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第7章 争いの種はやがて全てを巻き込んで行く
世間一般ではデートと呼ばれるもの 1
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行きの馬車に揺られながら、カイとレナは離れていた数日間に起きたことなどを話し、いつもよりめかし込んだお互いを何となく褒めたり、外を眺めたりした。
2人が連れ立って町に出かけるのは実に3度目で、レナは王女だった頃にカイを連れ城下町に出掛けていた。今はその頃とは違い対等な立場でいられるだけでなく、恋人同士の外出だ。
「今から行く街では、カイは有名じゃないの?」
「・・どうかな。そこまででもないが、無名というわけでもない」
カイはそう告げて、心の中で「ロキが相当に有名人だから、その流れで知られている」と付け加え、食事をとる場所もロキの経営するレストランが一番良いのだったと思い出した。
すぐ近くにロキがいると思うだけで穏やかでないのは独占欲なのだろうか、カイには分からない。
「先日訪れた王都より、これから行く街の方が文化的にも経済的にも発展している。ブリステらしい街だから楽しいと思うぞ」
カイがこれから行く街のことを伝える。
「そうなの? すごいわね。色々見てみたい」
そう言って喜ぶレナを見ながら、その街が発展した理由のひとつに例の青年実業家がいることや、その青年実業家がレナをまだ諦めていないことや、街のことならその青年実業家が特に詳しいことなどを全て伏せた。
カイは自分がひどく心の狭い人間になったような気がする。
「残念ながら、俺は街のことには詳しくない。余所者と変わらない感覚で同行するが・・了承してくれ」
「じゃあ、お互い余所者同士、新鮮な気持ちで歩けるわね?」
レナが嬉しそうにしたので、カイの良心が傷む。馬車が街に到着する前にロキの話をしておこうと思っていたのに、結局口に出せずに馬車は到着した。
「わあ・・本当に、人が多くて・・活気があるわね」
街についた途端、完全にお上りさん状態になっているレナを見て、
「うちの領地の町ばかり見ていたから、特に思うだろ」
とカイが複雑な顔をした。
道は広く、歩行者も馬車も多い。行き交う人が楽しそうな街の風景は、まるでお祭りのようだ。精巧な装飾が施された建物や賑やかな飾り付けが施されたショーウィンドウなど、ルリアーナでは見たことのない都会的な雰囲気にレナは圧倒されていた。
「まず、歌劇の席を予約してから・・時間を見て昼食や街の散策をしていこう」
カイがそっと腕を開くと、レナは飛びつくようにしてその腕にしがみつく。カイと腕を組んで街を歩けるだけで、レナは自然と頬が緩んだ。
劇場に到着すると、カイが一人で席の手配にカウンターに向かった。レナは少し離れたところで待ち、広い入口と大きなシャンデリアが印象的な劇場の建物を興味深く見回した。
位の高そうな貴族がこぞって華やかな衣装に身を包みながら歩いているのが目に入る。そのうちの一人の女性がレナの視線を受け、レナの姿を頭からつま先まで値踏みするようにジロジロと見ていた。
カイがレナの元に戻って来ると、その女性はカイの姿を視界に入れて悔しそうな表情を浮かべた。カイのことを知っているのかどうかは定かではないが、その辺では見られないような珍しい美男を連れているレナに明らかな嫉妬の表情を浮かべている。
「午後の回になったから、少し周辺を歩いてから昼食を先にとろう。何か見たいものは無いのか?」
レナは戻ってきたカイの腕にしがみつくと、
「ブリステの特産とか・・何でも良いわ」
と、楽しそうに声を弾ませた。その様子を横目に見ながら、カイは目を細める。
「街歩きをするか。気になったものがあったら店に入ってみよう」
「遠慮はしないから覚悟してね? 振り回してしまうわよ?」
劇場から出て歩き出すと、レナがそう言ってカイの顔を覗き込む。カイは条件反射のようにレナの額に唇を当てた。
「望むところだ。思い切り振り回せ」
偶然それを目にした通行人女性が、何名か悲鳴を上げた。目に尊い行動だったらしい。
「あなたってやっぱり・・相当罪作りな見た目ね」
レナは複雑な気分だった。無意識に周りを魅了しているカイが自分には釣り合っていない歯がゆさがある。
「自分のことを棚に上げて、何を言ってる」
カイは思わず溜息をついてレナを見た。
「レナは気付いていないようだが、俺はもう何度も見知らぬ男に妬みの目を向けられているが」
「気のせいよ」
「それが気付いていない証拠だ」
そんなことを話しながら、2人は紅茶の専門店を訪れたり、土産物を見たりした。
1軒の花屋の前でカイは足を止めると、小ぶりで花が開き切っていない赤いバラを1本買い、棘を落として短く切るように店員に依頼している。
店員に「赤いバラとは、素敵な彼ですね」とレナが声を掛けられて、何のことだろうとレナは首を傾げる。カイは後ろで纏められたレナの髪にバラを差すと、満足そうに頷いて昼食に向かった。
2人が連れ立って町に出かけるのは実に3度目で、レナは王女だった頃にカイを連れ城下町に出掛けていた。今はその頃とは違い対等な立場でいられるだけでなく、恋人同士の外出だ。
「今から行く街では、カイは有名じゃないの?」
「・・どうかな。そこまででもないが、無名というわけでもない」
カイはそう告げて、心の中で「ロキが相当に有名人だから、その流れで知られている」と付け加え、食事をとる場所もロキの経営するレストランが一番良いのだったと思い出した。
すぐ近くにロキがいると思うだけで穏やかでないのは独占欲なのだろうか、カイには分からない。
「先日訪れた王都より、これから行く街の方が文化的にも経済的にも発展している。ブリステらしい街だから楽しいと思うぞ」
カイがこれから行く街のことを伝える。
「そうなの? すごいわね。色々見てみたい」
そう言って喜ぶレナを見ながら、その街が発展した理由のひとつに例の青年実業家がいることや、その青年実業家がレナをまだ諦めていないことや、街のことならその青年実業家が特に詳しいことなどを全て伏せた。
カイは自分がひどく心の狭い人間になったような気がする。
「残念ながら、俺は街のことには詳しくない。余所者と変わらない感覚で同行するが・・了承してくれ」
「じゃあ、お互い余所者同士、新鮮な気持ちで歩けるわね?」
レナが嬉しそうにしたので、カイの良心が傷む。馬車が街に到着する前にロキの話をしておこうと思っていたのに、結局口に出せずに馬車は到着した。
「わあ・・本当に、人が多くて・・活気があるわね」
街についた途端、完全にお上りさん状態になっているレナを見て、
「うちの領地の町ばかり見ていたから、特に思うだろ」
とカイが複雑な顔をした。
道は広く、歩行者も馬車も多い。行き交う人が楽しそうな街の風景は、まるでお祭りのようだ。精巧な装飾が施された建物や賑やかな飾り付けが施されたショーウィンドウなど、ルリアーナでは見たことのない都会的な雰囲気にレナは圧倒されていた。
「まず、歌劇の席を予約してから・・時間を見て昼食や街の散策をしていこう」
カイがそっと腕を開くと、レナは飛びつくようにしてその腕にしがみつく。カイと腕を組んで街を歩けるだけで、レナは自然と頬が緩んだ。
劇場に到着すると、カイが一人で席の手配にカウンターに向かった。レナは少し離れたところで待ち、広い入口と大きなシャンデリアが印象的な劇場の建物を興味深く見回した。
位の高そうな貴族がこぞって華やかな衣装に身を包みながら歩いているのが目に入る。そのうちの一人の女性がレナの視線を受け、レナの姿を頭からつま先まで値踏みするようにジロジロと見ていた。
カイがレナの元に戻って来ると、その女性はカイの姿を視界に入れて悔しそうな表情を浮かべた。カイのことを知っているのかどうかは定かではないが、その辺では見られないような珍しい美男を連れているレナに明らかな嫉妬の表情を浮かべている。
「午後の回になったから、少し周辺を歩いてから昼食を先にとろう。何か見たいものは無いのか?」
レナは戻ってきたカイの腕にしがみつくと、
「ブリステの特産とか・・何でも良いわ」
と、楽しそうに声を弾ませた。その様子を横目に見ながら、カイは目を細める。
「街歩きをするか。気になったものがあったら店に入ってみよう」
「遠慮はしないから覚悟してね? 振り回してしまうわよ?」
劇場から出て歩き出すと、レナがそう言ってカイの顔を覗き込む。カイは条件反射のようにレナの額に唇を当てた。
「望むところだ。思い切り振り回せ」
偶然それを目にした通行人女性が、何名か悲鳴を上げた。目に尊い行動だったらしい。
「あなたってやっぱり・・相当罪作りな見た目ね」
レナは複雑な気分だった。無意識に周りを魅了しているカイが自分には釣り合っていない歯がゆさがある。
「自分のことを棚に上げて、何を言ってる」
カイは思わず溜息をついてレナを見た。
「レナは気付いていないようだが、俺はもう何度も見知らぬ男に妬みの目を向けられているが」
「気のせいよ」
「それが気付いていない証拠だ」
そんなことを話しながら、2人は紅茶の専門店を訪れたり、土産物を見たりした。
1軒の花屋の前でカイは足を止めると、小ぶりで花が開き切っていない赤いバラを1本買い、棘を落として短く切るように店員に依頼している。
店員に「赤いバラとは、素敵な彼ですね」とレナが声を掛けられて、何のことだろうとレナは首を傾げる。カイは後ろで纏められたレナの髪にバラを差すと、満足そうに頷いて昼食に向かった。
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