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みずきだいありー
それぞれの力
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おばあちゃんを、学校に送り届けてから、アルバイト先のハンバーガーショップに私はいた。ここは、どうやら災害の難から逃れられたようだ。しかし、店長と、女性スタッフの先輩が、机に座って、項垂れていた。
「どうしたんですか?店長」
「ああ、水季ちゃんか、どうもこうないよ。アルバイトスタッフが十人も抜けると、さっき連絡が立て続けにあって、営業再開は無理だ。外があんな様子じゃ、新しいバイトも来ないだろうしなぁ。ここも店じまいかって、石彫くんと話してたんだ」
「そうなのよ、私もね今日シフトだから来てみたら、お客さんどころか、スタッフ一人としていやしなかったわ。店長、下の子供が心配なのよ、さっき幼稚園から連絡があってね、迎えに来いですって、水季ちゃんも来たし、ここでおいとましてもよろしくて」
「ああ、どうぞ。子供さんによろしく言っといて」
「あらそう、ごめなさいね」
そう言うと、石彫さん制服のまま、ママチャリを勢いよく発進させていった。私は、ここまで来た理由がある。
学校に避難してくる人々は、食事の用意なんて一切持たずに、避難してきた人たちがほとんどであった。そこで私は、思いついたのだ。
「店長、店仕舞いだと言うのならひとつだけお願いがあります。ここのハンバーガーを売り尽くしたいんです」
「はぁ」
店長は、驚きのあまり開いた口が塞がらないようだった。
「ただ腐らせるのは、勿体無いと思ったんです。避難所では、非常食を持たずに、避難した人たちがたくさんいたんです。だから」
「むむー。しかし無償で提供となると本当に店をたたむ羽目になるかもしれないな、何か店にとってメリットが無いとどうもなあ」
「メリットならあります。全て100円にすればいいんです。だって」
「だって?」
「だって他の店は、もぬけの殻だから、です」
店長は、ガタンと椅子を鳴らして、立ち上がり、
「それなら行ける」
と大声で叫んだ。
「すぐに支度しよう。今日は、朝メニューからの残りもある。倉庫の分も合わせて、ザッと5千食分くらいは、ある筈だ。1つ100円とすると、50万稼げればいいだろう。さっそく呼び込みだ。僕が仕込みしておくから、水季ちゃんは、スタッフルームにある、電子メガホンを使って、宣伝してきてくれないか」
「はい」
私は拡声機を肩から下げて、呼び込みをしに、街に飛び出した。これが吉と出るか凶と出るか、私にはわからないが、おそらくこれが私にしかできないことだと思うから、私は精一杯やり通そうと、心に誓うのだった。
夜になると、お客さんの足取りも緩やかになり、在庫も、残りあと僅かになり、4千8百食を過ぎた。そして、珍しいお客さんがやって来た。私は厨房にいて、店長がカウンターがしてしまったので、挨拶ができたなかった。
「あっ、先輩」
先輩は、何かを悩んでいたそうだ。私は、先輩の助けになれただろうか。店から出て行く先輩の背中は、なんとなく、晴れ晴れとしているように見えた。私は、ホッと胸を撫で下ろし、再び厨房に戻るのだった。
「どうしたんですか?店長」
「ああ、水季ちゃんか、どうもこうないよ。アルバイトスタッフが十人も抜けると、さっき連絡が立て続けにあって、営業再開は無理だ。外があんな様子じゃ、新しいバイトも来ないだろうしなぁ。ここも店じまいかって、石彫くんと話してたんだ」
「そうなのよ、私もね今日シフトだから来てみたら、お客さんどころか、スタッフ一人としていやしなかったわ。店長、下の子供が心配なのよ、さっき幼稚園から連絡があってね、迎えに来いですって、水季ちゃんも来たし、ここでおいとましてもよろしくて」
「ああ、どうぞ。子供さんによろしく言っといて」
「あらそう、ごめなさいね」
そう言うと、石彫さん制服のまま、ママチャリを勢いよく発進させていった。私は、ここまで来た理由がある。
学校に避難してくる人々は、食事の用意なんて一切持たずに、避難してきた人たちがほとんどであった。そこで私は、思いついたのだ。
「店長、店仕舞いだと言うのならひとつだけお願いがあります。ここのハンバーガーを売り尽くしたいんです」
「はぁ」
店長は、驚きのあまり開いた口が塞がらないようだった。
「ただ腐らせるのは、勿体無いと思ったんです。避難所では、非常食を持たずに、避難した人たちがたくさんいたんです。だから」
「むむー。しかし無償で提供となると本当に店をたたむ羽目になるかもしれないな、何か店にとってメリットが無いとどうもなあ」
「メリットならあります。全て100円にすればいいんです。だって」
「だって?」
「だって他の店は、もぬけの殻だから、です」
店長は、ガタンと椅子を鳴らして、立ち上がり、
「それなら行ける」
と大声で叫んだ。
「すぐに支度しよう。今日は、朝メニューからの残りもある。倉庫の分も合わせて、ザッと5千食分くらいは、ある筈だ。1つ100円とすると、50万稼げればいいだろう。さっそく呼び込みだ。僕が仕込みしておくから、水季ちゃんは、スタッフルームにある、電子メガホンを使って、宣伝してきてくれないか」
「はい」
私は拡声機を肩から下げて、呼び込みをしに、街に飛び出した。これが吉と出るか凶と出るか、私にはわからないが、おそらくこれが私にしかできないことだと思うから、私は精一杯やり通そうと、心に誓うのだった。
夜になると、お客さんの足取りも緩やかになり、在庫も、残りあと僅かになり、4千8百食を過ぎた。そして、珍しいお客さんがやって来た。私は厨房にいて、店長がカウンターがしてしまったので、挨拶ができたなかった。
「あっ、先輩」
先輩は、何かを悩んでいたそうだ。私は、先輩の助けになれただろうか。店から出て行く先輩の背中は、なんとなく、晴れ晴れとしているように見えた。私は、ホッと胸を撫で下ろし、再び厨房に戻るのだった。
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