアルの関係が微妙である事も『ファルの町』では周知の事実だろうし」
ノアは目の前に置かれたワイングラスを一気に煽る。
「まぁな。俺達からしたら、何故そこまで仲が悪いのかまでは知る事もないしな」
ノアの横顔を見ながら軽くゴッツさんは笑った。
「仲が悪い理由? それこそ俺が知りたいさ」
ノアはグラスを置くと口の端を拭った。
「何だ……分かってないのにお前達兄弟は対峙しているのか。それなら、何故そんなにノアに怒りの矛先を向け続けるのか一度考た方がいいんじゃないのか? 例えば、ネロがいるのに何故ネロにはその矛先が向かないのか──とか」
「フン。考えたくもない!」
「やれやれ……面倒臭い奴らだな」
ノアがプイと横を向いて口を閉ざしてしまったのを見たゴッツさんは呆れかえってネロを振り返る。
ネロさんも小さく肩を上げて眉を下げて笑っていた。
そのネロさんの様子に私は一種の諦めを感じとった。
三兄弟だけれど、それぞれ違うのだろうな。しかし、ネロさんって真ん中でしょ? 何か知っている事とかあるのじゃないのかな。
などと私がボンヤリ考えた時だった。
「で? ゴッツ。あんたの情報も聞かせてもらうわよ」
ジルさんは話し終わって喉が渇いたのか既に二杯目のワインを手酌で注いでいた。
「ああ。いいだろう。雨季に入ったばかりだったな三人の男が現れたのは。三人とも白髪交じりの金髪だったな。三十代から四十代の歳だと思う」
ゴッツさんが酒で嗄れた声でゆっくりと話す。
「だと思うって、ゴッツあんたは心眼に長けているのに」
ジルさんが意外だと声を上げる。
そういえば先ほど私の瞳をじっと見ていたなぁ。
ジルさんも第六感が冴えている。
ゴッツさんも直感的な事を感じとる魔法の様な不思議な能力を持っているのかもしれない。
「心眼だなんて、よせよ。俺の生い立ちが奴隷やら盗賊やらやっていたおかげで、何となくどんな人間か分かるだけだ。言い切る事が出来ないのは、その男達の服装がやたら若い男よりだった事とな、ボロの外套の下にはそれは派手な色のチュニックを着ていて、話す話題もまるで二十代前半の様な実につまらん幼稚な内容でな。女受けはいいかもしれないが、到底歳を重ねた男には見えなかったのさ。そうだな祭りの時に見かける流れの踊り子の様な雰囲気だったな」
その話を聞いたマリンが動きを止めた。自分の前に置かれているワイングラスに手を伸ばそうとしたが固まっている。
その様子を隣に座っていたノアが見逃すはずもなく。ゆっくりマリンの肩を抱いた。
マリンは安堵した表情を浮かべてワイングラスを手に持った。マリンの耳元でノアが小さく何か呟いていた。マリンは小さく頷いてノアに体をあずけていた。
派手な色のチュニックを着た男性──私は以前祭りの時繰り出した『ファルの町』の様子を思い出した。確か異国の男女が派手な服を着て地面を蹴るステップを踏んで踊っていた。
男性の踊り子……もしかしてマリンが逃げた踊り子集団の男性なのかもしれない。私も考えを巡らせていた時だった。
「やぁね。見せつけてくれるじゃないのさ……」
トニの心の声が漏れ聞こえていた。
トニ聞こえてるよ! 私はトニのワンピースを引っ張ってみた。トニは舌を出して見せた。
「そう思っていたら、やたら羽振りがいいんだ。まぁ確かに身に付けている金品や短剣もやたら装飾をしているもので高そうだったのは確かだ。応対をした踊り子が言うには、商人をしていて前に留まっていた町で沢山儲けたんだそうだ。怪しいとは思ったが、店の踊り子やウエイターを含めた従業員に酒や食事をふるまってくれ、だの言いだしてな。金を落としてくれるんだから文句はないだろ」
ゴッツさんが溜め息をついた。
あれだなぁ、きっと。
キャバクラみたいなところで従業員皆にお酒をふるまう男性? の様な。
後はホストクラブで盛り上げる女性みたいな?
日本の事情に置き換えながら私は話を遠い目をして聞いていた。
「何だか嫌な飲み方だな」
「そう? 俺はその場にいたかったなぁ」
「何言ってんだ。タダ酒ほど裏があるものはないんだぜ?」
「いやぁ? そんなの程よく飲んでその場を離脱すればいいだけじゃないか」
「お前なぁ」
ザックとウツさんがブツブツ話をしている。それぞれの性格が伺えて面白い。
「店が盛り上がった頃に挨拶をしようと、その三人のいるテーブルに出向いたのさ。例の寝込んでしまった娘もその時からべったりついていたな。リーダー格の男に取り入るのに必死といった様子だった。まぁ、金の羽振りもいいし男前と来たもんだ。話も若い娘には面白く感じたのだろう。上客と見ていたのだろうな。すると、男達は一度突然踊り子を下がらせてな。俺にこんな話をしはじめたのさ」
『俺達は町から町を移動しながら、その町では手に入らない香辛料を取り扱っている商人だ。以前『オーガの店』で取り引きをしていたのだが、久しぶりに立ち寄ったら無くなっているとは。たまたま別の町に商いで出向いていたのだが。集金をしたいと思っていたのに行方すら分からない。オーガが何処へ行ったのか知らないか?』
──そうか。それは残念だったな。気の毒だと思うが俺も行方までは分からない。
『そうか……では仕方ない諦めるとするか。たいした金ではなかったからな。ところで店主、この店はとても居心地がいい。食事も踊りも応対も全てが素晴らしい』
──それはそれは、嬉しい言葉だ。
『店主、ゴッツと言ったか? 折角の縁だ。もし良かったら俺達の取り扱っている香辛料を使ってみないか?』
──香辛料?
『そう。俺達は当面『ファルの町』近辺で商いをしたいと思っている。拠点が出来れば珍しい香辛料の他にも。俺達が着ている様な服の織物も次々に取り扱いたいと思っているんだが。そうだ! 織物はこういった踊り子には欠かせないだろう? 是非この素晴らしい宿に俺達を長期間留めてはもらえないだろうか』
「香辛料に織物ねぇ……」
ジルさんが紫煙をくゆらせる。
「今思えばものは言い様だな」
腕を組んでゴッツさんが唸る様な声で呟いた。
香辛料と言いながらも、南方でしか取れない植物からつくりだした薬の隠語なのかもしれない。取ってつけた様な織物も、確かにお金がかかるものだから、ミラの様な自分で衣装を作る踊り子は多いから飛びつく話かもしれない。
「それで、拠点の話は乗ったのですか? 僕なら様子を見て、乗ってもいいと思うところですが」
ネロさんが話の続きを促した。すべてが怪しいと感じる今なら、そんな話は乗らないべきと思うが、様子を見て良さそうなら交渉するのも悪くないのではと言うネロさんの考えもありだろう。
ネロさんの言葉にゴッツさんは彫りの深い瞳を閉じて左右にゆっくり首を振った。
「即答できなかった俺にな、男は更にこう続けたのさ──」
『ゴッツ、あなたは非常に苦労した人生を送っていたそうではないですか。聞きましたよ。何でも盗賊上がりだとか……確か盗賊の罪で何年か牢屋に入れられたのでしょう?』
──そこまで知っているのか。詳しいな。罪は罪だ。牢屋に入れられても仕方がない。
『貧困の上での盗賊ですから罪と言っても恩赦があっても良かったと思いませんか? それに相変わらず近辺の町では奴隷売買なども行われていると言うのに。その奴隷を買うのは意外と軍人だったり権力を持った偉い人間だったりするのですよねぇ。本当に彼奴らは世間知らずと言うか。腹立たしいと言うか。この店に訪れる軍人にも本当にいけ好かない奴も多いでしょう?』
──奴隷売買ねぇ。そういう奴ら等もいるだろうが世の中の全ての不幸を軍人に結びつけても切りがないだろう。
『おお。素晴らしい。あなたは右耳を削がれる様な厳しい盗賊人生を送って来たと言うのに、軍人や町、国などを許していると言うのですね』
──はは。許すなんてたいそうな事じゃねぇ。それこそ商人としてあんたはどう思うのだ? 色々な町を、国を、人を見てきたのだろう?
『いいえ私の商人としての人生などあなたの人生に比べれば大したことはありませんよ。でも、そうですね一つ言えるとすれば──そう。奴隷商人なんてとんでもないですよ。早く捕まえるべきですよ盗賊なんかを捕まえる前にね』
──……
「盗賊だった俺の気持ちに寄り添ったつもりだったのかもな。俺はその時、男の目を見たんだ。真剣な振りをしているが、瞳の奥は淀みがある気持ちの悪いものだった。顔が嘆かわしいのに、目が笑っているんだ。俺はあの目を知っている。人を人と思っていない。口では罪人の傷に寄りそう事を言っているが、そんな事はこれっぽっちも感じていやしない!」
酒で潰れた声は更にゴッツさんの今までお苦労を滲ませる。
吐き捨てる様にゴッツさんは呟いた。
「馬鹿な奴らだね。ゴッツの過去をもっと洗えば、盗賊という事以外に分かった事実があっただろうに。それを含めれば、やり取りをするにはマズイ相手だと分かったろうに」
ウツさんがワイン口に含んで、うまいなぁと呟いていた。
「ははっ確かにな。俺が奴隷上がりという事を知らなかったのだろう。奴隷上がりが奴隷商人を見抜けない事はない。特に俺はな」
そう言って、ゴッツさんは自分の瞳を指差した。
先ほど言っていた心眼の事だろう。
「本当よね。右耳を削がれたのも奴隷時代の事だって言うのにね。盗賊時代の話で軍人に拷問された傷だとでも考えたのかしら。フフフ……聞けば聞くほど実にくだらない野郎だわ。で? ゴッツの見立ではそいつら商人の正体は何だと思うの。香辛料商人?」
ジルさんが口の端を上げながら笑った。答えが分かっていて聞いているのだろう。
「はは。何が香辛料商人だ。笑わせるな。ジルの話を聞いて確信が持てた。彼奴らはな、俺を昔売り払った奴隷商人の目と同じだ。クズの奴隷商人さ」
そう言い切ったゴッツさんの言葉に、皆が溜め息をついた。
「拠点の話は断ったさ。その時の諦めた商人の様子に俺は理解をしてくれたのだと思っていた。その後も優良な客として店の踊り子と接していたので油断したのがいけなかった……クソッ! もっと厳しく判断していればあいつは、あんな寝込む事はなかったのに。俺の監督不行き届きだ」
ゴッツさんは頭を抱えて俯いた。
それと同時に、トニが拳を握りしめるのが分かった。
そうだ、犠牲になった同僚の踊り子の事を考えているのだろう。
「ゴッツ、誰にでも間違いはあるわ。私も判断が鈍くなっていると考えられる事だもの」
ジルさんがゴッツさんの肩を叩いて慰める。
「出来るだけ彼女が健康的な暮らしに戻れるよう僕達も努力をするよ」
ネロさんがポツリと呟く。
その言葉を聞いたゴッツさんがゆっくりと顔を上げて彫りの深い瞳を閉じて小さく頷いた。
「頼む……」
「ああ。俺も協力するさ」
ウツさんもネロさんに続いて呟いた。
「じゃぁ。この件は協力してくれるわね? ゴッツ」
ジルさんが同意を求めて右手をゴッツさんに差し出した。
「分かった。協力しよう」
ゴッツさんは快くジルさんの手を握った。
話がどんどん大きくなっていく。
私は何だかとても恐ろしい相手を捕まえようとしているのだと再認識した。
私は両手に拳を握って鼻息を一つ荒く吐きだした。
そうして、ジルさんとゴッツさんが握手を交わして皆が一つ安堵した時だった。
「ん?」
ザックが思い出した様に声を上げた。その小さな声に皆が反応する。
「そういえば何気にウツがいるのが不思議なんだが。ジル、いいのかこの件ウツに話しても」
ザックがウツさんとジルさんを見比べながら首を傾げた。
「本当だ。このアルさんと奴隷商人の話って、ウツさん元々知らなかったんじゃ……」
私もザックの言葉に頷きながら目を丸めた。
「あら、本当だわ。ウツがいるの自然すぎて気がつかなかったわ。トニは話の元になっているしゴッツの店の一員だし良いとして。ソルは──もう路地で話を聞いた時点で何が何でも、嫌がっても裏町の情報収集をさせるつもりだったけど。ウツについては忘れていたわ。ハハハ」
ジルさんが笑い飛ばしていた。
「何が何でも、嫌がってもって……」
ジルさんの言葉を聞いて若者のソルが震え上がる。
「諦めろ」
シンがソルの肩をポンと叩いた。
そこで、皆の視線がウツさんに集中する。ウツさんはサラサラの金髪を揺らしてカラカラ笑う。
「えぇ~いいじゃないの。南方の薬の件は『おっちょこちょい』ネロよりも俺の方が得意分野だよ? それに、俺も『ジルの店』一家として裏町で情報収集をするよ。ここにいるソルと同じ様なもんさ」
そう言って胸を張ったウツさんだった。
「一家? 一家なのか? うーん。まぁ、いいんじゃないか? だって、ウツだし」
何だか適当に返事をしたのはノアだった。
「それもそうか。ウツだしな」
ザックもウツがいても大丈夫かと議題に挙げたがすぐに取り下げた。
そんな事でいいのだろうか。何となくいい加減でぐだぐだになったので不安に思う中、一人不満そうな声を上げた。
「む『おっちょこちょい』じゃないですよ」
ネロさんだった。ネロさんは隣に座るウツさんに食ってかかっていた。
「えー? 『おっちょこちょい』でしょ? 俺からすれば子どもの様な青さや甘さが残るところが多い。それに勘違いや思い込みが多いドジな魔法部隊小隊長だよ?」
ウツさんは食ってかかるネロさんを片手で払いながら鼻で笑った。
「いいえ! 『おっちょこちょい』ではありません。僕は、僕は……うう~ん」
ネロさんは『おっちょこちょい』に変わる言葉を探すが、どうやらピッタリとはまる言葉が思いつかない様だ。
「『僕は』の続きは何だい? 先走り野郎とか? あ、ちょっとエロい感じもするね、先走り~って後ろにつく言葉でエロくなる」
ウツさんがからかって笑う。結構な酷い言葉だ。
「相変わらず馬鹿なやり取りを」
「はは。ウツにかかればネロも可愛いもんだな」
ノアとザックが呆れた様に声を上げていた。
答えに困ったネロさんがぐるりと周囲を見回して私に視線を合わせた。その時私はネロさんの頭上にピンポンと音が鳴った様な気がした。
「そうですよ! 僕は『一流の変態』です!」
エッヘンと胸を張りその場で立ち上がる。
ネロさんの言葉にその場にいた一同が皆固まり、次の瞬間大爆笑となった。
「何言ってんだ。お前は本当にどうしようもないな!」
「でもピッタリだわ。いいわね誰が考えたの」
「ハハハ、本当だな。間違いないな」
ずっと黙っていたダンさんも笑い出す。
先ほどまで真剣に話していたジルさんもゴッツさんも吹きだして笑っていた。
だが、私だけ笑えないでいた。だってその言葉は──
「ほら素晴らしいでしょ。僕にピッタリ」
フンと鼻息荒くウツさんに立ったまま向き直る。
当然ウツさんも皆と一緒に笑っている、そう思っていたのだが違った。
慌てて立ち上がりネロさんに向き直る。
「な、何それ?! 誰が考えたの『一流の変態』は俺だろ?!」
ウツさんは全く違う事に食いついていた。
「フフン。いいでしょう? これを命名してくれたのは何とナツミさんなんですよ!」
「何だって! ナツミ、おかしくないか? その『一流の変態』というあだ名と言うか肩書きはむしろ俺に与えられる言葉だろう?!」
ウツさんは必死な形相で、ネロさんは満面の笑みで私を振り返る。
それに対して私は頭を抱えた。
「もう、もう~!!! ネロさんの馬鹿っ! ザックどうしようお嫁に行けない!」
私は大声で叫んだ。そして隣のザックに半泣きになってしがみつく。
だって『一流の変態』って言葉は、ザックとエッチをしている時に話した言葉なのだから、それをネロさんが知っているっていう事は──
やはり覗かれていたのだっ!
私は、恥ずかしくて穴を掘って埋まってしまいたい気分だった。
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