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< 本編 >
40.生徒会室でキミと(2)
「……ん、……圭介さん……そろそろ、戻らないと……」
「嫌だ。もう少し、このままが、いい……ん、お前と……離れたくない」
2、3度……口唇を、触れ合わせて。
そのすぐ後、俺が放った言葉は、いとも容易く彼によって闇に葬られた。
「……でも、ん。……お昼ご飯、食べるでしょう?ドリンク……みんなが、っぁ。取りに来ちゃう……」
「別に……、俺は、ん、見られても構わない。お前は、俺のモノになる予定だからな……、っ。」
俺が喋ろうと口を開く度に、口唇を塞がれる。
俺も触れ合っていたいという本心があったから、積極的に抵抗出来なかった。
……ずっとこうしてたいって、俺も、同じ気持ちなのだ。
だから、俺のモノになる予定、という台詞に否定する気持ちが湧かなかった。
俺だって、ほんとは、貴方のモノになりたい。
ヤバい。気持ちの蓋どこいった?
全く蓋ができない。
俺はなんて……自分に甘いんだろう……情けない。
すると、ふ、と。圭介さんの口唇が離れた。
口唇が、寂しい。
「……でも、そうだな。そろそろ戻ろう。……物足りないって、顔だな……そんな顔、しないでくれ。……っ。堪らなくなる。これ以上続けたら、もっと……欲しくなりそうで怖い」
「そ!そんな顔、してませんよ……!も、戻りましょう……!」
これ以上は、俺も引き返せなくなりそうだった。
慌てて、身だしなみを整えた。
そんな俺に再び、ちゅ、と口唇が降ってきた。
嬉しさが、込み上げる。
「……また、夕方、執務室でふたりきりになったら……たくさん、しよう。予約、させてほしい」
「何度も言いますが、予約は……、受け付けて、ない、です」
そうか、と笑う彼は、カッコいいのにかわいくて。
心臓が激しく動いた。
俺は、卑怯者だ。
彼のモノになれない、と口先で言いながら、彼に口唇を許して……口唇を重ねたいっていう自分の欲望だけは満たしている。
本当だったら、彼とは距離を保った方が絶対いいのに。
でも、彼と触れ合いたい欲望は、枯れる事がなく、どんどん大きくなっていて、自分でもどうしようもない。止められないのだ。
昨日、あの感覚を知ってしまったからなのか……本当は今も、もっと、ずっと、沢山……したかった。
圭介さんに、物足りない顔と指摘されて、慌てて否定したけど、図星すぎてツライ。
俺はいつから、こんなにスケベに……!
うんうん唸っている俺に彼がそっと近づく。
俺の敏感な耳元に声を落とした。
「士郎……さっきの物足りなさそうな表情……堪らなく唆られた。予約なしでいいから、後で……たくさん、キスしたい。覚悟、していてくれ。────── 好きだよ」
耳元で低く、ゆっくり囁かれた言葉に、爆発しそうになった。
俺の抵抗、全然効いてない気がする……!
めちゃめちゃ押されている……
ドアの方から、コンコン、とノックの音が聞こえた。
「士郎、いる?ごめん、ドリンク取りたいんだけど……入って、いいかな?」
「総兄!い、いいよ!大丈夫!ごめん、気を遣わせて……!」
ガチャ、とドアが開いた先にいた総兄と白木さんは、顔を真っ赤にさせていた。
あれ、……もしかして、さっきの……聞こえてた……?のか、もしれ、ない……?
……気、気まずい……。
「ご、ごめん、聞くつもりは、無かったんだけど……!聞こえてきちゃって……あの、ここでは、風紀が乱れるから、ちょっと、やめてもらって……!俺も我慢してるし……!続きは、執務室でやってもらっていい?執務室と仮眠室は防音だからさ……!さすがに……あんな熱烈なやりとり、ちょっと、恥ずかしいわ」
「ワタシ、自分以外のああいう声、初めて聞いたから、顔、赤くなっちゃってるけど、気にしないで!恋愛って素敵だよね!キス、気持ちいいのは分かるし……!何か、聞いちゃってごめん、っていうか聞く気なかったんだけど、聞こえてきちゃって……!えっちだった……!ご馳走様でした……!」
「勝手に聞くな。あの士郎は俺だけのモノだ。」
「圭介さん、ちょ、やめて……!」
俺と、総兄と、白木さんは、お互いにぺこぺこしながら、ドリンクを運んだ。
今度から、こんな空気になっても給湯室だけは気を付けよう。と心に誓った。
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