angel observerⅢ 大地鳴動

蒼上愛三(あおうえあいみ)

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大地の章

Another epネプトゥヌス

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 一方ネプトゥヌスは、湖の岸辺ある桟橋に腰を下ろし月を見上げていた。
「こっちは割と静かだな。おい、若旦那こっちはとっくにポイントに到着だ」
「今確認した。敵はいないみたいだね、お嬢さんとプルトさんは交戦中みたいだから、陽動というわけではないと思うけど、何かおかしいな」
「全くだ、気味が悪りぃ」
 月が湖面に反射して写し出されているが、反射した月が次第に怪しい光を纏う。咄嗟にネプトゥヌスは空を見上げたが月は先ほどとなんら変化はなかった。すると、桟橋に大きな衝撃が走る。バラバラと少し朽ちた板は次々と湖に散らばって、ネプトゥヌスも自然と湖に投げ出された。
「なんだ、うぉおおお。こいつはとんだ大物じゃねぇか」
 ネプトゥヌスが湖の中で出会ったのはロドスの海蛇だった。三岐大蛇だったかとネプトゥヌスは首を捻ったが、細かいことはどうでもいいと三叉槍を構えた。
「珍妙な姿になっちまってるが、海のよしみだ。仲良く行こうぜ・・・とはいかねぇか。その首全てきっちり切り落としてヤラァ」
 真ん中の頭が大きく口を開けた。すると口からは咆哮とともに火炎が吹き出され散らばっていた桟橋を燃やしていった。
 水の中でも火が出せる。それはやりすぎだろうとネプトゥヌスはため息を漏らす。
「オラオラオラッ。こいつもおまけだ、持って行きな」
 ネプトゥヌスの怒涛の槍術はまさしく神技だが、ロドスの海蛇はその硬い鱗で槍を弾いてしまう。
 おまけに泳ぐのが速く背中にはヒレが付き泳ぐのに特化している。
「くそッ、面倒なことになって来やがった」
 巨体ながらその速さはさながら魚雷そのものである。前後左右上下から縦横無尽に襲ってくる。ロドスの海蛇の攻撃をネプトゥヌスは危なげなく回避する。
 攻撃ひとつひとつは、雑で気を抜かなければ当たりもしないと思うがいつまでも続くと面倒だ。
 しかし近づくとなると難しいとネプトゥヌスはひとまず岸へ向かった。
「どっこらせっと。ふう、たく面倒だぜ。ああ、面倒くせぇ」
 さてどうしたものかと、ネプトゥヌス湖のほとりの茂みに腰を下ろした。
 ただですら巨体なアレを見事、撃ち倒さなくてはならないでなければ湖付近にある起点を叩くことができない。
 彼には勝機がないわけではない。けれども決定打になるかどうかが問題であった。
「俺らしくもねぇか」
 ネプトゥヌスは髪をワシャワシャと搔きまわすと槍を再び携えて湖に飛び込んだ。
 夜の湖はまさに神秘的というに相応し、妖艶な月の光が水中にゆらゆらとカーテンのように揺らめいている。
 そのおかげか幾分明るく見える。
「悪いな俺は単純な男なんだ。搦め手とか策略とか戦法なんざ二の次だ。るかられるかそんだけでいいんだよ。闘いってのはよおおおおお」
 ネプトゥヌスはわざとロドスの海蛇の下に潜り込み、浮力を利用して一気に上昇する。もともと泳ぐのことが得意な彼の水中での上昇は、かつてないスピードをロドスの海蛇に見せつけた。
「このまま、ぶっ飛ばしてヤラァ」
 ネプトゥヌスのトリアイナは海蛇の胴を捉え、湖面を突き破り宙へと放り投げた。
「おっしゃあああ、これで終いだ」
 穿たれた三叉槍はロドスの海蛇の胴体と中央の首を貫通して行った。そして岸に立つネプトゥヌスの手元に戻ってくる。
「いっちょあがりっと」
「ああ、やっと繋がった。そっちは大丈夫そうかい」
「障害排除、これから起点をぶっ潰すとこだ」
「了解、作戦を継続してくれ。そこを抜けるとおそらくお嬢さんと一度合流する形になると思うから、そこからはまた通信で伝えるよ」
「あいよ、そっちも後方だからって気は抜くなよ若旦那」
「忠告いたみいるよ」
 プッと通信は途絶えた。ネプトゥヌスは肩を伸ばし、再び湖の中へ進み出た。水中はもう静寂しかない。怪物もいなければ黒騎士もいない。
 起点となる水中神殿の残骸が光っている。ネプトゥヌスは接近し横薙ぎに神殿を壊した。そして光は小さくなり辺りは暗くなった。
「破壊終了、さて嬢ちゃんと合流しますかね」
 ネプトゥヌスは湖の上まさに、水面を歩いて夜の闇に消えた。
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