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燈坂 もと

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失恋と執着 side攻

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「あ、そ。ご苦労様。今、口座に金、振り込んどいたから。約束通り、今後連絡は取らない。連絡して来たら…そう。そういう事だから。はーい。 ありがと。」

本当に、よかった。
受がずっと好きだった奴が……ただの、クズ男で。

告白を、促した。
叶わない恋に陰鬱としてる受をこれ以上見たくないと。
受なら他に素敵な人が現れる。だから前を向くために告白した方がいいと。
俺の事を信用しきってる受は、その言葉を鵜呑みにして俺の指示通りに動いた。
叶わない恋を応援するフリをして絶対に叶わない様に裏で工作し続けて10年。

やっと、動ける。この時をずっと待っていた。




「……あれ、受じゃん。横、座って、い?」

河川敷の草っ原で大の字になって寝転ぶ愛しい受が俺の声に気付いて俺を見遣る。
職場の同僚で高校時代からの友達。
俺の初恋の人で今もずっと愛しくて堪らない君。

俺は受の返事を待たずに受の横によいしょ。と腰掛けた。

「……攻じゃん。……こんなとこで、どうしたの。」
「受の悲しいオーラを察知して、ここかなって。今家から慌てて来ました。」
「……ははっ。……すご。エスパーじゃん。……今、ほんとに……悲しい事、あったわ。」

受が悲しい気持ちになってるのは、本当に知ってた。

だって今まさに電話で「告白されたから言われた通りに情け容赦なくフった」と報告されたばかりだから。

受との最初の出逢いは小学校だった。
出逢いはこの河川敷。その当時俺の親は仲が悪くて。顔合わすと喧嘩ばっかりで。

親の罵り合う姿を見たくなくて、目の前の河川敷に行く様になった。

よくここに俺は暗くなるまでひとりでいて。
「この子がいるから、別れられない……」と俺が寝てると思い込んでた母がボソッと横で呟いた言葉が頭から離れなくて。
俺なんか生まれてこなきゃよかった、なんて暗い川を覗き込みながら川に前のめりになってたそんな俺を、飛び込もうとしてると思い込んで止めに入ったのが、受だった。

『えっ!ちょ、何してんの?!あぶな!川って怖いんだぞ!もう暗いし……家は?……え、帰りたくないの……?じゃあ……ウチ、近くだから、ウチにおいでよ!』

ぐいぐいと、俺を引っ張っていくその明るい少年に呆気に取られて。
その日は受の家で一晩過ごした。

受のお母さんが警察に連絡してくれて。
次の日、父親が俺を泣きながら迎えに来た。仕事人間のあの父が。信じられない。父親がボロボロ泣いてるのが恥ずかしくて照れてると受が俺に向かって『楽しかった!また、遊ぼうな!』ってお日様みたいな眩しい笑顔をみせて。

俺は、その一瞬で、恋に落ちたのだ。

その時の俺はすっごく暗くて。
髪も真っ黒で、おどおどしてて。
でも受と出逢って明るい受に見合う様になりたいと俺は全方面に頑張った。

結局、両親は離婚。
母が出ていき、父が仕事をこなしながら俺を育ててくれた。
あの事件以後父は俺にめちゃめちゃ甘くなった。

だから、助けてくれた受の事をたくさん知りたいし情報が欲しいとお願いしたら、膨大な量の情報と写真がやって来て。それは今でも俺の宝物だ。

中学は本当は受と同じところへ行きたかったのだけど、学区外が心配すぎると父に猛反対されたので、あえなく断念。

受の情報だけは毎日欲しいとお願いをしたら、その通りになった。

中学2年の時、受が幼馴染に恋をしている事が分かって俺は嫉妬で狂いそうだった。
父にお願いして、その幼馴染に女を送り込む様にお願いをして。
父は二つ返事で俺の言う事を聞いてくれたので受の想い人は中学で童貞を卒業している。
でもそのお陰で、その幼馴染は女好きのクズ野郎に成長してくれた。

俺的には本当にいい仕事をしてくれたと最初の女に感謝をしている。

高校でやっと同じ学校になって。
小学校の頃の面影が微塵もない俺に受が気付くこともなく初めましてを装う。
毎日毎日、受の情報を摂取していたから受の好きな物は全てインプットされていて受の好きな物は俺の好きな物になり必然的に気が合った。

大学も、同じところ同じ学部。
就職先は、たまたま受が内定をもぎ取ったところが父の息のかかっている会社で。コネで滑り込んだ。

受は純粋で、真っ直ぐで、一途だ。
だから……なかなか幼馴染への想いを吹っ切れずにいて。
俺は相談相手に甘んじた。

後は、あのクズ野郎を上手く裏で動かして。
受の気持ちにケリをつけさせるだけ。

「……今、ケリつけて来た。はー、もっと泣けるかと思ったのに……全然、泣けないや……こんなもん、なのかな。」

そう言いながら思い出の河川敷でぼーっとしてる受を優しく抱き締めて、ぽんぽんする。

「……俺、ほんとにアイツの事…好き、だったんだ……」

知ってるよ。
俺、お前の事ずーっと見てたから。
その熱の籠った蕩けるような視線が、早くコッチを向いて欲しいと嫉妬でおかしくなりそうなのを我慢しながら。

優しく柔らかく慰めれば受はボロボロと涙を零した。

自分で仕向けた事とはいえ、愛しいこの子の涙は堪える。堪えるけど……そのお陰で、受が俺の腕の中にいる現実におかしくなりそうだ。やっとの想いで、初めて、この腕の中に抱き締めることが出来た喜びに心の奥底では踊り狂っている。

それから受はひとしきり泣いて。
俺は羊の皮を被って優しさを全開に彼を包んだ。

「……っ。攻……ごめ、俺……大声で泣きすぎたよな……今更、なんだけど巻き込んで、ごめん。も、大丈夫、だから……ありがと。」

距離を取ろうとする受を、俺はぐ、と力を入れて固定する。混乱している受にニヤ、と微笑む。

……まさか、離すとでも?
俺は、この時を虎視眈々と狙っていたのに……

離す訳、ないだろう?


「……へっ」
「はー……やば。……心臓の音、早くておっきい……俺の事、意識してくれてるの……?かわいい……やっと、俺の番、だね。」
「な、なに、なにが、ていうか、距離近……!」

おでことおでこをくっつけて、お互いの体温を直で感じる。鼻の頭同士を擦り付けて受の息遣いを感じる。
かわいい。愛しい。

大好き。愛してる。
ずっと、こうしたかった。

「んー?こんなの、全然……近くないよ?近いっていうのは……」

目の前の艶やかな口唇に吸い寄せられる様に、口付けた。

「 ────── っ!」

夢にまで見たその行為に羊の皮を破って狼が顔を覗かせる。

もっと、もっと。もっと、欲しい。

背中に回していた手を受の後頭部をしっかり捉えて固定させて、逃がさないようにする。

「……っ、ちょ、ま……っ!」
「ん、……待つ訳、ないでしょ。……好きだよ。ずっと、受が好きだった……ん、ん……もう、余所見、禁止ね……ん、」

何度も何度も角度を変えて口唇を貪る。
長年妄想してきた受との行為は想像以上に、えっちで、淫靡だ。

「……っは、……ふふ。……ここ、硬くなってきてる……気持ちいーね?」
「……っ!や、やめ……っ、」

反応して硬くなった受の中心部に、ズボン越しに昂った俺をゴリゴリと当てると受の顔が刺激に歪んで……紅潮した頬に、潤んだ瞳に、ゾクゾクした。

「あー……そんな顔で見ないでよ……止めらんなくなる」
「わ……っ!」

ぎゅ、と受を抱き竦めた後、ゆっくりと受の首元に俺の顔を埋めて。
「これ以上お前の顔見ると、ヤバいから……ちょっと、このままで」と言いながら受の首元の匂いをスゥーと嗅いで深く息を吐くと、受の身体が更にビクビクして、堪らない。
落ち着かせようとした行為に逆に興奮が増して余計彼が欲しくなった。

目の前の柔い桃色の皮膚に吸い付くと、か細く甘い声が漏れ聞こえて俺の行動は余計に止まらなくなる。
後もうひと推し。俺の経緯を話せばきっと、俺に既に情が移ってるこの子は……俺に気持ちがなくても、身体を赦してくれる筈。

身体を赦してくれさえすれば未体験の彼は初めての快楽に溺れて心も絶対俺に向く。
絶対に、この好機を逃したりはしない。

「……ん、……あのね。言ってなかったけど……俺、小6の頃からお前に片想いしてるから、俺の方が拗らせてるからね。覚悟しといて。」
「……へ……っ?」

中高大から現在に至るまでの経緯を受に吐き出せば大きな瞳で見つめられて。
その中に俺が映っている現実にクラクラする。

「……ふふ。やっと俺の事、見てくれた。……もう、どこも余所見させない。俺だけ、見て。」



もう絶対、他は見せない。

俺だけしか、その瞳には映さない。



永遠に閉じ込めて、離さないから。



<終>



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