亡国の王女は世界を歌う ―アメイジング・ナイト2—

碧井夢夏

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第11章 歴史を変える

レオナルドと歩く城内

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曇り空のような色をした石で造られた城は、無骨で陰鬱な印象を与えてくる。天気は快晴だというのに、なぜか暗さを感じた。
カイたち一行がその濠を渡ったところで、レオナルドが門番に話しかける。

「元国王の間諜、レオナルド・サントーロだ。ルイス様に要人と兵を連れて来たから会わせてもらおう」

門番はレオナルドに委縮しながら全員を中に通す。あっさりと城に入れてしまうのは、レオナルドの持つ信用なのか恐ろしさなのだろうとカイは一部始終を観察した。

レオナルドはよく知った城を特に何も言わずに歩いて行く。すれ違った近衛兵がうやうやしく頭を下げているのを見て、レオナルドの兵としての立場に誰もが驚いていた。

「ルイス様は?」
「国王様の……いえ、先王の使っていた部屋にいらっしゃいます」
「ブラッドさんも?」
「恐らく……」

レオナルドは一人の近衛兵を捕まえてそんな話をすると、先王の使っていた馴染みのある部屋に向かう。

城内で堂々とするにはレナは血まみれのドレスを身にまとっているし、リブニケ人兵士たちの服は破れたり穴が開いたりしている上に何日も洗濯されていない頑固な汚れが染みついていた。

「よく考えてみたら、目立つよねえ」

レオナルドは視線を後ろに送ることなく全員に向けて言うと、「レナにこの格好をさせたのはレオナルドの作戦でもあるんじゃないのか?」とカイが不満を漏らす。

「よく、こんなに警戒されないで歩いていられるなあって思ってますけどね。ブラッドさんがいればなあ」

レオナルドがそんなことを話していると、偶然向こうから見知った兵士が歩いてきた。

「ブラッドさん!」

レオナルドが驚いて声を上げると、急に現れたレオナルドとカイの姿を見つけてたじろいだ。一体なぜこの組み合わせで、しかもボロボロの兵士を連れているのか。

よく見ると、女性らしき小柄な人物の姿がある。

「……え?」

ブラッドは自身の目を疑った。レオナルドが連れている一行に、ルリアーナ王女とよく似た女性の姿がある。ルリアーナ王女は故人だが。

(まさか、王女とよく似た女性を……?)

もしそうであれば、ルイスは激怒するに違いない。慌ててレオナルドに事情を聞こうと駆け寄った。あのレオナルドがそんなことをする意図が分からない。

「どうした? これは何なんだ?」
「久しぶりね、ブラッド。あんまり変わりがないみたいだわ」

ブラッドはレナに声を掛けられて固まった。思考が停止している。

「……久しぶり? っていうのは……」
「もう1年近く会っていなかったものね」
「おい、ハウザー殿? これは一体どういうことだ?」

レナの隣に立つカイに助けを求めた。ブラッドは訳が分からず、混乱している。

「お前の目の前にいる優秀な間諜の計らいだ。身代わりを立てて逃がされていた」
「……生きていたんですか?」

本来であれば生存を喜ぶところが、一度に色々なことが起きているせいかブラッドは幽霊にでも出会ったような顔をしている。

「おいおい、はっきりと事実を伝えても理解ができないのか?」

カイがニヤリと口端だけで笑みを作ると、ブラッドは急に冷静になった。

「……まさか、ルイス様に会いに来たのですか?」
「もちろん……。私のせいでルリアーナを任せることになってしまったし」
「おやめください……。もう、これ以上ルイス様の心を混乱させるのは……」

ブラッドは、これまでレナが見たことのない冷たい目で拒絶を示した。
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