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< 本編 >
81. 執務室と寮の部屋でキミと
その日の授業が終わって、祥くんは遼とクラス担当の教授のところに用事があるから、少し遅れてから来る、と聞いていたので俺はひとりで生徒会室に向かった。
生徒会室へ向かう途中で、スマホを手に取り咲耶にチャットを飛ばした。
すぐに既読はついたけど、咲耶からの返信はなくて。
見る気力はあるけど返信するまでは難しいんだろうなと思って気にならなかった。
最近、何だか変だったのは体調が悪かったからだろう。
前の、元気な太陽みたいに笑う咲耶に会いたくて。
早く良くなれ~とスマホに向かって念を送った。
課後業務中は各々の部屋に直行して仕事を行うため、生徒会室は誰もいないだろうなと思いながら、目の前の生徒会室の扉にノックをしようと手を上げた途端に扉が開いた。
開いた先には、俺の大好きな婚約者がいて。
俺の顔は思わず綻んだ。
「……!……ふふ。自動ドア、みたい。ありがとう。」
「君の自動ドアになれるのなら本望だ。さ、執務室へ行こう。」
彼の手が俺の腰を引き寄せて、密着したまま執務室へ移動した。
ついさっきまで、重なっていた彼の身体が近くにある事に……お腹の奥がきゅ、と、なる。俺の身体がまだ、物足りない、って言ってる様で……でも、今日はこれ以上はしない、って決めたから、心を鬼にしなきゃいけない。
時折、移動中に頭頂部の匂いをすんすん嗅がれて、吃驚して彼を見やると「いい匂いがする、ずっと嗅いでいたい」と、うっとりした恍惚な表情で言われて色々爆散しそうだった。
あまーい!めちゃくちゃにえっちな事したくなっちゃう……!やめて欲しい……!
何とか彼の誘惑(?)を掻い潜り、執務室へ到着してすぐ、俺は圭介さんに物申そうと口を開いた。
「ね、圭介さんに、おこ、しなきゃいけない事があるんだけど……聞いてくれる?」
「……?……おこ、とは……?……怒る、という事か……?何かな、君に怒られる事をした記憶は……微塵もないが……聞こうか。士郎は、何に怒っているんだ?」
「……こ、これ!この首の……!コレは……ダメだと……思う……!」
襟元の赤い跡を彼に見せて、俺は彼に訴えた。
クラスの子にも、道ゆく人々にも、赤い顔でじ、っと見られて……俺は恥ずかしさで耐えられなかったのだ。
「……なんだ、キスマークの事か。俺のモノだって、知らしめたくてな。これでも付けたりないんだが……ダメだったのか?」
「ひょえ……!まだ付けるつもり、だったの……?!こんな……見えるところに、付けちゃだめダメ……!さっきのえっちの時は……感覚がぽわぽわしてて付けられてるの……全然、気付かなかった……」
「ふふ。士郎……大胆だったもんな……かわいかった……今夜も、後ろからも前からも俺ので沢山突いて、ぽわぽわしたところでキスマークを付ける予定だったが……今夜は、しない、もんな?」
「……っ!そ、そうだよ、しない……!」
「ふーん?ま、いいが。早急に終わらせて、俺の部屋へ行こう。君との時間を出来るだけ沢山確保したい。さ、業務をしよう。士郎、このデータをこっちの資料通りに整理してくれ。」
「わ、わかりました!」
……あれ?もっと誘惑が……あるかな、と思ってたのに……全然、だったな。ちょっと……物足りない、なんて。
俺からえっちはしない、って言っておきながら、何て勝手なんだ俺。
さっき移動中に軽く触れられたせいで、少しお尻が湿ってビリビリしているのを隠しながら、俺は課後業務に勤しんだ。
いや、もう、俺の身体……えっちしたくてしょうがなくなってきている……!
課後業務が終わって、圭介さんの部屋に移動をした。
圭介さんの部屋は執務室の横の仮眠室にある扉を開けると寮へ繋がる通路があった。
この移動中も腰に手を添えられて……頭頂部を偶に嗅がれて……俺は、ゾクゾクしながら下半身が反応してるのをバレない様に身動ぎして移動した。
激しい事は何もされてないのに、身体がぽわぽわし始めてる。ど、どうしよう……えっちしないって気持ちが……揺らぎ始めてる……ヤバい……!
「……わ!圭介さんの部屋……広い……!」
「ひとり部屋で、俺以外誰もいないから……好きに使ってくれ。と言っても、俺は士郎と離れるつもりはないから……ずっと一緒に……くっついて、いたい……士郎、おいで……?」
おいでって言葉に……俺は、弱い。
ベッドに座った彼は手を広げて俺の受け入れ体制は完璧だった。
そんな彼の膝の上に足を広げて乗り、ぎゅ、と抱きつく。
じんわりと触れ合ってるところから愛しさが込み上げる。
彼から……長い、長い溜息が聞こえた。
「今日も、長かった……やっと、ゆっくり……君に触れられる……」
「ふふ。おつかれさま……圭介さん……だいすき……」
「……俺もだ……ん、」
口唇を塞がれて、ちゅ、ちゅ、と啄まれて。
舌を絡めたくて口を開いた時に、彼の顔が俺から離れた。
「……士郎……?勉強、しようか。ポイントを教えよう。寝室だと、集中できないだろうから……ダイニングへ行こう。俺の首に捕まって?連れて行こう。」
「……へ……は、はい……!分かり、ました……!」
えっちを、しないと決めたのは俺だ……!俺だけど……!
何だか、生殺しの気分……!!!
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