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27 ベタ惚れ男の愛し方
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しおりを挟む──ブルーノの家を後にした一行は、明日に向け、各々準備に取り掛かった。
ブルーノは漁船の手入れをしに、チェロは魔法の小瓶をストックするため精霊を確保しに、シルフィーはヒビが入ってしまった眼鏡を修繕しに向かった。
そして、クレアとエリスはと言うと……
「うーん……こうして見ると、飴にもいろいろ種類がありますね」
街の薬屋を訪れ、"水瓶男"のにおい対策をすべく、メティル飴を探していた。
様々な飴が並ぶ棚を、クレアはしげしげと眺めながら、
「エリスが普段舐めているのと同じものは置いていないようですが……どうしますか?」
隣に立つエリスに、そう尋ねる。
しかし、
「………………」
エリスは、ぼーっと商品棚を見つめ……うんともすんとも返事をしなかった。
「……エリス?」
「はっ! ご、ごめん、なんの話だっけ? 今日の晩ご飯について?!」
「いえ、どの飴にしますかと、聞いたところだったのですが……」
「あ、あぁ、そっか! そしたら、うーんと……コレにする! あたし、買ってくるね!!」
彼女は適当な飴の袋をひったくり、バタバタと会計カウンターへ向かった。
その様子を不審に思ったクレアは、じーっと彼女の後ろ姿を見つめ……
「お待たせ! それじゃあ、クレアの剣を買いに行こっか」
買い物を済ませ戻って来たエリスに、彼は首を振り、
「いえ、やはり一度病院へ戻りましょう」
「えっ、なんで? もしかして……やっぱり身体つらいの?」
「まぁそんなところです。ちょっと休みたくなってしまって」
言いながら、エリスの手から買い物袋を奪う。
「ちょ、それくらい自分で持てるよ。しんどいならむしろあたしが持つし……」
「大丈夫です。とにかく戻りましょう」
そう言って歩き出すクレアの急な行動に、エリスは心配と疑問を抱きつつも、彼の後に続いた。
(どうしよう……やっぱり昨日の戦いが身体に響いているんだ。なのにあたしったら、食欲に我を忘れてクレアを齧った上におんぶまでさせちゃって……)
と、少し前を歩くクレアを、エリスは申し訳なく見つめる。
表面的な負傷に加え、魔法による人体強化を施した影響もあるはずだ。確かに今は、一秒でも長く休むべきだろう。剣なら自分一人でも買いに行ける。
エリスがそう納得した時、ちょうど病院に到着した。
白い石壁で造られた二階建ての建物。イリオンの街中で最も古く、大きな病院だ。
二階の角にあるクレアの病室に辿り着き、エリスはほっと安堵する。
そして、すぐに踵を返し、
「それじゃ、ゆっくり休んでね。あたしはあんたの剣を買って来るから」
そう言って、そそくさと出て行こうとするが、
「待ってください」
クレアが、それを止めた。
そのまま彼は、エリスの腕をぐいっと引き……
後ろから、強く抱き締めた。
突然のことに、エリスは頬を染めて困惑する。
「ど……どうしたの?」
「駄目です。行かないでください」
「えっ……? あ、わかった。あたしがおつかいできないと思ってんでしょ? 安心して。値切り交渉なら得意なの。いっちばんイイ剣を超格安で手に入れてきてあげる。もちろん、国の名義で領収書を切るから!」
「違います。そうじゃなくて……」
「あ、もしかして種類? 確かにそうね。長さとか形とか、両刃とか片刃とか、教えてもらえればちゃんと探して……」
「エリス。剣のことよりも、今は……」
クレアはそっと、エリスの耳元で、
「…………ベッドに、入りましょう」
囁くように、そう言った。
思いがけないセリフに、エリスは耳まで真っ赤にして声を上擦らせる。
「そそそ、そうね。あんたはベッドに入ってゆっくり休まなきゃ……」
「一緒に」
ぎゅっ……
と、クレアは抱き締める腕に力を込める。
そして、
「一緒に、ベッドへ……来てください」
鼓膜を震わすような低い声音で、言った。
エリスは、背筋に甘いこそばゆさが走るのを感じる。
しかし、それをクレアに悟られないように、
「な、なんであたしまで……いいから早く寝なさいよ」
そう、強がりながら返すが、
「え、ちょ……ひゃあっ」
クレアは何も答えないまま、エリスの身体をひょいっと抱きかかえ……
――トサッ。
……と、彼女をベッドに寝かせた。
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