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「さっきの爆発は、王女殿下でしたか」
「そうよ、曹長には止められたけど」
暴走気味なのは、さすが姉弟……。血筋を感じるわ。
「あの、お義姉様!」
「あなたの姉になった覚えはない!」
ひ、怯むもんか。
確かにこれが初めましてになってしまったことは申し訳ないわ。
それでも、アルのお姉さまで、あたしにとっては大切なお義姉様なんだもの。
「アルを助けるには、どうしたら良いですか!?」
「……助けるもなにも、アルの場合は自業自得でしょ」
何故かノーヴァが吹き出していた。
王女殿下は少しだけ冷静になったように見える。
いつの間にか衛兵の人たちが全員気絶していた。流石ノーヴァ。
あたしの水の攻撃、無駄にみんなを濡らしただけだったみたい。
「アルは間違いを犯したかもしれません、でも、方法を知らなかっただけで、全てあたしと一緒になるためだったんです。彼は……ちょっと頭は悪いかもしれないけど、あたしのただ一人の旦那様です」
伝わらなくても、伝えなくちゃ。
あたしのことを快くは思っていなさそうなお義姉様に言った。
「ちょっと頭が悪い……。オブラートに包んでいるような、包んでいないような言い方をされますこと」
「ごめんなさい、本当は、バカじゃないの? って思ってます」
「……さすが平民育ちは口が悪いわ」
王女殿下はさっきよりも冷静になって、あたしとノーヴァを眺めていた。
透き通るような藍色の瞳から、彼女の聡明さが伝わる。この人は、話せば分かってくれそう。
「どうせ、あなたはアルに騙されたんでしょう? あんな屑、とっとと忘れた方が幸せになれますことよ」
「それでは、あたしもアルも幸せになれません。あたしたち、ちゃんと愛し合ってます」
「じゃあ聞くわ、あなたの言う愛って何?」
「自分の全てを懸けてでもアルの幸せのために行動したい。これが、あたしにとっての愛です」
「そう……わたくし、この間、夫に逃げられたの」
うわ、なんか気まずい!!
えっとこの国の王女殿下って、確か隣国の王子様の元に嫁いでいた方ばかりだったような……。
「逃げたのではないかもしれませんよ? どんな夫婦にも、一人になる時間が必要ですし」
ソフィーお姉様の受け売りだけど、王女殿下にも結婚記念日的な夫婦喧嘩があるのかもしれないわ。
お義姉様は、どこか物憂げな顔をしている。
「わたくし、どうしたら良いかしら……。アルの嫁が一緒に考えて下さるなら、あなたに協力してあげなくもないわ」
「本当ですか?!」
「誰に聞いても、何も教えて下さらないから、わたくし困っていたの」
そう言うと、みるみるうちに顔が曇っていく。
悲しそうなお義姉様にアルの顔が浮かんで、あたしは何故か母性本能がくすぐられた。
「旦那様とのことは、国家間の問題には、ならないのでしょうか?」
「さあどうかしらね」
お義姉様、悲しそう。アルもだけど、愛情が変に暴走しちゃうのね。
本当は、純粋で、愛を欲している人たちなのかもしれない。
「お義姉様! なんだかあたし、お義姉様の力になりたくなりました!」
あたしの言葉に、ノーヴァと王女殿下の目が丸くなった。
分かってるわ、おこがましいんでしょう? でも、この人を放ってアルと幸せになるなんて、もっと違うでしょって思う。
「あ、あなた、名前はなんておっしゃるの? わたくしは、ユングフラウ。乙女座スピカの加護を持つ第二王女よ」
「自己紹介が遅れまして、申し訳ございません。ウィルダ・クリオスと申します」
あたしが名前を伝えると、お義姉様は何故か納得したように頷いていた。
「ああ、そう言えば、クリオス社のご令嬢……月の女神の加護があるのだとか」
「はい……。加護のことはあまり知らなくて、星の加護というものがあるのだと、初めてお義姉様から伺って知りました」
ノーヴァは、さっきから何も言わない。王女様相手だからだろうか。
「様々な加護があるのだけど、星の加護と言っても神様の加護に比べたら、弱いわ。あなたやアルは、特殊だと思いなさい」
そう言うと、お義姉様はすたすたと歩いて行く。
「あの、どちらへ?」
「わたくしの別荘に案内してさしあげる」
お義姉様はそう言って、にこりと笑う。あたしはノーヴァと顔を見合わせた。
「そうよ、曹長には止められたけど」
暴走気味なのは、さすが姉弟……。血筋を感じるわ。
「あの、お義姉様!」
「あなたの姉になった覚えはない!」
ひ、怯むもんか。
確かにこれが初めましてになってしまったことは申し訳ないわ。
それでも、アルのお姉さまで、あたしにとっては大切なお義姉様なんだもの。
「アルを助けるには、どうしたら良いですか!?」
「……助けるもなにも、アルの場合は自業自得でしょ」
何故かノーヴァが吹き出していた。
王女殿下は少しだけ冷静になったように見える。
いつの間にか衛兵の人たちが全員気絶していた。流石ノーヴァ。
あたしの水の攻撃、無駄にみんなを濡らしただけだったみたい。
「アルは間違いを犯したかもしれません、でも、方法を知らなかっただけで、全てあたしと一緒になるためだったんです。彼は……ちょっと頭は悪いかもしれないけど、あたしのただ一人の旦那様です」
伝わらなくても、伝えなくちゃ。
あたしのことを快くは思っていなさそうなお義姉様に言った。
「ちょっと頭が悪い……。オブラートに包んでいるような、包んでいないような言い方をされますこと」
「ごめんなさい、本当は、バカじゃないの? って思ってます」
「……さすが平民育ちは口が悪いわ」
王女殿下はさっきよりも冷静になって、あたしとノーヴァを眺めていた。
透き通るような藍色の瞳から、彼女の聡明さが伝わる。この人は、話せば分かってくれそう。
「どうせ、あなたはアルに騙されたんでしょう? あんな屑、とっとと忘れた方が幸せになれますことよ」
「それでは、あたしもアルも幸せになれません。あたしたち、ちゃんと愛し合ってます」
「じゃあ聞くわ、あなたの言う愛って何?」
「自分の全てを懸けてでもアルの幸せのために行動したい。これが、あたしにとっての愛です」
「そう……わたくし、この間、夫に逃げられたの」
うわ、なんか気まずい!!
えっとこの国の王女殿下って、確か隣国の王子様の元に嫁いでいた方ばかりだったような……。
「逃げたのではないかもしれませんよ? どんな夫婦にも、一人になる時間が必要ですし」
ソフィーお姉様の受け売りだけど、王女殿下にも結婚記念日的な夫婦喧嘩があるのかもしれないわ。
お義姉様は、どこか物憂げな顔をしている。
「わたくし、どうしたら良いかしら……。アルの嫁が一緒に考えて下さるなら、あなたに協力してあげなくもないわ」
「本当ですか?!」
「誰に聞いても、何も教えて下さらないから、わたくし困っていたの」
そう言うと、みるみるうちに顔が曇っていく。
悲しそうなお義姉様にアルの顔が浮かんで、あたしは何故か母性本能がくすぐられた。
「旦那様とのことは、国家間の問題には、ならないのでしょうか?」
「さあどうかしらね」
お義姉様、悲しそう。アルもだけど、愛情が変に暴走しちゃうのね。
本当は、純粋で、愛を欲している人たちなのかもしれない。
「お義姉様! なんだかあたし、お義姉様の力になりたくなりました!」
あたしの言葉に、ノーヴァと王女殿下の目が丸くなった。
分かってるわ、おこがましいんでしょう? でも、この人を放ってアルと幸せになるなんて、もっと違うでしょって思う。
「あ、あなた、名前はなんておっしゃるの? わたくしは、ユングフラウ。乙女座スピカの加護を持つ第二王女よ」
「自己紹介が遅れまして、申し訳ございません。ウィルダ・クリオスと申します」
あたしが名前を伝えると、お義姉様は何故か納得したように頷いていた。
「ああ、そう言えば、クリオス社のご令嬢……月の女神の加護があるのだとか」
「はい……。加護のことはあまり知らなくて、星の加護というものがあるのだと、初めてお義姉様から伺って知りました」
ノーヴァは、さっきから何も言わない。王女様相手だからだろうか。
「様々な加護があるのだけど、星の加護と言っても神様の加護に比べたら、弱いわ。あなたやアルは、特殊だと思いなさい」
そう言うと、お義姉様はすたすたと歩いて行く。
「あの、どちらへ?」
「わたくしの別荘に案内してさしあげる」
お義姉様はそう言って、にこりと笑う。あたしはノーヴァと顔を見合わせた。
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