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5、神の選択
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「おはようございます、光莉様」
昨日と同じ時刻、同じトーンで冥に起こされた。昨日とは違い気持ちはやや重かった。
「さぁ、朝食を召し上がったら参りましょう。」
淡々と告げる冥に少しイラッとした。
気象予報室から始まり、交通課、教育課、審判課とルーティーンのように巡る。説明される事も少なくなり、昼過ぎには一通り終わった。
「では、例の場所へ行きましょうか。」
冥に誘われるまま冥界の端へ歩いて行く。小鬼達の姿も少なくなり、現実世界にあったような古びた鳥居が並んでいる道に辿り着いた。
「ここから先は一部の選ばれた者しか入れません」
鳥居が続く道をひたすら歩くと、素人が見ても”普通じゃない”と一目で分かるほど豪華な神社に辿り着いた。
「ここは?」
「まぁ、見ててください。」
煌びやかに光る神社の扉に手を掛ける。開けた途端・・・
”ザーーーーーーーーーーーッ”
A4サイズの紙の山がなだれのように溢れ出してきた。それらは静かに光を放ち、私が来るのを待ちわびているようだった。何枚か手に取ってみる。
”妻が余命3ヶ月と診断されました。どうか治りますように”
”お金持ちになれますように”
”好きな人とお付き合いできますように”
「ここにあるのは人間達の願いです。人はすぐに”神頼み”する愚かで醜い生き物です。しかし、神も悪魔ではありません。1週間に10枚だけ選んで頂き叶える事ができます。」
「他の”願い”は?」
「破り捨てて頂いて構いません。」
非情に吐き捨てる冥の姿が悪魔に見えた。
「ではわたくしは他の仕事がありますので、ごゆっくりと選別してください。」
冥はそう言い残すと鳥居をくぐりながら去っていった。
ざっと見渡すだけでも5万枚はあろうかという”願い”の山に途方に暮れる光莉であったが、見捨てるわけにもいかず”神の選択”を始めた。
本当に叶えたいものだけ残すつもりであったが、数十分もしないうちに10枚をとうに越えてしまっていた。
”新しい生命が宿りましたが、流産が続いています。どうかこの生命は助けてください”
”娘が事故に遭いました。どうか意識を取り戻せますように”
光莉は号泣しながら”願い”を破り捨てた。
昨日と同じ時刻、同じトーンで冥に起こされた。昨日とは違い気持ちはやや重かった。
「さぁ、朝食を召し上がったら参りましょう。」
淡々と告げる冥に少しイラッとした。
気象予報室から始まり、交通課、教育課、審判課とルーティーンのように巡る。説明される事も少なくなり、昼過ぎには一通り終わった。
「では、例の場所へ行きましょうか。」
冥に誘われるまま冥界の端へ歩いて行く。小鬼達の姿も少なくなり、現実世界にあったような古びた鳥居が並んでいる道に辿り着いた。
「ここから先は一部の選ばれた者しか入れません」
鳥居が続く道をひたすら歩くと、素人が見ても”普通じゃない”と一目で分かるほど豪華な神社に辿り着いた。
「ここは?」
「まぁ、見ててください。」
煌びやかに光る神社の扉に手を掛ける。開けた途端・・・
”ザーーーーーーーーーーーッ”
A4サイズの紙の山がなだれのように溢れ出してきた。それらは静かに光を放ち、私が来るのを待ちわびているようだった。何枚か手に取ってみる。
”妻が余命3ヶ月と診断されました。どうか治りますように”
”お金持ちになれますように”
”好きな人とお付き合いできますように”
「ここにあるのは人間達の願いです。人はすぐに”神頼み”する愚かで醜い生き物です。しかし、神も悪魔ではありません。1週間に10枚だけ選んで頂き叶える事ができます。」
「他の”願い”は?」
「破り捨てて頂いて構いません。」
非情に吐き捨てる冥の姿が悪魔に見えた。
「ではわたくしは他の仕事がありますので、ごゆっくりと選別してください。」
冥はそう言い残すと鳥居をくぐりながら去っていった。
ざっと見渡すだけでも5万枚はあろうかという”願い”の山に途方に暮れる光莉であったが、見捨てるわけにもいかず”神の選択”を始めた。
本当に叶えたいものだけ残すつもりであったが、数十分もしないうちに10枚をとうに越えてしまっていた。
”新しい生命が宿りましたが、流産が続いています。どうかこの生命は助けてください”
”娘が事故に遭いました。どうか意識を取り戻せますように”
光莉は号泣しながら”願い”を破り捨てた。
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