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第12蝶 異世界最強魔法少女(幼女)との邂逅編
表裏一体と煩悩
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※
《表裏一体モード》
表と裏の世界の、両方の理を併せ持つ姿になる。
そこに存在はするが、第三者には触れることも認識することもできない。
自身から第三者への接触は可能。
※使用中は装備の色が変化し、一定時間ごとに薄くなる。
解除するには装備が透明になるか、羽根を2秒纏って解除する。
一度目の前の――――
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|
※
「…………ん? 薄くなる? それと透明って?―――― はっ!?」
怪しげな単語を見付け、恐る恐る透明壁に全身を映す。
そしてその意味を理解し、一瞬固まる。
ファサッ!
「って、なんでわざわざ透明になるのっ!?」
慌ててフーナを確認し、全身を羽根で覆い隠す。
胸元と足元から薄っすらと、装備が透明になり始めてたから。
『あっぶなぁーっ! 危うくこの変態の前でセミヌードになるところだったよっ!』
羽根の中に隠れながら、ホッと胸を撫で下ろす。
フーナがまだ夢の中で助かったと安堵する。
まさかものの数秒で、表裏一体が消えるとは思っていなかった。
『なんでこんなに時間が短いのさっ! 強力なやつだと期待したのに使いどころが難しいんだよっ! それと装備が透明になるっておかしいよっ!』
再度メニュー画面を見ながら、心の中で愚痴を吐く。
使う前にチラ見した時は、かなり期待できるものだと楽しみだったのに……
仮に、この能力に時間制限がなかったとしたら、あまりにも理不尽過ぎるけどね。
相手には認識されず、且つ、触れる事も出来ないなんて。
「だから制限があるって事かぁ、こんなの使ったら一方的過ぎて戦いにならないからね。『幻夢』もそうだけど、増えた能力が強力過ぎない? これもフーナの影響? おっ! いつもの衣装に戻った」
黒アゲハ蝶の装備に戻り、そろそろ目を覚ますはずのフーナを横目で見る。
恐らくフーナも私と同じ世界の住人だ。
そんな存在と干渉したことで、強力なチカラが宿ったのだと推測する。
「それか、もしかしたら何かの前兆とか? 今までは都合よく私の望みに近い能力が増えていたからね。なら今回もそうだったとしたら? この能力を使う程の、強敵が現れるのだとしたら?」
決してあり得ない事ではない。
私やフーナのような存在がいるって事は、他にもいる可能性は高い。
現に怪しい魔物とも戦っているし、それらしい痕跡もあった。
「正直、好みの能力じゃないけど、そんな事言っても私自身が似たようなものだしね? ただ極力は…… ん? なんだ説明の続きあるじゃん」
口ではそう言いながら、せっかく覚えたものだと諦めきれずに、メニュー画面を眺めていると、更に詳細が続いていた事に気付く。
「え~と、なになに? 『一度目の前の相手に、装備の下の装備を晒すことが第一の条件』 って…… 何これ?」
装備の下の装備ってなに?
「あ、まだ続きがあるんだ。 で、『その晒した時間の分だけ《表裏一体》モードが継続する』」
晒した時間?
そんなことしたっけ?
「ん? 意味が分からないんだけど?」
何処か要領を得ない説明を読み終わり、無数の疑問符が浮かぶ。
「ん~、ちょっと整理しようか。まず注視しないといけないのは、第一条件の『目の前の相手』に『装備の下の装備』を『晒した時間』が『《表裏一体》』の使用時間って事だよね? え~と――」
単語ごとに強調して、考えてみる。
『目の前の相手』
この場合は言わずもがな『フーナ』の事だろう。
だからさっきまで使えたのだとわかる。
『装備の下の装備』
「………………」
これがわからない。だから先に進もう。次は、
『晒した時間』と『《表裏一体》』
これは簡単。
晒した時間=《表裏一体》が使える時間なだけだから。
そうなると『装備の下の装備』って単語が一番重要なものだとわかる。
これを晒す時間が、そのまま表裏一体モードの制限時間なのだから。
「はぁ~、もう認めよう。このままとぼけてても仕方ないしね……」
盛大に溜息を吐き、薄目でフーナを睨む。
こんなおかしな条件になったであろう、その当事者に恨みを込めて。
『装備の下の装備』
これはその意味の通り、装備の下に着ているもの。
要は下着の事で、それを晒している時間がチャージタイムって事だ。
確かにフーナは私の下着を盗み見していた。
それがチャージタイムと認識されたのだろう。
だから《表裏一体モード》になった時間が短かったのだ。
覗かれた時間は恐らく数秒だったから。
分かってしまえば簡単。
条件を満たせば、いつでも何処でもモードチェンジが可能だ。
だけど、それって――――
「な、なに? 敵の目の前で下着を見せながら戦えって言うのっ!? 魔物ならまだしも、対人戦だった時はどうすんのっ!」
これって絶対フーナのせいだよね?
こんなとんでもない存在と戦ったおかげで、おかしな条件が付いたのって。
「う~、かなり納得できないけど、それはフーナを起こしてから文句言ってやろう。これはご飯をご馳走だけじゃ足らないな。数週間ノトリの街で働かせようか?」
そろそろ目を覚ます時間なので、覚醒させるためにフーナに近寄る。
そんなフーナはだらしない顔で「でゅふふ~っ! 次は――直接~」とか言っていた。
「あのさ、どんな夢見てたのかは知らないけど、そのだらしない顔は誰にも見せない方がいいよ? フーナが好きな幼女だけじゃなく、大人だって引くからね」
若干、気持ち悪いなと思いながら、ポンと肩に手を置き、解除する。
「へ?」
「おはよ」
間抜けな顔のフーナに、軽く手を上げ挨拶する。
「な、なんでお姉さんパンツ履いてんのぉっ!?」
「はあ?」
まだ寝ぼけているようで、全身を見ながら良くわからない事を叫びだす。
「そりゃ履いてるでしょ? あなたじゃあるまいし」
「だって、さっきわたしが脱がしたもんっ!」
「脱がした? はっ! フーナ、まさかあなたは――――」
ここでようやく理解する。
フーナがなんの幻夢を見ていたのか。
こいつは夢をいいことに、私の下着を脱がして何かをしてたらしい。
しかも戦闘中だったというのに、勝敗よりも、煩悩が勝ってしまったらしい。
って、それよりも不可解なことが……
『あれ? 幻夢の効果って、その時の深層にある欲を見せるんだよね? なんで私の下着脱がしてんの? 普通は対戦相手をボコボコにするよね?』
恐らく私でも、強敵を前にしたら、相手を蹂躙する幻夢を見ると思う。
いや、一般的な思考の持ち主ならそれが当たり前。
それか本心では、私を倒すことが目的じゃなかった可能性もある。
が、それでも今の状況で、私を辱めるような幻夢を見たって事は……
「うっ」
「?」
想像しただけで、首筋やら背筋に寒気が走る。
勝つことよりも、私の体を蹂躙したかったことが、フーナの望みだった事実に。
「あ、あのぉ、お姉さん。もしかしてわたしがさっきした体験って?」
私の態度と自分の認識に違和感を感じたのだろう。
恐る恐ると言った様子で声をかけてくる。
「あれは全部まぼろしだよ。私の魔法で見せてた夢だから」
「え? い、いつからっ!」
「ん~、フーナが地面に叩きつけられ後で、私に突っ込んできたあたりだけど」
顎に人差し指を当て、そう答える。
「ふぁっ! そ、それじゃ、お姉さんのツルツルのお腹やお尻の感触や、この手の平と舌に残るちっぱいの感触や味も、全部夢だったって言うのっ!? ううう……」
真実を聞かされたフーナは、発狂したように叫び出した後で、下を向いてしまった。
その様子を見ると、かなりショックだったのはわかる。けど、
「そうだよ、たった今そう説明したでしょっ! ってか、あんた、夢の中で私に何してんのっ! 好き勝手にも限度があるでしょっ! 感触もヤバいけど、味ってどういう事っ!?」
トンデモ発言をしたフーナに詰め寄る。
いくら夢の中とはいえ、そこまで蹂躙されていたとは思いもよらなかった。
「ねぇっ! 聞いてるの?」
「ううう~」
下を向いたまま、ブツブツと何かを呟いているフーナに詰問する。
「うが――――っ! もう許せない――――っ!!」
「なんだよっ! 怒りたいのはこっちだからねっ!」
バッと顔を上げ、両拳を空に掲げて、更に怒りを露にするフーナ。
そんなフーナに負けじと、私も拳を握り、怒鳴り返す。
「ううう~、『ひーる』」
「え? ヒールっ!? って回復かっ!」
「そして、『ぶーすとあっぷ』」
「はっ! ブースト?…… あっ! これはヤバいっ!」
タンッ!
すぐさま後ろに飛びのき、透明壁を前面に展開する。
フーナはダメージを回復させたどころか、身体能力までアップさせたからだ。
「それはズルいってっ! 今更、回復するとか能力を上げるのはっ!」
最悪だ。
魔法使いなのだから、それを想定していなければならなかった。
ただこの世界では魔法自体が稀で、攻撃以外のものは殆ど見た事がなかった。
それと私の持つフーナのイメージが、回復と補助系の魔法に繋がらなかった。
「ん、澄香。何があったの?」
「あ、マヤメっ!」
そんな状況で、メドと戦っていた筈の、マヤメが合流した。
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