剣も魔法も使えない【黒蝶少女】は、異世界に来ても無双する?

べるの

文字の大きさ
72 / 589
第6蝶 冒険者ギルド騒乱編

双子姉妹を治療します

しおりを挟む
 


 ※今回もユーア視点のお話になります。




 ボクはお薬を使おうと、まだお尻の赤い二人に近付きます。


『あれ?』

 お顔がある方に周ったら、二人とも何か小さな声で呟いていました。
 何か眠そうな目で、寝言を言ってるようにも聞こえます。

 何だろう?

「ああっ! スミカお姉さまっ! お仕置き素敵でしたっ!」
「んんっ! スミカ姉っ! ワタシこんなお仕置き初めてでっ!」

『えええっ! は、早くっお薬使わないとっ』

 ボクは慌ててスミカお姉ちゃんから渡されたお薬を使います。
 何だか二人が危ない気がしたからです。


「はっ! 私のお尻は大丈夫!?」
「お尻 お尻っ!!」

 ナゴタさんとゴナタさんは直ぐに目を覚ましました。
 そして急いでお尻を確認していました。

「良かったぁっ! ちゃんと付いてますよ! でも、あれはあれで」
「危ねえ、お尻がなくなったと思ったぞっ! あの刺激は、だんだん」

 お尻が治って安心したみたいで、うっとりとしていました。


 そんな二人にボクは、恐る恐る声を掛けます。

「あ、あのう、お尻は大丈夫ですか?他にどこか痛くないですか?」

 なんて聞いてみます。
 まだお顔だけは赤いですが。

「大丈夫ですよ。スミカお姉さまのアイテムを使ったのでしょう?」
「は、はい、そうですっ! スミカお姉ちゃんのですっ!」
「なら大丈夫だぜっ! ワタシたち何回か同じもの使ってもらったから」
「そうですか、それは良かったですっ!」

 お尻が治って元気になった二人とお話しができました。


「それと攻撃をした私たちを助けてくれてありがとうございます」
「へ?」

「そうだぜっ! しかも、あのスミカ姉のお仕置きを止めてくれただろう? そして治療もしてくれたし、ありがとうよ」
「ええっ!」

「本当に助かりました。危うく新しい世界に飛び込みそうでしたわ」
「本当に助かったぜっ! あのままだったら違う自分に目覚めそうだった」

「うんっ! うん?」

 ニコニコしながら、頭を下げてお礼まで言ってくれました。

 最後のはよくわからなかったけど
 この人たちはあんまり悪い人たちじゃなかったのかな?


「どう、二人は反省した? それとユーアありがとうね。二人を任せちゃって」

「ス、スミカお姉さまっ!」
「スミカ姉っ!」

 髪を乾かしたスミカお姉ちゃんがボクたちの前に来ました。

 その後ろには、スミカお姉ちゃんに隠れるように、ルーギルさんとクレハンさんも一緒でした。ケガはもうお薬で治したみたいです。

「あ、スミカお姉ちゃん! あの、この人たちですが、なんか――」
「もう、ユーアを襲っては来なかったでしょう?」

 ボクが言いたかった事をわかっていたみたいに聞いてきました。

「はい!とても、その、良い人みたいです……」

 ボクはスミカお姉ちゃんに答えました。

「ユーア。前に冒険者ギルドで言ってた、ルーギルたちの話覚えている? この姉妹の悪評やら、逸話みたいなの」

「あの、弱い冒険者たちを、いじめる、みたいな事でしたよね……」

 その本人がいるので、小さい声で答えます。
 だって言いずらいんだもん。

「そう。だからもうユーアには襲ってこないよ。ね?」

 スミカお姉ちゃんはボクじゃなく、スミカお姉ちゃんの前で正座している、ナゴタさんとゴナタさんに聞いているようです。

「その通りですっ! スミカお姉さまっ! ユーアちゃんみたいな強い子なら、私たちも大歓迎ですから」

「うん、ナゴ姉ちゃんの言う通りだっ! そう言えばユーアちゃんって、もうCランクくらいか? 小っちゃいけど強いもんなっ!」

「そ、それってどういう事ですか?」

 二人が今までと別の人になっちゃったみたいでした。
 それでもまだ少し怖かったけど聞いてみました。

「ほら、もっと簡単にいいなよナゴタ。ユーアがちょっと不思議そうな顔してるでしょう? それとゴナタ。ユーアはまだEランクになったばかりだよっ! えへへっ! 凄いでしょう!」

 スミカお姉ちゃんが、ボクとの間に入ってくれました。
 何だかちょっと嬉しそうでした。

「えっ! Eランクですかっ!?」
「はぁっ!? その腕前でEランクっ!」

「ああ、その通りだァッ。ナゴタとゴナタ姉妹ッ! ユーアは大体3日前くらいかァ? Eランクに昇格したのはッ」

「そうですねギルド長。そしてスミカさんは3日前にコムケの街で、冒険者になったばかりですねっ!」
 
 ルーギルさんとクレハンさんが、二人に説明してくれました。

「スミカお姉さまが冒険者なのはお聞きしていました。でもユーアちゃんはなったばかりですかっ! あの強さで!?」

「え、ちょっと待ってくれよぉ! ええと、ユーアちゃんはEランクになったばかりで、スミカ姉は冒険者になったばかり…… あれ? スミカ姉はそれじゃFランクなのか? 冒険者になったばかりだから?」

「え、違うよ。私は最初からCランクだよ」

 それを聞いて、妹のゴナタさんにそう答えてました。

「えええっ! あ、ありえないですっ! それって初日からCランクって事ですよねっ!? でもさすがお姉さまっ! と、言いたいですけど、そんな事あります!? 初めて聞きましたよっ!」

「おいっ! どうなってるんだ? ルーギルっ!」

 二人は、もう何が何だかわからないみたいで、ゴナタさんがルーギルさんに怒ったように尋ねています。

「ああ、それなんだが、あんま大ぴらに言えねえんだがよォ」

 少し困った様にルーギルさんは頭を掻いています。

「ギルド長。別に隠さなくてもいいと思いますよ。双子姉妹はスミカさんをこれでもかってくらい認めてるみたいですし、コムケの街に行けば冒険者の殆どは知っていますから」

 「ハァ、仕方ねえなァ」と呟きながらルーギルさんは

「俺の独断と偏見と職権乱用で、スミカ嬢をCランクにしたァッ!」

 ちょっとやけくそになって大声で叫んでいました。

「ナイスですよルーギルっ! 私が許しましょうっ!」
「ナイスだぜっ! ルーギルっ! お前は正しい事をしたんだぁ!」

 それを聞いたナゴタさんとゴナタさんは「グッ」と親指を出して、ルーギルさんに笑顔で向けていました。


「でもよォ、お前たちはある意味、Bランクって言うかァ? 『Fランク』だよなァ? いやもっとかァ?」

「ルーギル。ここにきて、私たち姉妹を馬鹿にしているのですか?」
「何が言いてえんだっルーギル! F以下なんてあるわけねぇっ!」

 なぜか、ルーギルさんは続けて不思議な話を言い出しました。

 Bランクなのに、Fランクのもっと上?下?

「それに比べて、スミカ嬢とユーアは『Aランク』だよなァ! 絶対に『EやCランク』じゃねえぞォ!」

「はぁ? 一体何言ってんのルーギル?…… ああっ!?」

 スミカお姉ちゃんもわからなくて首を傾げていました。
 でも最後、何かに気付いたみたいです。

「Aランク? スミカお姉さまなら、そのランクでも余裕ですよっ! はっ!?」

「スミカ姉ならAランクでも足りないぜっ! えっ!?」

 ルーギルさんが、スミカお姉ちゃんとボクと、ナゴタさんとゴナタさんを見て、そう言っていましたが、ボクには意味がわかりませんでした。

 でも、ボク以外の人たちはわかっているみたいでした。


「ル、ルーギルっ! あなたねえっ!!」
「ちょっとルーギルっ! お前なぁっ!!」

 ナゴタさんとゴナタさんは、胸を両手で隠すようにしています。
 ちょっとだけお顔が赤いです。

「ギ、ギルド長っ! それはスミカさんには禁句だったのではっ!?」

 でもクレハンさんはかなり焦ってた感じでした。

 そしてその正面では

「ギ、ギザマ、ルーギルッ!! マダジテモッ!!」

 低くて恐い声を出したスミカお姉ちゃんがいました。
 それは全身から黒く何かが出ているように見えました。


『あれ? このスミカお姉ちゃんって?』

 ボクは思い出そうとちょっと考えてみます。

『あ、そうだっ!』

 今のスミカお姉ちゃんは、冒険者登録の時に、お胸の大きさの事でルーギルさんに怒ってた時のスミカお姉ちゃんだ。

 そう思い出したボクは、ルーギルさんに「ダメだよっ」
 と言おうとしたんだけど。


 ドゴォ――ンッッ


「がはぁッ――!!」


 凄い音と声で飛んで行って、遠くで気を失ってしまいました。
 少し遅かったです。ゴメンなさい、ルーギルさん。


『でも、ボクの知ってるスミカお姉ちゃんは、お胸の大きさなんて関係ないくらいに、カッコよくてキレイなのに、なんでそんなに気にするんだろう? ボクも大人になったら気にするのかなぁ?』

 全く膨らむ様子のないお胸をペタペタと触ってみます。

 でも

『ボクは、スミカお姉ちゃんくらいがいいなっ!』

 憧れのスミカお姉ちゃんのお胸を見て、そう思いました。

しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  お気に入り・感想、宜しくお願いします。

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

無能と追放された俺の【システム解析】スキル、実は神々すら知らない世界のバグを修正できる唯一のチートでした

夏見ナイ
ファンタジー
ブラック企業SEの相馬海斗は、勇者として異世界に召喚された。だが、授かったのは地味な【システム解析】スキル。役立たずと罵られ、無一文でパーティーから追放されてしまう。 死の淵で覚醒したその能力は、世界の法則(システム)の欠陥(バグ)を読み解き、修正(デバッグ)できる唯一無二の神技だった! 呪われたエルフを救い、不遇な獣人剣士の才能を開花させ、心強い仲間と成り上がるカイト。そんな彼の元に、今さら「戻ってこい」と元パーティーが現れるが――。 「もう手遅れだ」 これは、理不尽に追放された男が、神の領域の力で全てを覆す、痛快無双の逆転譚!

転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~

ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。 コイツは何かがおかしい。 本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。 目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

転生したら王族だった

みみっく
ファンタジー
異世界に転生した若い男の子レイニーは、王族として生まれ変わり、強力なスキルや魔法を持つ。彼の最大の願望は、人間界で種族を問わずに平和に暮らすこと。前世では得られなかった魔法やスキル、さらに不思議な力が宿るアイテムに強い興味を抱き大喜びの日々を送っていた。 レイニーは異種族の友人たちと出会い、共に育つことで異種族との絆を深めていく。しかし……

処理中です...