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第11章 歴史を変える
ファニアの変化
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ルイスが旅立ったルリアーナ城で、ファニアはずっとベッドで横になっていた。
侍女がその様子を案じて傍らに付いていたが、一向に具合は良くならない。
心配したリディアがファニアの元を訪ねた。
「最近、外に全く出ていないようだけど、体調が悪いの? 症状は?」
リディアの姿を見たファニアは、何度も首を振って「なんでもありません」の一点張りだった。
あまりに様子がおかしいので、リディアはファニアの侍女に最近の変化を尋ねる。
「……懐妊かしら?」
リディアが冷静に口に出したのを、ファニアはベッドで震えながら首を振っていた。
「本当に? 懐妊であれば、私、とても嬉しいと思ったの」
リディアがそう声を掛けると、プラチナブロンドの髪を乱れさせたファニアは、その美しい透き通ったブルーグレーの目を濡らした。
「ルイス王子の御子は、リディア様が産むべきです」
ファニアはそう言うと「私が懐妊など、あってはなりません」と声を上げて泣き始める。
「馬鹿なことを言わないで。あなたがお腹を痛めた子だとしても、ルイス様の御子でしょう……。私、何としても守らせていただくわ。そんなことで私が妬んだりするとでも?」
「でも……」
ファニアは、自分をただの邪魔者だと思うようになっていた。
リディアのように役にも立てず、愛されているわけでもない。
ユリウスの側室として持ち帰られた荷物でしかないのだと。
「この際、はっきり申し上げておこうかしらね。ファニアが思っている通り……私はルイス様を誰よりも愛しています。だからあなたのことが、以前よりも大切だと思っているのよ、ファニア」
リディアはそう言うとファニアのベッドに腰を下ろした。
「私たちはライバルではないのよ、ファニア。子というのはね、とても弱いの。私のお父様にも奥様は5人いたけれど、生まれた子どもの内の半分も成人まで無事に育たなかった。私の兄弟は7人しかいないのよ」
「……」
「あなたの子だろうと、私の子だろうと、ルイス様の子を残したいというのが私の本心からの願いだわ」
リディアが優しく語り掛けるが、それもファニアを惨めにさせた。
「リディア様にも御子ができたら、きっとお二人はそちらを溺愛なさるわ。私の子など、まるでいなかったかのように……」
「そんなわけがないでしょう……。どんなに自分の子を大切だと思ったとしても、それがファニアの子に対する気持ちを変えるとは思えないのよ。私の子が無事に育つとは限らない、そして、それはファニアの子でも同じ。たった二人のルイス様の妻でしょう? 私は、なるべく多くの命を守りたいの」
リディアがそう言って横になっているファニアの手を握る。
「信じていただけないかもしれないけど、私、ファニアがいてくれて助かったって思っているわ。私ひとりで命の責任を負うのは、荷が重すぎるでしょう?」
「リディア様……」
ファニアはボロボロと泣きながら、「私が産んでも良いのでしょうか」と何度もリディアに尋ねた。
「当たり前でしょう? きっととんでもなく美しい子が生まれるわ」
リディアは嬉しそうに笑う。
ファニアと暫く話をした後、身体を自愛するように伝えて部屋を出た。
「子ができたと知ったら、きっとルイス様は喜んで……亡くなったルリアーナ王女のことも忘れて行ってくださるはずだから」
廊下を歩き始めたリディアは、小さな声でそう呟いた。
侍女がその様子を案じて傍らに付いていたが、一向に具合は良くならない。
心配したリディアがファニアの元を訪ねた。
「最近、外に全く出ていないようだけど、体調が悪いの? 症状は?」
リディアの姿を見たファニアは、何度も首を振って「なんでもありません」の一点張りだった。
あまりに様子がおかしいので、リディアはファニアの侍女に最近の変化を尋ねる。
「……懐妊かしら?」
リディアが冷静に口に出したのを、ファニアはベッドで震えながら首を振っていた。
「本当に? 懐妊であれば、私、とても嬉しいと思ったの」
リディアがそう声を掛けると、プラチナブロンドの髪を乱れさせたファニアは、その美しい透き通ったブルーグレーの目を濡らした。
「ルイス王子の御子は、リディア様が産むべきです」
ファニアはそう言うと「私が懐妊など、あってはなりません」と声を上げて泣き始める。
「馬鹿なことを言わないで。あなたがお腹を痛めた子だとしても、ルイス様の御子でしょう……。私、何としても守らせていただくわ。そんなことで私が妬んだりするとでも?」
「でも……」
ファニアは、自分をただの邪魔者だと思うようになっていた。
リディアのように役にも立てず、愛されているわけでもない。
ユリウスの側室として持ち帰られた荷物でしかないのだと。
「この際、はっきり申し上げておこうかしらね。ファニアが思っている通り……私はルイス様を誰よりも愛しています。だからあなたのことが、以前よりも大切だと思っているのよ、ファニア」
リディアはそう言うとファニアのベッドに腰を下ろした。
「私たちはライバルではないのよ、ファニア。子というのはね、とても弱いの。私のお父様にも奥様は5人いたけれど、生まれた子どもの内の半分も成人まで無事に育たなかった。私の兄弟は7人しかいないのよ」
「……」
「あなたの子だろうと、私の子だろうと、ルイス様の子を残したいというのが私の本心からの願いだわ」
リディアが優しく語り掛けるが、それもファニアを惨めにさせた。
「リディア様にも御子ができたら、きっとお二人はそちらを溺愛なさるわ。私の子など、まるでいなかったかのように……」
「そんなわけがないでしょう……。どんなに自分の子を大切だと思ったとしても、それがファニアの子に対する気持ちを変えるとは思えないのよ。私の子が無事に育つとは限らない、そして、それはファニアの子でも同じ。たった二人のルイス様の妻でしょう? 私は、なるべく多くの命を守りたいの」
リディアがそう言って横になっているファニアの手を握る。
「信じていただけないかもしれないけど、私、ファニアがいてくれて助かったって思っているわ。私ひとりで命の責任を負うのは、荷が重すぎるでしょう?」
「リディア様……」
ファニアはボロボロと泣きながら、「私が産んでも良いのでしょうか」と何度もリディアに尋ねた。
「当たり前でしょう? きっととんでもなく美しい子が生まれるわ」
リディアは嬉しそうに笑う。
ファニアと暫く話をした後、身体を自愛するように伝えて部屋を出た。
「子ができたと知ったら、きっとルイス様は喜んで……亡くなったルリアーナ王女のことも忘れて行ってくださるはずだから」
廊下を歩き始めたリディアは、小さな声でそう呟いた。
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