angel observerⅡ 六神の加護

蒼上愛三(あおうえあいみ)

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アテネの春

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 ギリシャヘやって来て2日。若は、依頼主の元へ、真理亜は、コイオスを連れてショッピング、私はクリオスとアテネの町を練り歩いていた。いつかクロノスがこう言っていた。「お前の兄姉は、逃したはずだが記憶がはっきりしないんで、居場所はわからん。だが、ギリシャのどこかにはいるだろうよ」と、少し探してみるのも悪くないかと思い、こうして町を歩いてみるがやはり、そう簡単にはそれらしい人物と出会うはずもなく、ただいたずらに時間だけが過ぎて行く。
「さてと」
「もういいのです?」
「ええ、次に行きましょ」
「はいなのです」
私たちは、それまでいた噴水広場のカフェのパラソルが備え付けられた椅子から席を立ち去る。
 次は、あの白い柱が無数に集まる場所へ行ってみようと、私は中央通りを軽快に抜けて行く。昼下がりの石畳みの公道は、いい雰囲気を醸し出す。行き交う人々は、観光客だったり、地元の人だったり、和やかな空気が感じられた。仕事場へ走って向かう日本とは少し違う生活感を目の当たりした。
「穏やかね。ここは」
「そうですね。比較的日本と違って時の流れが緩やかです」
石畳みの道が、終わりを迎えるともうそこからは、芝生の道だが、ただ人が通り過ぎたところが踏み潰されて道のように見えているだけである。しかもこの道は、緩やかな丘になっている。
「どうやら、ここを行くしかないようです。姉様」
「うーん。登るのはきっついけど、ここまで来たんだし、登った後に報われると信じて、行きましょ」
「人目が無ければひとっ飛びなのですがねぇー」
クリオスは、ぶつぶつと呟きながら、私の後をついてくる。緩やかだと思っていたけれど、以外と急な崖になっているところもあり、少々危険度が増したようにと感じた。気を抜けば地面へと真っ逆さまだ。(いざとなったら飛ぶのだけど)
 問題なく、古代建造物まで辿り着いた。近くで見るとまた違った印象を受ける。屋根であったであろう破片がそこかしこに散在し、天井は無い。以前邪神と戦った教会を彷彿させる。あそこも天井に大きな穴が開いていてそこから、星空が覗いていた。
「なんだか懐かしいです」
クリオスは、柱に触れてそう言う。ここへ来たのは、私も初めてだったがクリオス同様、懐かしさが心の底から湧き上がってくる。そして何よりも、この柱たちが、崩れていることによってより幻想的に感じるのだ。形あるものに訪れる終焉のようなものを訴えかけている気がしてやまない。
「姉様、この建造物についての紹介が書いてありますよ」
1枚のパネルを指差して、クリオスは、私を呼ぶ。
「読めますか?」
「なんとなく、わかる気がするけど、
・・・えっと、紀元前8世紀頃アクロポリスを中心とした都市ポリスが誕生するとのち紀元前4世紀にこのパルテノン神殿は、建造された。建造目的は諸説あるが・・・」
と長々説明文が書かれているわけだがこの建造物は、どうやら神殿らしい。白い柱が、正しく連なり人の手で作ったとは思えぬほど正確な位置に建てられている。しかし、まだ崩れていなかったならば、どのような姿をしていたのだろうか。崩壊することで幻想的になるなら、建造したてではさぞ美しいのか、はたまた案外普通なのか、それともがっかりするのか。そんな想像させる気を起こさせる。けれども私は、崩壊して初めて完成であり完全なのかもしれないな。という解釈で納得することにした。
 麓に降りてくると、夕焼けが不気味に紅く空のキャンバスを塗り潰す。噴水の溜め水も紅く・・・あか・・・くそま・・・って。私は顔を引きつらせた。息がつまり、吐き気が頭を満たして行き発熱したかのごとく、体が熱い。それに心拍数も上昇している。動悸が止まらない。
「おぇぇぇ。ゲホッゲホッ、ハァアハァア」
「姉様、ここにはただならぬ邪気が溢れております」
クリオスは、すでに戦闘態勢に入った。私も、私も早く剣を抜かねば。剣が腰のあたりに現れる。そして剣の柄を掴んだ時それは現れた。
 頭は、獅子。体は蛇で角は山羊。口から瘴気を吐きだし、鋭い牙から毒を出す。大きさは、計り知れないほど大きく狙った獲物を逃がすことのない眼力。
 姿を見た瞬間に、クリオスは膝を折って情けなく座り込む。恐ろしさのあまり言葉も無い。見わたせば、人という人は、蒸気を出して溶けていく。肉も血も骨も内臓も、広場を死の海へと変貌させたその生き物は、我が物顔で横切って行く。声を上げれば殺される。一歩でも動けばあの世行き。そう思わせるあの怪物は、私たちに気づくこともなく、通り過ぎて行った。
 すると、広場は昼にも増して賑やかになっていた。
「あ・・・あれ?」
「ほぇぇぇ」
2人して腑抜けのような顔をしてその場に座っていた。街灯は灯り、飲食店やバーのネオンが目を覚まし出した。そう、夜である。酒を楽しむお客の陽気な歌や、ジャズの演奏による戦慄が広場を埋め尽くしていくのだった。
 ふと、噴水を見にいくと、午前中通り溜め水はただの水で、触ってもかき混ぜてみてもなんの変哲も無い水だった。
「どういうこと?」
すると、後ろから地元の人に声をかけられた。
「嬢ちゃんたち、こんな時間まで出歩いてると危ないぜ。ここは夜になると酒場になるから、変な輩も沢山うろついてやがる。客ならしかたなく接待せねにゃならねぇがな。なんなら送っていくぜ、あんたらどうせホテルとかなんだろ。まだ店開けるまで時間あるし買い出しのついでだ」
中年より少し上のおじさんが、親切にもホテルまでの警護をかって出てくれた。
「ありがとうございます。でも大丈夫
ですよすぐそこなので、お店の準備のお邪魔をしては、ご迷惑ですから。お気遣い感謝します」
「そうかい?夜は出歩いちゃならんぞ」
私は、笑顔で小さく手を振った。
 ホテルロビーにコイオスが、迎えに来てくれていた。時間で言えば、7時ちょっと前。
「おかえりなさいませ」
「ただいま。ずっとここに?」
コイオスの表情は変わらない。
「いえ、そろそろ頃合いかと思いましたので」
「姉様、私、クリオスはお腹の虫が泣きやみません」
クリオスは、お腹を押さえて空腹を訴える。そう言われると、と私もお腹に手を当てると、「ぐぅぅ」と控えめにお腹が鳴った。コイオスが「可愛い」と小さく呟いた。
「えっ、何?」
私は、その時コイオスの言葉を聞き逃した。そしてコイオスは、いつもの調子で、「いいえ、何も」と言ってエレベーターに乗り込んで行った。
 部屋は2部屋用意されていて、私と真理亜のペア、そしてコイオスとクリオスのペアで部屋に泊まっている。若の部屋はまた別に用意されているらしい。
「真理亜。いる?」
「あっ、おかえりなさい。どうでしたか?」
「どう?」
「えっ、パルテノン神殿に行って来たんですよね?」
ああ、そういうことか。真理亜が聞いてきたのは、私の兄姉の事ではなく、観光は楽しかったか?ということであった。それもそうだ、真理亜が私に兄姉がこの近くに、もしかしたらいるかもしれないなんて、知るよしもないのだから。
「あっああ、うん。綺麗だったわ。とても」
「私もご一緒すればよかったですね」
真理亜は、何やら作業の真っ最中で、ノートパソコンのキーボードを軽快に弾いている。
「何をしているんだ?」
「コレですか?この時間になったらメールするようにって、叔父さんが言っていたので、メールの文章打ち込んでいるんですよ」
「へぇ~、最近は便利なのね」
私は、1人感心していた。すると業を煮やしたクリオスが、私の服の裾を引っ張ってくる。
「もう、遅いですよ姉様」
「部屋に戻ってると思ってたから」
「部屋には入れません」
「ん?」
「コイオスが鍵はフロントに預けたとか言って、入れなかったんです。クリオスはお菓子を食べようと思ってたのに」
クリオスは、頬を膨らませて空腹に苛立っていた。そんな私たちの横で「確かいいお店があったなぁ」と、真理亜が呟いていた。
「よし、終わったー。じゃあ行こっかクリオスちゃん」
真理亜がベッドから降りてクリオスの手を引いて出て行った。私もついて行こうとしたら、真理亜が化粧台の紙を指さす。そして真理亜は、笑顔を見せて行ってしまった。
「真理亜?」
紙に目を移すと、紙に何か書いてある。
「えっと、叔父さんが心配してましたよ。 電話してあげてください。真理亜」
ふと目の前の鏡に映る自分の頬と耳が赤くなっているのが見えた。
「しっ仕方ないわね」
誰もいないことはわかっていたが、少し照れ隠しをして言う。なんとか自分の火照りを抑えたいと、いろいろ独り言が口から溢れる。受話器を手に取って、紙の下に書かれている電話番号にかける。
〈こちらドーリアカンパニーに事務室でございます〉
「あのぅ、若田敏彦の連れの者ですが、若田敏彦はいますか?」
〈若田氏ですね。ただいま社長と会談中でして、伝言ならお受けいたしますが?〉
「では、若田ヒルデから電話があったと伝えてください」
〈かしこまりました。失礼いたしました〉
ガチャ、と受話器を置いた。なんだ仕事中だったのか。ため息を吐いてベッドに座った。若は、何の仕事しているのかなぁ。するとドアが、ひとりでに
開いたかと思うと、コイオスがひょこっとこちらを覗いている。
「姉様、お迎えに参りました」
「ごめん、ありがと」
そう言うと、コイオスは珍しく「フッ」と笑って、「少し歩きませんか?」と私をギリシャの夜道に誘い出した。
 真理亜とクリオスが待つ飲食店に向けて、石畳みの街道を歩いている。バーや大衆酒場の橙灯が、西洋の独特な落ち着きを醸し出す。それにつられて私もじっと酒場を眺めていた。
「どうかしましたか?」
「なんでもない。ただみんな良い笑顔だなぁって」
酒場からは、仕事終わりの男たちの愉快な笑い声が聞こえ、バーからは、カップルの甘い微笑みが溢れている。まあ、なんともお熱いことで。そんな皮肉はともかく、夜の街は、私が思っていた以上に賑わいを見せている。
「姉様、少々お話しを」
コイオスは、改まって言う。私は、別に断る理由もないので話に付き合うことにした。
「いいわよ。でも、改まってどうしたの?話なら歩きながらでもいいんじゃない?」
「いいえ、人目を避けたいので」
私は、状況が理解できていなかった。なぜなら私たちが今いるのは、人混みの中で、とうてい人目を避けているとは思えない。
「姉様、人目を避けると言うのは、要は目立たなければ良いのです。なので敢えて人混みを選びました」
人の眼を欺くなら、人に紛れてしまえばよいということか。
「それで、話って何?」
「はい、率直に言って、私たち、何者かに尾行されています」
「なっ」
声を出そうになった私の口に、コイオスの人差し指に押さえつけられる。コイオスは、無言で首だけを横に振る。私は、それに頷きそっと後ろを確認する。だが、やはり、誰がつけているのか私には、分からない。
「なので、もう少し泳がせましょう。何食わぬ顔で歩いてください」
「ええ」
 私たちは、また歩きだした。するとコイオスが、私の腕を引っ張って走りだしたかと思うと、狭い路地に入り込んだ。ふと振り返ると、路地の入り口に大柄な人物が、道の狭さに立往生している。なるほど、子供サイズの私たちだからこの道に差し掛かるのを待っていたのか。
「相手が敵であると断定出来ませんがとにかく諦めるまで待ちましょう」
「ここなら羽をだしてもバレないんじゃ」
「いいえ、姉様。私たちを追って来る相手です。ならば、私たちが空を飛べることも想定して策を講じていると考えるべきかと」
それも、そうかと暗い路地の出口を見据える。おそらく入り口も出口も、待ち伏せているに違いない。ならどうする。何か良い逃げ道は・・・。
「そうだ」
「姉様?」
「下水道を抜ければ」
私たちの足元には、ちょうどマンホールがあり、しかも手入れがされていないらしく、開けっ放しになっている。
「とりあえず、下水道に降りて、扉を出すわ」
扉の大きさを考えると、ここでは開くことはできない。なら下水道の広い場所にさえ出れたなら、扉は出せる。
「そうですね。今は、取れる手を取りましょう」
まず私から下水道へ飛び込む、それに続いてコイオスが飛び込んで来る。
「うっ、くっさあい」
「はい、強烈な異臭を感知しています」
だがそんなことは言ってられない。
「出でよ。ゲートオープン、我の望む道を繋ぎたまえ」
「今はホテルに繋いだわ」
「クリオスらも帰っているかもしれませんし、妥当な判断だと思います」
ドアあ開けると、私たちの部屋が現れる。そこには、真理亜とクリオスの姿があった。だが彼女らは、倒れている。
「真理亜、クリオス!」
「ターゲット確認、確保」
「えっ、キャッ」
顔にマスクをつけた男が、私の腕を掴んで、そのまま手錠をかけた。
「姉様ー」
コイオスは、頭を押さえつけられて動けないでいる。私はというと、目隠しをされて口を塞がれて声も出せないし、息もできない。苦しいっ。コイオスの声だけが、遠くに聞こえる。
「リーダー、他の者はどうします?」
「構うな、依頼されたのは、こいつだけだ。他のやつはベッドにでも転がしておけ。目的は達した。とにかく撤収するぞ」
男たちのやりとりを最後に私は、意識を失った。
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