<完結> βの俺が運命の番に適うわけがない

燈坂 もと

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< 本編 >

73.1年生達の休み時間

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「……士郎くん?どうか、した?」

声がする方を見上げると、顔面偏差値神レベルの友達がいて。
髪がエアリーな祥くんが、机に突っ伏してた俺の顔を上から覗き込んだからか、彼の髪がふわっと揺れた。

大きい瞳が、俺に向けられて、少しドキッとしてしまった。圭介さん、ごめん。これは浮気でも何でもなくて、人間の摂理であり、不可抗力です。許してほしい。
祥くんは、かわいすぎます。
そのかわいさは、犯罪レベルです。はい、逮捕。

今は、1限目が終わった後の休憩中だ。
ハイレベルな授業内容に頭がパンクしそうで、机に突っ伏してまった。
初っ端から……くじけそう。いや、比良坂教授の講義を受けたいし、父さんとの約束もある。頑張らないといけない……ん、だけど……!

「いや……授業内容……すごいな、って。コレ、ついてくの本当に大変……」
「そうだね……!ボクも、ここまでだとは分かってたけど分かってなかったかも……!でも、燃えるよね~!」

総兄から、ついてくのが大変、と聞いてはいたけど……コレほどとは……
コレは、圭介さんの部屋でいちゃいちゃしてる場合では……ない、気が、する。

「ね、咲耶くんは……もう既に1年次の単位とってるんだよね?じゃあ、勉強のコツ、聞いた方がいいんじゃない?」
「……それは、そう……なん、だけど……」
「ね。士郎くんさ……咲耶くんと何かあった?朝会終わってから……咲耶くん、何か変?こっち、来ないし。」
「……それは、俺が聞きたい。」

朝会の時、お弁当を渡して咲耶が生徒会室を出てから……
教室に戻ると、咲耶は俺が入ってきても素知らぬ顔で。
いつもなら、手、振ったりとか……してくれる、のに。

休み時間も、いつもなら真っ先に俺のところにくるのに……今も別の子と、喋ってる。
何か、俺が咲耶に、避けられてる……気がする。

「……嫌われる様な事……したかな、俺」
「したの?」
「してないよ!してないから……訳がわかんなくて……困ってる。」

俺が、咲耶に嫌な事をした、っていうなら……避けられるのも理解できるけど。
何で急に?って疑問だらけだ。
俺、咲耶と……肩を貸し合える……親友に、なれると思ってたのに。


『士郎は、士郎のままでいて。もし、無理して疲れるようならさ、それは……士郎じゃないから。自然体の士郎でも、それでも、疲れる時があったら……そん時は俺ンとこにおいで。いくらでも、話聞くし。いくらでも、泣いていいから。』

そう言ってくれた咲耶に、俺も同じ様に思っていたのに……
でも……離れてしまうものは……しょうが、ないのかも。

「……咲耶も、俺ばっかりじゃなくて、別の子と仲良くしたい、って思ったのかも。ごめん、祥くん。気にしないで……って、あれ、祥くん???」

目の前にいた筈の祥くんが、何故かいない。
あれっ祥くん何処、行った?

俺が祥くんを探してキョロキョロしていると、さくやくーん!と咲耶の方へ手を振りながら走る祥くんがいた。
えっ瞬間移動すぎる……!
咲耶の横にはαの河瀬くんがいて。
河瀬くんもカッコよくて頭が良くて運動できるから、物凄く人気者だ。
我がクラスのイケメン大集合に、クラスから黄色い声がこっそり上がる。

「祥大、どうした?」
「河瀬くん、咲耶くんと話ししてるとこ、ごめんね?」
「いや、大丈夫」
「よかった。ね、咲耶くん、勉強今日から始まったでしょう?βには理解が難しいところがめっちゃあって……!よかったら、勉強会開いてほしいな、って思って。次、先生の都合で自主学習になったでしょ?1年生専用の学習室で、どう?」
「ああ、構わないが……」
「ほんと?!ありがとー!……士郎くーん!咲耶くん、大丈夫だってー!」

えっ、俺に話……振らないで……!

「……っ。士郎も、参加……する、のか」

明らかに微妙な反応をした咲耶に、胸が、痛む。
俺、やっぱり気付いてないだけで、咲耶に酷い事……しちゃんたんだろうな。
なるべく、関わらない方がいい、かも。

「祥くん……!俺は」
「士郎くん!……ちょっと。そこで……待ってて?」

俺にそう言って、ニッコリと笑って。
祥くんは少し移動して咲耶と話し始めた。
俺の位置からは、2人の話し声は聞こえない。
……咲耶が、無理してまで俺といる必要、ないと思うんだよな……俺といたくないなら、俺はそこに入らない方が、いい。

「時任、勉強難しそう?」
「……!河瀬くん。……うん、何か……初めて講義受けたけど……ヤバい、気がしてる」
「……ははっ。一コマ終わっただけで既に?でも、危機感があるのは……偉いと、思う。」

俺が1人でいたのを気にしてか、河瀬くんがきてくれた。
河瀬くんと話したの初めてだけど、雰囲気が柔らかい、な。話、しやすい。

「……黒木先輩と、婚約……したんだよな。おめでとう。」
「あっ、あり、がと……!吃驚したよね?急に……」
「や、入学式の時に初めて見た時から……時任の全身にマーキングが凄かったから、エゲつない相手が居るな、とは思ってたけど。でも、相手が黒木先輩だとは、知らなかった。……あと、もう1人……。ね、時任?試したい事があるんだけど……いい?」
「え、何?俺、どうしたら、いいの?」
「こっちきて。そうそう。なるべく触れない様にするけど。……当たったらごめん。その時は、許して。」

そう言って、河瀬くんは俺に覆い被さるをした。
河瀬くんの身体は、小柄な俺を、すっぽり包んでいる。

「???これ、何してるの?」
「ま、見てて。あ、そうだ。今から時任の事、士郎って呼ぶから……俺の事は、りょうって呼んで?……あー楽しみ。これで反応なければ……俺の只の思い過ごし……」
「 ────── ッ!河瀬……ッお前、何して……っ」

グイッと、河瀬くんの肩を掴んで俺から離したのは
咲耶、だった。

「……咲耶……?」
「……ははっ!ヤバ。……ビンゴ、だな。」

咲耶は何だか空気が凄くピリピリしてて。
気のせい、かな……怒って、る?
そんな咲耶を河……おっ、と。違う違う。
……遼は、ニヤニヤしながら見ている。
何が、どうなってる???

「鷲宮、勉強会……俺も参加するよ。、と寺畑に俺が。教える。お前は、来るのか?別に俺が教えるから……来なくても、い」
「俺も、行く。……士郎、祥大……行こうか」


俺の手をぐ、っと握って。
咲耶は俺を引っ張って歩き始めた。



その足取りが向かう先は、学習室だった。






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