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the 9th day 家族のような仲間
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「初めまして、レナ・ルリアーナ王女殿下。カイの兄でハンと申します」
ハンがレナに誤解を与える自己紹介をしたので、
「いや、俺に兄はいませんよ」
とカイは否定しなければならなかった。一体何のための自己紹介なのだ。
「子どもの頃から、ずっと一緒に育ったんです。兄弟みたいな関係ですよ。弟は優秀だったから、僕が兄らしいことをしてあげられたかって言えば、大して何もしてあげられませんでしたけどね」
ハンはそう言って大きな声で笑った。ハンの独壇場に、誰も口を挟めない。
「失礼。ところで、殿下は弟のファンか何かなわけですか」
突然ハンに聞かれてレナは、
「ファン??」
と思わず聞き返した。
「いや、弟はこんな性格の割にファンが多いんです。ファンの方の前であんまり兄貴面すると『お兄様』って呼ばれるものですから、ファンの子たちは僕の中では『シスターズ』ということになってましてね」
とハンは早口で説明した。ハンの独特な世界観にレナが戸惑っていると、
「無視してください。一応紹介すると、団員のハン・ヨウケンと言います。東洋の遊牧民族の父とパース出身の母親から生まれているので、雰囲気は東洋人の特徴が強いと思いますが……私との血のつながりはありません」
とカイが説明した。
「今日から、サラとハンと私の3名で城内の護衛にあたりますので、よろしくお願いします」
カイが頭を下げると、なんとなくレナがいつもより元気がない。
「ところで殿下は、体調がすぐれないようですが」
カイが気にかけたので、レナは、
「大丈夫よ、ちょっと昨日は睡眠時間が短くて」
と少し元気のない様子で笑った。
「一応、午後の見合いが難しそうなら申し出てください。今日はパースのクリストファー伯爵との2度目のお見合いだったはず……」
と、カイはレナを気遣った。
「本当に大丈夫だから。パースとのことも気になるし、ちゃんとするわよ」
とレナは精一杯の笑顔を見せた。
「弟、姫君は何かに悩んでいそうだね」
部屋に戻ると、ハンはカイに話しかけた。
「ああ、色々考えることや、やらなきゃいけないことが多いからな」
とカイは相変わらず適当な返事をしたが、
「年頃の女性が、恋の病でも煩わせているのかな」
とハンは頷いている。
「なんでそうなるんだ。殿下は恋愛に憧れるだけで、そういった話は無かったぞ」
とカイはハンの言葉を一蹴した。それを聞いたサラは、
「ふーん。相手はあんたじゃないってことでいいんだね? 恋の病かどうかは置いておいて、なんであんなに落ち込んでるんだろ。」
と心配そうにしている。
「知るか。そもそも何で殿下が落ち込んでいるとそうなる。公務の可能性だってあるだろうが」
とカイはうんざりしながら2人の話を適当に聞き流したが、
「ほら、今朝出発したあの2人のどっちかと出来ていたとかなら辻褄が合うじゃないか」
とハンが思いついたように言った。勿論、それは毎日見合い中だという王女を揶揄しただけだった。
「いや、どちらかと言うと、出発した2人の方が殿下に執心だったと思うがな」
カイは、シンとロキを思い出して言った。
夜に話をしたいと呼ばれた時の2人の態度は、レナに対して好意に近いものを持っているように見えたからだ。
「へーえ。ロキもああいう子が好きなんだね。ちょっと意外だ」
ハンは目を丸くして驚いていた。
ハンがレナに誤解を与える自己紹介をしたので、
「いや、俺に兄はいませんよ」
とカイは否定しなければならなかった。一体何のための自己紹介なのだ。
「子どもの頃から、ずっと一緒に育ったんです。兄弟みたいな関係ですよ。弟は優秀だったから、僕が兄らしいことをしてあげられたかって言えば、大して何もしてあげられませんでしたけどね」
ハンはそう言って大きな声で笑った。ハンの独壇場に、誰も口を挟めない。
「失礼。ところで、殿下は弟のファンか何かなわけですか」
突然ハンに聞かれてレナは、
「ファン??」
と思わず聞き返した。
「いや、弟はこんな性格の割にファンが多いんです。ファンの方の前であんまり兄貴面すると『お兄様』って呼ばれるものですから、ファンの子たちは僕の中では『シスターズ』ということになってましてね」
とハンは早口で説明した。ハンの独特な世界観にレナが戸惑っていると、
「無視してください。一応紹介すると、団員のハン・ヨウケンと言います。東洋の遊牧民族の父とパース出身の母親から生まれているので、雰囲気は東洋人の特徴が強いと思いますが……私との血のつながりはありません」
とカイが説明した。
「今日から、サラとハンと私の3名で城内の護衛にあたりますので、よろしくお願いします」
カイが頭を下げると、なんとなくレナがいつもより元気がない。
「ところで殿下は、体調がすぐれないようですが」
カイが気にかけたので、レナは、
「大丈夫よ、ちょっと昨日は睡眠時間が短くて」
と少し元気のない様子で笑った。
「一応、午後の見合いが難しそうなら申し出てください。今日はパースのクリストファー伯爵との2度目のお見合いだったはず……」
と、カイはレナを気遣った。
「本当に大丈夫だから。パースとのことも気になるし、ちゃんとするわよ」
とレナは精一杯の笑顔を見せた。
「弟、姫君は何かに悩んでいそうだね」
部屋に戻ると、ハンはカイに話しかけた。
「ああ、色々考えることや、やらなきゃいけないことが多いからな」
とカイは相変わらず適当な返事をしたが、
「年頃の女性が、恋の病でも煩わせているのかな」
とハンは頷いている。
「なんでそうなるんだ。殿下は恋愛に憧れるだけで、そういった話は無かったぞ」
とカイはハンの言葉を一蹴した。それを聞いたサラは、
「ふーん。相手はあんたじゃないってことでいいんだね? 恋の病かどうかは置いておいて、なんであんなに落ち込んでるんだろ。」
と心配そうにしている。
「知るか。そもそも何で殿下が落ち込んでいるとそうなる。公務の可能性だってあるだろうが」
とカイはうんざりしながら2人の話を適当に聞き流したが、
「ほら、今朝出発したあの2人のどっちかと出来ていたとかなら辻褄が合うじゃないか」
とハンが思いついたように言った。勿論、それは毎日見合い中だという王女を揶揄しただけだった。
「いや、どちらかと言うと、出発した2人の方が殿下に執心だったと思うがな」
カイは、シンとロキを思い出して言った。
夜に話をしたいと呼ばれた時の2人の態度は、レナに対して好意に近いものを持っているように見えたからだ。
「へーえ。ロキもああいう子が好きなんだね。ちょっと意外だ」
ハンは目を丸くして驚いていた。
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